Amazon、楽天が生成AIサービスを活用・展開するなか、中小のネットショップはこれからAIとどう向き合うべきか? | 竹内謙礼の一筆啓上 | ネットショップ担当者フォーラム

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生成AIの活用が進むなか、Eコマース業界ではどのような事例があるのか。小さなネットショップでも取り組めることなども取材した(連載第31回)

データとテクノロジーの最前線から見た生成AIの現状とネットショップ運営の課題について、東京大学卒業後、マーケティングテクノロジストとして活躍している柳井隆道氏に取材。前半は、生成AIを活用してECサイトの売れる商品説明文などを作る時に必要なスキルなどについて伺ったが、後半はEコマースでの生成AI活用例、小規模ネットショップのAIとの向き合い方について解説する。

Amazon、生成AIでユーザビリティテストを実施

竹内:今後、Eコマース業界ではどのように生成AIが使われていくのでしょうか。

柳井氏:面白い事例だと、AmazonがAIを活用して60種類以上の異なるエージェントを大量に生成して、性別や収入などの条件を変えてユーザビリティテストを行い、サイトを改善した試みがあり、論文で発表されています。

竹内:つまり「生成AIに顧客設定を行わせてテストさせる」と。

柳井氏:その通りです。年齢や職業、何を解決したいかといった条件をいろいろと変えて、その顧客の要望に合った商品ページを生成していくんです。

Amazonが実施したユーザビリティテストAmazonが実施したユーザビリティテストについて
(画像は「amazon science」に掲載している資料からキャプチャ)

竹内:そのレベルまで生成AIは到達しているのですね。楽天もネットショップ向けに生成AIサービスをリリースしているので、ますますネットショップが生成AIを活用するシーンは増えていきそうですね。

柳井氏:楽天はそのあたりのメタデータをすべて持っているので、それがプロンプトのコンテキストに入るのであれば、面白いサービスになっていくのではないでしょうか。

竹内:なるほど。楽天の生成AIサービスを初めて知った時は「同じ生成AIに作らせたら、同じコンテンツになるのでは?」という疑念を思っていました。けれど柳井さんの話を聞いて、もしかしたら顧客の消費行動、経営者やスタッフの仕事の能力などをプロンプトのコンテキストに与えて、各店舗でオリジナルのコンテンツを生成するようになるのではないかと思いました。

柳井氏:その考えは面白いと思います。ただ、竹内さんの言うような消費行動や人間の能力をコンテキスト化することは厳密には難しいと私は思っています。間違った評価をするリスクが致命的になりやすく、そのリスクを完全に排除しきれないところもあります。仮にそれらをコンテキスト化してプロンプトを与えられるようになったとしても、生成AI化の最後の作業になるのではないでしょうか。

現実的なことを考えれば、最初に手を付けるのは登録している商品データで、その次に店舗ページのテキストの生成AI化です。ここは技術的に簡単で誤解の余地もほとんどないので、このあたりから生成AIがネットショップに導入されていくのではないかと思います。

小さなネットショップの生成AIとの付き合い方とは?

竹内:これからのネットショップは生成AIとどのように向き合っていけば良いのでしょうか。

柳井氏:ネットショップの商材、売り上げ、作業内容によってケースバイケースになっていくと思います。ネットショップで大量に商品ページを作成する必要があれば、生成AIにクリエイティブな仕事をさせるシーンが増えるでしょう。一方、こだわりの単品商品を売っているネットショップでは、引き続き人間によるクリエイティブな作業が中心になっていくのではないかと思います。

竹内生成AIが得意な作業・苦手な作業を把握することが大事ですね。でも、それを理解するためには、生成AIを使い倒してく必要がありそうです。

柳井氏:いっそのこと生成AIに「こういう状況下で生成AIを使って仕事の効率化を図りたいんだけれど、どんなところでどのように活用できそうですか? また、どんなことは生成AIに不向きな作業ですか?」と質問するのも良いと思います。

竹内:生成AIができないことを生成AI自身に聞いてしまえばいいんですね。

柳井氏:プロンプトにもよりますが、生成AIに「こういうことをやってください」と質問するよりも、「できないことを教えて」とネガティブな質問をしたほうが、人間側の作業を組み立てやすくなることがあります。たとえば「AIで解決することが難しい点をリストアップしてください」「AIに不足していて、人間に提供してほしい情報、追加情報としてほしいものをあげてください」といった質問の仕方が良いのではないでしょうか。

AI活用 Eコマース できないことを聞く

竹内:そのプロンプトの発想はありませんでした。

柳井氏:日々の業務を分解していった時に、AIが得意としている作業なのか、それともRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の領域の仕事なのか、そのあたりを突き詰めていく必要があると思います。

生成AI活用で合理化&人間にしかできない差別化ポイントを見つける

竹内:会社の規模や保有しているデータのボリュームなどによっても変わってきそうですね。一方で、生成AIが普及していくと、先述したAmazonのようにこれらの新しい技術を使いこなすことができる大企業のほうが、Eコマース事業ではますます有利になっていくのではないかと思います。市場における企業間の格差はさらに広がっていくのではないでしょうか。

柳井氏:Eコマース業界に限らず、デジタル領域のビジネスはここ数年、大企業が有利になって中小企業が厳しくなる状況が加速しています。SEOやネット広告も、その流れは顕著に表れています。だからこそ、小さなネットショップは生成AIを使えるところは使い倒して合理化した上で、本質的な差別化ポイントを見つけていく必要があるのではないかと思っています。

小さなネットショップは、人間にしかできない訴求ポイント、たとえば作り手の思いや顔が見える売り方を極めて、大手企業が扱わないようなオリジナリティのある商品を販売していく必要があるのではないでしょうか。

竹内:生成AIの最新技術の話をしているうちに、結論はすごくアナログな答えに着地しましたね(笑)

柳井氏:それが小さなネットショップで生成AIを活用していく最終ゴールではないかと思っています。生成AIを活用して非効率的なアナログの部分を削除し、時間を作る。そして、その余った時間で本当にアナログでしかできないことを人間がやり尽くしていくのが、一番理想的な生成AIの戦略になると思います。

竹内:本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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オリジナル記事:Amazon、楽天が生成AIサービスを活用・展開するなか、中小のネットショップはこれからAIとどう向き合うべきか? | 竹内謙礼の一筆啓上
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