久しぶりに日経BizGateのコラムを更新したので、ついでに関連本をまとめを。
こちらの記事、ぜひ読んでみてください。
購入金額だけで「顧客を格付け」する愚行 ~ 本当に大切にすべきは「熱狂する顧客」
http://bizgate.nikkei.co.jp/article/95643011.html
ということで、こちらでは長期的な利益を生み出す「熱狂ブランド」の戦略を学ぶ書籍をご紹介。
1. スノーピーク「好きなことだけ! 」を仕事にする経営
スノーピーク「好きなことだけ! 」を仕事にする経営山井 太
日経BP社
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2年前からキャンプを初めて大好きになったキャンプ用品メーカー「スノーピーク」代表、山井太さんの本。スノーピークは、年間キャンプ場で数十泊もするハードキャンパーがこよなく愛する熱狂ブランド。スノーピーカーと呼ばれる熱狂顧客と熱狂的推奨者によって順調に売上を伸ばし、2014年12月に東証マザーズに上場を果たした。
同社決算説明資料「平成27年12月期第2四半期 投資に関する説明会」には、上記の通り顧客の育成ステップが明記されており、得意客、営業支援顧客、経営参画顧客などの顧客を巻き込んだ経営を重視していることが明記されている。「顧客満足ではぬるい。顧客を熱狂させるのだ」「熱狂顧客と熱狂的推奨者こそが、スノーピークブランドの持続的な競争優位の源泉である」という想いが伝わってくる。
2. 顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか
顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたかトニー・シェイ,本荘 修二,豊田早苗
ダイヤモンド社
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皆さんご存知の通り、ザッポスはネバダ州のラスベガスに本社を置き、米国とカナダで靴や衣料、アクセサリーなどを販売するEC事業者だ。靴のオンライン販売では米国最大で、1999年の創業からわずか10年後の2009年に12億ドルで米アマゾンに買収された。
ザッポスは自らを「靴を売ることになった顧客サービス企業」と称する感動創造企業である。「信じられないくらい素晴らしいサービスだった」「ザッポス最高!」「超音速の配送で、顧客サービス博士号持ちですね」など、感動のあまり涙ながらに書いた礼状を送る顧客がいるほど、ザッポスは顧客を感動させ、熱狂させている。
必読です。
3. シャオミ(Xiaomi) 世界最速1兆円IT企業の戦略
シャオミ(Xiaomi) 世界最速1兆円IT企業の戦略陳 潤,永井 麻生子
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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多くの人は中国の携帯キャリアとして認識しているかもしれない謎に包まれた急成長企業シャオミの戦略について考察した本。「中国のスティーブ・ジョブス」の異名をとる創業者・雷軍(レイジュン)が打ち出す「インターネット思想」というコンセプトや「シャオミ方式」と呼ばれる戦略、ユーザーを囲い込む「参加感」の秘密に迫っている。シャオミの戦略は、集中(一機種しかつくらない)、究極(消費者の期待を超える)、口コミ、スピードの4つで、特に口コミが重視されている。携帯電話を売りだす前に、100人の熱狂顧客が参加するコミュニティフォーラムをつくり、驚くべきスピードで機能改良を果たし、熱狂顧客のSNSを使った口コミによって爆発的な成長を遂げたとされる。代表の雷軍(レイジュン)は、「飾らずに言えば、シャオミが売っているのは『参加感』なんだ」と言っている。
厳密な統計ではないが、シャオミフォーラムのユーザーは1000万人に達しており、QQ空間のユーザーは1000万人、ウェイボのフォロワーは300万強、ウィーチャットのフォロワーも280万人に上る。フォーラムやウェイボ、ウィーチャットを通じてできたコミュニティやファンクラブが様々な意見を出し、シャオミもそれを即座に商品に反映させる。このようなひとつひとつのやり取りのなかで、シャオミファンは自発的に口コミを広げていく。
フォーラムには商品開発担当者だけでなく、雷軍などの経営ボードメンバー、開発に携わるエンジニアも積極的に関わり、一日一時間以上もユーザーとのコミュニケーションに投じていたらしい。そこがすごい。また、ユーザーとのコミュニケーションでは「話し言葉で書け。聞いてすぐにユーザーが理解できることがすべてだ」「簡潔にしろ。ユーザーが実際に感じ取って、心が動かされるように」といったルールもあるそうな。シャオミは、とにかく徹底的に顧客に愛されることを志向しており、「ビーフン(シャオミの熱狂顧客)がいて、シャオミがある」という状態になっているとのこと。
口コミ、集中、究極、スピードの4原則について引用。
ユーザーが出した意見は、採用されるとたった一週間でMIUI(基本OS)のシステムに反映される。これは旧来の携帯電話メーカーでは想像もできなかったことだ。ノキア時代には3~5年にやっと1回システムが更新されるだけだったし、Appleの新システム発表は年に1回で、Googleですら四半期に1度だ。だが、シャオミは毎週1回の更新を厳守している。シャオミはその尋常ではない効率と、ユーザーとの密接なコミュニケーションによって、口コミを確立し急速に成長し、今に至っている。
もうひとつ、コミュニティやフォーラムにおいて理想的な状態の記載があったので引用。
シャオミフォーラムには毎日数十万の書き込みがあるプログラマーはそのすべてを読むことはできないため、書き込みの80%以上は、ユーザーが自発的に、他人の質問などに回答をしている。質問だけではない。「シャオミの社員は豚だ」というような悪意の書き込みや悪口にもユーザーは回答しており、問題は大変友好的かつ的確に解決されている。シャオミフォーラムには非正規の管理者であるユーザーがたくさんいて、彼らがBBSの管理を行い、重複した質問を消去し、深く話し合うべき問題にマークをつけ、そののちに、シャオミフォーラムの担当社員に報告している。シャオミのプログラマーの手許に届けられる書き込みは毎日数百にすぎないが、それらは非正規管理者による選別のおかげですべて新しい問題に限られ、同じ問題が重複することはない。このようにしてプログラマーたちは問題の解決に集中できるのである。
すごい。
その他シャオミの顧客に対する理念。
・顧客は友人である
・社員を管理するのは社長ではなくユーザーである
・経営において最善の手段は、すべてをユーザーに委ねること
最後にシャオミのマーケティングについて。
・最もヘビーなユーザーを満足させれば、他のユーザーを満足させることはたやすい
・現在必要とされているのは体験型マーケティングだ
・旧来のメーカーは1台の携帯電話を売ると、それで商売が終わったと思っている。しかし、シャオミにとってそれは商売のはじまりにすぎない
※しかし、良いことだけではない。シャオミは、限定発売を繰り返すことによって飢餓感商法と揶揄する者も多い。これから真価が問われるが、ここまで熱狂戦略を実践するブランドも少ない。ぜひ研究してみて欲しい一冊。
こちらも読んでみるとおもしろいですよ。僕も同じこと(中国製品は安かろう悪かろう)思ってました。
●激安8コアスマホ「Mi 4i」に触れればXiaomiがなぜ急成長できたのか一発で分かる(Gigazine)
http://gigazine.net/news/20150725-xiaomi-mi-4i-review/
4. 利益を生み出す熱狂ブランドの作り方
利益を生み出す熱狂ブランドの作り方アレン・P・アダムソン
ダイレクト出版
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いかにして偉大なブランドが構築され、優位性を保ち、トップの座を守っていくかについてまとめられた一冊。『優位に立つすべての企業は、自社ブランドのベースとなる「魔力(フォース)」を常に肝に銘じている。』『すべてのものを象徴しようとするブランドは、結局、何も象徴することができない』と説く。
成功し続けるブランドがある一方、急速に人気を博し、同じような勢いで消えていくブランドがあるのはなぜか?
優れたニッチブランドは高度に差別化されていて、ある特定の顧客にとってその違いに高い価値がある。
だからこそ、マーケッターは、人々の関心が高い上に誰も見たことがないような何かを、見つけなければならない。
しかし、史上の変化の激しい今日においては、そだだけでは十分ではない。
優位に立つためのさらなる原動力が必要になる。
それは、「熱狂」だ。
成功するブランドは、顧客を熱狂させるエネルギーを持っている。
熱狂は、「顧客」を「信者」へと変え、巨大な利益を生み出す。
GE、アップル、ザッポス、それにアマゾンといったトップブランドは、いかに優位性を確立し、維持しているのか?
本書は、あならのブランド構築戦略において、即座にかつ効果的に実行できる貴重な見識を授けてくれるだろう。
でも、言っていることは、「顧客が他者に話したくなるようなストーリーやWOW体験をつくってソーシャル拡散!」という平凡なものだった。うぅ…。
5. ムーブメント・マーケティング 「社会現象」の使い方
ムーブメント・マーケティング 「社会現象」の使い方スコット・グッドソン,山田 美明
CCCメディアハウス
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副題の通り、「社会現象のつくり方や使い方」について考察した本。PR本に多い「流行のつくりかた」とは少し違うアプローチをとっている。そもそもムーブメントとは何なのか?について明確な記載が無いので、自分的に整理すると、「ムーブメントとは社会的課題が人々のつながりによって動的に解決されていくプロセスである」または「ムーブメントとは、世の中に兆しのあるテーマを見出し、世の中ゴト化や仲間ゴト化を促進させることによってブランドマーケティングを行うこと」と言える。
ジャパニーズカルトのムーブメントを創出することによってオニツカタイガーを話題化させた事例や、ペプシのリフレッシュプロジェクト(コーズマーケティング)、生活共同体を築きたいコ・ハウジングムーブメントの事例などが紹介されている。
また、著者は本書の中でムーブメントとトライブの違いについてこんな考察をしており、興味深い。
マーケティングの第一人者であるセス・ゴーディンは、その著書『トライブ 新しい”組織”の未来形』(翻訳:講談社)の中でムーブメントのことを、「あるアイデアや信念が、情熱によりコミュニティ全体に広がる現象」と記している。私は、ムーブメントに参加する人を”トライブ(同族)”と呼ぶゴーディンには必ずしも賛成できない。いろいろな意味でムーブメントは同族的ではない。一般的にムーブメントは民主的で、参加したい人すべてに門出を開いているため、結果的にさまざまなタイプの人が集まるからだ。
ムーブメントは同族の集まりではない。
世間には、ムーブ園とは”トライブ(同族)”の集まりだという誤った認識がある。”同族”とは、先述したセス・ゴーディンらが世に広めた言葉である。しかし私は、ムーブメントに関してこの単語を使うことに異議を唱えたい。”同族”は、グループ内のメンバーが同質・同種であることを意味しているからだ。”同族”という言葉は主に、民族、伝統、居住地などを同じくする人に対して使われる。一方、ムーブメントの場合、全く異なる人々、さまざまな地域のありとあらゆる種類の人々が集まる。彼れが共有しているのは、ムーブメントの中心にある基本的な考え方や、それに対する情熱だけだ。
共通の興味関心を持ったトライブ(部族)の中にも異質な人たちはいるだろ、と思いつつ、言葉の定義って大切よねと。僕の考えるトライブの定義はシンプルで、「共通の興味関心やライフスタイルを持っている」ことだけ。例えば、湘南トライブであれば、湘南居住者が多いだろうけど都内在住で湘南スタイルに憧れる人も含まれるだろうし、サーフィントライブであればサーフィンが好きなだけで性別や居住地関係ないし。誤解しがちなのは、サーフィントライブにもショートボードトライブとロングボードトライブがいたり(お互いそんなに仲が良くない)、湘南トライブと千葉トライブ(居住地や場所としての嗜好)がいたりすること。イメージとして、トライブ内で起こる動的な動きがムーブメントなのかな、と思ってます(ムーブメントが形成されるプロセスでトライブが生まれることもある)
ちなみに、本書の中で
最初の”伝道者”が重要。
社内文化の改革をこれほど重視する理由はほかにもある。それは、企業の従業員がムーブメントの最初の”伝道者”となるからだ。従業員は、社内文化の改革次第で、社外にメッセージを伝える最初の人間になるかもしれない。あるいは、日常的な活動全体を通じて、ムーブメントの理想に従って行動する人間になるかもしれない。
(中略)そこでペディグリーはまず、企業活動の手引き書となる”ドグマ”(Dogとかけている。我が社の活動はすべて犬のため、という意志を示すもの)を作成しました。従業員全員に、今後のペディグリーの活動指針を伝えるパンフレットです。ペプシやペディグリーにこのようなアイデアを提示した時、私はこう言いました。「自社が信じる理念に賛同してくれる消費者を獲得したいのであれば、ムーブメントを生み出す必要があります。そのためには、自社がその理念を信じていることを態度で示した上で、同じリストバンドやTシャツを身につけてムーブメントに参加するよう大衆に呼びかけなければなりません」
という記載と事例紹介があって、「熱狂ブランド戦略をより強固なものにするためには、熱狂社員の存在や巻き込みが重要」という自分の主張と同じで自信を深めた。
6. パーミッション・マーケティング
パーミッション・マーケティングセス・ゴーディン,Seth Godin,(序文)ドン・ペパーズ,Don Peppers,谷川漣
海と月社
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「マーケットシェアから顧客シェアへ」という潮流が生まれた1990年代後半に書かれたセス・ゴーディンによる全米大ベストセラーである本書。「(新規顧客ではなく)既存顧客の70%に焦点を当て、利益を増やす」。そのためには、「顧客に心を開いてもらう=パーミッション」を獲得することが重要であることを説いている。「パーミッションはプロセスであって、瞬間のものではない」 「パーミッションはいつでもキャンセルされうるものである」といったソーシャルメディア時代における企業と消費者の関係性の本質が書かれています。リレーションシップマーケティング(関係性マーケティング)やCRM(Customer Relationship Management)の本質を理解するためにも読んでおきたい一冊。
7. 顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング
顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-山岡 隆志
日本経済新聞出版社
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アドボカシーマーケティング(徹底的に顧客側に立って物事を考え実行する信頼ベースのマーケティング手法)を学ぶなた間違いなくこの一冊。アドボカシーマーケティングの権威であるグレンアーバン教授に師事した山岡氏が著した渾身の一冊。究極まで顧客利益を優先した(売り手主導型ではなく顧客主導型の)マーケティングを行うことによって、企業と顧客の間に長期的な信頼やロイヤルティが形成され、売上および利益が向上することを解説している。高いロイヤルティが形成された顧客は、単なるファンではなくブランドのエバンジェリスト(伝道者)になって次のお客様を連れてきてくれる。世の中がデジタルやソーシャルだからこそ、思想や企業哲学について学んでおきたい。
8. 売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門
売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門遠藤 直紀,武井 由紀子
日本実業出版社
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今回紹介している本の中で最も強く推奨したい一冊。全員必読です。
以下「はじめに」から引用。
本書では長期顧客志向の経営を実践し、顧客が喜び、その結果、継続的に収益がもたらされるための方法論を紹介する。
これまで企業が散々取り組んできた顧客満足(CS)活動と、本書で紹介するロイヤルティ経営は、似て非なるものである。前者が顧客の期待にしっかり答えることを目指すことに対して、ロイヤルティ経営は顧客の期待を良い意味で裏切るレベルまで目指す。
「この会社はこんなに親身になってくれるんだ」と感動した経験のある顧客は、企業に対して強い愛着を感じ、他社の誘惑には決して乗らず、「この会社はいいよ」と人におすすめし、より長くその企業を支える存在になってくれる。今いる顧客基盤をテコに新規事業を構想する経営者は多いが、ロイヤルティのない顧客は、いくら長年の付き合いがあっても新商品に見向きもしない。(中略)
モノにあふれ、顧客の気持ちも移ろいやすい今、企業はロイヤルティ創出から目をそむけられない状況にある。そして、短期的利益重視の経営と長期的視点に立った顧客価値重視の経営では、後者のほうが好業績を生むことは、数多くの事例研究からすでに明らかになっている。
自分が言いたいこと(セミナーで熱弁していること)の多くが、すでに言語化&理論化されていることに強い嫉妬と悔しさを感じつつ、心の底から賞賛の声を上げたい。ビービットさんすごい。ということで、皆さん読んでください。
9. サポーター論~一度きりのお客さんが熱狂的サポーターに変わる!
サポーター論 ~一度きりのお客さんが熱狂的サポーターに変わる!~勝村 大輔
ギャラクシーブックス
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Amazonでひっかかったので一読。
<ファン>
・観戦する人
・楽しむ人
・夢を見る人
・LOVE
<サポーター>
・応援する人
・支持者・賛同者
・夢を共有する人
・クレイジー
と、ファンとサポーターを分け、サポーターを増やすことを提唱。また、ファンにないサポーターの特徴として「当事者意識」を挙げている(ただ単に好きなだけでなく、そのブランドやお店の当事者として振る舞う)。サポーター論という題名ですが、サッカーやスポーツに限ったことでなく、熱狂顧客や熱狂的推奨者が、いかに持続的な利益の源泉となってくれているかを説いている。
10. ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代
角川インターネット講座 (5) ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代近藤 淳也
KADOKAWA/角川学芸出版
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はてな代表取締役会長の近藤淳也氏によるネットコミュニティ設計のハウツー本。熱狂ブランドを育成するためには、ブランドと顧客、顧客と顧客がコミュニケーションをとり、熱量を上げていくコミュニティが設置されることが多い。しかし、このコミュニティというもの、とにかく設計と運用が難しい。それを証拠に、2000年代に開設された多くのブランドコミュニティは、そのほとんどが閉鎖されている。
本書では、はてなの近藤氏だけでなく、ネット界で著名な実践家(Hagexさんやnanapiのけんすう君)によるコミュニティ運営術やつくり方について、そのノウハウをあますところなく公開してくれている。めちゃくちゃ参考になるので読んだほうがいい必読の一冊。
11. Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール
Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルールニール・イヤール,ライアン・フーバー,Hooked翻訳チーム,金山 裕樹,高橋 雄介,山田 案稜,TNB編集部
翔泳社
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これまたおもしろい本でした。人びとがなぜこんなにもTwitterやFacebookやInstagramにハマるのか、実践的な心理学に基いてまとめられています。
本の中で紹介されているのが下図のフックモデルというもの。
外的・内的なトリガーによって「習慣化」のきっかけをつくり、簡単なクリックやスクラップによって行動を促し、人との「つながり」や「承認」によって報酬を与え、フォロワーの蓄積や完全にパーソナライズされたお気に入りコンテンツのスクラップ(リスト)などによってサンクコスト(埋没原価)を生み出させ、離脱を防止する(投資)という、ユーザーをハマらせる仕掛けと仕組みが抱負な事例とともにまとめられている。
メディアやコミュニティ担当者、もしくはそれらを立ち上げたいと考えている人にとって必読の一冊。
12. 小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書
小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書岩崎 邦彦
日本経済新聞出版社
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最後に。熱狂ブランドの戦略を学ぶ前に、とても奥が深いブランドマーケティングの全体像や体系を学んでおくことをお勧めしたい。難解な本が多い中、個人的に良かったのはこちらの一冊。タイトルに「小さい会社を強くする~」とあるが、街のパン屋さんや中小企業の話ではない。年間数百億円~数千億円を売り上げる巨大ブランドにおいても普遍的で重要なことがわかりやすくまとめられている。ぜひ手にとってもらいたい一冊。
番外編
いわゆる「熱狂戦略」とはずれるけどおもしろかった本はこちら。
ぼくらの仮説が世界をつくる
ぼくらの仮説が世界をつくる佐渡島 庸平
ダイヤモンド社
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宇宙兄弟や働きマンやドラゴン桜をヒットさせた敏腕編集者、佐渡島庸平さんの著書。人生を最高に楽しむための仕事の仕方について考えさせてくれる本。めちゃくちゃ良書なので、超お薦めです。下記引用。
世の中を変える「ドミノの1枚目」は、どこにあるのか?
魔法のような一手は、どこにもありません。誰も気付いていない、秘密の楽な方法なんてものは、どれだけ論理的に考えても、どれだけ未来を予測しても、見つからないでしょう。
1枚目のドミノは「基本」である、ということを述べましたが、実はそれよりも大切なものがあります。
1枚目のドミノ、それは、「たった一人の熱狂」です。
熱狂している人が、仮説を立てること。それが、2枚目のドミノ。
3枚目のドミノは、もう一人では倒すことができません。熱狂している人のまわりに集まってきている人たちが倒すのです。
それで、やっと、ぼくらの仮説が世界をつくることができるのです。
しびれます。必読。
熱狂するシステム
熱狂するシステム (シリーズ社会システム学)中井 豊
ミネルヴァ書房
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個人の熱狂というより、社会に流行が発生するメカニズムの科学的解明にアプローチしている一冊。ロジャースのイノベーター理論を細かく解説している印象。自分ゴト化、仲間ゴト化から世の中ゴト化に至るプロセスに迫っている。学術的な本なので、理論をおさらいしておきたい方は読んでみても良いかも。
熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素
熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素 (ウォートン経営戦略シリーズ)デビッド・シロタ,スカイライトコンサルティング
英治出版
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熱狂ブランドは熱狂社員から生まれる。自身が担当している商品を、身内には薦めたくない担当者が多いブランドに未来はないからだ。
本書は、熱狂ブランドを育成するための熱狂社員育成本ではないが、経営層やマーケティング本部長、ブランドを統括的に管理するブランドマネージャーは読んでおきたい一冊。①公平感、②達成感、③連帯感の3つをモチベーションの源泉とし、それぞれ細かく解説してくれている。
うちも頑張ります。
社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論
社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論イヴォン シュイナード,Yvon Chouinard,森 摂
東洋経済新報社
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THE NORTH FACEと並んで好きなアウトドアブランドであるpatagonia創業者による経営論。百年後も存在する経営を志向し、無理な成長よりも環境との共生や「持続可能性」を重視する。ほとんど広告を打たず、pagagoniaの熱狂顧客と熱狂的推奨者によるクチコミこそが持続的な成長を実現すると提唱している。
人事の理念で紹介されていたのは下記の言葉。
「人生の達人は、仕事と遊びに区别も、労働時間と余暇、心と体、教育と娯楽の区别もつけない。両社の違いがわからないのだ。何をするのであろうとひたすら至高の状態を求め、仕事か遊びかの判断は他者に委ねている。本人にしてみれば、常に両方を行っているようなものだ」―― フランソワ・オーギュスト・ルネ・シャトーブリアン
社員は、サーフィンだろうが、クライミングであろうが、育児であろうが、勤務時間に関わらず、好きに自己で判断して仕事に取り組めば良い。
もしサーフィンに行くことで仕事が遅れたら、夜や週末に仕事をして遅れを取り戻せばいい。そんな判断を社員一人一人が自分でできるような組織を望んでいる。
理想だ…。
※こちらに「熱狂ブランド戦略」についてまとまってます。合わせてぜひ。
購入金額だけで「顧客を格付け」する愚行 ~ 本当に大切にすべきは「熱狂する顧客」
http://bizgate.nikkei.co.jp/article/95643011.html