消費者庁も規制強化へ――「解約ボタンがない…」悪質なUI「ダークパターン」とは?
「解約ボタンが見つからない」「勝手に定期購入に…」消費者の判断を狂わせる悪質UI「ダークパターン」とは? OECDの7類型や消費者庁の動向、騙されない対策を解説します。
9月15日 7:05
ネットでのお買い物で、
お試しだけのつもりだったのに定期購入になっていた
解約しようとしたのにボタンが見つからない
といった経験をしたことはありませんか?
こうしたデジタル技術の発達に伴い、消費者の意思決定を不当に歪める「ダークパターン」が急増しています。現行法で一部の対応が行われているものの、ルールが明確になっていない部分もあります。また、消費者を脅したり困惑させたりするような悪質な表示が、規制の対象になっていないことも問題になっています。
これを受け、消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」は、消費者が安心・安全に取引できる環境を整備するため、法規制の強化に向けた「中間取りまとめ」を公表しました※1。中間取りまとめでは、広告・契約・解約などの各プロセスに応じた新たな規律や、プラットフォーム事業者への削除要請といった実効性のある対応策が検討されています。
本記事では、注目を集める「ダークパターン」の基本概念から具体的にどんなものが該当するのかを紹介し、消費者側が騙されないための注意点までわかりやすく解説します。
ダークパターンとは?
ダークパターンとは、消費者の意思決定や選択・判断を歪めるために設計されたユーザーインターフェース(UI)や画面表示のことです。
2010年頃にUXデザイナーのハリー・ブリグナル(Harry Brignull)氏が事例収集サイトを開設したことで世界的な議論が始まり、日本国内でもメディアなどで特集が組まれ社会的な問題として認識されるようになりました。
オンライン上のダークパターンは低コストで実施でき、対象となる消費者の規模も大きいため被害が発生しやすい特徴があります。さらに、「自分は騙されない」と思っている人でも、Webサイトの巧みなデザインに自覚なく誘導されてしまう点に大きな恐ろしさがあります。
ダークパターン7種類【OECDの類型化】
ダークパターンには、視覚的な工夫や心理的なプレッシャーを利用したさまざまな手法があり、OECD(経済協力開発機構)※2によって7つのパターンに類型化されています。消費者庁が提供している事例集※3を基に、この7パターンに当てはめてご紹介します。
① 行為の強制(Forced Action)
サービスや機能を利用するために、ユーザーにアカウント登録や個人情報の提供などを強要・誘導する手法です。
② インターフェイス干渉(Interface Interference)
視覚的な効果や質問文の工夫を使い、事業者にとって都合の良い選択肢へ誘導・操作する手法です。
③ 執拗な繰り返し(Nagging)
事業者が望む行動をとらせるため、ポップアップや案内を何度も繰り返し表示してプレッシャーを与える手法です。
④ 妨害(Obstructing)
解約や他プランとの比較など、ユーザーが本来行いたい目的の達成を意図的に難しくする手法です。
⑤ こっそり(Sneaking)
取引に関する重要な情報を隠したり、不鮮明にしたり、後から追加表示したりして誤認させる手法です。
⑥ 社会的証明(Social Proof)
他のユーザーの評価や行動データを偽装・強調し、「みんなが買っている」という心理的影響を利用する手法です。
⑦ 緊急性(Urgency)
虚偽の期限や数量制限を示して消費者を焦らせ、冷静な判断を失わせる手法です。
ネットショッピングで気をつけるべき5つのポイント
今後、法律による規制が進んでいくことは間違いありません。消費者がダークパターンの罠に陥らないためには、オンラインで買い物や契約をするときは落ち着いて以下の5つのポイントを確認しましょう。
- 商品の購入回数や契約の継続期間を確認する(単品購入のつもりが「定期購入」になっていないか確認)
- 支払い金額を確認する(最終画面で追加の送料や手数料が含まれていないか確認)
- 解約条件や解約方法を事前に確認する(いざという時にスムーズに解約できる手続きか確認)
- 利用規約や注釈の小さい文字まで確認する(隠された不利益な条件がないか目を通す)
- 注文の最終確認画面のスクリーンショットを撮っておく(万が一のトラブルに備えて証拠として保存)
また、企業側は意図せずダークパターンをUIに採用してしまっていないか、今一度確認してみることもおすすめします。
▼漫画記事でダークパターンを紹介(あわせて読みたい)
