店舗独自のハウスクレジットカード決済を販促アプリに実装、「.pay」を起点にした店舗の売上アップ施策 | ネットショップ担当者フォーラム

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東急電鉄沿線でまちづくりと顧客基盤強化に取り組んできた東急グループは、渋谷駅周辺の大規模開発も見据えながら、新たなデジタルマーケティングサービスに乗り出している。

本セッションでは、東京急行電鉄(東急電鉄)の本田孝一氏がハウスクレジットカード発行など、これまでのグループ施策や成果を紹介するとともに、スマートフォンを活用した実店舗向けの新規決済ソリューション「.pay(ドットペイ)」を披露。

合わせて東急エージェンシーの久保ひろみ氏が、「.pay」を起点にグループが展開する独自ソリューションやマーケティングプラットフォームなどを提案した。

「Culture(文化)」「CATV(情報)」「Card(経済・顧客基盤)」の「3C戦略」を展開
東京急行電鉄株式会社
生活サービス事業部 メディア・マーケティング部 統括部長 本田 孝一 氏

本田氏は2004年からグループ全体のポイント制度構築と運営に責任者としてかかわり、その後ホームコンビニエンスの東急ベルの立ち上げなどを手がけた。現在は、東急グループ全体の顧客基盤を強化するための施策・戦略に携わっている。

東急グループの主要事業は「交通」「不動産」「生活サービス」「ホテル・リゾート」、グループ全体で120社を超える。営業収益では生活サービスが6割弱を占め、沿線住人は500万人強、消費支出は8兆円を超え、東急沿線は“住みたい街”としても知られている。東急電鉄の輸送人員は2017年度に11.6億人を突破し、過去最高となった。

1980年代には、「Culture(文化)」「CATV(情報)」「Card(経済・顧客基盤)」を重要施策の「3C戦略」として展開。芸術・エンタメ系施設のBunkamura事業や、自社制作・多チャンネルの東急ケーブルテレビジョン事業、自社運営のクレジットカード事業などを手がけてきた。

試行錯誤が続く自社運営のクレジットカード事業

「3C戦略」の中でも成長・進化が目覚ましいクレジットカード事業は、35周年を迎えた。自社でシステム立ち上げや発行・運営を行うカード会社として1984年に設立し、東急百貨店の顧客に向けたサービスを主軸に展開してきた。

2006年には流通業界の急速な変化にともない、電車やバス、加盟店舗などで利用できるグループ共通ポイント制度を導入した。

2007年以降はクレジットカードにPASMO機能を搭載し、自動改札でのオートチャージに対応。JALカードやANAカードと連携してマイルも貯められるようにするなど、外部との提携により顧客基盤の強化を図っている。

2016年には、東急グループの利用頻度や利用金額に応じた招待制のロイヤルカスタマー制度を導入。商品購入や乗車利用だけでなく、住宅・電機・ガスなども対象とし、グループサービスの横断的利用につなげている。

このように力を入れているクレジットカード施策だが、カード戦略には常に課題が山積みだった。共通ポイントカード以前のばらまき時代は、合計29種類のカードを発行しており、それぞれの発行会社でしか使えず利便性が低かった。

その後顧客ニーズを優先し共通ポイント化したわけだが、10年以上やってみて、集約型カードの限界を感じた。スペースの面からカード券面では参加しているすべての個社機能を表示できず、個社が自社のカードと認識しにくいため積極的に会員を集めないなどのデメリットがあった

グループ各社のデータ活用などもしてみたが、それぞれの個社からメールが届くなど顧客視点からも良いとはいえず、限界だという意識は高まっていった。(本田氏)

自社ハウスカード決済を実現する「.pay」

前述のクレジットカードの課題解決に向け、グループ個社の施策やマーケティングに直接的に寄与する顧客基盤・ツールが必要と判断。スマートフォン1つでクレジット決済ができるソリューション「.pay」の開発に着手し、2018年4月に提供開始した。

事業者は「.pay」を活用することで、自社のポイント・クーポンといった販促アプリに「.pay」のカードレス決済機能を実装できる。

利用者が「.pay」機能を搭載した店舗の販促アプリからクレジットの入会に進み、必要情報を入力することで、カードレスのクレジット機能が販促アプリ内に組み込まれる。店舗で「.pay」を使って決済すると、通常のカードと同様に顧客の指定銀行口座から料金が引き落とされる仕組みだ。

「.pay」の利用イメージ図

「.pay」の主な特徴は「ハウスカード」「カードレス」「共通クレジットカードサービス」「決済と特典のシームレス化」の4機能にある。

1. ハウスカード

ハウスカードは、米国のウォルマートのカード戦略を参考にしたもので、事業者は自社でしか使えないカードを発行できる。オープン型カードと違い、顧客の囲い込みにつなげやすく、決済データを柔軟に扱えるなどのメリットがある。

2. カードレス

従来のスマホ決済は板のクレジットカードを事前に用意してから登録する方式が主流だが、「.pay」では板のクレジットカードを発行しない不発行型のサービスとして提供するため、利用者は初来店でも最短1分でその店のクレジット会員になれることを特徴としている。

クレジット番号を周知するサービスではないため安全に決済できる事も特徴である。

3. 共通クレジットカードサービス

従来は導入店舗が独自のクレジット会員組織をもつためにはその都度、入会登録が必要であったが.payはその面倒な手順を共通化することでユーザーが手間なく入会できる「共通クレジットカードサービス」として提供し利便性を追求している。

4. 決済と特典のシームレス化

QRコードを読み込む際に決済と同時に特典(ポイント・クーポン)も処理するため、店舗販売員の手間を省くとともに利便性を追求している。

沿線仮想通貨とスマホの活用で「街の館化」を目指す

東急グループでは、「.pay」を活用したさまざまなマーケティング施策に取り組む。その1つは、アプリへのクーポン配信だ。

渋谷駅や商業施設のサイネージに表示される情報や、特定エリアのビーコン認識などでクーポンを配信し、来店促進を図る。

また、渋谷近辺のオフィスワーカーのスマホアプリに専用コードを提供し、出金時間や残業時間にクーポンを配信する。駅の乗下車を検知し、曜日・時間・天候に応じたクーポン配信も計画している。

ECのプラットフォームである楽天やLINEなどはネットサービスから決済へと入ってきたが、東急グループは実店舗からの展開を進めてきた。まずは実店舗の「.pay」という決済から始め、その後プラットフォーム立ち上げやネットサービスにつなげていきたい。

将来的な戦略推進のカギは「沿線仮想通貨」で、沿線仮想通貨とスマホを活用し「街の館化」を進めたい。決済を中心にプラットフォームができれば、これまでのように実店舗だけでなくスポーツクラブや機械警備、電機・ガスなどすべてのサービスを含めた「街の館化」が実現できる。

店舗など事業者のみなさんとは送客も含め、さまざまなアライアンスを組んでいきたいと思っている。(本田氏)

「.pay」の購買データを軸に顧客をクラスタリング
株式会社東急エージェンシー
データマネジメント局 データアナリティクス部 スーパーバイザー 久保 ひろみ 氏

続いて東急エージェンシーの久保氏が、「.pay」を起点に展開するデジタルマーケティングや、同社が提供するソリューションを構成する製品・サービスを紹介した。

「.pay」の購買データでは購買履歴、クーポン利用履歴、アプリ利用履歴がわかり、さらにアンケートなどの基礎データを加えれば性別や年代、居住地などがわかる。その他にも、アプリの特性を生かしてWeb閲覧履歴、GPSやビーコンの移動履歴などを活用すれば、顧客がどのような場所や競合店舗へ行っているのかも判明する。

店舗の利用頻度、デモグラフィック、居住地域などを分析し、顧客をクラスタリングしていくことが可能となる。

当社はPDCA各段階にソリューション群を用意している。本田氏が前述した「『.pay』による行動情報の集積と活用ができる」ツールをはじめ、「Web閲覧履歴と第三者DMPの連携・顧客像の把握・リタゲ・拡張配信」「館内の情報管理・運用」「ビーコン設置+アプリによる館内回遊情報の収集と活用」「顧客の行動パターン分析」などができるツールがあるため、見込み客の発見やレコメンド商品の選定が可能だ。(久保氏)

「.pay」を起点にしたデジタルマーケティング
PDCAに対応したソリューション群
PDCAに沿った5つのソリューション

久保氏が説明するPDCAに沿った5つのソリューション群の概要は次の通りだ。

Audience Finder

サイト来訪者像を明らかにし、見込み客を自動抽出する。DMP活用などを通じてサイトの来訪者行動データを可視化し、自社サイト内の行動パターンによるクラスタリングが行える。

行動パターンに基づいた関心領域から見込み客を絞り込みリターゲティング広告を打ったり、見込み客に類似した行動をする新規顧客(未訪問者)に向けて拡張配信したりできる。

TACSIS

館内の情報共有、サイト運営など、商業施設の運営にかかわるさまざまな業務を一元管理。ビーコンを活用した来店者の館内回遊履歴の収集、アプリと会員カードを連携させた購買履歴と行動履歴の照合、関心領域の把握やプッシュ通知の出し分けなどが可能となる。

Activation Manager

来店者の購買行動だけではなく、館内の移動履歴もあわせて分析する商業施設向けツール。回遊データを通じて来店者が興味を持ちそうな内容を把握することが可能で、入店後の行動にあわせて館内でのショッピングや飲食、エンターテインメントなど来店促進に向けたタイムリーな情報発信ができる。

Target Finder

ビッグデータを活用する企業に向けた、マーケティングや販促施策の効率を高めるための分析ツール。従来型の顧客データ分析と違い、事前に仮説を設定することなく容易に顧客の嗜好を掴むことができる。

必要なのは「誰が」「何を」「どのくらい」がわかる購買データで、似たような「買い方をする人」と「買われ方をするカテゴリー」を同じクラスタにすることが分析ポイントとなる。

たとえば、これまで紳士服の購買経験がないユーザーでも、この方法では「紳士服は未購入でもスポーツ用品は購入している人」として分類。「特定のスポーツ用品と紳士服は併買される可能性が高いため、同ユーザーを紳士服の見込み客クラスタに設定する」といった分析を行う。

同様の分析手法を用いて、ある化粧品の見込み客に向けてDMを発送したところ、従来の見込み客の選定方法と比較して最大13倍の来店購入があったという。

顧客行動の類型化や回遊エリア分析などを通じて販促強化

講演の最後は、前述のソリューションを活用した商業施設の事例が紹介された。

ある商業施設では、まず施設内250か所にビーコンを設置し、アプリの起動を動機づけるチェックインルーレットなど、5つの機能を専用アプリに搭載した。アプリ起動時に何ポイントかを付与したところ、実際に1日当たりのアクティブユーザー数が2倍になる結果が出た。その後、移動履歴を「TACSIS」サーバー内に蓄積し、「Target Finder」を活用して顧客行動の類型化を図った。

類型化により、20代女性といった同じ年代でもファッションに興味がある人とない人など行動パターンの違いがわかったため、嗜好に合わせた販促施策を選んで実施した。また回遊情報から強化しなくてはならないエリアなどもわかり、回遊促進・強化のための施策を講じることもできた。

さらに、しばらく来店していない人を抽出し、来店促進のプッシュ通知やクーポンを送るなど、さまざまな取り組みを展開している。(久保氏)

商業施設での活用事例

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オリジナル記事:店舗独自のハウスクレジットカード決済を販促アプリに実装、「.pay」を起点にした店舗の売上アップ施策
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渡辺 裕子
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