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freee - Google アナリティクス 360 アトリビューション 機能を利用し、広告予算の ROI を 従来の 2倍に」 からご覧ください。
概要
「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」をミッションとし、スモールビジネス向けサポートサービスを提供する freee 株式会社は、2012 年の会社設立以来、大きな成長を遂げています。
取り扱うサービスが多様化し、ユーザー数も飛躍的に増加する中、freee 株式会社では、マーケティングデータ活用の強化を目的とし、2016 年 5 月より Google アナリティクス 360 の利用を開始しました。今回は、3 ヶ月という短期間で実現した Google アナリティクス 360 のアトリビューション機能活用による ROI 改善の取り組みをご紹介します。
導入の背景と課題
「
クラウド会計ソフト freee」をオンライン上で提供する freee 株式会社では、新規ユーザーは会員登録により 30 日間無料でサービスを試用することができ、その後利用継続するユーザーは有料サービスへ移行する、というモデルを採用しています。これまでは、マーケティング効果を測る際の KPI を、無料サービス利用開始にあたる「会員登録」に置き、広告を含むマーケティング施策の効果測定と意思決定を行ってきました。また、広告効果測定の際、会員登録したサイト来訪の直前の広告接触、いわゆる
「ラストクリック」モデルで評価をし、予算の配分をしてきました。
サービスが順調に成長し、よりマーケティング予算が大きくなる中、マーケティング部門では、今後どのように予算を効率的に投下するかが課題となっていました。また、そのため、これまでの「会員登録」ではなく、最終的に企業に利益をもたらす「有料サービスへの転換」を KPI として、貢献度が高い広告を見極め、予算を再配分する方法が求められていました。
これらの課題に対し、マーケティング部門の鈴木幸尚氏は、無料期間終了後離脱するユーザーと、有料サービスへ転換するユーザーに効果のある広告には違いがあるのではないかという仮説に基づき、顧客データを独自に分析し、検証を開始しました。
試行錯誤しながら、一部のデータで広告媒体、キーワードなどさまざまな角度から、ユーザーの有料サービスへの転換貢献度を分析した結果、有料サービス転換ユーザーに顕著ないくつかの傾向が見て取れたため、次のステップとしてより広範囲なデータでの検証を検討する中大きなボトルネックがとなったのが、「データ抽出、集計、分析に時間がかかり、リソースがとられてしまう」という点でした。
より簡易に、誰にでも実施できる方法を模索する過程で、Google アナリティクスの広告評価機能である、
「アトリビューション モデル比較ツール」を使用して評価したところ、簡単にほぼ同様の分析が行えることがわかりました。しかし、当時の設定では、有料登録に関する詳細なデータをアナリティクス側で取得できていなかったため、新たな広告効果測定の指標とする会員登録後の「有料サービスへの転換」を Google アナリティクス 360 で計測するための実装しました。
実装内容
「有料サービスへの転換」をデータとして Google アナリティクスで計測するため、製品部門と連携し、「クラウド会計ソフト freee」 の中に、Google タグマネージャーを使い、支払い完了の際にデータを送信する仕組みを実装しました。また、どの広告、どのオウンドメディアを経由しているのかを正確に把握するため、次の 2 点について設定、見直しました。
結果と分析
Google アナリティクス 360 上で今回の目的に沿った「有料サービスへの転換貢献度の可視化」「ユーザーの流入経路の可視化」が完了した後、次に、どのアトリビューションモデルを使用して評価すべきか、という試行錯誤が始まりました。Google アナリティクスでの分析結果より、オンライン上での初回接触から有料サービスへの転換までのリードが長い製品であるという特徴を鑑み、これまでのラストクリックのみの評価ではなく、すべての接触ポイントを均等に評価する
線形モデルが適しているのでないか、という仮説をベースに、複数のモデルで広告評価を比較しました。
次に、既存のモデルをベースに、自社の特徴に合わせて施策の貢献度を調整したカスタムモデルを作成しました。カスタムモデルが定まると、そのモデルから得られたデータより、各施策をコストと有料サービス転換数で分類し、評価の低いチャネル群から評価の高いチャネル群へ予算の移行を実施しました。
これまでの広告評価方法とは大きく異なる方法であったため、当初社内では、広告評価をこれまでの会員登録から有料サービス転換数とすること、ラストクリック以前の広告を含め評価したアトリビューション分析結果からの広告予算の再配分案に対し、本当に KPI 変更の必要があるのか、有料サービス転換数が減る結果にならないのか、などの懸念があげられました。
丁寧にデータを示して繰り返し説明し、予算配分については全体の案の 10 分の 1 程度から開始して結果を出していくことで、社内に新たな KPI とアトリビューションによる広告評価と予算配分が浸透していきました。
元々社内ではデータを経営に活かす文化が根付いており、データによる意思決定を重視している CEO の佐々木氏と経営層がこの新たな取組みに対し早い段階で注目し支援したことも、この取組みが早期に社内に浸透し、大きな成果につながった要因といえます。
結果として、当初半年かけて行う予定であったマーケティング予算の効率化プロジェクトは、開始から 3 か月で有料サービス転換獲得単価を半分以下に削減し、投下広告費に対する獲得効率を 200% 以上改善することに成功しました。
「最初は自分でデータを抽出から行い試行錯誤しましたが、Google アナリティクスのアトリビューション機能を使うことで、こんなに簡単に必要な分析ができるのかと驚きました。データを詳細に分析することがゴールではなく、そこから意思決定をし実際の施策の実行をスピーディに行っていくことが重要なので、分析結果については赤信号なのか、黄色なのか、青信号なのか、という大まかな結果がすぐにわかることが重要だと思っています」(freee 株式会社 マーケティング部門 鈴木幸尚 様)
今後の取組み
今回の分析結果により、現在、freee の有料サービスに転換するユーザーは、元々オンラインでの初回接触時点でのモチベーションが高い傾向が見られました。そのため、オンラインで行動を起こす前に、オフラインで freee のサービスについて認知している、ニーズが顕在化しているユーザーであることが推測されます。会計ソフトという B to B サービスかつ、想定される新規ユーザー層のデジタルリテラシーが幅広いことを考えると、オフラインの口コミや、会計や企業に関する書籍等、デジタル以外のアプローチもより重視して取り組む必要があることが改めて浮き彫りになりました。
これらの口コミなど、データに表出していない価値も捉えてマーケティング戦略を構築すること、分析結果だけがすべてではないことを、鈴木氏は指摘します。既存有料サービス会員から生まれる口コミをどのように醸成するか、またその後どう作用しているかの可視化、証明は、今後の課題です。
一方で、freee のサービスを認知していないが近い将来ユーザーになる可能性がある潜在顧客層に対するアプローチの強化も今後の課題としてあげられます。新しいサービス「
開業 freee」 のような、入り口となるサービスへの拡充と同時に、現状では効率的にアプローチできていなかったディスプレイ広告についても、今後検討していく必要があると考えています。
「ディスプレイはともるすと ” 単なる背景 ” になってしまう可能性があります。” 背景 ” にならないクリエイティブを潜在的なユーザーに届けるにはどうしたらよいか、さまざまな広告を研究しながら取り組みたいと思っています」(同 鈴木氏)
投稿者 : 小澤真由子 - Google アナリティクス 360 スイート アカウント マネージャー