SNSインフルエンサーの一種でありながら、その実体は人間ではなく、CGやアニメーション技術で作られた架空の人物を指す。主にInstagramやTikTokで活動し、実在のインフルエンサーと同様に多くのフォロワーを抱えて人気を集めている。
先駆けとなったのは、2016年に米国のスタートアップBrudが生み出したLil Miquela(リル・ミケーラ)であり、それ以降、多くのバーチャルインフルエンサーが登場している。これらはバーチャルモデル(バーチャルヒューマン、デジタルヒューマン)として、ファッション、美容、エンタメ領域を中心に活躍し、Z世代を中心にアイドル的存在として広く認知されている。日本では、2018年にAww Inc.が発表したimma(イマ)が代表的な存在である。
VTuberやアバターのようにアニメ風にデフォルメされるキャラクターとは異なり、バーチャルインフルエンサーの造形は3DCGによって人間に非常に近いリアルな見た目に仕上げられている。そのため、見た目だけでは実在の人物と区別がつかないことも多い。ただし、彼らの人格や投稿内容は基本的に人間の手で運用・管理されており、完全に自律したAIによって運営されている例は、2025年現在ではほとんど存在しない。
VTuberが人間のモーションキャプチャーをもとに動くのに対し、バーチャルインフルエンサーはゼロから自由に造形できる点が特徴である。そのため、ブランドイメージに合ったビジュアルを設計しやすく、現実の人間では再現が難しい表現もCGで実現可能である。また、生身の人物ではないためスキャンダルや炎上のリスクが低く、長期間の起用にも適していることから、特に2020年代に入り、ブランドイメージを重視する企業を中心に活用が広がっている。