今日は、Google Analyticsのまぎらわしいデータ表示の中身を明らかにします。というのも、これを理解しておかないと分析するときに勘違いしてしまうからです。
以前に、アクセス解析のやり方として、平均閲覧PV数や平均訪問回数を新規ユーザーとリピーター別に調べるやり方を説明したことがあります。ですが、Google Analyticsではこの分析はできないようです。というのも、Google Analyticsでは、新規ユーザーとリピーターを明確に区別できないからです。
Web担の連載「Google Analyticsの使い方&解析ワザ」の記事で気になったので、編集部で実験してみてわかったことを解説してみましょう。
まずクイズです。サイトにアクセスしたのが次の2人だけだった場合、Google Analyticsでは、3月10日の新規ユーザーとリピーターのセッション数はそれぞれいくつになるでしょうか?
私はこうだと思いました。
Aさんは3月9日に1回訪問しているので、3月10日の時点ではリピーター。3月10日には2回サイトを訪れているので、リピーターが2セッション。
Bさんは3月10日に初めてサイトを訪れたので新規ユーザー。3月10日に2回サイトを訪れているので、新規ユーザーが2セッション。
……ですが、実際にGoogle Analyticsの[ユーザー]>[新規ユーザーとリピーター]に表示されたのは、新規ユーザーが1セッション、リピーターが3セッションと出ます。
どうやら、Google Analyticsでは、
- 「新規ユーザー(New Visitor)」は、「新規ユーザーの新規セッション(そのサイトでの最初のセッション)」だけ
- 「リピーター(Returning Visitor)」は、「リピーターのセッション」+「新規ユーザーのその期間内の2回目以降のセッション」
を意味するようです。アドバンスセグメントに「新規ユーザー」と「リピーター」がありますが、これも同じ意味です。
ですから、「新規ユーザー」のセッション数は指定期間内の新規ユーザー数と同じ値になり、新規ユーザーの平均セッション数は必ず1になります。
つまり、セッションがその人にとってそのサイトでの初めてのセッションかどうかはデータとして判別できますが、ユーザー自体がその期間以前にサイトを訪問したことがあったかどうかを軸に分析はできないということですね。解析対象期間より前にサイトを訪問したことがなかった「ご新規さん」でも、期間内の2回目以降のセッションは「リピーター」として扱われてしまいますから。
まぁ、単なる「新規ユーザー」「リピーター」の言葉の定義の問題なのですが、「一見さん」「常連さん」という軸で分析できないのは残念なところです。
ということで、Google Analyticsでは、新規ユーザーとリピーターに分けて平均セッション数や平均閲覧PV数を調べることはできません。注意しましょう。
ほかにも、Google Analyticsのわかりづらい表示に関する注意を記しておきます。
- [ユーザー]>[リピート訪問数]>[リピートセッション数]の「1回」は「1回目」、「2回」は「2回目」を表す。「リピート回数」というより、「○回目のアクセス」という意味の解析ですね。
- [ユーザー]>[リピート訪問数]>[訪問頻度]の「0日前」はリピートではない新規セッションを表す(これはヘルプにも書いてあります)。
この記事は、メールマガジン「Web担ウィークリー」やINTERNET Watchの「週刊 Web担当者フォーラム通信」に掲載されたコラムをWeb担サイト 上に再掲したものです。
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