MetaのAI活用+ECビジネス拡大に効果的なInstagramの「リール」活用ポイントを解説 | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2024年2月28日(水) 10:00
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MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する

Facebook、InstagramなどMetaが提供するプラットフォームの利用者は全世界で39億人を超える。日本でのビジネス活用が注目を集めるInstagramの月間アクティブアカウントは3300万以上(2019年3月時点)。Metaの日本法人であるFacebook Japanの丸山祐子氏(営業部長)が、MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、そしてInstagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する。

MetaのAI+「Advantage+ ショッピングキャンペーン」の活用方法

「Facebook」がローンチされた2004年の2年後、ニュースフィードでのAI活用をスタート。利用者に適した投稿情報を表示するようにするなど、利用者の体験を向上するためにいち早くAIを採り入れてきた。2023年には、ユニークなパーソナリティーを持つ28の「Meta AI」をベータ版として米国でローンチした。

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

広告機能にもAIを活用しており、2023年10月には広告マネージャで利用可能なクリエイティブ生成AI機能(テキストバリエーション、画像展開、背景生成)の実装を順次開始している。

  • 画像拡張:フィードやリールなど、複数のサーフェスで異なるアスペクト比に合うようにクリエイティブアセットをシームレスに調整する。
  • 商品などの背景画像生成: 広告主の商品画像を補完する複数の背景を作成し、広告主がさまざまなオーディエンス向けにクリエイティブ資産を調整できる。
  • テキストのバリエーションを生成: オリジナルコピーに基づいて複数バージョンの広告テキストを生成する。
MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

また、広告運用において手動設定が必要だったか所を可能な限り新しい機械学習モデルで自動化したキャンペーン「Advantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)」を2022年にリリース。EC企業など広告出稿企業の「効率性の向上」「パフォーマンス改善」「コンバージョン数の拡大」につなげているという。

Metaが北米などの事業者を対象に実施した調査によると、ASCの利用で広告費用対効果を32%改善したという結果が出ている。日本で実施したテストによると、ASCを従来のキャンペーンに追加・追加していない場合を比較すると、追加した場合はCPA(顧客獲得単価)が平均17%改善したという。

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

従来は手動での設定が多かったため、手間と時間がかかっていたのではないか。ASCキャンペーンは、クリエイティブ以外の「ターゲティング」「コンバージョン最適化」「配信面」はすべてAIが担う形になる。オーディエンスの年齢設定、性別選定、配信面はFacebookがいいのか、Instagramがいいのか――。こうした決定をすべてAIが行う。運用者は、どんなメッセージを届けるのかなどクリエイティブの制作に注力することができるようになる。(丸山氏)

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する  「Advantage+ ショッピングキャンペーン」活用事例

ASCはアパレル、消費財、化粧品など物販のほか、HR、オンライン予約など業界・業態を問わずさまざまな事業者が活用している。

ASCを活用することで、化粧品・シャンプー・健康食品などのEC企業であるゼンケアではCPAが55%改善、購入数は2.2倍に向上。求人情報を配信したエン・ジャパンはCPAが31%改善、AGAスキンクリニックのオンライン予約はCPAが43%改善、コンバージョン数は76%アップした。

また、コーセープロビジョンは、スキンケアブランド「米肌」で新規顧客獲得の拡大をめざすために導入。従来のキャンペーンと比較し、CPAは24%、コンバージョンは1.3倍も改善した。

商品を購入する可能性が高い消費者をAIが見つけ出し、広告を配信するというのがASCの仕組み。男女、年齢といったターゲット設定をせずに、AIがきちんとコンバージョンしそうなターゲットに訴求できる。運用に時間がかかっている事業者は、ASCを使用してその効果を実感してもらいたい。(丸山氏)

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

なお、ASCは広告の配信対象から都道府県、指定マーケット地域、郵便番号をベースに特定地域の利用者を除外することが可能。ターゲット年齢のデフォルト設定「18~65歳」を、最低年齢25歳まで引き上げることができる。

たとえば、ビールを販売する場合、20歳以上のみを対象に広告を配信する必要がある。AIにお任せするだけではなく、広告主が任意で設定できるようにした。(丸山氏)

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する Facebook Japanの丸山祐子氏(営業部長)Facebook Japanの丸山祐子氏(営業部長) > ASC運用のコツ

セットアップの面ではAIが多くをカバーできる仕組みになっている一方、「クリエイティブの重要度が増している」(丸山氏)と言う。

Metaは、「フォーマットをなるべく網羅することがリーチの最大化につながる」と指摘。それは、「利用者によって表示されやすいクリエイティブのフォーマットが異なる」「配信しているフォーマットが偏っていると、リーチする利用者にも偏りが生じる可能性がある」ためという。

Facebook、Instagramは利用者1人ひとりにパーソナライズされたコンテンツが表示される。そのため、事業者はそのことを意識することがとても重要になる。具体的には、動画が表示されやすい、カルーセルが表示されやすいなど、利用者1人ひとりで表示されるフォーマットが異なってくる。(丸山氏)

FacebookやInstagramでは、利用者のクラスタによって表示されやすいクリエイティブフォーマットが異なっている。たとえば、「動画(16:9)に反応しやすい」「リンク(600×600)に反応しやすい」「カルーセルに反応しやすい」「動画(2:3)に反応しやすい」「動画(4:3)に反応しやすい」など、利用者のクラスタによって反応しやすいクリエイティブは変わるという。

そこで、Metaでは事業者に対して、フォーマットを網羅することを提案。リーチを最大化することが新規獲得などの近道だとしている。

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

ASCは、手作業で行う設定を最小限に抑え、AIでパフォーマンスを最大化する広告キャンペーン。そのためには、「学習に必要な分の購買データを送り、学習期間中での編集を行わないなど、AIが機能するためのMeta推奨運用をしっかりと行うことが重要」と丸山氏は言う。それを踏まえ、3つのステップを丸山氏は提案する。

  • 【ステップ1】モバイルに最適化されたクリエイティブの作成
    利用者は一瞬で広告を「見る」「見ない」を判断する。短尺であるか、冒頭に引きのある内容かなど、モバイルに最適化されたクリエイティブを作成することが重要。
  • 【ステップ2】クリエイティブの数を増やす
    動画、静止画のクリエイティブ本数を増やす。
  • 【ステップ3】掲載面ごとに最適化されたクリエイティブの作成
    フォーマットを網羅することでリーチを最大化。訴求内容は各配信面に最適化したものを入稿し、さまざまなターゲットに向けて最適なクリエイティブを届ける環境を作る。
MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

効果を最大化できないケースとして、Meta推奨の運用が守られていない、モバイルに最適化されていない、フォーマットのバリエーションが少ない――などのパターンがあげられます。そうすると、AIを生かしきれないため、パフォーマンスが上がりにくくなります。そのため、Metaが推奨する運用、クリエイティブに関するステップを注意していただき、効果を高めてほしい。(丸山氏)

Instagramの「リール」でショッピングを加速するためのポイント

消費者のコンテンツ視聴のニーズが大きく変わり、各種SNSでは短い尺の動画「短尺動画」の需要が高まっている。海外の調査では「2023年にネット上でのコンテンツ消費の43%が短尺動画になる」といった予測もあり、海外、日本ともに短尺動画のニーズが高まっている。

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

こうした消費者ニーズを受けて、Instagramは写真プラットフォームから、さまざまな投稿が集まる動画プラットフォームへと変化。フィード投稿、24時間で自動消滅する機能「ストーリーズ」にも動画を投稿できるようになっているなか、現在は最大90秒までの動画を投稿できる「リール」の利用がInstagram利用時間の20%を占めているという。

今では動画プラットフォームと言っても過言ではないぐらい動画がアップロードされ、その動画のコンテンツ消費が増えている。そのため、Instagramを使ってマーケティングする際、動画をどう攻略していくのかというのは、大きなポイントになっている。(丸山氏)

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

Metaが実施した、ブランドの認知や購買意欲の向上に寄与しているのかを調べたブランドリフト調査分析によると、ブランディングを目的とした広告の接触利用者と非接触利用者を比較したブランドリフト増加率は139%に達した。「リールなどの最新フォーマットを組み合わせたキャンペーンは、広告認知や商品理解などのブランド指標を高めるのに効果的と言える」(丸山氏)

推奨は9:16の縦型動画+音声 事例① パナソニック

リールなど動画の投稿にはさまざまなフォーマットを用意しているが、Metaが推奨しているのは9:16の縦型動画。それを示す事例としてパナソニックの投稿をあげた。

非縦型動画と比べてCPAは48%改善。音声を付けた動画だったが、音声なしと比べると好意的反応スコアは15ポイント向上した。「縦型で音声あり」というのがポイント。ブランディング系の商材だけでなく、パフォーマンスを求めるダイレクトレスポンス系の商材・企業にもリールは高い効果をあげることができている。(丸山氏)

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する  事例② トリコ

サプリメント販売などのトリコは、新規購入を目的としたWebコンバージョンのキャンペーンを、リールを活用して実施した。従来は静止画をメインで展開していたという。

リール面を意識し、特に音やエフェクトを効果的に活用したクリエイティブを制作。結果として、新規利用者のCPAを12%削減した。リールでの配信を意識しており、テキストの切り替え表示、氷や水を入れる音など、興味を引く構成になっている。(丸山氏)

 
事例③ SHE

女性向けキャリアスクール運営のSHEが実施したのはブランドキャンペーン。

説明が必要なサービスの特徴を、クリエイター、テキスト、エフェクトを活用し、上手に伝えているクリエイティブ。広告認知2.6倍、検討意向8.4倍とAPACのベンチマークを大きく上回り、広告想起リフト単価も通常広告との比較で68%減と大きく改善できた。(丸山氏)

 
リール活用3つのステップ

ただ、リールは「ハードルが高い」という悩みの声は少なくない。そこでMetaは3つのステップを提唱している。

  • 【ステップ1】リールの配置を追加
    ASCでの自動配置、もしくはFacebookとInstagramの広告管理画面でリールを手動設定する。静止画、横型動画、ストーリーズの素材でも縦型動画 で配信できる。
  • MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 
  • 【ステップ2】9:16のクリエイティブに最適化
    既存素材をリール面に最適化する。「横型動画であっても、“縦型動画にも活用する”という視点を持って撮影するとリール面にも利用できるようになる。静止画しかない場合でもリール向けクリエイティブを作成することが可能」(丸山氏)。また、リールは利用者の93%が音声ありで視聴しているため、「音を入れることを前提に作成し欲しい」と丸山氏。加えて、コメントなどのテキストが入るといった仕様のため、以下の画像の「グレーになっているところはUIがかぶる可能性がある。そうするとCTRが28%低くなってしまうことがある」(丸山氏)。そのため、セーフゾーンを守ってクリエイティブを作成することが重要だ。
  • MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 
  • 【ステップ3】リールファーストの専用クリエイティブを制作
    リールで効果を最大化するには、“リールファースト”のクリエイティブ制作が求められる。「特に若い消費者の間では、洗練されたものよりも共感やリアルさを重視するという変化が起こっている」(丸山氏)。そのため、動画制作の舞台裏を見せるなど“リールらしさ”を前面に出したクリエイティブなどが、効果が高くなるという。
  • MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

リールなどで利用者にリーチするだけではなく、広告主などの事業者は“その後”も意識する必要がある。つまり口コミなどのUGC(利用者によって制作・発信されるコンテンツ)だ。丸山氏はこう言う。

Instagramで発生する会話は、実はブランドエクイティとかなり強い相関がある。自分に合ったブランド、自分の好きなブランド、独自性やトレンドを生み出しているブランドといったブランドエクイティ項目とInstagramでの会話量は、0.92という強い相関係数が示されている。“話したくなるような商品”ということを意識し、クリエイティブを作ってほしい。

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

リールを使い、利用者へのリーチ、UGC(利用者によって制作・発信されるコンテンツ)を上手に派生したのが花王の事例だ。

Instagramのフォーマットはリール、ストーリーズ、フィード(カルーセル)など複数に対応し、クリエイターの作成したオーガニック投稿を企業・ブランドが自社の広告として配信できる「パートナーシップ広告」を活用。企業広告とクリエイターによるUGC(短尺動画、カタログ風)など複数の訴求軸を設け、特徴の認知、商品購入へとつなげた。

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

企業発信だけではなく、クリエイターの声も使うことにより一般利用者視点で商品の良さを伝えている。プロダクトを多面的に見せることで、効果を最大化した。リールなどを活用して商品を購入した利用者が、その後にInstagramで商品の良さを広げる――。こんなことが起きやすいメディアであることを認識し、リール活用などの次のステップとして検討していただきたい。(丸山氏)

MetaプラットフォームにおけるAI活用と最新のEC事業者向け広告の活用ポイント、Instagramの「Reels(リール)」にフォーカスした活用方法を解説する 

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オリジナル記事:MetaのAI活用+ECビジネス拡大に効果的なInstagramの「リール」活用ポイントを解説
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