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「母数を増やす」は誤用。じゃあ正しい表現は?

「母数を増やす」は誤用。じゃあ正しい表現は?

内藤 貴志(Web担編集部)

9月15日 7:05

Webマーケティングやアクセス解析の現場(Web担)で、非常によく見かける言葉の誤用、それが「母数(ぼすう)」です。

「今回のキャンペーンの母数を増やそう」
「アンケートの母数が少なすぎて参考にならない」

といった使い方をしていませんか? 実はこれ、すべて間違った日本語です。
マーケティングやデータ解析のプロとして知っておきたい「母数」の本来の意味と、正しい言い換え表現をまとめました。

「母数」ではなく「分母」や「サンプル数」

多くの人が「全体の数」や「集計対象の数」という意味で「母数」という言葉を使っていますが、統計学において「母数」は全く違う意味を持ちます。

  • ✕ 誤った認識: 母数 = 分母、全体の数、データ量
  • ◯ 正しい認識: 母数 = 母集団(調査対象の全体)の特徴を表す統計的な定数(平均や標準偏差など)

少し難しく聞こえますが、要するに「母数」は「データの個数(件数)」のことではありません。

なぜ誤解が生まれたのか?

おそらく、割り算の「分母(ぶんぼ)」の「母」という字と、全体の数を表す「母集団(ぼしゅうだん)」の「母」という字が混ざってしまい、「全体の数 = 母数」という勘違いが定着してしまったと考えられます。

よくある誤用パターンと正しい言い換え例

Web担の現場で飛び交いがちなNGワードを、正しい表現にブラッシュアップしましょう。

パターン1:全体のPVや会員数を増やしたいとき

  • ✕ NG:「広告を打って、サイト訪問者の母数を拡大しよう」
  • ◯ OK:「広告を打って、サイト訪問者の総数(または全体数)を拡大しよう」

パターン2:CVR(成約率)などの計算の「分母」を指すとき

  • ✕ NG:「CVRを計算するときの母数は、アクセス数とユニークユーザー数のどちらですか?」
  • ◯ OK:「CVRを計算するときの分母(または分母となる数値)は、アクセス数とユニークユーザー数のどちらですか?」

パターン3:アンケートやテストの回答数が少ないとき

  • ✕ NG:「今回のA/Bテストは、まだ母数が足りないから判断できない」
  • ◯ OK:「今回のA/Bテストは、まだサンプルサイズ(またはデータ数・回答数)が足りないから判断できない」

※統計学では、サンプルの個数のことを「サンプル数」ではなく「サンプルサイズ(または標本の大きさ)」と呼ぶのがより正確です。

プロならば正しい用語を使おう

社内だけのカジュアルな会話であれば「母数」でも意味は通じるかもしれません。しかし、データサイエンティストや専門のデータアナリスト、社外のコンサルタントなどと会話する際に「母数」を誤って使っていると、「この担当者は統計やデータの基本がわかっていないな」と信頼を損ねてしまうリスクがあります。

レポートの作成やミーティングの際は、ぜひ次の言葉に言い換えてみてください。

  • 全体の数と言いたいとき ⇒ 「全体数」「総数」
  • 割り算の下側と言いたいとき ⇒ 「分母」
  • 集まったデータの件数と言いたいとき ⇒ 「サンプルサイズ」「データ数」

正しい言葉選びで、説得力のあるWebマーケティングを推進していきましょう!

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