2021年もまもなく終了です。
コロナ禍が継続される中で公式なコアアップデートも2回(1回目を2回ととらえると3回?)しかなくあまりトピックもない一年だったとは思いますが備忘録的にも2021年を振り返ってみたいと思います。
例年通り鈴木謙一さんがウェブ担で振り返りしていただいているので、こちらはどちらかというと私に起こったトピックとなります。
2回のコアアップデート
例年通り6月と11月にコアアップデートがありました。
通常と異なる点として6月のアップデートは6月に1回、7月に1回行われました。
本当は6月にすべてのアップデートをロールアウトする予定が、間に合わずに2回に分けたというのは本音のようです。
11月のアップデートはこれまでの公表されているアップデートの中では最も小さな動きだったと思います。
その代わりコアアップデートの発表がなかった12月に11月よりもむしろ大きな変動があったことは興味深いものでした。
それぞれの内容についてはもはや覚えていないものもあるので弊社運営のメディア(私がSEOに関わっているかどうかは別です)がどうだったかで皆さんで再度推理でもしていただければと思います。
まあ、AhrefsとかSEM RUSHで見られるデータなので社内の人は怒らないでください。被リンク獲得できてラッキーと思っていただければ・・・。(子会社・孫会社とかでやめてくれという場合はご連絡ください。無視するかもですが。)
YMYL系がほとんどないのでなんとも言えないところがありますが、6,7月はYMYL系の怪しいサイトがしっかり落とされていった印象はあります。
「クレジットカード」などは動きが激しくいわゆるホスト貸し、サブディレクトリ貸しがランクダウンしたのも印象的でした。
11月のアップデートはこれまでGoogleが行わなかったホリデーシーズン前のアップデートでした。
例えば「クリスマスケーキ」などで11月にランクアップしていたら「今年はSEOが好調だから大量に仕入れをしておこう」となるでしょう。ところが、11月にアップデートが起こってランクダウンしてしまったら、その材料の在庫が焦げついてしまうことからGoogleは原則ホリデーシーズン前のアップデートを行ってこなかったのだと思います。
ところが、今回は方針変更ということで上記のようなケースが危惧されましたが、結果としてはECサイト、Transactionalなサイトにとってはポジティブな動きが多かったと思います。
逆にアメブロが微減したようにinformationalなコンテンツにはネガティブな影響があったものも多いのではないでしょうか?
欧米を中心にクリスマスを前に消費が急拡大します。それを事前に考慮したアップデートなのかもしれないなと個人的には思います。
ユーザーの行動の結果を反映するだけでなくユーザーの行動を事前予測したアップデートになってきているという側面があってもおかしくないと思います。
全体で見るとユーザー行動に基づいた変動が多かったのかなとも思いますが、動きとしては例年よりも小さかったように思います。
これはGoogleのアルゴリズムが完成系に近づいているのかなとも思います。
いずれにしてもコアアップデートに対してやれることというのは少ないので、
- ユーザーのためになる良質なサイト・コンテンツを提供すること
- 良質なサイト・コンテンツであることを確実にGoogleに伝えること
の2点に尽きると思います。
Page Experience Update のロールアウト
ページエクスペリエンスアップデートが6月から8月にかけてにロールアウトしました。
引用: https://developers.google.com/search/blog/2020/11/timing-for-page-experience?hl=ja
そこまでランキングに影響を与えるようなアップデートではないと思いますが、
CoreWebVitals,Mobile Frienfly,HTTPS,インターステイシャルがないことがランキングに影響するようになりました。
特に、CoreWebVitals(CWV)についてはSearch Consoleにスコアが出るようになったことから気にされる方も多かったと思います。
ただ、これらはそもそもランキングのためにやることではなく、本来はユーザー体験のために行うことではあると思いますので、これを機にやれたというサイトは良かったとは思うものの、反省すべき点でもあるのだろうと思います。
titleの大量書き換えの発生
9月にGoogleが表示タイトルの生成のアルゴリズムをアップデートしました。
その結果が「改悪」であるとして騒ぎになりました。
逆の意味としてとらえられるような変更になったり、装飾的表現と誤認されてカッコ内の言葉が除外されてしまったりというユーザーにとっても利便性が下がるような表示になってしまうものもありました。
上記のように現在では概ね修正がなされたものと思いますが、
一時期はハラハラした方も多かったのではないでしょうか?
スパムアップデートの実施
6月にはGoogleはスパムアップデートという名前のアップデートを実施しました。
これまでもスパム対策については厳格に対応してきたと思いますが、あえてスパムアップデートと名がつくものを行ったことは一定の抑止力を考えてなのかもしれません。
私のまわりでこのアップデートで大きくランクを落としたようなものはなかったので、いわゆる誤爆のないように配慮されたものだったように思います。
そのため、スパムをしていないサイトに関しては特に不安に思う必要はなかったものとなりました。
リンクスパムアップデートの実施
7月にはリンクスパムアップデートがロールアウトされました。
スパムアップデートはどちらかというとサイトの内側の問題であり、リンクスパムは外的なものとなります。
当然、人工的に被リンクを構築していたりリンク購入をしていたりするものが対象になったと思います。
こちらもいわゆる誤爆的なものはなく安全性を考慮したアップデートとなった、抑止力を狙ったもののように思いました。
実際にリンク購入しているところを落とすことができていなかったケースがあり、少し残念だった感は否めません。
ただし、私が知っているリンク購入しているサイトは12月に見事にランクダウンさせられていましたので、
今後もリンク購入にはリスクがあると思っていただいたほうが良いと思います。
詳細は、こちらの「それでもやっぱり今は有料リンクスパムをおすすめできない理由」に記載していますので、よかったらお読みください。
トップニュースカルーセルからAMP要件がなくなる
Core Web Vitalsをランキング要因にしたのとほぼ時を同じくして、
トップニュースカルーセルからAMP要件がなくなりました。
先日当ブログでもお知らせした通り、アメブロも新規記事のAMPページ生成を停止しました。
これまでAMPの大きなメリットであったトップニュースカルーセルに出る条件というものがなくなったためです。
AMPは現在でもAMPキャッシュによって表示することによってLCPの改善等に役立つため、
Core Web Vitalsの改善という課題を解決するひとつの手段として効果的であったり、単純にAMPキャッシュで返す分のサーバコストの節約になるという側面もあると思います。
一方でスタンドアロンAMPでない場合は管理コストがかかるということがあるためアメブロでは上記のような決断をしました。
「AMPやめてどうなったか?」という質問をよくいただきますが、コアアップデートと重なってしまったため正確にわからない部分はあるものの、AMP停止による検索流入の減少は起こっていないと思います。
Non AMP SXGやBentoなどもあり、GoogleとしてもAMPそのものを使ってほしいというよりAMPコンポーネントを使ってほしいという方向に変わってきているように思います。
なお、弊社としてもアメブロはじめすべてのサービスにおいてAMPをつかわなくても快適なユーザー体験が提供できるようにしたいと思っています。
ホスト貸し・サブディレクトリ貸しの横行
ホスト貸し・サブディレクトリ貸しによってYMYLをクリアしようとしたり、サイトの力を利用して簡単にランクをあげようとする施策が横行しています。
明確なガイドライン違反ではないため、Googleもそこまで大々的に対処しているようには見えないため、その数は増え続けていると思います。
新聞社や保険会社などさまざまな業界のサイトでこの状態が起こっています。裏で手を引いているアフィリエイトASPの存在もわかっています。
ひょっとしたら弊社でもこの動きに乗っかっているところがあるかもしれないので、その際は全力で止めたいと思っているのですが(止まるかは知りませんが)3つの点でおすすめできません。
1.ブランドが棄損する
大企業でサブディレクトリをアフィリエイトの場として貸しているサイトが多く見られますが、正直格好悪いと思います。
また今後は炎上リスクもあると思います。
炎上すれば、"ネガティブサイテーション"によってサイト全体のランクが落ちることが予想されます。
2.ランクダウンリスクがある
現状でもサブディレクトリ貸しされているURL配下にランクダウンが起こるケースがあります。
金融系キーワードなどいくつかのサイトでアフィリエイトコンテンツの大幅なランクダウンが確認されています。
アルゴリズムによるものなのか手動なのかは定かではありませんが、不安定であることに間違いはありません。
また、ガイドラインで明確に禁止されれば本体サイトも落とされる可能性は否定できません。
3.検索が使われなくなる
かつて若い人を中心に「Googleの上位の情報は信頼できないからTwitterやInstagramで情報を探す」ということが言われていました。
Googleの努力とウェブマスターの倫理観の向上によって(?)この状態からは脱却しつつあり、だからこそよりSEOの重要性が高まったとSEO屋のはしくれとしては嬉しく思っていました。
ところが、最近このサブディレクトリ貸しによって同じような状態が発生していると思います。
検索結果が"汚れた"状態になればユーザーが検索を使わなくなります。
最終的にそれによって損をするのは自分たちです。
自分たちで自分たちの勝負の場を汚すことはかならず自分たちにしっぺ返しが来ることは認識しておくべきだと思います。
どこまでがドメイン貸し、サブディレクトリ貸しなのか?は難しいところです。
情報メディアがやるのは良いけどメーカーがやるのはダメというのは違うという意見もあろうと思います。
Amebaでもサブドメインでいろいろなサイトを展開しており、見方によってはドメイン貸しとも言えるでしょう。
一方で、サブディレクトリに別ブランドを作っても自社で良質なコンテンツを出していれば良いという考えもあるでしょう。
実際にそこに貸し借りは発生していないわけですから。
線引きは非常に難しい問題であるので、ぜひGoogleにはガイドラインを作っていただきたいと思います。
ただ、ユーザー評価テストの結果などがフィードバックされていけばいつかは自然淘汰される問題ではあるかなとは思いますが。
以上長文におつきあいいただきありがとうございました。
(*長い記事を書くときのアメブロのエディタの使いにくさに気づいてしまったのでフィードバックしておこうと思います・・・)
2021年も2020年に引き続きコロナ禍という特殊な状況が継続しており、さまざまな難題に向き合わざるを得なかった方も多いと思います。
SEOにおいてもうまくいったりいかなかったりという状況は続くと思いますが、最終的には
プロダクトやサイトを徹底的に良いものにして、その良さをGoogleにきちんと伝えられるように記述に気を配ったり、クロール&インデックスに気をつけたりということをしていく
ということにかわりはないと思います。
2022年がみなさまにとって良い年となることをお祈りし、振り返りとさせていただきたいと思います。
どうぞみなさま、良いお年をおむかえください。
株式会社サイバーエージェント SEOラボ研究室長 / Ameba SEO戦略室長 木村 賢 (@kimuyan)
追伸:今年中にTwitterフォロワーを1万超えさせると宣言していたのですが、現在(2021/12/24 16:00)9975という微妙なラインまできております。よかったらみなさま、Twitterもフォローしてやってください。よろしくお願いいたします。
https://twitter.com/kimuyan