デジタル広告不正、「聞いたことがある」は6割超えるが「内容も知っている」は半数に届かず【デロイトトーマツ調べ】

アドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティなど、不正対策に取り組んでいる企業は3割ほど。

デロイト トーマツ グループは、「広告取引に関する広告主実態調査2020」の結果を発表した。広告活動を行っている従業員規模5,000人以上の企業200社から、「アドフラウド」(インプレッションを水増しする不正など)、「ブランドセーフティ」(不適切サイトへの掲載防止など)、「ビューアビリティ」(ユーザー視認の確実化など)といったデジタル広告不正の認知・対策状況について、回答を得ている。

デジタル広告不正、「聞いたことがある」は64.5%だが「内容も知っている」は40.5%で半数に満たず

まず、「デジタル広告の不正」についてそもそも知っているかどうかを聞くと、「知らない・聞いたことはなかった」35.5%が最多。全体での言葉の認知率は64.5%だった。

内容の認知については、「どんな不正なのか、その内容までよく知っていた」は10.5%に留まり、「どんな不正なのか、概略は知っていた」30.0%を合わせても、内容まで理解している人は半数に届かなかった。また広告系部門と管理系部門とで内容を理解している率に、大きな差は見られなかった。

デジタル広告不正対策の取組状況を問題ごとに聞くと、もっとも取組が進んでいた(現在取り組んでいる+今後取組予定)のは「ブランドセーフティ問題」30%で、「ビューアビリティ問題」28%、「アドフラウド問題」27%が僅差で続く。いずれの問題に対しても、具体的な取組はまだまだのようだ。

一方「デジタル広告不正問題に主体的に取り組むべき部門」について、経営企画、事業企画、内部監査・リスク管理、経理・財務部門の所属者に対して聞くと、「企業経営リスクとして捉え、自分の所属部門が主体的に対策すべきだと考えている」22.0%、「自分の所属部門とマーケティング部門で協力して取り組むべきリスクだと捉えている」25.0%と、自部門が関与すべきと半数近くが考えていた。

サードパーティーCookie規制、内容まで理解している人は35.5%に留まる

WebブラウザのCookieをネット閲覧履歴の追跡に使う「トラッキング」について、サードパーティCookieの利用を段階的に廃止する動きが進んでいる。こうした規制の動きについて知っていた人は58.5%。“本人の同意を得ないサードパーティーCookieは取得できなくなる”といった、内容まで認知していた人は35.5%だった。部門別では、管理系部門勤務者に比べ、広告系部門勤務者のサードパーティークッキー規制の内容認知率は13ポイント高い42%で、理解度には部門間の差が見られた。

なお、こうしたデジタル広告不正などの問題を扱う業界団体として「一般社団法人デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)」が2021年春に設立されたが、「どんな活動をするのか詳しく知っている」5.0%、「活動内容の概略は知っている」10.5%、「活動内容は知らないが、団体が設立されたことは知っている」18.0%で、認知は33.5%。広告系部門(30.0%)よりも管理部門(37.0%)での認知のほうが高かった。

調査概要

  • 【調査対象】全国の従業員規模5,000人以上の企業でTVCM、Web広告を実施している企業、前述企業の広告系部門および管理系部門に所属しているマネージャクラス以上の担当者
  • 【調査方法】Web
  • 【調査期間】2020年12月8日~11日
  • 【有効回答数】スクリーニング調査:10,000サンプル以内、本調査200サンプル
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