楽天は2月12日、2020年12月期を最終年度とする中期経営計画を公表した。最終年度の売り上げ収益は1兆7000億円(15年12月期は7135億円)、Non-GAAPベース営業利益は3000億円(同1300億円、評価益221億円は除く)を目標とする。国内EC流通総額(楽天市場や楽天ブックス、楽天トラベルのほか、オークションやチケット販売、ダウンロードなども含む)は5兆2000億円(15年12月期は2兆7000億円)を見込んでいる。
営業利益の内訳は、国内EC事業が1600億円(同960億円)、その他インターネットサービス事業が200億円(同180億円の損失)、金融関連のFinTech事業が1200億円(同640億円)となる。
同計画では同社グループの事業を「ストロング」(シェア1位の事業)、「スマート」(一定のシェを持ち持続的に成長させる事業)、「スピード」(高成長を目指す事業)の3つに分類。楽天市場については「ストロング」として、品質向上やポイントアップなどの施策で顧客満足度を向上し、年間10~30%の成長を目指すとした。
計画を達成するには、国内EC事業の成長速度を加速する必要があるが、これについて三木谷社長は「現在の楽天市場におけるポイントアップ施策には、楽天トラベルやゴルフ関連の楽天GORAなどは入っていないが、楽天グループのサービスを使うほどポイントが付与されるような仕組みにすることで、流通額を全体的に押し上げていく」とした。その他にも、スマートフォン化の促進や、ウェブサイトの使い勝手向上、さらには品質向上を目指す。「楽天市場に1店も変な店舗がないという状態を必ず実現する」(三木谷社長)。
中期計画を公表する三木谷社長
海外事業においては、アメリカは会員制キャッシュバックサイトのイーベイツと仮想モールを推進し、自社販売は撤退。ブラジルとインドネシア、シンガポール、マレーシアの仮想モールを閉鎖するほか、タイの仮想モールもサイトを譲渡する。今後は、ブラジルについてSaaS型に特化する。東南アジア4国に関しては、日本で手掛けているCtoCのフリマアプリ「ラクマ」を展開する。「東南アジアはまだマーケットが小さく、物流が未整備なこともあり、BtoBtoCではなくCtoCの方が向いているのではないか」(同)。
15年12月期における国内EC流通額は、前期比10.2%増の2兆7000億円。第4四半期(10~12月)においては同10.9%増の7423億円となった。
楽天市場におけるモバイル比率は54.2%となり、3カ月間で2.9ポイント伸びた。また、専用のスマートフォンアプリの利用者も増えており、流通総額は前年同期比105.1%増となった。出店店舗数は4万4201店で、前年同月と比較すると2759店の増加。9月からは1600店増えている。
連結業績(累計)は、売上収益が前期同期比19.2%増の7135億5500万円、営業利益が同11.0%減の946億8900万円、経常利益は同11.8%減の919億8700万円、当期利益は同37.7%減の442億8000万円。
なお、フランスのEC子会社プライスミニスターや、電子書籍サービスを手掛ける子会社の「Rakuten Kobo」などにおいて、のれん等の減損損失を、連結で381億3500万円計上している。
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オリジナル記事:楽天・三木谷社長が語る国内EC流通総額5兆円計画 | 通販新聞ダイジェスト
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