TikTokとは?
TikTokは、10代~20代の若者を中心に流行しているショートムービーアプリで、月間アクティブユーザー数は世界中で5億人を突破(2018年7月時点)しています。
数年前に大流行した動画SNS「Vine」(2017年1月にサービス終了)や「MixChannel」のような、動画SNSです。
Vineでは投稿できる動画は6秒、MixChannelでは10秒でしたが、TikTokで投稿できる動画は15秒。15秒の動画を投稿するまでの、撮影、編集、エフェクトなどの一連の作業を、すべてTikTokアプリ内で行うことができます。
投稿される動画の中で最も多いのは、既存の楽曲に合わせて踊ったり、口パクをしたりする「リップシンク」動画。
自分で何かをゼロから考えたりするわけではなく、「何かを真似する」だけでよいという手軽さが投稿へのハードルを下げ、ユーザーをどんどん伸ばしていているのだと考えられます。
また、自分の投稿した動画がTikTokアプリの広告に使用される対象となるハッシュタグチャレンジ「#広告で有名になりたい」や、選出された100名のユーザーに1000万円分の賞品を山分けする権利が与えられたり、TikTok公式によるSNSでの動画拡散が行われる「#ティックトックオーディション」などの企画も実施されています。
前者への参加は11万、後者への参加は7万を超えており、アプリを利用して有名になることを目指しているTikTokユーザー(通称”TikToker”)が一定数いると考えられます。
企業はTikTokをこう使っている!
1. サントリー「#ピーカーダンス」
サントリーが行ったのは、アイドルグループ「NMB48」を起用した、新製品「南アルプス PEAKER」のプロモーション。
同グループの楽曲をアレンジした「ピーク(ピーカーver)」を制作、NMB48のグループ内ユニット「Queentet」がその楽曲に合わせてダンスをする動画を、TikTok上で公開しました。
また、公開に合わせて、「Queentet」の5人のメンバーが審査員となり、ユーザーが楽曲に合わせて撮影したダンス動画の中から5名の「推しTikToker」を選ぶ、「#ピーカーダンス」コンテストを実施しました。
\#ピーカーダンス 公開✨/
— SUNTORY(サントリー) (@suntory) 2018年8月16日
8/21、1都10県先行発売 #南アルプスPEAKERビターエナジー と #NMB48 がコラボ!
あの名曲ピークがピーカーver.に⁉
人気アプリTikTokでみんなもダンス#コンテストに参加 しよう😊🎶
詳細、多数の豪華ムービーを特設サイトで公開中👇🏼https://t.co/nz9WHEFCEO pic.twitter.com/z50IxCoJmS
ポイントは、「推しTikToker」に選ばれると、TikTokのPEAKER公式アカウントで自分の動画が紹介されるという点。
冒頭で述べた、「#広告で有名になりたい」というハッシュタグをつけた投稿が10万を超えていることからも分かるように、TikTokには、とにかくネット上で有名になりたいという若者の心情が強く表れているのです。
「自分の動画が拡散される」というゴールをユーザーに提示することは、TikTokを活用したキャンペーンへの参加を促すうえで、非常に重要であると考えられます
2. ウルトラジャパン「#ultratiktok」
9月に開催された音楽フェスティバル「ウルトラジャパン」は、開催前からTikTokとコラボレーションしてプロモーションを開始。
フェスに登場するダンサーグループ、CYBER JAPAN DANCERSを起用したプロモーション動画を、TikTok公式アカウントから大々的に配信しました。
さらに、ウルトラジャパンの公式楽曲を使用した動画を投稿し、選ばれると、当日のチケットやTシャツが貰えるキャンペーンも実施しました。
当日の会場では、友だちとその場でTikTok用の動画を撮影できる特設ブースが設置され、ダンサーによるショーケースも行われました。
#ultratiktok キャンペーン実施中!!ultra曲のリストを使ってultraのチケット&グッズを手に入れよう!#TikTokJapan #ティックトック
— tiktok_japan (@tiktok_japan) 2018年9月14日
みんなも熱々のultra tiktokにチャレンジしてね!!🔥🔥🔥 pic.twitter.com/FYFm7gu8BJ
企業のハッシュタグは投稿数が伸び悩む中、「#ultratiktok」は比較的投稿数が多く、5,000近くの投稿がされています。
プロモーション動画の配信期間が長かったことや、ウルトラジャパンのターゲットとTikTokのユーザー層がマッチしていることが要因と考えられます。
また、TikTokという一つのプラットフォームだけで、
- 動画による告知
- キャンペーンで投稿を促して拡散
- 会場の特設ブースからさらに拡散
という一連の流れができており、まさにTikTokをフルに活用した事例となっています。
当日の特設ブースには、人も多く盛り上がっていたようで、リアルなイベントにおける活用の成功事例といえるでしょう。
会場の雰囲気が動画で伝わり、「楽しそう」、「来年は行こうかな」というTikTokユーザーの反応を得ることができれば、潜在顧客の獲得にも寄与するかもしれません。
3. 青春高校3年C組
テレビ東京で放送中のテレビ番組『青春高校3年C組』。
オーディションを通過した一般の高校生が出演している「漫画やドラマの中でしか見た事のない、誰もがなんとなく想像する『理想のクラス』」がコンセプトの番組です。
『青春高校3年C組』の公式TikTokアカウントは、番組に出演する芸人が公式楽曲に合わせて、制服姿からさまざまな姿に変身していく「変身動画」を投稿。
ユーザーが公式楽曲で同じような「変身動画」を投稿し、選ばれると、自分の動画が番組内で放送されるという企画を行っています
#TikTok @tiktok_japan #青春高校3年C組 pic.twitter.com/esVCGaPozU
— せいな🌹Ariel Project (@ARPJ_sin) 2018年4月19日
誰もがテレビに出れるチャンスがあるという点において、「有名になりたい」若者の欲求を満たしているように感じます。
番組の出演者自身も変身動画の投稿をしていて、番組のことをTikTokから知ったという高校生も多いようです。テレビ番組とSNSの密接なつながりが感じられます。
#tiktok で #青春高校3年C組
— 日比野芽奈(めーな) (@mei_6276_3C) 2018年4月14日
のハッシュタグやってます✨
制服からかっこいい服に#ビッチェン! して投稿してね🌈
2週目のメンバーで
撮ってみました!!@tiktok_japan @3c_tx #日比野芽奈#浅井優平 #宮本ひなの#仲山賢 #名越青葉 #出口晴臣 pic.twitter.com/uiswRzASdy
4. J:COM「#もののけついてんね」
J:COMが実施したTikTok活用施策は、ハッシュタグチャレンジ「#もののけついてんね」。
これは、公式アカウントから配信された「もののけついてんねダンス」の動画を自分で撮影、投稿し、優秀作品に選ばれると渋谷の街頭ビジョンで動画が放映されるというものです。
TikTokハッシュタグ『#もののけついてんね』チャレンジ「ついてんね」賞、「なついてんね」賞、当選者発表!
— ざっくぅ【公式】 (@zaq_official) 2018年9月28日
10月4日(木)から8日(月・祝)まで、渋谷スクランブル交差点の街頭ビジョンで放映します!今すぐ公式HPをチェック!https://t.co/WgxqKMeosL #ざっくぅ #jcom pic.twitter.com/FaIJKRlnwt
この前ちょっとお知らせしていた、J:COMさんのTikTokキャンペーン「 #もののけついてんね 」がスタートしたよ🐏
— 楠ろあ🐬 (@_ROA666) 2018年9月11日
ざっくぅとっても可愛いですぜひみてね🤤💙
ちなみにコチラのURLから参加出来るよ(◜௰◝)https://t.co/GvPyB0nWLe pic.twitter.com/hoXk0mLReD
動画は、TikTokの「スタンプ機能」でJ:COMのインターネット接続サービスZAQのキャラクター「ざっくぅ」が画面上に現れる仕組みになっており、キャンペーン中には約900ほどの投稿がされました。
この900の投稿のモチベーションは、やはり渋谷の街頭ビジョンという目立つ場所で自分の動画が放映されることにあると考えられます。
TikTokの動画が使用され得る場所は、Webやテレビだけでなく、OOHにも広がっているのです。
テレビタレントだけではなく、ティーンから絶大な支持を集めるYouTuberがプロモーションに起用されることが増えてきた昨今、フォロワー数が100万を超えることもあるTikTokerに企業が注目するのは、自然な流れなのかもしれません。
フォロワーランキング上位のTikTokerが動画キャンペーンに参加すれば、企業や製品の認知がティーンの間で一気に広がっていく可能性もあるのではないでしょうか。
「有名になりたい」若者の心をつかむ
TikTokは、若者が休み時間や帰宅後に「遊び」として楽しむためのソーシャルメディアという印象が強いのですが、中にはTikTokを利用して有名になることをゴールとしている若者も、一定数いるのではと考えられます。
TikTokを活用した施策はまだまだ数が少ないですが、現時点では、「有名になりたい」、「目立ちたい」というTikTokerの心をつかむことが、企業のプロモーションにおいては最も有効な手段なのではないでしょうか。
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