経済産業省は、人工知能を使った音声認識スピーカー(AIスピーカー)の普及が進んでいることを受け、AIスピーカーを使ってネット通販を行なう場合のルールを明確化する。
消費者の言い間違えによる誤発注が発生した場合などを想定し、消費者保護に関する考え方を整理。今後、電子商取引(EC)に関する規則を定めた「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改定し、ルールを明文化する。
5月21日に準則の改定案を公表した。6月20日までパブリックコメントを募集しており、結果を受けて準則の改定を進める。
経産省が想定している課題は、①AIスピーカーが音声を誤認識した場合②AIスピーカーに対して発注者が「言い間違い」をした場合――の2点。
AIスピーカーが音声を誤認識した場合、消費者は救済されるか?
経産省は、AIスピーカーが音声を誤認識して発注した場合、消費者は「注文」の意思表示を行っていないと解釈されるため、注文は成立しないとの見解を示している。
AIスピーカーを提供している事業者が取るべき対策として、AIスピーカーが認識した注文内容をユーザーに通知し、ユーザーから確認が得られた場合に注文を確定することが有用としている。
AIスピーカーによる誤認識の例
- AIスピーカーが、テレビドラマの中でのAIスピーカーを使った発注の場面の音を拾って注文してしまった
- 幼児が母親にお菓子をねだっている音声を、お菓子の発注と誤認識して注文してしまった
消費者が言い間違いをした場合、注文は取り消せる?
発注者(消費者)が商品名を言い間違えて別の商品を注文してしまった場合、法律上(民法第95条本文)は注文が無効になるとしている。ただし、発注者に「重過失」がある場合には契約を取り消せない。
経産省の見解では、言い間違えは誰にでも生じ得ることから、一度の言い間違えでそのまま注文されてしまうシステムであれば、言い間違えに「重過失」があるとされる可能性は低いという。
AIスピーカーを提供する事業者の対策として、発注が完了する前に発注内容に誤りがないかを確認する機能などを想定している。
消費者の言い間違えによる誤発注の例
- 「タイヤ」を注文しようとして「ダイヤ」と言ってしまった
- 子供が好きなキャラクターのおもちゃを注文しようとしたら、記憶間違いで似たような名前の全く別のキャラクターのおもちゃを注文してしまった
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、ECなどにおける、さまざまな法的問題点について現行法をどう適用するか解釈を提示したもの。2002年に策定し、これまで14回改訂されている。
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オリジナル記事:経産省がAIスピーカーによるネット通販について見解を公表
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