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完全な状態のオリジナル記事は 「
デジタルシフトはいいが、安易にテレビ広告を削っていいのか・・・。~あとからボディブローのように効いてくるテレビ広告カット~」 からご覧ください。
最近、広告マーケティングコストの「デジタルシフト」が叫ばれるようになっている。ベムも基本的にはそう主張しているが、なかには安易にテレビを全く使わないという選択をするケースが垣間見れて、それには少々苦言を呈したい。
消費者のメディア接触もデジタルシフトを起している。ベムが主張するように若年層へのテレビCMの到達効率は昔に比べて非常に悪くなっている。人口の多い高齢層の視聴時間が長く、人口の少ない若年層の視聴時間が短いから非常に偏向する。
しかし、だからと言って簡単にテレビ広告出稿をどんどん削る(無くす)ことには賛成しない。
デジタルの効果、テレビの効果を精緻に把握してのことならいいが、どうも安易にテレビを使用しなくてもいいと判断しているように思えて仕方ないのだ。
この要因のひとつに、従来代理店が「テレビスポットは一定以上の投下をしないと意味がない」ということを広告主に刷り込んできたことがある。
だから広告主側も「どうせ1000GRPくらいはやらないとだめなんでしょ?それだと億単位のキャンペーンコストがかかるし、デジタルで億かからないくらいのキャンペーン企画で行ってみます。」てな感じなんだろう。
手売りのテレビ広告は、代理店も予算が多ければ多いほどいいので、ついつい「やるならこのくらいは・・・」と言ってきた。
しかし、そもそも「1000GRP以下は意味ない」なんてことは全くない。テレビは100GRPでも効果がある。逆にテレビスポットなどの立ち上がりの到達初速は他のどんなメディアも全く敵わない。フリークエンシーが1回だけじゃあまり効果がないのはそのとおりだが、今はそのフリーエンシーの積み上げをテレビだけでつくる時代ではないのだ。
ただテレビCMで1回でも2回でも接触させておく価値は大きいとベムは考える。
テレビCMという広告フォーマットは長い時間をかけて視聴者に受容されてきた。CMタイムはおしっこタイムと揶揄する向きもあるがベムが把握しているCMの画面注視率はもちろん番組そのものよりは落ちるが決して低いものではない。1社提供番組などはある意味「ネイティブ化」しているのでCMの画面注視率は落ちない。
テレビ広告の出稿を大きくカットした広告主は過去にはいくつもある。
やめた直後は「な~んだ。テレビやらなくても商品は売れるじゃないか」と思うが、半年、1年経つと「なんだか動きが悪くなってるなぁ・・・」となる。やめたことはボディブローのように効いてくる。そして「やっぱりテレビをやらないとだめなのか」と再開しても、その効果が元に戻るのはやめていた期間くらいかかるものなのだ。
テレビの効果にはタイムラグがある。
テレビには主に2つの効果があると思う。
ひとつは即効性のある「認知」効果
これがあるから通販もダウンロードさせたいアプリもテレビCMを出稿している。
残存GRPという概念も基本この効果を見ている。
そしてこの効果も間接効果としてもどう評価するかが今の課題だ。
起点がテレビCMによる認知だが、それによってスマホで検索したり、ブランドへの興味関心が一度は顕在化する。そしてそれをデジタルがリマインドして購買行動に導いているケースもある。この場合、効果測定としてはリマインドをかけた広告の効果を100%として評価しがちだが、実際にはテレビがなければ発生していない関心だったと言える。
「購買行動に近いステージに貢献するデジタル」という考え方はいいが、そもそもそこに至る前の「認知」や「購入意向」を獲得できているのかを見ないといけない。
またエリアプロモーション展開も結構だが、そもそもマス商材にはマス認知(マススケールの認知)が要るのでは?
とか、安直なデジタルシフト&テレビカットには突っ込みどころが満載なのである。
そしてテレビ広告の効果のもうひとつは、ブランドコミュニケーション資産の蓄積に長い時間をかけて寄与しているということだ。
よく精緻なマーケティング施策のROI分析をすると、当該キャンペーンをやらなくても売れた分(=ベースライン)が出てくる。これはブランド力がある企業ほど比率が高い。ブランドエクイティの要素のひとつと言い換えてもいい。
こういう分析をすると広告主はせっかく大きなコストをかけてキャンペーンをしたのに、それで増えた売上はこんなもんかとがっかりするが、それは逆で、やらなくてもこんなに売れていることが素晴らしく、またこのキャンペーンコストは短期の売上寄与だけでなく、長期のベースラインの維持拡大に貢献しているのである。
その部分にはやはりテレビ広告の貢献度は絶大なのである。
ベムはデジタルシフトによるメディアのリアロケーションが専門と言ってもいいので、ひとつ大事な視点を提示しておこう。
よく、テレビとデジタルの予算配分を何対何にすればよいのかという質問がくるが、いきなり予算配分から決まるものではない。
テレビとデジタルは、購買プロセスのどのステージにマーケティングコストをアロケーションするかというブランドごとの課題から入らないといけない。
それぞれのステージへの効果がテレビとデジタルで違うものであり、また同じステージに対してでも組み合わせることで新たに醸成できる効果もある。
(またテレビはほぼ予算がプランを決める傾向にあるが、デジタルは同じ予算でも使い方は無数にある。)
そうした上流から下流までの全体設計のなかで初めてコスト配分が決まってくるのである。
で、テレビ×デジタルを
① テレビだけでは到達しづらくなっている層に対するリーチ補完としての
「統合リーチ」の考え方
② ターゲット認知を補完するために、フリークエンシーバランスの悪いテレビをデジタルで補正する「ターゲットのフリークエンシーコントロール」の考え方
(昔のネット広告でのフリークエンシーコントロールは何回以上は出さないというキャップの議論だったが、それはCTRがバーンアウトするからというクリック目的のだったからで、ブランディングのためともなればターゲットには最低何回以上見せようというフリークエンシーコントロールになる。)
③ テレビCMとデジタル広告の両方に接触したことによって態度変容を起こす効果を狙う「態度変容(購入意向)醸成」の考え方
これには「ブランドの文脈」で出来ているテレビCMと「ユーザーの文脈」でつくるべきデジタル動画広告を、別素材で開発することだと思う。
この時、ベムは出来ればこれらを一緒に、またはデジタル動画からつくって行って、消費者反応データも分析した上でテレビCMを開発するというプロセスはあると思う。
の3段階で知見を構築していくことをお薦めする。
ベムの会社でコンサルしておりますので、お問い合わせくださいw。