筆者がGA4をサポートしている中で問い合わせの多い内容の一つに『「参照元 / メディア」関連のディメンションが多く、目的のレポートを作るときにどの「参照元 / メディア」を選択すれば良いかわからない』という質問があります。今回のコラムは流入元に関するディメンション「参照元」「メディア」関連について解説します。
ユーザー、セッション、イベント(アトリビューション)ごとの「参照元/メディア」
データ探索で流入系のレポートを作成するとき、「参照元 / メディア」で検索すると「参照元 / メディア」「最初のユーザーの参照元/ メディア」「セッションの参照元 / メディア」など複数の「参照元/メディア」関連のディメンションが表示されます。
この違いはGA4のユーザー、セッション、イベントのスコープで集計できるデータが異なるため、「参照元 / メディア」の前に「ユーザーの最初の~」「セッションの~」「(接頭語無し)~」と分かれています。
それぞれのスコープで図のユーザーAが①~④の訪問をしたときと、ユーザーBが⑤~⑥の訪問をしたときに対象となる「参照元 / メディア」を赤字で解説します。
ユーザーの最初の参照元/メディア(ユーザースコープ)
GA4で計測しているユーザーが「サイトに初めて訪問したときの参照元」を常に表示します。これは、集計するレポート集計期間の最初の訪問時における流入元ではなく、レポート集計期間より前でもサイトに初めて訪問した(新規ユーザー)の参照元情報を表示するので、ユーザーがサイトを認知するるきっかけとなった参照元情報を知ることができます。
対象データは青枠の「レポートの集計期間」のセッションが対象ですが、ディメンションの値は、ユーザーの「初めての訪問の参照元情報」が集計されます。ユーザーAの場合は①のgoogle/cpc、ユーザーBは⑤のyahoo/cpcがディメンションの値として表示されます。
標準レポートでは、「集客>ユーザー獲得」レポートで見ることができます。
セッションの参照元 / メディア(セッションスコープ)
セッションスコープは都度、サイトへ訪問したときの流入元を確認することができます。UAの集客レポートで利用していた参照元/メディアと同じタイミングの参照元情報を知ることができます。
※厳密にはGA4のセッション定義とUAのセッション定義が異なるので、UAと同じデータにはなりません。
対象データは青枠の「レポートの集計期間」のセッションが対象で、ディメンションの値はレポート集計期間のユーザーAの③④、ユーザーBの⑤⑥が該当します。
標準レポートでは、「集客>トラフィック獲得」レポートで見ることができます。
参照元 / メディア(イベントスコープ)
接頭語のない「参照元/メディア」は「広告>アトリビューション」で利用するキーイベント(コンバージョン)が発生したイベントの参照元情報が集計されます。指標は「キーイベント(コンバージョン)」や「購入による収益」が適しています。
対象データは青枠の④のセッション中にある「KE(キーイベント)」が発生したときのイベントが持つ参照元情報が基準となり、過去の参照元情報をもとに選択するアトリビューションモデルによって重みが変わります。
「広告>アトリビューション」にある各レポートで見ることができます。
参照元の優先順位の解説
ここまで「参照元/メディア」など、流入系のディメンションについてスコープ別に解説してきました。実際にユーザーがサイトへ訪問するときは、広告や自然検索、SNS経由など様々なメディアからアクセスしてきますが、GA4ではUAと同じようにノーリファラーの訪問時に特別な処理がされます。
「お気に入り」や「直接入力」、「utmパラメータのないメーラーからのリンク」など、ユーザーがノーリファラーで訪問したきの参照元データは「過去に遡って参照元データがある場合は上書きされない」という「参照元の優先順位」という仕様が適用されます。
[GA4] キャンペーンとトラフィック ソース 中段にある「処理」を参照
https://support.google.com/analytics/answer/11242841
具体的には下記の図でユーザーBの⑥2回目の訪問がノーリファラーのdirect/noneに該当する「お気に入り」からの訪問時、過去の訪問で「yahoo/cpc」があるため、参照元の優先順位が適用されます。結果、レポートの集計期間中の流入は「yahoo/cpc=1セッション、direct/none=1セッション」ではなく「yahoo/cpc:2セッション」になります。
まとめ
今回のコラムではよくレポートで利用する参照元/メディア系のスコープ別の違いと注意点を解説しました。特にイベントスコープの「参照元/メディア」はUAと同じディメンション名なので、データ探索のディメンション選択時に間違えやすいディメンションです。レポートの目的に合わせてディメンションを選択しましょう。
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