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ネットショップ担当者フォーラム - 2015年5月25日(月) 07:00
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スクロール360のSLC磐田とコンタクトセンターを探検しました(連載第10回)

前回に引き続き、スクロール360の配送センターの探検です。お隣の磐田(いわた)市に移動して、アパレル商品や雑貨専門の「SLC磐田」を、再び浜松市に戻って「コンタクトセンター」を見せていただきました。SLC磐田は「ささげ」も行っているそうです。ん? ささげって何? 記事の最後にプレゼントのお知らせがあります。 写真◎吉田 浩章

ここが「スクロールロジスティクスセンター磐田」(以下、SLC磐田)。アパレル・雑貨の専用倉庫として2009年に誕生しました。

SLC磐田の外観
SLC磐田の外観。トラックが一度に12台やって来ても大丈夫な広さです。
株式会社スクロール360取締役オムニチャネル戦略室長の高山隆司さん
お話を伺ったのは、株式会社スクロール360取締役オムニチャネル戦略室長の高山 隆司さん。数多くのネットショップオーナーに頼られている「通販物流のレジェンド」。
荷下ろし場
扉を開けて(みるふりをして)みました。
ささげとミシンで効率アップ

SLC磐田はピッキングして出荷するだけではありません。

「撮影、採寸、原稿アップという業界的にはささげ業務というんですが、倉庫に商品が届いたら、専属のチームがすぐに撮影し、撮った写真を選んで画像加工を行います。その商品の寸法も測り、商品のコピーライティングを行って原稿アップをします。それをショップさんに納品すると、そこからすぐに販売が可能になります。倉庫の中で撮影ができれば、撮影のために商品をスタジオに送る時間が不要になるので、時間をすごく短縮できるんです」(高山さん)

撮影風景1
商品ひとつひとつを丁寧にセッティングして、ネットショップ用の画像編集を行います。
撮影風景2
ネットショップは写真で売れ行きが大きく変わりますから、重要な任務ですね。

 

「倉庫の中にミシンを9台くらい配置していて、裾や袖の寸法直しができます。あるショップさんの例で言うと、そのショップさんはスーツの在庫を倉庫には持っていなかった。注文が来ると実店舗の在庫をあたって、Faxで物流倉庫に送るように指示を送っていました。でも、実店舗は自分のところの売上にならないから後回しにしちゃう。だから発送するまでに2日かかったりして。で、倉庫に届いてから『あ、これは裾直しが必要だ』となって、今度はまた裾直し工場に送る。それが戻ってきてやっとお客さまの所に出荷していました。だから、出荷までに8日から10日くらいかかっていたんですね。また、出荷までの時間が長ければ長いほどお客さまからの問い合わせが増え、スタッフがその対応に追われることになります。

そこで僕らが提案したのは、売れ筋である2割の商品を倉庫に置いて、8割の注文に対応すること。売れ筋以外の商品は店舗から取り寄せますが、8割の注文はすぐに出荷できる。しかも、倉庫の中に縫製工場があれば、寸法直し済みの商品をお客さまにお届けできる。一大改革をしまして、8日から10日かかっていたところが3.7日で届くようになり、お客さまからの問い合わせも激減しました」(高山さん)

ミシン場1
この日の作業はすでに終わっていましたが、専門スタッフがここで裾丈直しの作業を行っています。
ミシン場1
高山さんと一緒にお針子気分(笑)
アイロン
もちろんスチームアイロンもあります。
ノウハウが詰まったピッキングエリア

洋服やバッグの他に、カラーコンタクトレンズもよく出る商品の1つ。コンタクトレンズを扱うために、高度管理医療機器の免許も取得しました。カラコンを販売しているとあるショップさんと、その仕入れ先の別の企業が同じようにこのSLC磐田に商品を置いていると分かり、「倉庫内仕入れ」をすることになったそうです。トラックで配達していた商品が、台車で運べるようになったので、時間もコストも大幅な節約です。

カラコン
同じような商品がずらりと並んで間違えそうですが、棚のバーコードと商品のバーコードを紐付けしているので初めての作業員さんでも大丈夫だそうです。さらに商品のQRコードも記録して、ロット番号がわかるようにしているため、万が一不良があった場合のトレーサビリティ管理も万全。
ワイシャツ
ワイシャツ通販のozie(オジエ)さんの商品。オジエさんでは素材感などを実際に試したいという方のために六本木にショールームを開設しています。ショールームで気に入ったけどサイズが合わないとなったら、SLC磐田に置いてある約5,000点の在庫から商品をピックアップし、袖丈は倉庫内のミシンでぴったりに直して出荷しているそうです。まさにオムニチャネルですね!
Tシャツ
ネットショップを利用する個人のお客さま向けの配送だけでなく、アパレルメーカーの全国の店舗への配送も行っています。たくさんのTシャツが全国のお店に旅立っていくんですね。
RFIDタグの検品ブース
こちらはRFIDタグの検品ブース。ほかの電波も拾ってしまうのでアルミで囲まれています。RFIDとは「Radio Frequency Identification」の略で、ICタグとも言います。Suicaのように非接触で読み取りや書き込みができ、入荷検収や棚卸の効率化のためにバーコードに替えて導入する企業が増えてきているそうです。役割としては今のバーコードと同じですが、1点1点読み込む必要がなく、ピッキングしてきた商品をここに並べれば一瞬で読み取りが完了します。店頭での棚卸でも威力を発揮します。高山さん曰く「うちわみたいなの(読み取り機)でわーってやると棚卸し終了」!
刃物はボードで管理
はさみやカッターが誤って商品の中に入ってしまっていたら大変! だから誰が使っているか厳重に管理しています。
丸ごと頼れるコンタクトセンター

最後にスクロール360さんの本社に伺いました。スクロール360さんは物流代行だけでなく、通販ソリューションをトータルに手がけています。その中の1つ、スクロール360の「コンタクトセンター」は、受注処理や問い合わせ対応などのカスタマーサービス業務を主に行っています。スクロールやグループ企業各社の業務だけでなく、外部企業の受託も行います。HDI-Japan(ヘルプデスク協会)の「問合せ窓口格付け」で2012年に三つ星を獲得したこともある実力派!

「社内的にはやって当たり前のことだったんですが、外の方に評価されるのは非常に大きいなあと思いました。豊富な経験と専門のノウハウ、CRMという言葉がない時代から、お客さんと関係を大事にしようということをやってきました。一般的なセンターとの違いは、物流、決済、プロモーションなどを一手に引き受けていますので、まとめてワンストップでご相談いただけることです。例えば、注文のキャンセルがあった場合、外部のセンターさんだと商品がどこにあるのか探している間に届いてしまいますよね。弊社なら受注段階でのキャンセル、出荷の差し止め、配送止めの三段階で止められます。また、商品に何か問題が発生した場合も、その商品を含む注文を一旦すべて止められますし、届いてしまったお客さまがあった場合は、どんな対応にするかという対策も考えます」(大田さん)

長い歴史の中で培ってきた経験と、ワンストップで任せられる安心感が違いますね!

株式会社スクロール 通販CCチーム マネージャー・チーフスーパーバイザー 鈴木 真弓さん(左)と、株式会社スクロール360 フルフィルメント部課長 コンタクトセンターユニット長 大田 晋祐さん(右)
株式会社スクロール 通販CCチーム マネージャー・チーフスーパーバイザー 鈴木 真弓さん(左)と、株式会社スクロール360 フルフィルメント部課長 コンタクトセンターユニット長 大田 晋祐さん(右)。

「グループ会社の豆腐の盛田屋など、インフォマーシャルを実施している企業から『何月何日の9時から30分だけ、3,000本入電があるから取ってくれ』と言われれば、こちらでネットワークを組みます。ここだけでは取れませんから全国約10か所のコールセンターと連携するんです。自分で10社に依頼するのは大変だと思いますが、我々なら1社に依頼する感覚で頼んでいただけます。30分から1時間半で、最大約3,000本の電話対応が可能です」(大田さん)

スクロール360のコンタクトセンター
スクロール360のコンタクトセンター。電話をメインにした職場だと、パーティションで区切られたオフィスを連想しますが、ここはオープンです。10時と14時という出荷のタイミングに間に合うように倉庫に指示を送りつつ、かかってくる電話にも対応しつつ、さらにメールでの問い合わせにも対応しているそうです。忙しい!
コミュニケーターの匠の技に迫る

続いて、現場の皆さんがどんな風に業務を行っているのか見せていただきました。スクロール360では電話やメールでお客さまと接する担当者を「コミュニケーター」と呼びます。「お客さまとコミュニケーションを取りましょう」というモットーだそうです。

コミュニケーターの仕事は、大まかに言うとテレマーケティング・システム(以下、テレマシステム)に登録されたお客さま情報を見ながら、注文や問い合わせに対応することです。徹底しているのは、すべてのコミュニケーションをシステム上に記録し、スタッフ間で共有するということ。

スクロール360の親会社でカタログショッピング大手のスクロールのテレマシステムの画面で、実際の接客方法を見せてもらいました。

「いまどんなトラブルがあり、どんな対応をしていて、次にそのお客さまから入電があったらどんな対応をするべきか、テレマシステムにすべて情報があります。そうしておくことでどこのセンターでも、新人でもベテランでも同じように対応できるのです。よく注文の途中で『いまから電車に乗るから続きはあとでかけ直します』と言われることがあるのですが、次回も同じコミュニケーターにはつながるとは限りません。でもシステムにすべて書かれていれば、別のコミュニケーターでも前回の続きから会話を始められます」(鈴木さん)

近年ではWebからの注文が増え、電話での注文は減ってきているとはいえ、一定の数からは減らないそうです。というのも、ネットショップの画面を見ながら注文の電話を掛けてくるお客さまが意外と多いそうです。

「商品について相談したいとか、納期を確認しながら注文したいというニーズがあります。私たちも同じ画面を見て対応します。収納家具などは『娘1人で運べるでしょうか?』といったご質問も受けます。そういう場合は取扱説明書などの商品情報を呼び出して、重さや梱包の状態をお伝えします。

このテレマシステムには、7割くらいのご質問にはすぐに回答できるだけの情報を盛り込んであります。商品の細かい仕様についてもよく質問をお受けするんですが、ここに情報があればすぐ回答できます。現場で新たに受けた問い合わせやご意見もシステムに登録し、ナレッジとしてさらに積み重ねていきます」(鈴木さん)

鈴木さん
「何か災害があったときは、その地域のお客さまには『大丈夫でしたか? 大変でしたね』とひと言を伝えてからご用件を承ります」と鈴木さん。隅々までホスピタリティが行き渡っています。

画面にも工夫がされています。例えば、メモの欄をあらかじめ広めに取り、スクロールせずに見られたり、顧客情報や商品情報などをタブで切り替えられたりすることです。また、画面の左から右にお客さまと会話しながら入力していき、必須項目を飛ばすと次に進めないといった、ミスを防ぐ工夫もされています。長い年月の中で使いやすいよう、ミスが起こらないよう、練り上げられたシステムですね。画面の隅にある「顔のマーク」もその1つ。

「顔マークはお客さまとの会話が、どんな顔で終わったかを笑い顔や怒り顔で表しています。このシステムを作ったときは遊び半分で『ここが良い顔だったら顧客継続率が上がるんじゃないか』と検証用に作られたそうです。結局データとしては活かせませんでした。でも、現場の私たちにはこれが一番重要な機能となっています。受電時に最初に確認するのはこの顔マークなんです。もちろん怒り顔だったら細心の注意で対応していきます。 システム担当からヒアリングを受けた時に、この顔のマークの機能を理解してもらえなくて『顔じゃなくても良いじゃない』って数字化したらどうかと言われました。でも、顔の方が直感的に伝わりますから、やっぱり顔であって欲しいんです。システムを管理する側には関係ないんですが、現場には重要なんですよね 」(鈴木さん)

システムの中が笑い顔でいっぱいになるといいですね!

♡♡♡

このコーナーの一番の醍醐味は、働いている人たちの顔が見られること。

スクロール360さんでは、すれ違った従業員の方たちが、みなさん元気に挨拶をしてくれて驚きました。

「こんなに気持ちのいい雰囲気の会社、他にあったかな?」と。

 

これは私事なのですが、今回の取材中、地元の友人と偶然再会をするという奇跡の事件が起こったのです。

仕事を忘れて大泣きしてしまった私に、一日中案内をしてくれていた高山さんが「きっと日頃の行いが良いから、神様が見ていてくれたんですね」と素敵な言葉をかけてくれました(さらにガン泣きっ)。

その時、ハッとしたんです。「日頃の行いが良い」という言葉は、ぴったりそのままスクロール360のみなさんを表しているように思ったのです。

努力や経験を重ねた分だけ、人を満足させることができた分だけ、未来につながる場所を生み出すことができるのだと。

 

消費者はモノやサービスだけでなく、モノを得た先にあるものを欲して買い物をするのかもしれません。未来の自分に「今よりちょっと良い人生」を手に入れてあげるために─。

クリックひとつで簡単に欲しいものが買えて、ちゃんと届いて当たり前なネットショッピングの裏側では、そんなお客さまの希望をサポートするための、並々ならぬ工夫と努力が積み重ねられていたのでした。

高山さんと

読者プレゼントのお知らせ

スクロール360取締役の高山隆司さんが執筆した書籍「ネット通販は物流が決め手!」を5名様にプレゼントします! 詳しくはこちら!

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はぴさや

福島生まれ東京在住。旅と社会科見学が好きな“シャカケン女子”。「見る、知る、伝える」をモットーに、東北のメッセンジャーとして発信を続けながら、ディスプレイコーディネート、チョークアーティスト、女優、ライター業を手がけるなど活動は多岐に渡る。人がつながり、その輪が広がるハッピーな場所づくりを目指して日々成長中。

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