ネットショップ担当者フォーラム

問題:「コンクリート打ちっぱなし壁紙」を検索した男性がたどり着いたサブスクとは? 【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 7ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年4月19日〜25日のニュース
ネッ担まとめ

今年も緊急事態宣言下での大型連休がやって来ます。自宅で過ごす時間が増えてくると、自分の好きなものに囲まれたいと思う人も増えますよね。消費されない「Hope」をどう満たすかがサブスクのキーとなりそうです。

サブスクは「ホープ」を起点にした発信を意識して

サブスク利用に至る5つの動機 生活をアップグレード、テンポラリーな需要を満たしたいなど | Think with Google
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/consumer-insights/consumer-journey/subscription-service21/

まとめると、

  • Googleが2020年10月に実施したアンケート結果によると、サブスクを利用する背景には「ミニマル」「アップグレード」「テンポラリー」「レビュー」「オープン」の5つの動機がある
  • 家計内で変動費として扱われていた項目がサブスク化によって固定費化されることになる。例えば携帯ゲームのサブスクと車のサブスクが競合になり得る
  • 「サブスクを利用したい」と思ってサブスクを探すのではなく、暮らしの中で見出した、何らかの目的を達成しようとした結果としてサブスクにたどり着く……という場合が多いと言える
図 リモートワーク中の30代男性が花のサブスクに申し込むまで
リモートワーク中の30代男性が花のサブスクに申し込むまでの足跡(ヴァリューズの分析結果より)
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/consumer-insights/consumer-journey/subscription-service21/より編集部でキャプチャ

これまでサブスクビジネスでは、「月額 xx 円で使い放題」や「専門家が選んだ商品が毎月あなたの元へ」といったビジネスモデルを前面に出した訴求が多く見られました。しかしそうではなく、本来発信すべきはその先のメッセージです。家具のサブスクなら「季節に応じておしゃれな部屋で過ごせる」、コーヒーのサブスクなら「いつでも自宅でカフェ気分を味わえる」のように、サブスク環境に身を置いた人々の「ホープ」を起点にした発信を意識することが重要です。

気付けば私もサブスクにはたくさん登録していました。DAZN、アマプラ、スマホのゲーム、サッカーの有料記事、などなど。ゲームであれば「ホープ」あはまり関係ありませんが、DAZNやサッカーの記事はそれに囲まれていたいというか、その世界に浸っていたいという感覚があります。いつの間にかコンテンツを消費することに追われていますが、それはそれで楽しいので、同じような感覚の人は増えているかなと思います。

都度消費だとそのたびに考えることが増えるので面倒ですし、どうしても財布のひもも固くなってしまいます。サブスクであればその範囲内で自由にできますので、楽しいことだけを考えることができて思考がフリーになるのもメリットです。

上図にあるように何かを消費しようとしていた時、それによって何をしたかったのかに気づいて、思考がフリーになるとサブスクを契約してしまうという流れもあるようようです。やはり人間は楽しいことを考えている方がお金を使いやすいようですね。

一方で挫折しやすいものは仕分け対象になることが多そうです。

幽霊会員の「フィットネス離れ」が起こす大問題 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/423452

モノではなくスポーツジムのように自分を変える系のサービスは、固定費化されるとちょっとしたきっかけで見直し対象になり、それが積み重なってビジネスを直撃しています。サブスクの売上は固定収入に見えますが、簡単に減ってしまうのでそれに備えておくことと、カスタマーサクセスに注力してずっと使ってもらうことに投資しないといけないですね。

Amazonのプライム会員はグローバルで2億人を突破 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8640

こちらは知らないうちにサブスクを契約していて、使ってみたら便利なので逃げられなくなってしまうパターン。資本力がないとできないことなのであまり参考にはなりませんが、競合がこれをやってきたら勝ち目はなさそうです。

ちょっと視点を変えてフリマアプリの調査を2つ。

2021年 フリマサービス・アプリに関する利用実態調査 | MMD研究所
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1952.html

フリマアプリユーザーの9割以上が「ポイ活」意識 半数以上が売上金をキャッシュレス活用/楽天ラクマ調査 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9090

まとめると、

  • MMD研究所の調査によると、不要品を売る際に利用する場所は男女共にリサイクルショップ(実店舗)が最多で、利用したことがあるフリマサービス・アプリは「メルカリ」がトップ
  • フリマサービス・アプリで出品する目的は「不用品の処分のため」。出品したものは男性が「本・コミック・マンガ」、女性が「衣類・ファッション」がトップ
  • 「ラクマ」がフリマアプリ利用経験のある女性を対象にした調査では、出品して片付けたいものの1位は衣類、2位が書籍・コミック・雑誌、3位がファッション小物

フリマサービスを利用するのは「整理整頓」するために「不用品を処分」して、それが「お小遣い稼ぎ」になればいいということですね。売れたらそのポイントなどで何かを買う。出品するものは目の前にあって、使っていなくて、発送も簡単なもの。

フリマアプリ/サービスに出品する目的
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1952.htmlより編集部でキャプチャ

この表を見て気付くことがないでしょうか? そうです、フリマサービスで出品されやすいものはサブスク化されているものが多いということです。マンガ、服、音楽、動画、ゲームなどなど、次々に新しいものが出るものは前述のようにユーザーは都度お金のことを考えるの面倒ですし、企業側は接点が切れないようにしたいのでサブスク化しますよね。

コロナの影響でお金の使い方が大きく変わっています。冒頭の記事にある「ミニマル」「アップグレード」「テンポラリー」「レビュー」「オープン」の詳細を読んでいただき、自社がやっている(やろうとしている)サブスクがどれに当てはまるかを考え、サービス面の競合がどこになるのか? 料金面での競合はどこか? などをふまえてサービス開発とマーケティングを行っていきましょう。

EC全般

【プレスリリース】店舗スタッフ 1,130名が回答。DX推進における課題は「企業の評価制度の見直し」が40%【STAFF START調査レポート】 | 株式会社バニッシュ・スタンダード | note
https://note.com/vanishstandard/n/n48b32cc5183f

やることが変われば評価も変わりますよね。ここにいち早く対応した企業が抜け出しそうです。

社員50人の通販・EC会社が進める働き方改革。年24万円の自己投資支援、柔軟な労働時間などスタッフの「幸福度を最大化」する取り組み | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8615

上記に関連して。成果よりも幸福を重視すると自然とうまくいくかもしれません。

【Shopify】ストア移行の時はひょっとすると新規で作るよりも時間かかるかも・前編【移行作業】 | Kannart
https://note.kannart.co.jp/n/nfa010afb7a78

安いカートで始めて、売れたらShopify……と考えていてもそう簡単には移行できないです。

配送状況やメッセージも、しっかり伝わる。お客様に届く商品発送通知メールが見やすくなりました | BASE U
https://baseu.jp/20278

買った人には必ず届くこのメール。見やすければお店との接点も増えますよね。

コロナ時代に「売れる商品・売れない商品」トップ30、麦芽飲料が爆売れの理由 | ダイヤモンド・オンライン
https://diamond.jp/articles/-/268488

売れた商品に食料品がたくさんランクインしているのがポイント。

検索エンジン化・EC化するInstagramに 企業はどう向き合えばいいか | Books&Apps
https://blog.tinect.jp/?p=70142

【2021年最新】Instagramのアルゴリズムを理解しよう | We Love Social
https://www.comnico.jp/we-love-social/ig-algorithm

SNSのEC化は進みそうで進まないですが、一気にくる可能性があるので準備をしておきましょう。

今週の名言

間違った集客施策を行ってしまうダメな飲食店に共通点していることは、「売り上げが増えれば利益も増える」と勘違いしていることです。

つぶれそうな飲食店が発行している「的外れな割引クーポン」 | ダイヤモンド・オンライン
https://diamond.jp/articles/-/268918

売上が増えると一緒に増えるものは費用。特に人件費や設備費の固定費は重くのしかかります。利益を増やすことを考えましょう。

森野 誠之
森野 誠之

【5/25-26開催】北の達人コーポレーション、バルクオム、FABRIC TOKYO、ビームスなど登壇の「NEXT STAGE of EC」

4 years 7ヶ月 ago

マーケティング効果測定プラットフォーム「アドエビス」を提供するイルグルムは5月25日(火)・26日(水)の2日間、マーケティングにおける戦略やデータ分析・活用をテーマにしたEC業界向けオンラインイベント「NEXT STAGE of EC~国内屈指のトップマーケターたちが見据える、ECの未来~」を開催する。

「NEXT STAGE of EC~国内屈指のトップマーケターたちが見据える、ECの未来~」について

EC業界を中心にマーケティングの最前線で活躍するトップマーケター、リーダーが登壇。ニューノーマル時代の変化を起点に、いま重要と考えるマーケティング戦略と成功事例、今後必要となる新たなチャレンジを解説していく。

主な登壇者

  • 田岡 敬氏(日立グローバルライフソリューションズ株式会社/常務取締役 CDO 兼 Chief Lumada Business Officer)
  • 西井 敏恭氏(株式会社シンクロ/代表取締役社長)
  • 森 雄一郎氏(株式会社FABRIC TOKYO/代表取締役CEO)
  • 木下 勝寿氏(株式会社 北の達人コーポレーション/代表取締役社長)
  • 野口 卓也氏(株式会社バルクオム/代表取締役CEO)
  • 矢嶋 正明氏(株式会社ビームス/執行役員 コミュニティデザイン部 部長)
  • 石川 森生氏(株式会社DINOS CORPORATION/CECO)
  • 西守 穣氏(株式会社ビタブリッドジャパン/執行役員)
  • 尾﨑 美紀氏(DINETTE株式会社/CEO,FOUNDER)
  • 斉藤 圭氏(DINETTE株式会社/MarketingDiv.Manager)

初日の5月25日にはシンクロの西井敏恭社長とFABRIC TOKYOの森雄一郎CEO、5月26日には、北の達人コーポレーションの木下勝寿社長とバルクオムの野口卓也社長によるスペシャルセッションなどを用意している。

開催概要

  • イベント名:NEXT STAGE of EC ~国内屈指のトップマーケターたちが見据える、ECの未来~
  • 日時:2021年5月25日(火)~5月26日(水)13:00~
  • 会場:オンラインセミナー ※申込者に視聴用URLを送信
  • 参加費:無料
  • 詳細と申し込みhttps://go.ebis.ne.jp/nextstage-of-ec/
瀧川 正実
瀧川 正実

食品D2Cサービス市場は340億円、58%増の見込み【2020年度】

4 years 7ヶ月 ago

矢野経済研究所は4月23日、国内の食品D2C(Direct to Consumer)市場を調査し、市場動向、カテゴリー別動向、参入企業動向、将来展望を公表、2020年度の食品D2Cサービス市場規模は前年度比58.1%増の340億円を見込んでいる。

食品通販市場が追い風の状況で、食品D2Cサービスはここ2~3年で急激な成長を遂げている。

食品D2Cサービス市場規模(矢野経済研究所)
食品D2C市場規模の推移

D2Cは一般的に、自社で企画・開発した商品を中間事業者や小売事業者を介さずにオンラインなどを中心に直接消費者に販売するビジネスモデル。今回調査の食品D2Cサービスは、自社で開発・製造(OEM含む)した商品を、消費者とのつながりを重視して自社ECサイトを中心に直接消費者に販売するモデルと定義した。

食品D2Cサービス市場の調査対象の範囲(矢野経済研究所)
食品D2Cサービス市場の調査対象の範囲

既存企業では製造・販売体制が固まり、本格的な顧客獲得の段階に入り事業を拡大。2020年度は新規参入事業者が増え、1社あたりの売上増と新規参入企業の増加といった2つの要因が市場拡大をけん引した。

市場環境については、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、食品通販や食品宅配の需要が拡大。食品D2Cサービス市場はまだ立ち上がりフェーズで規模はまだ小さいものの、成長度合いは加速度的となっている。

食品D2Cブランドを展開しているのはスタートアップ企業が中心だったが、D2Cに注目が集まり、大手食品メーカーや飲料メーカーでもD2Cブランドの立ち上げ、オンライン専用商品の開発などが増えている。

店舗ビジネス(食品卸から小売店舗への商品流通)の変化、今後のデジタルトランスフォーメーション(DX)を見据えて大手食品・飲料メーカーは流通改革を進めていく必要があり、1つのアプローチとしてD2Cモデルに注目している側面もある。

石居 岳
石居 岳

米国宛てEMS(国際スピード郵便)は6月に再開

4 years 7ヶ月 ago

日本郵便は6月、米国宛てのEMS(国際スピード郵便)を再開する。

米国宛てEMSは2020年4月から取り扱いを停止していた。6月1日から米国宛てEMSの引き受けを再開する予定。

現在、EMSは欧州主要国宛ては引き受けを実施している。カナダ、オーストラリア、ロシア宛ては十分な郵便物の搭載スペースが確保できないため、引受再開は未定。航空会社と調整し、「1日も早く引受再開できるように努める」(日本郵便)としている。

なお、EMSは6月1日から特別追加料金を導入する予定。通常料金に、特別追加料金を加えた合計金額が当面の間、EMSの利用金額となる。

特別追加料金は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で航空輸送量の減少に伴い、輸送コストが高騰しているため。コストの割増分に相当するEMS特別追加料金は当面の間、オセアニア、北中米、中近東、ヨーロッパ向けで導入する。

北米向けでは、500グラムまでの荷物の場合、通常料金は2000円。これに特別料金400円が加算され、合計2400円となる。

日本郵便がEMS(国際スピード郵便)に特別追加料金 適用対象地帯はオセアニア、北中米、中近東、ヨーロッパ
オセアニア、北中米、中近東宛ての料金体系
日本郵便がEMS(国際スピード郵便)に特別追加料金 適用対象地帯はオセアニア、北中米、中近東、ヨーロッパ
ヨーロッパ宛ての料金体系
瀧川 正実
瀧川 正実

店舗のディスプレイ広告もパーソナライズ。オンラインとオフラインのデータ連携でCX向上を実現する中国のデータ活用法 | 中国の最新買い物事情~トランスコスモスチャイナからの現地レポート~

4 years 7ヶ月 ago
中国ではオンラインで取得した情報を消費者理解を深めています。また、オフラインで取得したデータと連係し、消費者の体験価値向上に取り組んでいます

キャッシュレスやプラットフォームの集約化が進む中国では、オンラインの決済情報や配車アプリから取得した位置情報などを活用し、消費者理解を深めています。また、オフラインで取得したデータと連係し、中国企業は消費者の体験価値向上に取り組んでいます。

消費者ごとに変わる広告表示

中国では、各大手ECプラットフォームの激しいオンライントラフィックの争奪戦を経て、現在はオフラインの顧客争奪戦も激化しています。

オンライン・オフラインの広告配信を行うため、アリババグループは2018年、中国最大のエレベーター広告運用企業のFOCUS MEDIA(分衆媒伝)に150億元を出資。両社は共同で、顔認証と電子スクリーン認識技術を開発しました。

この顔認証と電子スクリーン認識技術は、ビッグデータとクラウドコンピューティング技術を活用し、ディスプレイ広告をパーソナライズすることができます。

「Databank」(アリババがユーザーデータの管理をブランド企業へ提供するダッシュボード)を通じ、消費者の画像とエレベータ広告を設置したビルを使うユーザー属性を精確にマッチング。その結果、パーソナライズしたオフライン広告でリーチすることができ、商品購入などコンバージョン率の向上につなげています。

中国 越境EC Databank オンライン オフライン データ活用 トランスコスモスチャイナ
アリババが行っているディスプレイ広告のパーソナライズ

キャッシュレスやプラットフォームの集約化が進んでいる中国では、オンライン・オフラインの決済情報だけでなく、タクシーや自転車アプリから得ている位置情報など、アリババやテンセント(Tencent)が取得できるデータ量は多岐にわたります。

2019年にはアリババがパーソナライズドマーケティング支援システム「Tmall2.0」をスタート。「Tmall」で使用しているアカウントIDと多種のデータをつなげることで、各ブランドで買い物をする消費者分析の精度を向上させています。「Tmall」の店舗訪問時に掲載される店舗トップページを消費者に合わせて表示するなど、パーソナライズドマーケティングを実現しています(参考:https://netshop.impress.co.jp/node/7640

日本でも始まったパーソナライズしたオフライン広告

日本でも同様のオフライン広告の取り組みが始まっています。埼玉高速鉄道は2019年11月、NTTドコモ、ビズライト・テクノロジー、LIVE BOARDと共同で、鉄道車内では世界初となる環境変化に応じて表示内容や広告を切り替えることができるダイナミックDOOH事業を推進すると発表しました。

ビズライト・テクノロジーはデジタルサイーネージ「ダイナミックビークルスクリーン」を開発。2019年11月中旬から埼玉高速鉄道車両内に順次設置しています。

中国 越境EC Databank オンライン オフライン データ活用 サイネージ広告 トランスコスモスチャイナ
ビズライト・テクノロジーが開発したデジタルサイネージ。見ている人や環境の変化に合わせて表示内容が変わるスクリーン型の広告(画像は埼玉高速鉄道サイトから編集部がキャプチャし追加)

スクリーン型の広告にはカメラやLTEモジュール、温湿度センサーなどが搭載されており、見ている人の年齢や性別など、おおよその属性や位置情報によって広告を出し分けします。

「Databank」活用で広告精度を向上

アリババのオフラインにおけるパーソナライズ広告配信のメイン技術「Databank」について説明します。「Databank」は個人情報保護の観点から個人を特定する情報を見ることはできませんが、属性の近い消費者をグループ分けし、分析することができます。

また、下図のようにブランドが構築したWeChat(ウィチャット)上のミニプログラムが保有する会員情報を属性ごとにタグ付け、「Databank」に取り込むことでアリババプラットフォーム外の消費者属性も把握できます。

ミニプログラムだけでなく、ECサイトの会員データなど「Databank」のユーザー情報を電話番号と紐づけすることで、さまざまな顧客データの情報を深堀りすることができます。

中国 越境EC Databank オンライン オフライン データ活用 サイネージ広告 トランスコスモスチャイナ
「Databank」の活用方法(transcosmos China 作成)

「Databank」の本来の目的は消費者分析ではなく効果的な広告配信です。そのため、分析した結果をもとに広告配信を行い、広告精度の向上と広告配信結果(閲覧者、クリック率、コンバージョンレートなど)から、再度消費者分析を行い、より情報精度を高めるPDCAを組むことができます。

広告配信先としても、アリババが保有するさまざまなプラットフォーム・アプリが配信対象になるため、オフライン情報も活用した広告配信を行えます。

冒頭のサイネージ広告に戻ると、カメラによるユーザー属性の分析が進むことで、スマホからアプリやサイトにアクセスすることなく、電車の中で乗客の属性に合わせた広告が配信できるようになります。

CX向上はオンラインとオフラインの情報を組み合わせで

中国では、京東集団(JD.com)が展開するスーパー「7フレッシュ(7FRESH)」において、顔認証による決済が提供されています。オフラインにおけるユーザー特定に必要な情報も備わってきています。

京東集団(JD.com)のスーパー「7フレッシュ(7FRESH)」における顔認証決済のようす(画像は編集部が撮影)
顔認証決済のようす(画像は編集部が撮影)

オフラインから認識したユーザーとオンラインで保有しているユーザー情報を紐づけできるようになれば、ユーザー属性の精度が高まり、人ごとに表示広告が瞬時に変わっていくなどの対応ができるようになると考えられます。

アリババが提唱する「ニューリテール」。オンラインとオフラインを融合させた新しい商品体験を提供する

昨今うたわれているCX(カスタマーエクスペリエンス)においては、ブランドと消費者のすべての接点において、いかに心地良く満足度の高い体験をもたらすかが重要となっています。消費者それぞれのニーズに合わせた情報や伝達方法を選び、不要な情報を減らすことで、体験価値を高めることができます。

海外向けECビジネスを実施・検討中企業は必見! 30か国のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2020』

インプレスでは海外EC市場への進出を検討、進出済み企業などに向けて、世界30の国・地域のECデータを1冊の書籍にまとめた『海外ECハンドブック2020』(著者はトランスコスモス)を発刊。「世界のEC市場規模予測」「地域別EC市場データ」「越境EC市場規模およびEC利用者の推移」「EC市場データランキング」などを詳しくまとめています。

『海外ECハンドブック』は、グローバルECにおいて豊富な経験を持つトランスコスモスが、世界30の国と地域におけるECの現状と将来展望について、最新データを集約・整理した一冊
『海外ECハンドブック』は、グローバルECにおいて豊富な経験を持つトランスコスモスが、世界30の国と地域におけるECの現状と将来展望について、最新データを集約・整理した一冊

[主要30の国・地域のEC市場概況]

  • 世界のEC市場規模予測
  • 地域別EC市場データ
  • 30の国・地域のEC市場ポテンシャル
  • 越境EC市場規模およびEC利用者の推移
  • 越境ECの地域別利用状況
  • アジア10都市EC利用動向調査
  • EC市場データランキング(TOP10)
  • 各国のEC市場環境比較表2019年
    などを掲載。アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域について、各国のEC市場環境比較表などを掲載しています。
    https://www.amazon.co.jp/dp/4295010766/
トランスコスモスチャイナ(transcosmos China)
トランスコスモスチャイナ(transcosmos China)

ネイティブとミニアプリを効果的に使い分ける方法とは?【ECアプリ活用法を450社超が使う「Yappli」が解説】

4 years 7ヶ月 ago
「Yappli」を開発・提供するヤプリが、ネイティブアプリがEC 運用に欠かせない理由、ミニアプリとの使い分けポイントについて解説する。
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ネイティブアプリの開発・運用・分析をノーコード(プログラミング不要)で提供するアプリプラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」。アプリ市場が拡大を続けるなか、2020年に「Yappli」からリリースされたECアプリの平均ダウンロード数は、2016年比で10.92倍まで伸長した。ネイティブアプリがEC運用に欠かせない理由、ミニアプリとの使い分けについて解説する。

ミニアプリとネイティブアプリの使い分け

「Yappli」は、ノーコードでiOSとAndroidのネイティブアプリをスピード開発できるSaaS型のアプリプラットフォーム。クラウドサービスのため、OSのアップデートやマーケティングトレンドに合わせた機能拡張が、随時全ての導入企業に対して行われる。運用に必要なデータ分析機能も充実。2021年2月時点の導入社数は450社超で、うち過半数をEC事業者が占める。

現在事業者が利用できるアプリの中には、ネイティブアプリの他、ウェブアプリや、近年では「LINEミニアプリ」のように、親アプリ(スーパーアプリ)のなかで提供される「ミニアプリ」もある。各アプリには、ライトユーザー向けにはミニアプリ、コアなファンを獲得・育成するにはネイティブアプリなどのように使い分けのポイントがある。

化粧品、食品、ファッションなど、幅広い業種でネイティブアプリの開発・運用実績を持つヤプリでも、導入企業からミニアプリとの使い分けに関する相談を受けることがあるという。

ヤプリでは、それぞれ役割やターゲット、ゴール設定などが異なることから、いまの課題やニーズに応じて使い分けることを推奨している。

現在「Yappli」を導入しているO2O、EC、オムニチャネル関連アプリの大半は、顧客のエンゲージメント向上やコミュニケーション強化を目的に作られている

ユーザー側も利便性の良さを実感しやすいことから、新規・既存顧客によるダウンロード数が大幅に増えているという。

ヤプリ 井階京太氏(セールス・マーケティング部 本部長)
ヤプリ 井階京太氏(セールス・マーケティング部 本部長)

自社ECの強化、全体LTVの向上に成果を出すアプリ活用

EC事業者がネイティブアプリを運用するメリットは、①自社ブランドのアイコンをスマホのホーム画面に置くことができる②ネイティブアプリならではのテクノロジー活用③自社の顧客基盤との連携――の大きく3つがあげられる。

スマホからのECサイトへの流入や購入比率が年々拡大するなか、ユーザーとのもっとも身近な接点であるスマホのホーム画面上での競争が激化している。

ミニアプリが、メインのアプリの内部に位置付けられるのに対し、ブランドの顔となるアイコンをホーム画面へ設置することができるネイティブアプリの優位性は明らかだ。

また、プッシュ通知を筆頭に、ネイティブアプリでしか利用できないテクノロジーを魅力に感じるEC事業者は多い。

メルマガと比べて開封率が高く、パーソナライズした情報伝達が可能で、高いリーチを実現できる点が人気だ。

Yappli導入事業者による、O2O、EC、オムニチャネル関連のアプリがすべて大幅に伸長
Yappli導入事業者による、O2O、EC、オムニチャネル関連のアプリがすべて大幅に伸長(画像:ヤプリ提供)

そして、モールなどのサードパーティーに依存せずに、自社の顧客基盤と連携させた独自プロモーション施策が実行できるところも、ネイティブアプリのメリットだ。

コアなファンとのつながりを強化できれば、自社ECの売上拡大やLTV(顧客生涯価値)のアップが期待できる。

一方、自社で十分な顧客データベースを保有していない場合は、ミニアプリを提供するプラットフォームに蓄積されたデータを活用すると良いだろう。

ECに必要な機能が充実、アプリで顧客体験価値を向上

「Yappli」には、450社超の導入実績から得た成功ノウハウが豊富に蓄積されている。

特に、導入社の半数以上を占めるEC業界向けの機能やサポート体制が充実しており、導入前から導入後(ダウンロードの促進や運用上の効果的な施策提案)までを全面的にサポートすることで、導入企業の成長に貢献している。

ヤプリ 清野雄太氏(マーケティング本部 マス&オンラインマーケティング部)
ヤプリ 清野雄太氏(マーケティング本部 マス&オンラインマーケティング部)

※本稿は、ダウンロード資料「アプリを小売・ECビジネスに活用する方法は? ネイティブアプリ・ミニアプリの基礎から使い分けを解説」(2021年3月8日公開)に掲載された記事を再編集したものです。

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朝比美帆
朝比美帆

「映えるパッケージ」「TV番組とのコラボ」「商品力」。化粧品・サプリメントのECベンチャー「pupu」に聞く成長のポイント | EC業界で活躍する女性の働き方に迫る“e-女”~Presented by売れるネット広告社~

4 years 7ヶ月 ago
売れるネット広告社の代表取締役社長の加藤公一レオ氏と、化粧品・健康食品通販のpupu株式会社 荒巻里恵氏との対談

売れるネット広告社の代表取締役社長CEOの加藤公一レオがEC業界で活躍する女性にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者とさまざまなテーマについて対談する企画。10回目はpupu株式会社 荒巻里恵さんの登場です。

今回の“e-女”

pupu株式会社 荒巻里恵(あらまき りえ)さん
pupu株式会社 荒巻里恵(あらまき りえ)さん
福岡県出身。2016年に化粧品・健康食品通販のpupu株式会社に入社。以降、通販のお客さま対応から、新規獲得の広告プランニング、ECサイト・Web施策、商品開発、AND THE SOIL.店舗運営サポートまでさまざまな案件を担当。現在はコンタクトセンターの代表も兼任する。

「自分の仕事がなくなる」という危機感からWebの世界へ

加藤公一レオ氏(以下、加藤): まずは自己紹介をお願いします。

荒巻里恵氏(以下、荒巻): pupuに入社して6年目になります。もともとは事務の仕事をしていましたが、業務がどんどんWebに置き換わっていくなかで、「このままでは自分の仕事がなくなる」と危機感を抱き、Webの仕事に興味を持つようになりました。転職活動でpupuを紹介していただき、「面白そうだな」と感じて入社することになりました。

加藤: pupuはどんな会社なんですか?

荒巻: お客さまであっても社員であっても「個人を尊重する」ということを大切にしています。「お客さまと1対1でちゃんと向き合う」ということは創業時から続けていますし、時代が変わり、これまでの常識が通用しない場面も多々あるなか、会社として、新しく入ってきた若いメンバーの発想や感覚を大事にしようとしています。1人ひとりを大切にして、社員の「やりたい」という気持ちを応援する社風です。

平均年齢は28歳。私の知らないワードが出てくることもよくありますし、「そういうところに目を付けるんだ!」と発想の違いに驚くこともあります。

ププストア
ププストアより

テレビ番組とのコラボや路面店出店にも果敢に挑む

加藤: 御社ならではの施策や制度はありますか?

荒巻: 1つはRKB毎日放送の『オケハザマってなんですか?』というテレビ番組のスポンサーをしていて、それに関連する取り組みです。番組でpupuのCMが流れるほか、コラボ商品も作っています。これまでTシャツやピールオフパック、入浴剤、香水など5点ほどのコラボ商品を開発しました。コラボ商品を作る際は社内でのミーティングの模様など、商品開発の段階からテレビのコーナーで取り上げていただいています

加藤: なるほど! 面白いですね。

荒巻: オーガニックや無添加を大事にしているのもpupuの特徴で、生産者から直接仕入れるなど、原料にはとてもこだわっています。pupuは通販でオーガニックや無添加原料を使った商品を販売していますが、世の中全体でオーガニックや無添加の商品がどこでも手に入るかというと、まだまだ難しいところがあります。オーガニックや無添加に力を入れている企業は他にもありますが、なかなか世に広まっていないのが現状です。

そんな現状を知って、福岡市中央区に「AND THE SOIL.(アンドザソイル)」というオーガニックストアも出店しました。こだわりを持って作っている企業のオーガニック商品、無農薬や減農薬にこだわって作っている農家から卸を通さずに直接仕入れた新鮮な野菜を販売するなど、一般的なオーガニックスーパーにはない品ぞろえを心がけています。

福岡市中央区の「AND THE SOIL.(アンドザソイル)」

加藤: いいですね。メインは通販・D2Cでも、それ以外の新たな取り組みもどんどんしているんですね。

荒巻: はい。「面白い!」と思ったことにはどんどん挑戦する社風ですね。pupuが一貫してやっているのは、オーガニックや無添加など「身体にいいこと」「地球にいいこと」が大前提ですので、そこから派生する事業が広がっています。「コロナ禍で売り上げが下がってしまった小売店を支援したい」「買い物弱者の方を支援したい」など、社内では次の事業に関するいろいろな構想やアイデアが出ています。

加藤: なるほど。御社は社会貢献意識が高いんですね。

お悩み商材だからこそ映えるパッケージに

加藤:通販で一番の主力商品はどれですか?

荒巻: 一番売れているのはエストロゲンとよく似た働きをする成分「エクオール」配合サプリメントで、商品名は「クオリア」です。クオリアに配合している「エクオール」は、大豆由来のイソフラボンを特許技術製法で抽出した希少な原料を使っています。実は女性だけでなく、男性にも人気の商品です。

クオリア
クオリア

荒巻: 最近広告に力を入れているのは、「とてたま洗ひ肌」という八王子産の炭を使った、まつエクでも使用できるホットクレンジングです。ミネラルや天然成分をバランスよく含んだ霧島の名水、エイジングケアに欠かせないヒト幹細胞培養液エキスも配合し、クレンジング、洗顔の他にも温感マッサージ、毛穴ケア、美容パック、角質ケア、エイジングケア(年齢に応じたケア)、アンチポリューション、ブースター効果の9つの機能を備えています。

とてたま洗ひ肌
とてたま洗ひ肌

加藤: 御社の商品はパッケージが面白いですね。めちゃくちゃ映えますね!

荒巻: はい。pupuはダイエットサプリなどデリケートなお悩み商材を多く扱っているので、持ち歩いていても恥ずかしくない、お客さまが「可愛い!」と思えるパッケージに特徴があります。とはいえ見かけ倒しではなく、オーガニック原料を使うなど「本物」にこだわっています。

ププストアの商品ラインナップ

商圏の広さがECビジネスの醍醐味

加藤: EC業界に入ってみてどう感じていますか?

荒巻: とても面白いです。ECなら、福岡にいながら日本全国のお客さまを相手にすることができます。巷で売っていない商品や世の中にない商品を作って、それを本当に必要としている方に届けることもできます。

加藤: 通販なら北は北海道から南は沖縄まで、場合によっては海外にもビジネスを広げられますからね。

荒巻: pupuは台湾を拠点にして、東南アジアに進出しています。定期購入の文化がないので当初は苦戦しましたが、商品の良さを実感して定期で購入してくださるお客さまも増えてきました。現地では定期よりもまとめ買いが主流で、びっくりするくらいまとめ買いしてくださるお客さまもいらっしゃいます。

加藤: 24時間365日、絶えず広告効果が数値化される世界をどう思いますか?

荒巻: ちょっとした違いが結果を大きく左右することがあるので、A/Bテストの結果を見るのはすごく面白いです。 バナー1つをとっても、ただキレイに作ればいいというものではなく、つい押したくなるような人間心理をついたものにする必要があると感じています。日々闘いですね(笑)

ECは「攻めの広告と受け身の消費者」という構図になりがち

加藤: ECならではの難しさはありますか?

売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏
売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏

荒巻: 対面販売ではないECは、お客さまの真意を知るのが難しく、ともすれば「攻めの広告と受け身の消費者」という構図になりがちです。そうならないよう、「どの媒体に出稿するのが一番いいのか」「どんな打ち出し方をすればいいのか」など、お客さまが何を求めているのかを日々考えています。最近はSNSやLINEでコミュニケーションが取れるようになったことで、少しずつお客さまの心理やニーズがわかるようになってきましたが、やはり難しいですね。

加藤: 御社はコールセンターを自社で運営するようになり、お客さまとのコミュニケーションは取りやすくなったんじゃないですか。

荒巻: そうですね。コールセンターを外注していた頃は外注先に対する遠慮がありましたが、今はそれがなくなりましたし、お客さまとの会話の録音を聞けるようにもなりました。商品だけではなくサービス面でも、お客さまの求めるものが見えるようになってきています

加藤: お客さまを知ることは大事ですよね。pupuのクライアントの中には、社長も交えたお客さまとの大規模な交流会を定期的に開催している通販会社もあります。

荒巻: それはいいですね。pupuの場合はお悩み商材が多いので、お客さまとコミュニケーションが取りづらいという難しさがありますが、様子を見ながらコミュニケーションを取っていきたいと思います。

コロナ禍で社会のWeb化が5年早まった

加藤: コロナ禍で大変な業界も多いですが、通販業界は運が良かったですよね。pupuのクライアントの8割~9割はコロナ禍の影響がないと聞いていますし、むしろ売り上げが伸びた会社もあります。コロナ禍がなかったとしても、社会のネット通販化、テレワーク化、オンライン会議化の流れは出てきたと思いますが、コロナ禍によって5年間ぐらいは早まりました。

荒巻: そうですよね。「5年後10年後にはこうなるだろうな」と思っていたことが今年起こっています。

加藤: pupuのクライアントは9割以上が化粧品や健康食品ですが、この1年間はワイン、雑穀、肉、キムチなど食品会社からの引き合いが多かったです。コロナ禍の影響が少ない業界だからこそ、これまでネット通販に参入してこなかった業態の方々と一緒に業界を盛り上げていきたいなと思っています。

荒巻: 農家さんをはじめとする生産者がネット通販に参入するハードルも低くなってきたので、pupuも生産者を支援するECプラットフォームを作っていきたいと思っています。

加藤: 頒布会として毎月おすすめの野菜の詰め合わせを送るといいですね。消費者に「直接売る」というカルチャーや「定期コース」というカルチャーがなかったところにそのそれらを持ち込めば、新しい未来が開けると思います。

荒巻: はい。食品ロスも重大な課題だと思っているので、pupuが介在することによって、そういった社会課題にも対応していきたいです。

pupu株式会社 荒巻里恵(あらまき りえ)さん

「わかりやすいもの」「エッジがきいたものが売れる時代」

加藤: 2年ほど「売れるネット広告つくーる」を使っていますが、改善した数字はありますか?

荒巻: もちろんコンバージョン率も上がりましたが、アップセル率が全然違います。以前は3人に1人が3個まとめ買いをしてくれていたのが逆転しました。導入前に比べ、4倍以上のお客さまが1個買いから3個まとめ買いにアップセルするようになっています。

加藤: 御社はずっとワンステップマーケティングをやってきたんですか?

荒巻: はい。pupuはずっとワンステップだけでやってきました。リスティングが中心で、ランディングページを訪れる方は温度感が高いので、獲得につながっていました

加藤: リスティングは需要が顕在化していますからね。ただ、ワンステップマーケティングにはどうしても限界があります。合コンで知り合った女性にいきなり「僕と結婚してくれ」と言っても無理があるじゃないですか(笑)。世の中の7~8割の単品通販会社がやっているワンステップマーケティングは、恋愛に例えるとそういうことなんです。

だから、ワンステップマーケティングは需要が顕在しているお客さましか申し込みません。青汁なら「そろそろ青汁飲んでみようかな~」と思っている人しかターゲットにならないんです。いきなりプロポーズは無理でも、デートなら劇的にハードルが下がります。言ってみれば、合コンで出会った相手に「まずは僕とデートしてみませんか」とアプローチするのがツーステップマーケティングなんです。

デート(無料モニターや500円モニター)が入口であれば、「無料なら(500円なら)1度試してみようかな~」と、需要が顕在化していなかった層にも興味を持ってもらうことができます。無料モニターや500円モニターを入口としたツーステップマーケティングにすれば、いきなり定期をオファーするワンステップマーケティングに比べ、レスポンスは10倍くらいになります。

売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏

荒巻: 今ちょうど、ツーステップマーケティングを始める準備をしているところです。pupuの商品はLTVが高く、一度使っていただいたお客さまには良さをわかっていただけるので、まずは使ってもらう機会を増やすことが大事ですよね。

加藤: クレンジングは特にツーステップマーケティングが合うと思いますよ。女性の3分の1しか使っていない美容液に比べ、ほとんどの女性が使うクレンジングのほうが市場が大きいからです。

最近の傾向として「わかりやすいもの」「エッジがきいているもの」が売れるという特徴があります。クレンジングの場合は「肌に付けた瞬間あったく感じる」「手にのせるとトロトロになる」「シュワっとする」など、わかりやすい特徴のある商品が売れています。御社のクレンジングもそうですよね。

昔と違って今は「大手企業の商品だから売れる」という時代ではありません。健康食品は味を楽しむものではなく、即効性もないので、大手製薬会社が有利ですが、化粧品の場合、お客さまは使った瞬間すぐ「いいかも」と使用感の良さや効果を実感できます。そういう意味では、健康食品よりも化粧品の方が実力勝負ができ、ベンチャーや中小企業でも戦えるんです。

ワンステップマーケティングなら「完了画面でアップセル」

加藤: 御社のネット広告において、何か課題はありますか?

荒巻: せっかくランディングページを訪れてくれても離脱するお客さまは必ずいます。途中で離脱したお客さまに関しては情報がないので、広告で追いかけても刈り取りが不十分だと感じます。離脱させないようにする方法がいまひとつ見えていません。

加藤: そもそもツーステップマーケティングにするとレスポンスが10倍上がるので、それ自体が一種の離脱防止策になります。またワンステップマーケティングの場合は、アップセルは申込確認画面よりも申込完了画面でオファーした方がいいです。ツーステップマーケティングなら、ランディングページではモニター商品を訴求し、「確認画面でアップセル」で本商品の定期コースを訴求、「完了画面でアップセル」で3か月おまとめ定期を訴求するのがテッパンのノウハウです

ただし「確認画面でアップセル」をすることで、数%の離脱があります。ツーステップマーケティングの場合はそれでも構いませんが、ワンステップマーケティングの場合は、アップセルをオファーする前に注文を“確保”しておいて、申込完了画面でアップセルを仕掛ける方がいいです。申込完了画面までたどり着いた段階で、最低でも本商品1つは売れているわけですから、損がありません。

お客さま主導の「共感型」のネット社会になりつつある

加藤: pupuに入社してからの6年でEC業界の変化は感じますか?

荒巻: ものすごく変わったと思います。私が入社した6年前は、通販自体にまだまだ怪しさがありましたし、お客さまは情報に対して受け身で、通販会社から一方的に出される情報をもとに判断するしかありませんでしたが、SNSやインフルエンサーが台頭してきた今は、立場が逆転してきています。

私たち通販会社も、お客さまから情報を受けることが増えてきました。「お客さまと一緒にやっていく」という空気が醸成されていて、お客さま主導のネット社会になってきているなと感じています。「共感型」というか、いかに私たちの想いを受け止めて納得していただけるかということがますます重要になってきています。もちろん商品力が前提ではありますが、「いかにお客さまと向き合っているか」という会社としての姿勢もしっかり伝えていきたいです。

pupu株式会社 荒巻里恵(あらまき りえ)さん

加藤: 今は消費者がSNSで自分の思いをシェアするようになっていますが、今後企業や商品に対して、消費者がどのように変わっていくと思いますか?

荒巻: 最近出てきている、カスタマイズされた自分専用の商品へのニーズがますます増えていくと思います。今まであるもので我慢していた人たちが声を上げられる時代になりましたよね。

テクノロジーを駆使しつつパーソナルなコミュニケーションを実現したい

加藤: 今後チャレンジしたいことはありますか?

荒巻: 自社でコールセンターを運営して新たに気づいたことがあります。AI技術やシステム開発がすごいスピードで進んでいて、以前はなんとか工夫しながら人力でやってきたことが自動化されたり、クラウドを使ったシステム連携によってITソリューションサービスでお客さまとのコミュニケーション課題を解決できるようになったりしています。

以前はなかなかできなかったことも簡単にできるようになりつつあるので、テクノロジーを駆使しながら、パーソナルなコミュニケーションがとれる通販を実現したいです。

加藤: 通販の本質は商品を売ることではなく、それをきっかけに半永久的にお客さまとリレーションをとることだと思っています。その強みを生かしたいですよね。たくさんいるお客さま1人ひとりと細かくコミュニケーションを取ることはできないかもしれませんが、AIを使ったサポートはもちろん、メールや同梱物などでお客さまの人生が豊かになるような情報を発信していけたらいいですね。

荒巻: 本当にそう思います。

対談を終えて

ECだけでなくオーガニックストアの出店など、構想中も含めさまざまな事業を展開されているpupu。今回の対談で、「困っている人を助けたい」「お客さまやパートナーのお悩みを解消したい」という事業の根底にある想いが感じられました。商品の品質へのこだわりも強く、荒巻さん自身が、「商品力には自信があります!」と断言されていたのが印象的です。

目で見てわかるpupuの商品の特徴といえば、見るだけで心ときめく「映える」パッケージ。お悩み商材だから目立たないパッケージにするのではなく、あえて人に見せたくなるような可愛いパッケージにすることで、商品を手にしたお客さまもポジティブな気持ちで自身の悩みに向き合えるのではないでしょうか。

アクセサリー感覚で持ち歩きたくなるようなおしゃれなデザインと、「本物」にこだわった商品力。それらの掛け合わせは、pupuのブランド力をますます高めていくはずです。

売れるネット広告社の代表取締役社長の加藤公一レオ氏とpupu株式会社の荒巻里恵氏
※「確認画面でアップセル」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第5569381号

加藤公一レオからのお知らせ

日本で唯一のネット広告/ランディングページ特化型のクラウドサービス「売れるネット広告つくーる」は、登場した“e-女”が所属する企業さんも利用しています。

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売れるネット広告社は、「仮説ベース」ではなく「事実ベース」で、いかにクライアントの広告の費用対効果を上げていくか、いかに売り上げを上げていくかに特化し、“100%確実性”のある広告を追求してきました。無料セミナーでは、“最強の売れるノウハウ”、つまりは10社以上で広告の費用対効果が上がった成功の仕組みを大公開します。

加藤 公一 レオ
加藤 公一 レオ

パーソナライズサプリ&ダイエットプログラム「Waitless」をSpartyが開始。東京・表参道に専用ジムも開設

4 years 7ヶ月 ago

ヘアケアブランド「MEDULLA」、スキンケアブランド「HOTARU PERSONALIZED」などのSpartyは4月22日、サプリとダイエットプログラム(食事・運動サポート)に特化したパーソナライズサブスクリプションサービス「Waitless(ウェイトレス)」の提供を開始した。定期コースの価格は6,980円(税込)。

「Waitless」ユーザーであれば月4回まで月額6,380円(税込)で利用できる専用ジムも東京・表参道に開設し、オフラインでのダイエットサポートも行う。

9万通りの組み合わせの中からサプリを提供

Spartyのパーソナライズサービスは、用意した約20の質問にユーザーが回答するところからスタート。その回答を基に、栄養士・料理家・プロトレーナーなどの専門家と共同開発した食事レシピ、運動動画コンテンツからなるパーソナライズダイエットプログラム、独自開発した「Dual-smart Method」によるパーソナライズサプリメントを9万通りの組み合わせのなかから提供する。

「Waitless」ユーザーに提供されるサプリのイメージ
「Waitless」ユーザーに提供されるサプリのイメージ

サプリは、体内環境を整える「ベース」、ダイエットプログラムに合わせた最適な「パーソナライズド」の2種類をセットで送付。ユーザーがモチベーションを維持し続けられるよう、LINE上でオンラインカウンセリングを行う。

継続に重要というスタート後3週間は、ダイエットに適した行動習慣付けのためのアドバイスを送るなどのフォローアップを実施。フィードバック機能を設け、ユーザーがプログラムの実施状況やサプリの常飲状態などを入力すると、より適したプログラムとサプリを提案する。

毎月届く商品イメージ。「Waitless(ウェイトレス)」にかけ、ユーザー1人ひとりにパーソナライズされた詳細はレストランのメニューに見立てて作られているほか、雑誌のように外箱ごと室内に立てかけておけるスタイリッシュなデザインを採用
毎月届く商品イメージ。「Waitless(ウェイトレス)」にかけ、ユーザー1人ひとりにパーソナライズされたリーフレットはレストランのメニューに見立てて作られているほか、雑誌のように外箱ごと室内に立てかけておけるスタイリッシュなデザインを採用

セルフフィットネスジムをオープン

5月には、東京・表参道にユーザーが専用機器を使いながら自身でフィットネスやエステを行えるジム「Waitless THE PERSONAL SALON」をオープン。オフラインでのダイエットサポートも行う。

ジム内の個室。部屋の中には「MIRROR FIT.」、エステマシン、スキンケア用品の「HOTARU PERSONALIZED」などが置かれている
ジム内の個室。部屋の中には「MIRROR FIT.」、エステマシン、スキンケアブランドの「HOTARU PERSONALIZED」などが置かれている

セルフフィットネスには、IoTミラーデバイス「MIRROR FIT.」を導入した。

ジム運営、サービス内で提供する動画コンテンツの一部は、「MIRROR FIT.」の開発を手がけるミラーフィットの代表取締役社長で、「バチェロレッテ・ジャパン」シーズン1で注目を集めた実業家の黄皓氏がサポートしている。

ジムはオンライン予約制。ユーザーは個室に入り、「MIRROR FIT.」を利用してセルフでフィットネスを行う。ジムの利用料は月額6,380円。1フロア上には、パーソナルトレーナーの指導を受けながらトレーニングできるスペースも設けている。価格は月額2万7,500円。Waitless会員であれば1回50分、月4回まで利用可能となっている。

パーソナルトレーニングスペース
パーソナルトレーニングスペース
公文 紫都
公文 紫都

日本郵便がEMS(国際スピード郵便)に特別追加料金を6/1から導入【料金表あり】

4 years 7ヶ月 ago

日本郵便は6月1日から、EMS(国際スピード郵便)に特別追加料金を導入する。通常料金に、特別追加料金を加えた合計金額が当面の間、EMSの利用金額となる。

適用対象地帯はオセアニア、北中米、中近東、ヨーロッパ。フランス向けのクールEMSも特別追加料金を加える。

たとえば、オセアニア、北中米、中近東宛て1.0キログラムまでのEMSの場合、通常料金2900円に800円の特別追加料金を加算した3700円がEMSの合計金額となる。

日本郵便がEMS(国際スピード郵便)に特別追加料金 適用対象地帯はオセアニア、北中米、中近東、ヨーロッパ
オセアニア、北中米、中近東宛ての料金体系
日本郵便がEMS(国際スピード郵便)に特別追加料金 適用対象地帯はオセアニア、北中米、中近東、ヨーロッパ
ヨーロッパ宛ての料金体系
フランス宛ての保冷EMSの料金体系
フランス宛ての保冷EMSの料金体系

特別追加料金は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で航空輸送量の減少に伴い、輸送コストが高騰しているため。コストの割増分に相当するEMS特別追加料金は当面の間、オセアニア、北中米、中近東、ヨーロッパ向けで導入する。

瀧川 正実
瀧川 正実

良品計画の「無印良品」、子ども家具の月額定額サービスをスタート

4 years 7ヶ月 ago

「無印良品」を展開する良品計画は4月22日、子ども向け家具の月額定額サービスを開始した。

子ども向け家具は使用期間が短く、まだ利用できるのに処分しなければならない場合もある。無印良品は廃棄物削減の取り組みの一環として、月額定額サービスを日本国内の無印良品20店舗で始めた。

月額定額サービスは大きな初期費用を支払うことなく、手頃な月額定額料金で利用できる仕組み。月単位の契約で、利用期間に合わせて5パターンのプランを用意した。選んだプランの期間が満了した場合、「解約・返却」を選択できるようにする。希望する顧客は買い取り料金を支払うことで、そのまま利用することが可能。

「無印良品」を展開する良品計画は、子ども向け家具の月額定額サービスを開始
子ども向け家具の月額定額サービスについて

月額定額サービスの投入で、子どもの成長に伴う不要な家具の処分といった課題を解消、廃棄物の削減にもつなげる。

返却された家具は廃棄せず、循環させる方針。パーツ交換やメンテナンスを施し、改めて月額定額サービスに再利用することを予定している。利用期間が短い家具についても悩むことなく安心して利用できることを提案していく。

月額定額サービスに合わせて、2015年に発売した「ひのき材ベビーベッド」を刷新。オーク材を活用した「オーク材ベビーベッド」にリニューアルし、子ども向け家具の月額定額サービスに投入した。

加えて、子ども家具の定番として知られるハイチェア「トリップ トラップ」をストッケ社から仕入れ、国内の無印良品5店舗で販売。月額定額サービスの対応も始めた。

石居 岳
石居 岳

スーパー「ライフ」の戦略/オンワードのEC化率が23.9%に上昇【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 7ヶ月 ago
2021年4月16日~22日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. EC売上1000億円めざすライフコーポレーションのネットスーパー戦略

    ライフコーポレーションの2021年2月期EC売上高(ネットスーパー事業)は前期比76.1%増の53億円。2030年度に1000億円規模まで拡大する方針

    2021/4/19
  2. オンワードのEC売上は約416億円で26%増、EC化率は23.9%に上昇【2021年2月期】

    オンワード樫山の自社EC売上高は前期比35.4%増の264億6600万円、他社ECモールでの売上高は同4.7%減の18億9200万円

    2021/4/16
  3. Amazonのプライム会員はグローバルで2億人を突破

    2019年12月期の決算発表で12月末時点のプライム会員数が1億5000万人を突破したと公表しており、約1年で5000万人以上増加している

    2021/4/19
  4. ビックカメラの連結EC売上は24%増の803億円、EC化率は19.1%【2021年中間期】

    ビックカメラグループの中間期連結EC売上高は前年同期比24.1%増の803億円。EC化率は19.1%。EC事業は大きく伸びたが実店舗の低迷を補うには至っていない

    2021/4/20
  5. 2021年は「SEO」と「広告」を一緒に考える! いま、自社ECサイトでやるべきことは何?

    かつては別の担当者がそれぞれ運用するのが当然だった「SEO」と「広告」。今年は一緒に考えて見ましょう!【連載第1回】

    2021/4/21
  6. 社員50人の通販・EC会社が進める働き方改革。年24万円の自己投資支援、柔軟な労働時間などスタッフの「幸福度を最大化」する取り組み

    「ていねい通販」を運営する生活総合サービスは2020年11月1日から新制度「わくワーク」のトライアルをスタート。1日の所定労働時間を選択できる、フルフレックス、自己成長支援金を支給する「わくわくサポート」などの取り組みを行っている

    2021/4/19
  7. グルメをテーマにした店舗が順位を競う「楽天グルメバトル2021春」を実施

    「楽天市場」は、全国558のグルメをテーマにした「楽天市場」出店店舗が参加し、ユーザーの購入結果で9つの商品カテゴリーの各1位と総合1位を決定する「楽天グルメバトル2021春」を実施

    2021/4/20
  8. 1000億円の取扱高、ファッションEC市場のシェア3%をめざすロコンドの「長期ビジョン」

    ロコンドは、2030年度の取扱高1000億円、営業利益は100億円をめざす「2030年長期ビジョン」を発表

    2021/4/21
  9. テレビ通販最大手ショップチャンネルとC Channelが提携、生放送ノウハウ+ネットメディアでライブコマース事業

    生放送のテレビ通販といったノウハウを持つショップチャンネルと、メディア運営を軸にした顧客基盤を持つC Channelがタッグを組む

    2021/4/21
  10. 松山英樹選手のマスターズ優勝でネット通販にも波及効果、ゴルフ用品の購買が伸びる

    松山選手がマスターズで使用したいくつかのゴルフ用品を、ゴルフダイジェスト・オンラインの「GDOゴルフショップ」内の購買データで調査した

    2021/4/22

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    アスクルの「新しい働き方」改革。テレワーク中心の勤務形態へ移行、オフィスには完全個室などを新設

    4 years 7ヶ月 ago

    アスクルは「新しい働き方」の実現に向け、東京本社を全面リニューアルした。2020年6月からWith・Afterコロナ時代に向けて準備を進め、完全個室や吸音パネル搭載ブースなどを新設。勤務形態も従来は月4回を上限としていたテレワークの制限を撤廃し、テレワークを中心とした働き方に移行した。

    業務に応じて自由に選択できるブースを新設

    従来の固定席を廃止し、フリーアドレス制を導入。コールセンターなどユーザー対応業務以外のエリアはゾーン別にフリーアドレス制へと移行した。

    業務に集中したい時に使用できる「個人集中ブース(籠もれるスペース)」、社内外とオンラインミーティング時に使用できる完全個室の「テレカンポッド」、半個室で吸音パネルを搭載した「テレカンブース」、防疫対策を施した「ディスカッションスペース」などさまざまなブースを新設した。

    アスクル 本社リニューアル 新しい働き方 ブース新設 完全個室のテレカンポッド
    完全個室の「テレカンポッド」
    アスクル 本社リニューアル 新しい働き方 ブース新設 半個室で吸音パネルを搭載したテレカンブース
    半個室で吸音パネルを搭載した「テレカンブース」
    アスクル 本社リニューアル 新しい働き方 ブース新設 ディスカッションスペース
    防疫対策を施した「ディスカッションスペース」

    オフィス位置情報アプリで「密」を回避

    テレワーク推進とフリーアドレス制導入に伴い、リアルなコミュニケーションを促進するデジタルツールとして、オフィス位置情報アプリ「Beacapp Here(ビーキャップヒア)」を導入した。

    アスクルが貸与するスマートフォンを保持する従業員が対象。アプリをインストールしていれば、オフィス内に設置しているビーコン端末から発信されるBluetoothをスマートフォンが検知、従業員の位置情報をアプリ内のオフィスマップで可視化する。

    アスクル 本社リニューアル 新しい働き方 オフィス位置情報アプリ Beacapp Here オフィスマップ 密状況回避 コミュニケーション促進
    オフィスマップ例

    出社している従業員のリアルなコミュニケーション促進と、オフィスの「密」状況の回避やオフィス有効利用促進ツールとして役立っているという。

    緑溢れるエントランス

    リニューアルにあたり、エントランスのコンセプトを「豊かな自然溢れる地球の尊さを感じ、人の生命力が溢れる空間に」に刷新。そら植物園代表でプラントハンターの西畠清順氏が監修し、室内環境でも長く生き抜く原種の植物をエントランスに植えた。

    2020年12月に策定したアスクルのパーパス(存在意義)である「仕事場とくらしと地球の明日に『うれしい』を届け続ける。」を体現。来訪者や従業員がエントランスを通る度に「うれしい」を届けられる場所をめざしたという。

    アスクル 本社リニューアル 新しい働き方 エントランス
    本社エントランス
    アスクル 本社リニューアル 新しい働き方 エントランス アスクル坊や 四季に応じて変化する樹木
    コーポレートマークの「アスクル坊や」の傍らには、桜など季節の樹木を設置

    テレワーク制限やコアタイムを撤廃

    2020年2月17日から、従来は月4回を上限としていたテレワークの制限を撤廃、テレワークを中心とした働き方に移行した。2020年6月に実施した社内アンケートでは、新しい働き方に対し約8割が週3日以上のテレワークをベースとした働き方を希望した。また、生産性については約75%が「オフィスと同等」もしくは「上がった」と回答したという。

    こうした状況を受け、2021年1月21日から「出社は月最大6日以下」を継続、コアタイム撤廃など「働き方基本指針」を刷新した。

    「働き方基本方針」刷新に伴う変更事項

    • フレックスタイム勤務のコアタイム撤廃
    • 新しい働き方手当として、月額6000円を支給(年2回の賞与月にまとめて支給)
    • 通勤手当は1か月の通勤費支給を停止し、出社回数に応じた実費支給に変更

    リアルとオンライン、シームレスに集える仕事場に

    アスクルは2020年6月にオフィスリニューアルに向けた「未来ベースプロジェクト」を発足、新しいオフィスのコンセプトに「ASKUL CROSSING」を掲げた。リニューアルに際し、アスクルは次のようにコメントしている。

    アスクル 本社リニューアル 新しい働き方 リニューアル時に重視したポイント
    リニューアルに向けて重視した点 

    多様な働き方をする多様な人材が、情報を分かち合い刺激を受けながら働ける場所として、従業員同士のエンゲージメントを高め、一体感を感じられる「会うことの価値が感じられる新しい仕事場」をめざした。

    藤田遥
    藤田遥

    松山英樹選手のマスターズ優勝でネット通販にも波及効果、ゴルフ用品の購買が伸びる

    4 years 7ヶ月 ago

    ゴルフのメジャー大会「マスターズ」で松山英樹選手が日本人選手として初めて優勝したことにより、ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)のECサイト「GDOゴルフショップ」では、各アイテムのPV(ページビュー)、実売数が、マスターズの前週を大幅に上回ったという。

    松山選手がマスターズで使用したいくつかのゴルフ用品を、「GDOゴルフショップ」内の購買データで調査した。

    • クラブ:ZX5ドライバー
    • ボール:Z-STAR
    • ウェア:スリクソンゴルフ全般
    • 対象期間:4月5日~11日、4月12日~18日 ※月曜日~日曜日で比較

    PV数ではドライバー(651%)、ボール(329%)、ポロシャツ(304%)の順でマスターズの前週を大幅に上回った。実売数はドライバー(414%)、パンツ(406%)、ボール(366%)。

    ゴルフのメジャー大会「マスターズ」で松山英樹選手が日本人選手として初めて優勝 マスターズ週とその前週の各アイテムPV数
    マスターズ週とその前週の各アイテムPV数
    ゴルフのメジャー大会「マスターズ」で松山英樹選手が日本人選手として初めて優勝 マスターズ週とその前週の各アイテム購買数
    マスターズ週とその前週の各アイテム購買数

    松山選手が初日から好スコアで優勝争いを繰り広げたこともあり、優勝前からドライバーの人気スペックが市中でも品薄状態に、欠品も目立ち始めたという。結果として、早い者勝ちで完売となった用品もあり、実売数では在庫数の多いボールやウェアの購買が目立ったとしている。

    GDOの2020年12月期連結業績は、売上高が前期比1.7%減の336億9000万円。コア事業のゴルフ用品販売は同3%増。2020年3月中旬以降、新型コロナウイルス感染症拡大により政府や地方自治体の要請による外出自粛などで、ゴルフプレーの減少や実店舗の休業で一時的に業績は苦戦。しかし、ゴルフは「3密」を避けやすい屋外スポーツであることが認知されたこと、天候に恵まれたことなどから順調に需要が回復した。

    石居 岳
    石居 岳

    「Amazon」vs「Shopify」の戦いの行方。EC事業者が注視すべきポイントは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 7ヶ月 ago
    ECの2大プラットフォーム「Amazon」と「Shopify」間で起こっている水面下の戦いは、小売事業者にどのような影響を与える可能性があるでしょうか

    EC業界の2大プラットフォーム「Amazon」と「Shopify」は、ECエコシステムの中で異なる役割を担っています。しかし、将来的には直接の競合になるかもしれません。水面下で行われている現在の戦いは、小売事業者に大きな影響を与える可能性があります。

    Amazonが中小企業向けECプラットフォーム買収で直接対決?

    2020年末、AmazonがShopifyに対抗するサービスを開始するのではないか、もしくはShopifyを完全に買収するのではないか、という憶測がメディアを賑わせました。

    結局、AmazonはShopifyのライバルとも言えるオーストラリア発の「Selz.com」(中小企業をターゲットとしたECプラットフォーム)を買収しました。Shopifyと直接対決することになれば、「Selz.com」が貢献することになるでしょう

    「Selz.com」のトップページ(画像:サイトより編集部がキャプチャ)
    「Selz.com」のトップページ(画像:サイトより編集部がキャプチャ)

    そこで、AmazonとShopifyの戦いがEC事業者にとって重要な理由を説明すると同時に、小売事業者が目的に合った適切なECチャネルを選択する際に役立つ情報を解説します。

    AmazonとShopifyの競争

    小売事業者にとってのAmazonの強みは、巨大マーケットプレイスのおかげで、消費者に幅広くリーチできることです。一方のShopifyは、小売事業者がITやプラットフォーム開発に大きな投資をしなくても、独立したECサイトを迅速に構築できます。Shopifyは消費者にはあまり知られていませんが、小売事業者の自社ブランド育成に焦点を当てたサポートをしています。

    ニュースサイトの「Quartz」によると、「Selz.com」は2006年以降、小規模なスタートアップ企業から食品やアパレルの大手ブランドまで、世界中で100万以上の顧客基盤をひそかに築いてきました。

    Shopifyのトップページ
    Shopifyのトップページ(画像:サイトより編集部がキャプチャ)

    このような違いを見ると、AmazonとShopifyをゼロサムゲームのライバルと考えたくなります。ゼロサムゲームの考え方では、小売事業者はAmazonのマーケットプレイスで販売するか、Shopifyプラットフォーム上で独自のストアを運営するかのどちらかを選択することになりますが、実際のECエコシステムはそれよりも複雑です。

    異なるニーズを満たすAmazonとShopify

    AmazonとShopifyは今のところ、小売事業者の異なるニーズを満たしています。つまり、AmazonとShopifyはエコシステムの中で異なる役割を担っているのです。

    Shopifyの役割や満たすニーズ

    たとえば、リピーターを増やしたいと考えている事業者は、自社の価値や品質について魅力的なストーリーを語り、信頼を確立し、消費者とコミュニケーションをとる必要があります。この傾向は、ソーシャルメディアを多用する消費者向けのD2Cブランドに特に当てはまります。

    ShopifyでECサイトを構築している靴のD2Cブランド「Allbirds」
    ShopifyでECサイトを構築している靴のD2Cブランド「Allbirds」(画像:サイトより編集部がキャプチャ)

    同時に、顧客データを管理し顧客の好みや季節の変化、サイトダウンや天候不順などの不測の事態に合わせて、返品・返金ポリシーを柔軟に設定・調整する必要があります。

    ShopifyのようなECプラットフォームを活用して独立したオンラインストアを持つことは、このような小売事業者のニーズを満たすのに役立ちます

    独立したオンラインストアを持つことで、消費者が好む形で詳細なコンテンツを作成して共有したり、データに基づいてサイトを調整したり、顧客と直接コミュニケーションを取ったり、顧客データをマーケティングやサイトの改善に活用することができます。

    ブランドの規模や決済方法にもよりますが、潜在的なデメリットとしては、市場へのリーチが狭くなること、消費者が毎回支払い方法を設定・入力しなければならない場合はコンバージョンが下がる可能性があります。

    しかし、Shopifyは最近、「Shopアプリ」(消費者向け買い物アプリ)と「Shop Pay」(配送先やクレジットカード情報を再度入力することなく決済できるShopify提供の決済サービス)を追加し、加盟店の検索、店舗・ソーシャルメディア上での簡単なチェックアウトを実現しました。この動きにより、ShopifyはAmazonの縄張りに入ったことになります。

    「Shop Pay」ボタンイメージ
    「Shop Pay」のイメージ(画像:「Shopify ブログ」より編集部がキャプチャ)

    Amazonの役割や満たすニーズ

    ブランドが顧客基盤を拡大するためには、新規顧客を着実に獲得する必要があります。また、消費者が簡単に商品を見つけられる機能も必要です。Amazonは広大なリーチ(広告の到達率)を持ち、多くの商品検索の出発地点になっています。そのため、消費者に向けて他では商品を目にすることがないであろう商品を表示することができます。

    また、保存された支払い方法や「今すぐ購入」のオプションにより、迅速に注文を完了することができます。それらのメリットと引き換えに、小売事業者は、Amazonの手数料、固定された商品ページのフォーマット、返金・返品ルールを受け入れます。また、多くのAmazonユーザーがブランドとの関係を築くよりも、できるだけ安い価格を探すことに集中している、という事実を受け止めなければいけません。

    現状、多くの小売事業者は、AmazonとShopifyのどちらか一方ではなく、両方を利用しています。たとえば、アクセサリーデザイナー・ブランドの「Rebecca Minkoff」は、「Shopify Plus」(Shopifyの最上級プラン)を利用したWebストアで、3DやAR(拡張現実)を使った商品表示を行い、Amazonではできないような没入感のある体験を消費者に提供しています。

    同時に、「Rebecca Minkoff」はAmazonにも店舗を構えており、人気のバッグの多くは無料のプライム配送が利用できます。多くの小売事業者は、ECの世界では両方のプラットフォームにそれぞれ利用価値があると感じているようです。

    「Rebecca Minkoff」の公式サイト
    「Rebecca Minkoff」の公式サイト(画像:サイトより編集部がキャプチャ)

    Amazonの新たな動き

    Amazonは以前、独立したWebストアサービスを小売事業者に提供しようとしましたが、2015年に中止しました。現在、同じサービスに再挑戦する準備ができているのかもしれません。Amazonは2021年1月、オーストラリアのECプラットフォーム「Selz.com」を買収すると発表しました。

    「Selz」のサイトのなかでAmazonによる買収について言及しているページ
    「Selz」のサイト内でAmazonによる買収について言及しているページ(画像:サイトより編集部がキャプチャ)

    これまでのところ、Amazonは「Selz.com」をどのように活用するかを明らかにしていませんが、業界アナリスト達は「AmazonがWebストアサービスに再挑戦する可能性がある」と考えています。

    そうなれば、小売業界で「ダビデとゴリアテの戦い」(※編注:旧約聖書「第一サムエル記」第17章で出てくるエピソードで、強者の弱点を突けば弱者でも勝てるという教えで使われる)が繰り広げられることになるかもしれません。

    コロナ禍の影響で、Shopifyの売上高は2020年1-9月期で前年同期比82%増で伸長。ただ、ECプラットフォーム第2位でありながら、その規模はAmazonよりもずっと小さいのが現状です。Amazonの2020年売上高は3,860億ドルを突破し、Shopifyの売上高は29億ドルでした。

    AmazonがECプラットフォームの分野に再参入することで、小売事業者の選択肢が増えるのか、Shopifyが排除されるのかは未知数です。

    小売事業者にとって、潜在的なリスクは高いと言えるでしょう。一方で、AmazonがWebストア分野に進出することで、小売事業者の自由度が向上。コンテンツや商品情報が提供しやすくなると同時に、引き続きAmazonの市場リーチやテクノロジーの恩恵を受けることができます。

    AmazonがWebストア分野で競合を駆逐した場合、出店事業者はコンテンツフォーマットのオプション、顧客データ、ストアポリシー、および不正防止オプションのコントロールを維持できなくなる可能性があります。

    ◇   ◇   ◇

     EC事業者へのメッセージ

    AmazonとShopifyの競争は、その他のWebストアサービス、ひいてはそれらのサービスを利用する顧客に大きな影響を与える可能性があるため、EC事業者は両社の動きから目を離すことはできません。

    また、それぞれのプラットフォーム上でのチャンスを最大限に生かすために、自社ブランドが単独のWebサイトとマーケットプレイスの両方を持つべきかどうかを検討してみるのもよいでしょう。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    アフターコロナに求められる物流センターは「多拠点化機能」「感染症対策」「One to Oneマーケティング」が必須 | 『EC通販で勝つBPO活用術』ダイジェスト

    4 years 7ヶ月 ago
    『EC通販で勝つBPO活用術』(高山隆司/佐藤俊幸 著 ダイヤモンド社 刊)ダイジェスト(第12回)

    アフターコロナ時代に求められる物流センターの第3の条件は、「多拠点化に対応できる全国展開」だ。コロナ以降、BCP(Business Continuing Plan)の観点で1拠点だった物流センターを2拠点にしたいというニーズが高まっている

    物流センターで感染者が出て、業務がストップする事案も国内で起きている。もともと火事や地震といった災害の多い日本では、1か所の物流センターが止まったり能力が半減したりした場合、もう1つのセンターが機能していれば安心だ。

    「L-spark」の多拠点化対応機能とは

    スクロール360の「L-spark」は、ECショップから一括で出荷指示データをもらえば、複数拠点で在庫引当を行い、物流センターに近い顧客を選び、出荷指示データを分割する機能を持っている。これがないと、ECショップのほうで在庫引当と顧客住所を見ながらデータを分割しなければならない。

    なお、「L-spark」の多拠点化対応機能には3つのバージョンがある。多拠点化Ver.1.0では、ECショップのほうで2拠点に出荷指示データを振り分ける。多拠点化Ver.2.0では、ECショップの担当者が一括して出荷指示データを送れば、「L-spark」が自動的に2拠点の在庫と顧客の振り分けを行う。

    多拠点化Ver.3.0では、受注処理を360コンタクトセンターにアウトソーシングし、日々の出荷指示はコンタクトセンターからL-sparkに直接送られ、2拠点出荷が可能となっている。

    図
多拠点化ver.1.0 EC担当者が受注データを最適な2拠点に分割して送信する
多拠点化ver.2.0 EC担当者は受注データを分割せずにL-sparkに送信する
多拠点化ver.3.0 受注処理業務は360コンタクトセンターにBPO委託→EC担当者は受注〜出荷の業務から開放される
スクロール360
コンタクトセンター
コンタクトセンターが受注処理対応をし、L-sparkに出荷指示を行う
L-spark(物流管理システム)
L-sparkが顧客の住所と在庫データを確認し、最適なセンターにデータを送信する
物流センター
2か所の物流センターでデータ受信して出荷
    「L-spark」の多拠点化対応機能のバージョン

    北海道、関東、東海、関西と連携した物流展開が可能

    スクロール360の物流センターは、これまでは浜松市を中心としたエリアでの展開だったが、2019年開設のSLC関西、北海道千歳センターに続き、2020年5月に茨城県つくば市にSLCみらいがオープンした。関東圏で初めてのセンターであり、今後の全国展開の先鋒となるセンターだ。

    SLCみらいの外観
    SLCみらいの外観

    SLCみらいの竣工により、北海道、関東、東海、関西と連携した物流展開が可能となる。商品を分散して保管し、注文した顧客に一番近い物流センターから出荷することで、リードタイムと配送コストがより最適化できる

    BCPの観点からも、1か所のセンターが災害や感染症の影響を受けても、他の拠点から出荷することで事業継続が担保される。SLCみらいには「L-spark」はもちろん、SLC西浜松と同レベルのマテハン設備が装備されているほか、スタッフが快適な環境で働けるよう、テラスや休憩スペースが豊富に設けられている。

    センターの延べ床面積は9000坪。1階から5層構造で、最上階の5階から1階までベルトコンベアーが装備されている。5階で出荷準備が完了した商品は自動的に1階まで搬送され、方面別仕分け機により配送キャリア別、方面別に自動仕分けされる

    今後、入居するEC事業者に合わせさらに多くの自動化設備を導入することにより、月間110万件の出荷能力となるよう設計されている。今後も拡大するEC物流の未来を支えるセンターを目指している。

    感染症対策が可能な管理体制や労働環境

    アフターコロナ時代に求められる物流センターの第4の条件は、「適切な感染症対策が可能な管理体制や労働環境を整備していること」である。

    SLC浜松西では常時出社の600名のスタッフ用の駐車場を完備している。浜松市は車文化という特長を持っており、一家で4台の車を保有していることも珍しくない。車通勤のため、かなり遠くのエリアからでも出勤が可能だ。もう1つのメリットは、電車やバスに乗らないため、感染リスクが少ない

    上の写真は一度に600人が利用できる食堂だ。現在は感染症対策のため、11:30からはA棟とB棟、12:30からはC棟とD棟というように、2交代制で決められた座席で昼食をとるようにしている

    交代時のほか入館時、昼食の前後、休憩の前後に食堂の窓を開けて換気し、1日5回のアルコール消毒をしたうえ、マスク着用が全員に義務付けられている。実はコロナ以前から、冬場のインフルエンザ対策のため、毎年のマスク着用は常態化していて、そのため各自マスクの備蓄をしていた

    もう1つ重要なのは、作業場の全館冷暖房設備だ。作業環境を良くするため、スクロール360の出荷場はどこも冷暖房完備となっている。夏場でもマスク着用で熱中症にならない環境を整備しているのだ。

    SLC浜松の内部の様子 打ち合わせ風景
    SLC浜松の内部の様子 打ち合わせ風景

    ワン・トゥ・ワン・マーケティングに対応したコミュニケーション

    アフターコロナ時代に求められる物流センターの第5の条件は、「ワン・トゥ・ワン・マーケティングに対応したコミュニケーション」である。

    物流は顧客体験の最終ゲートである。インターネットというバーチャルな世界で商品を購入した顧客に、リアルな商品が届く場面を演出することが欠かせない。

    この点で、大きな効果を発揮するのが、オンデマンドプリンターの利用である。オンデマンドプリンターはバリアブルプリンターとも呼ばれ、一人ひとりの顧客に別々のメッセージをその場で印刷できる。「L-spark」はこのプリンターと連携する機能を備えている。

    オンデマンド・プリンターの外観
    オンデマンド・プリンターの外観

    事前にECショップから、複数の画像の印刷データを送ってもらい、オンデマンドプリンターにセットしておく。出荷指示データの中に印刷する画像のIDを紐づけておけば、顧客ごとに画像を出し分けることができる

    例えば、顧客の住んでいる都道府県毎に、そのエリアにある店舗のイベントを紹介する画像を出し分けて商品と同梱したり、災害のあったエリアだけにお見舞いのメッセージを入れたりといったOne to Oneマーケティングが可能となる。

    あるいは、顧客がオンラインサイトのカートに入れっぱなしにしている商品のデータから、「お買い忘れありませんか?」というメッセージとともに、入れっぱなしの商品画像と注文用QRコードを仕込むことも可能だ。このプリンターはたいへん高価だが、スクロール360の場合、複数のECショップが共有して使えるため利用可能となっている。

    ◇◇◇

    ここまで、アフターコロナ時代に求められる物流センターの条件を5つ説明してきた。

    アフターコロナ時代の物流センター 5つの条件
    1. 出荷量の波動に柔軟に対応できる人員規模があること
    2. 出荷増でも品質の落ちないシステムとマテハン機器を装備していること
    3. BCPの観点から多拠点化に対応できる全国展開を行っていること
    4. 適切な感染症対策が可能な管理体制や労働環境を整備していること
    5. ワン・トゥ・ワン・マーケティングに対応したコミュニケーションを提供できること

    従来の物流センターのイメージとは大きく異なることを理解していただけたのではないだろうか。

    この記事は『EC通販で勝つBPO活用術』(ダイヤモンド社刊)の一部を編集し、公開しているものです。

    EC通販で勝つBPO活用術 ─最強のバックヤードが最高の顧客体験を生み出す

    EC通販で勝つBPO活用術
    ─最強のバックヤードが最高の顧客体験を生み出す

    高山 隆司 /佐藤 俊幸 著
    ダイヤモンド社 刊
    価格 1,650円+税

    活況のEC・通販業界において、アフターコロナを勝ち抜くために必要なことは何か。ネット通販の事業戦略設計やプロモーション、フルフィルメントなど、ネット通販の実践から得たノウハウを紹介し、物流、受注といったフルフィルメントのアウトソーシングの活用の仕方や成功事例を解説する。デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、「BPO」(Business Process Outsourcing)を最大限有効活用したシステム構築に必携の1冊。

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    高山 隆司
    佐藤 俊幸
    高山 隆司, 佐藤 俊幸

    1000億円の取扱高、ファッションEC市場のシェア3%をめざすロコンドの「長期ビジョン」

    4 years 7ヶ月 ago

    靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」を運営しているロコンドは「2030年長期ビジョン」を発表、2030年度の取扱高1000億円をめざす方針を明らかにした。

    2020年度までの5年間における取扱高のCAGR(年平均成長率)は27%成長。2030年度までの取扱高CAGRは17%成長とした。営業利益は100億円をめざす。

    靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」の長期ビジョン
    取扱高の推移について(画像はIR資料からキャプチャ)

    ロコンドの試算によると、2020年の国内ファッション市場におけるEC化率は約15%。10年後(2030年度)には現在の米国水準である30%前後まで拡大すると見込む。

    靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」の長期ビジョン
    ファッション市場のEC化率(画像はIR資料からキャプチャ)

    EC化率が30%前後まで向上した場合、ファッションEC市場(衣料品、靴、バッグ)規模は3兆5000億円まで拡大すると予想。そのうちのシェア3%にあたる取扱高1000億円をめざすとしている。

    なお、2030年度のファッションEC市場規模は、2019年のファッション市場規模11兆8000億円を母数として算出。ファッション市場全体は今後、横ばい傾向が続くことを前提としている。

    靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」の長期ビジョン
    ファッションEC市場について(画像はIR資料からキャプチャ)

    ロコンドグループはEC事業のほか、ブランド公式ECの支援などを行う「プラットフォーム事業」や、店舗も含めて自社でブランド運営する「ブランド事業」がメイン事業。

    「試着できる通販=ロコンド」「最大級の婦人靴の品ぞろえ」といったEC事業のほか、プラットフォーム事業、ブランド事業、それぞれの競争優位性を改善し続け、取扱高を拡大するとしている。

    靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」の長期ビジョン
    ロコンドのビジネスモデル(画像はIR資料からキャプチャ)

    D2C事業が初年度で売上14.8億円など2021年2月期の業績

    2021年2月期の取扱高は前期比12.7%の205億6400万円。売上高は102億7500万円で同19.8%、営業利益は14億3800万円(前期は8300万円の営業赤字)だった。

    靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」の長期ビジョン
    取扱高の推移(画像はIR資料からキャプチャ)

    「主力とする靴については外出自粛などによりその需要自体が大きく減少」(ロコンド)したものの、Fashion walker(ファッションウォーカー)の完全子会社化、自社モールの強化、D2Cブランド商品の取り扱いなどが寄与した。

    D2Cブランド商品の取り扱いについては、YouTuberヒカルさんと組んだD2Cブランド「ReZARD」の販売などをスタート。D2Cブランド事業の取扱高が初年度で14億8000万円となり、取扱高の拡大をけん引した。

    営業黒字転換は広告費の抑制、広告のYouTubeシフトなどが要因。2020年2月期の広告関連費用は19億200万円だったが、2021年2月期は12億1600万円に抑制した。テレビCMはYouTubeへとシフトし、2020年2月期の6億6400万円から2021年2月期は1億1500万円に削減。YouTubeなどウェブ広告費用は厳格なROAS(広告費用対効果)管理で、前期比11.1%減の11億100万円にとどめた。

    靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」の長期ビジョン
    販管費について(画像はIR資料からキャプチャ)

     

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    テレビ通販最大手ショップチャンネルとC Channelが提携、生放送ノウハウ+ネットメディアでライブコマース事業

    4 years 7ヶ月 ago

    テレビ通販最大手のジュピターショップチャンネルとC Channelは4月16日、業務提携契約を締結した。

    ジュピターショップチャンネルは共同で、C Channelが運営する動画メディア「C CHANNEL」とママ向け動画メディア「mamatas(ママタス)」において、インフルエンサーが商品をレビューし販売するライブ動画を制作・配信していく。

    生放送のテレビ通販といったノウハウを持つショップチャンネルと、メディア運営を軸にした顧客基盤を持つC Channelの業務提携は、今後の成長が見込まれる「ライブコマース」の成功事例となる可能性がある。

    業務提携の内容は、①ショップチャンネルのテレビ通販ノウハウを活用したSNS向けライブ通販動画をC Channelが運営する動画メディア内で配信② C Channelのインフルエンサーネットワークとショップチャンネルの商品調達・番組制作力を掛け合わせてビジネスシナジーを生み出す――の2点。

    テレビ通販最大手のジュピターショップチャンネルとC Channelは業務提携契約を締結
    ショップチャンネルとC Channelのそれぞれの役割

    4月末にテスト販売を開始。まずは年内の取り組みを実施した後、本格展開を予定している。

    ジュピターショップチャンネルの2019年度(2019年4月~2020年3月)売上高は前期比2.6%増の1634億円で、過去最高を更新。衛星放送を中心に生ライブ(一部録画放送あり)のショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」を、24時間放送で展開している。

    石居 岳
    石居 岳

    単品通販企業「サン・クラルテ製薬」のデジタルシフト事例。EC比率5割以上を支えるLTV向上施策とは

    4 years 7ヶ月 ago
    健康食品、化粧品、医薬部外品を通販・ECで販売するサン・クラルテ製薬。デジタル化「単品リピート通販」のデジタルシフト、重要視するKPI「LTV(顧客生涯価値)向上」を実現するための取り組みを解説
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    健康食品、化粧品、医薬部外品を通販・ECで販売するサン・クラルテ製薬。1992年に創業し、製品の企画から直販までを手がける「製薬会社」「通販会社」として業容を拡大してきた。いわゆる「単品リピート通販」の業態で、Web媒体、紙媒体、ラジオ、テレビなどクロスメディアで事業を展開する。近年は全社売上高に占めるEC割合が過半を突破、オンラインシフトが進んでいる。デジタル化が進む世の中の流れに対応した「単品リピート通販」のデジタルシフト、重要視するKPI「LTV(顧客生涯価値)向上」を実現するための取り組みなどを取材した。

    新聞・テレビなどのオフラインから、近年はオンラインシフトを進める

    販売する医薬部外品・化粧品・健康食品を各GMP規格に基づいた工場にて生産し、管理を徹底するサン・クラルテ製薬。「全てが自信を持ってお薦めできる商品になっている」(サン・クラルテ製薬の取締役本部長・新島恒亮氏)

    さまざまな販売チャネルを活用するサン・クラルテ製薬の利用顧客はオンライン、オフラインで顧客層が異なる。それぞれの中心顧客は、ネット通販が30-50歳代、テレビやラジオ、新聞などの媒体が60歳代以上となっている。

    耳の不快な音・音の聞き取りにくさなどで困っているユーザーが愛用する「美聴泉EX」、トイレの回数などに悩むユーザーが使う「ユラン・ケアEX」などは主に電波媒体、新聞広告などの紙媒体で訴求し、マウスウォッシュの「ゴッソトリノ」などはオンライン展開がメインだ。

    サン・クラルテ製薬のECサイト
    サン・クラルテ製薬のECサイト

    ラジオやテレビ、雑誌、新聞などの媒体で新規顧客を獲得し、リピート購入につなげるビジネスモデルを展開してきたサン・クラルテ製薬では、コンタクトセンターをアウトソースだけでなくインハウスでも運営し、受注や問い合わせなどの顧客対応を行い、LTV向上につなげている。

    一方で、近年は投下する広告費をオンラインにシフト。現在、全体の売上構成比率でECが占める割合が50%を超えている

    ECサイトでの人気商品となっている口臭対策マウスウォッシュ「ゴッソトリノ」
    ECサイトでの人気商品となっている口臭対策マウスウォッシュ「ゴッソトリノ」

    オンライン注文の増加で業務効率が悪化、専用カートの導入で課題解決

    オンライン経由の受注が増加するにつれ、ある課題が浮上してきた。それは、オフライン前提でシステム全体を設計したことによる業務効率の悪化だ。

    売り上げの過半を占めるようになってきたECサイトでは、受注や顧客などの情報は販売チャネル別で管理しており、基幹システムとの連携が満足にできていない状態だった。そのため、「オンラインでの獲得が増加し、社内業務の流れ、作業効率が悪化していった」(新島氏)

    そこで、2019年10月に定期購入・単品通販・リピート通販に特化したECサイト構築・運営のASPカート「楽楽リピート」を導入した。「楽楽リピート」は株式会社ネットショップ支援室が提供するカート・CRM・ステップメール・受注管理・顧客対応などを搭載のSaaS型ショッピングカートである。

    「楽楽リピート」について
    楽楽リピート」について

    EC市場が拡大する中で、定期購入・単品通販・リピート通販向けのショッピングカートはいくつもある。数ある単品リピート通販向けカートの中から「楽楽リピート」を選んだ理由は何なのか? 新島氏はこう言う。

    ECシステムの刷新に向けて、いくつかのシステムを比較検討した。最も重要視したのが、売り上げ規模に応じてかかる、また、クレジットカード以外の決済手段にかかる従量課金。他のECシステムを調べてみると、売上規模に応じた従量課金や、後払い決済などの決済手段にも従量課金(売上処理料)がかかっている。ワンステップ、ツーステップマーケティングを行う定期購入・単品通販・リピート通販のビジネスモデルにおける従量課金の部分は、無視できなかった。そこでクレジットカード以外では従量課金が発生しない「楽楽リピート」の導入を決めた。(新島氏)

    サン・クラルテ製薬の取締役本部長・新島恒亮氏
    サン・クラルテ製薬の取締役本部長・新島恒亮氏

    定期購入・単品通販では、無料モニターや500円モニターなどから定期購入につなげるツーステップマーケティングが主流となっている。割引価格でツーステップマーケティングを行った場合、決済手段の従量課金が「クレジットカードのみ」「クレジットカード+後払いなど」の違いが、ランニングコストに大きく影響する。新島氏は「業務効率の向上などに加え、従量課金の対象も大きな選定要因になった」と振り返る。

    なぜ「楽楽リピート」は、決済手段において処理料金の対象をクレジットカードのみとしているのか。ネットショップ支援室はグループ会社が通販事業を展開しており、その事業で培った「定期・単品通販でいかに売り上げを伸ばすか」というノウハウなどを「楽楽リピート」に搭載してきた。また、その環境を生かし受注管理システム「アシスト店長」、BtoBtoCカート「楽楽BBC」なども開発・提供している。

    こうしたことを踏まえ、ネットショップ支援室の山本皓一朗社長は次のように説明する。

    ネットショップ支援室はさまざまなEC支援サービスを提供しており、グループ会社では約40店舗以上のECサイトを運営している。事業者様のニーズや売上アップに効くノウハウを熟知しているため、クレジットカード以外の決済手段では従量課金を採用していない

    ネットショップ支援室の山本皓一朗社長
    ネットショップ支援室の山本皓一朗社長

    「Amazon Pay」の導入で、マイページで「Amazonアカウント」でのログインが可能に

    「楽楽リピート」を導入したサン・クラルテ製薬ではどのような成果が出たのだろうか。

    これまではカートシステムと基幹システムが別だったため、多数のCSVデータを加工し、基幹システムなどと連携する必要があったCSVデータの連携が減り、現場担当の業務効率化につながっている。また、受注データをセグメント処理し、CRM施策に生かすことができるようになった。(新島氏)

    「楽楽リピート」では2020年、受注・顧客関連情報が取得できるAPI機能「楽楽リピート API」の提供をスタートした。CRMシステム、基幹・販売管理システム、物流管理システムなどとのデータ連携をシームレスに行えるようにしている。

    「楽楽リピート」のAPI連携について
    「楽楽リピート」のAPI連携について

    また、定期購入・単品通販・リピート通販で重宝されているマイページ機能が使えるようになったのは大きなプラス要素。リピートユーザーは「マイページ」に訪問し、前回購入した商品や期間の確認、そこから以前買った商品を再度、購入するといったユーザー行動が多いからだ。

    従前はカートシステムと基幹システムとが別だったため、購入履歴などが確認できるマイページ機能は提供していなかった。

    こんなサン・クラルテ製薬の「マイページ」機能で1つ特筆すべき点がある。それは、「Amazonアカウント」でログインできる機能だ。

    サン・クラルテ製薬では、「楽楽リピート」導入に合わせてAmazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay」を導入。これにより、お客さまは「マイページ」にて「Amazonアカウント」でログインできるようになった。

    「Amazonアカウント」でログインできるマイページ
    「Amazonアカウント」でログインできるマイページ

    定期購入・単品通販・リピート通販では、LP(ランディングページ)を除くと「マイページ」が最もアクセスされるページと言われており、「マイページ」の使い勝手が向上するとリピート率も伸びるとされる。

    「Amazonアカウント」を使い最短2ステップ(ボタンのクリックとパスワード入力)でマイページにログインできる簡便さは、サン・クラルテ製薬のECサイトの利便性向上、およびリピート率の向上につながっているようだ。

    「Amazon Pay」は必要不可欠、新規顧客の2割が利用

    定期購入・単品通販・リピート通販で重要視される「マイページ」に搭載した「Amazonアカウント」によるログイン機能はもともと、決済手段の拡充を通じた利便性およびリピート率の向上が目的だった。

    「Amazon Pay」は、「Amazonアカウント」に登録された情報を利用することで、購入時の配送先・クレジットカード情報の入力をすることなく、Amazon以外のECサイトでログインや決済を行えるサービスである。

    「Amazon Pay」の紹介動画

    「Amazon Pay」を導入したECサイトで、顧客は「Amazonアカウント」を使って簡単に商品を購入できるようになるため、カート離脱率の改善、コンバージョン率の向上、新規会員登録の促進につなげることができると期待されている

    リピート率向上を実現するために「Amazon Pay」を2020年5月に導入した。Amazonを使う顧客は多く、さまざまなECサイトを見たところどのサイトにも「Amazon Pay」が入っていたオンライン展開をさらに拡大するための利便性向上に「Amazon Pay」は必要不可欠だと感じた。(新島氏)

    「Amazon Pay」を自身でも使う新島氏は「顧客体験が最高」と評価する
    「Amazon Pay」を自身でも使う新島氏は「顧客体験が最高」と評価する

    こう導入の理由を語る新島氏によると、導入から数か月で新規購入者の2割が「Amazon Pay」を使って商品を購入している状況という。

    新島氏は「LTVと新規顧客の獲得効率は上がっている」と説明。また、顧客への利便性向上という効果以外にも、自社の業務効率アップという思わぬ効果も得られているという。

    「Amazon Pay」の導入で、「後払い決済」や「クレジットカード決済」の全体比率が減少。その結果、特に「後払い決済」の与信不可で発生していた顧客対応業務が従前と比べ「削減できている」(新島氏)のだ。

    サン・クラルテ製薬では、与信不可となった「後払い決済」選択顧客に対し、その旨と不可理由を連絡している。メールを開封しない顧客も一定数いるため、電話やメールでの対応が発生してしまう。こうした顧客への連絡、対応が削減できているという。

    また、「後払い決済」の場合は、請求書の印字や同梱作業が発生する。「後払い決済」を選択していたお客さまが「Amazon Pay」を利用するようになったことで、こうした作業負荷を軽減できている点も「Amazon Pay」の重要な効果だという。

    定期購入でも「手間を少なく」「わかりやすく」を実現する「Auto Pay」機能

    「Amazon Pay」には定期購入ビジネスを支援するうえで欠かせない重要な機能がある。「Auto Pay」と呼ばれる機能で、ECサイトに導入するとお客さまは初回の支払い手続き時に「以降の支払いをAmazon Payで行う」と設定できるようになる2回目以降は都度ECサイト上で支払いの手続きをすることなく、継続して商品やサービスを注文できるようにするものだ。

    「Amazon Pay」の「Auto Pay」機能を使えば、事業者は「自由に金額やタイミングを設定し、請求することが可能」「決済の頻度や金額などを個別にカスタマイズすることが可能」など、ビジネスモデルに柔軟に対応した決済方法をお客さまに提供することが可能となる。

    現在、忙しいお客さまが多くなってきた。そのため、「手間を少なく」「わかりやすく」買えるというECサイトが求められている。新規購入者やリピート購入するユーザーの中には、買い物手続きが面倒で止めてしまう人がいる。そういった理由で、商品の購入や継続を止めてほしくない。どんな商品も、継続利用していただくことが重要。求められていることを実現するために、私たちは商品を作り、定期購入コースを提供している。「Amazon Pay」を通じてたくさんのお客さまに当社の商品を使ってもらいたいと考えている。(新島氏)

    「Amazon Pay」の「Auto Pay」機能である定期支払いの確認画面
    「Amazon Pay」の「Auto Pay」機能である定期支払いの確認画面(赤枠内が定期支払い)

    不正注文によるブランドイメージ毀損(きそん)防止にも役立つAmazonのブランド効果

    健康食品、化粧品などの単品系通販が多くの被害に遭っている「不正注文」。不正注文された商品はフリマアプリなどで転売されているケースがあり、「ブランド毀損」などにつながってしまうこともある。

    サン・クラルテ製薬でも転売などを目的とした不正注文は悩みの種。フリマアプリなどで販売されているケースがあり、そうした販売は当社の製品保証の対象外になってしまう。最終的にだまされて購入するお客さまのことを考えると、不正注文は対策しなければならない問題だ。(新島氏)

    こうした課題は「Amazon Pay」で解決できる、と説明するのはネットショップ支援室の山本氏。「『Amazon Pay』はAmazonのアカウントを持っていなければ使用できず、その使用状況はAmazonがチェックしている。不正注文はクレジットカードに比べて圧倒的に低いのではないか」と指摘する。

    「Amazon Pay」では、Amazonがアカウントやカードの不正利用を24時間365日監視する世界水準の不正検知システムを採用。「Amazon Pay」は、お客さまと事業者の双方に「安心・安全」を提供している。

    自社ECサイトで手の込んだ不正注文を1件1件確認することは非現実的だが、「Amazon Pay」なら不正注文を検知できるため、不正注文対策の手間やコスト、時間などを大幅に削減できると同時に、ブランドイメージなどの維持といった観点でも役立てることができる

    「Amazon Pay」とシステム連携している「楽楽リピート」は、化粧品や健康食品のほか、食品、アパレルのなどの企業による利用が多い。利便性やLTVの向上を含めた効果のほか、ブランドイメージ維持や消費者保護のための不正注文対策という観点から考えると、「健康食品、化粧品などと『Amazon Pay』の親和性はとても高い」と山本社長は説明する。

    山本社長は「Amazon Pay」は不正注文対策に役立つと説明する
    山本社長は「Amazon Pay」は不正注文対策に役立つと説明する

    LTV向上を実感、「マーケティング面のアクセルを踏んでいきたい」

    ネットショップ支援室のグループ会社が手がけるEC事業部では、「Amazon Pay」を導入して4年が経過した。「Amazon Pay」導入後、お客さまの年間の平均買い物回数は、4回から7回に伸びているという。「『楽楽リピート』の導入企業さまを含めて、LTV向上につながっている企業が多い」(山本社長)

    サン・クラルテ製薬の新島氏も「まだ明確な数字が出ているわけではないが、LTVは伸びているはず。新規顧客の獲得効率の向上も踏まえ、CPA(1件のコンバージョンにかかるコスト)、CPO(1件あたりの顧客獲得にかかった広告コスト)も改善していくことができるだろう。『Amazon Pay』を使って、よりマーケティング面のアクセルを踏んでいきたい」と意気込む。

    2021年春、しばらく停止していたテレビ媒体を活用した広告を再開する予定である。そこで、新島氏は、あるテレビ通販企業が挑戦した「Amazon Pay」を使ったテレビショッピングの手法に興味を抱いた。

    それは、テレビショッピングの放映中、画面内に商品申し込み方法としてQRコードを表示してECサイトでの購入を案内、Amazonを利用していれば「Amazon Pay」を使い簡単に決済できる――という仕組みだ。

    テレビ通販番組の放映中、電話件数がコールセンターの席数を上回った場合、超過した入電は自動応答によって対応するケースが多く、自動応答によって販売ロスが発生するケースがある。席数を増やすことなく、QRコードを使った「Amazon Pay」決済ページへの誘導で販売機会の損失を防ぐことが可能になる

    新島氏は、クロスメディアでの事業展開と同時に、「新しい取り組みも含めたデジタル対応を進め、売り上げの拡大に取り組んでいきたい」と取材を締めくくった。

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    瀧川 正実
    瀧川 正実

    2021年は「SEO」と「広告」を一緒に考える! いま、自社ECサイトでやるべきことは何? | EC事業者のための「SEO」と「広告」の話

    4 years 7ヶ月 ago
    かつては別の担当者がそれぞれ運用するのが当然だった「SEO」と「広告」。今年は一緒に考えて見ましょう!【連載第1回】

    2015年にネットショップ担当者フォーラムで「ネットショップのためのSEO施策ゼミナール」を連載していた江沢真紀です。当時の記事を読み返してみると、SEOの本質はまったく変わっていないものの、やはり古い! そして、SEOだけでなくデジタルマーケティング自体がかなり変化しています。

    そこで今回の連載では、SEOだけでなく「SEO」×「広告」という双方の視点からネットショップを運営する担当者が知っておくべきことをお伝えします。

    なぜ「SEO」×「広告」なのか

    私たちはSEOと広告には共通する、変わらない本質があると思っています。それは「ユーザーに寄り添うこと」です。

    「検索をユーザーのニーズとしてとことん耳を傾け、Webサイトや商品やサービスの見せ方を改善する」「検索を味方に付けてビジネスを成長させる」という点において共通点が多いと考えています。

    SEOの出発点=「検索される言葉にはニーズや気持ちが詰まっている」
SEO
マーケティング環境
ターゲットユーザーを理解し、商品やサービスの見せ方全体を最適化し、売れる環境を整える。
広告
広告/プロモーション
ねらったキーワードやターゲティングの手法で、適切な広告を出すことにより、商品やサービスの販売・利用を促進する。

    他にも、

    • 多くのサイトでSEOと広告の両方が必要
    • SEOを補完するものとして広告を活用するケースもある
    • 広告を休んでSEOを強化するケースもある
    • よほどの大企業でない限り、同じ担当者が両方の業務を行っているケースが多い

    ……というように、SEOと広告のどちらの知識も必要な場面が多々あるだけでなく、SEOでマーケティングの環境整備を行い、広告でマーケティング活動を行うというような、協業し合う関係が今後ますます重要になると考えています。

    SEO
マーケティング環境整備
Webサイトやデータベースを整え、全体最適化を行う。
広告
効果的なマーケティング活動
整った環境下で自動化を見据えたマーケティングを行う。

    今回の連載では、SEO部分をアユダンテの江沢真紀が、広告部分は同じくアユダンテの河野芽久美が執筆。両方の視点からのコラムはなかなかないのかなと書き手としてもワクワクしています。

    サイトのタイプ別に施策を考える

    もう1つ、今回試みとして実施したいのは、SEOと広告の各施策をサイトのタイプ別に解説するということです。

    どちらも施策が多様化してきており、実はサイトのタイプ別にやるべき施策が結構違うことを実感しています。

    SEOに関してはインプレスの「いちばんやさしいシリーズ」で本を2冊出版しましたが(関連書籍を参照のこと)、どちらの本でもサイトの業種やタイプ別にフォーカスした章があります。

    本を読んだ方からも「もっとサイトの業種やタイプ別の解説が知りたいと」の声をいただいており、この連載では以下の分類のもと、どのような施策が有効なのかSEOと広告、両方の側面から解説していきます(分類は予定)。

    • 大規模ECサイト
    • 単品通販サイト
    • モール対策
    • BtoBサイト
    • メディア/ブログ(EC運営)
    • 海外/越境

    確かに同じECでも大規模な総合通販と単品型の通販では注力すべき施策のポイントが変わってきます。BtoBも独自のポイントがありますし、最近増えたECサイトが運営するコラムやブログ記事もどう活用すべきか悩んでいる方が多いでしょう。

    SEOと広告、“今”のトレンドを理解する

    タイプ別の解説に入る前に、次の回からまずはSEOと広告それぞれの最近のトレンドについてまとめてみたいと思います。

    ネットショップを運営されている皆さんは、最近のSEOと広告に関してどのように感じているでしょうか? 「SEOを業者に頼んでも全然順位が上がらない」「昔ほど流入が取れない」「SEOがだめだから広告を出稿しても投資対効果が見合わない」「広告費がどんどん高騰する」……など、いろいろな課題がありませんか?

    SEOも広告も変化してきています。SEOではGoogleの進化により、昔はよくあったクロールにおける問題、例えば「動的URLはNG」「JavaScriptが解析できない」といったものがほぼなくなっています。

    ユーザーの検索意図もかなり正確に読み取り、機械学習もアルゴリズムに取り入れられているため、ちょっとした内部施策や小手先の施策では昔のように順位が上がらないのです。

    また、2010年前半から急速に普及してきたスマホに対応する形で、Googleのターゲットは今や完全にスマホになっています。2021年4月現在、多くのサイトはMFI(モバイルファースト インデックス)に移行し、移行していないサイトも今後段階的に強制移行と言われています。これからはスマホページが存在するサイトはスマホサイトでSEOをやらなくてはいけないのです。

    「PC時代に有効だった施策は今も有効?」「今やらなくてはいけない重要な施策は何?」キャッチアップすべきことは結構あると思います。

    広告では昨今話題の「ITP問題」、つまりCookieの制限によりかなりの変化が起きています。Cookieに頼らない広告配信、そしてスマホと共に益々増える動画をうまく活用して集客していくこと、認知から獲得まで通した考え方と「指標」の捉え方も今後は重要になりそうです。

    次から2回に分けて以下のようなトレンドをお話してきたいと思います。

     SEOの5つのトレンド

    1. PCとまったく違うスマホ時代の検索行動
    2. おなじみ、スマホ時代の4つのモーメント
    3. MFIへ移行した後のこと
    4. いよいよ5月ランキング指標に!? 「Core Web Vitals」
    5. スマホ画面を理解していますか?

     広告の3つのトレンド

    1. Cookieに頼らない広告配信になる
    2. 動画利用が必須になる
    3. 獲得広告と認知広告の捉え方が変わる

    次回はSEOのトレンドについて解説します。

    これからの連載がネットショップ担当者フォーラムの読者の皆さまの少しでも参考になれば幸いです。

    関連書籍
    • 『いちばんやさしい新しいSEOの教本 第2版 人気講師が教える検索に強いサイトの作り方 [MFI対応]』
      安川 洋/江沢真紀/村山佑介:著、インプレス:刊 (2018年7月発売)
      https://book.impress.co.jp/books/1117101120
    • 『いちばんやさしいスマートフォンSEOの教本 人気講師が教える検索に強いスマホサイトの作り方』
      江沢真紀/コガン・ポリーナ/井上達也:著、インプレス:刊(2020年9月発売)
      https://book.impress.co.jp/books/1119101163
    江沢 真紀
    河野 芽久美
    江沢 真紀, 河野 芽久美

    グルメをテーマにした店舗が順位を競う「楽天グルメバトル2021春」を実施

    4 years 7ヶ月 ago

    楽天グループは、グルメをテーマにした全国558の「楽天市場」出店店舗の中から商品カテゴリー1位と総合1位を決定する「楽天グルメバトル2021春」を実施する。期間は4月19日(月)10時00分~4月30日(金)9時59分まで。

    「楽天グルメバトル2021春」とは

    全国558の参加店舗が、「米・雑穀」「麺類・パン」「惣菜」「肉類」「魚介類」「野菜・くだもの」「洋菓子」「和菓子・スナック・ナッツ」「その他(ドリンク・酒類を除く)」の9つのカテゴリーに1商品をエントリー。ユーザーが期間内に購入した商品の売り上げ金額と売り上げ個数によって、受賞店舗を決定する。

    5月24日(月)10時00分~6月1日(火)9時59分までの期間、各カテゴリーTOP5と総合TOP3の店舗を企画ページに掲載する。

    楽天 楽天市場 グルメショップ 楽天グルメバトル2021春 ショップ対抗
    「楽天グルメバトル2021春」9つの商品カテゴリー(画像は「楽天市場」サイトからキャプチャ)

    ユーザーは2種類のクーポンを利用できる。1人あたりの利用上限は5回で、1注文につき1回。

    参加店舗で使える最大200円オフクーポン

    • 利用期間:4月19日(月)10時00分~4月30日(金)9時59分
    • 先着1万3000回限定:4000円(税込)以上の購入で100円オフ
    • 先着1万回限定:8000円(税込)以上の購入で200円オフ

    受賞店舗で使える最大250円オフクーポン

    • 利用期間:5月24日(月)10時00分~6月1日(火)9時59分
    • 先着4500回限定:4500円(税込)以上の購入で100円オフ
    • 先着3000回限定:9000円(税込)以上の購入で250円オフ
    楽天 楽天市場 グルメショップ 楽天グルメバトル2021春 ショップ対抗 クーポン配布
    クーポンは「楽天グルメバトル2021春」企画ページから獲得できる(画像は「楽天市場」サイトからキャプチャ)
    藤田遥
    藤田遥
    確認済み
    1 時間 1 分 ago
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