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ミレニアル世代を開拓~シボレーのオンライン・キャンペーン」 からご覧ください。
マーケティングとコミュニケーション専門家向け会議「アドバタイジング・ウィーク(Advertising Week)」が2013年9月23~27日までニューヨーク市で開催された。期間中は各所でさまざまなイベントが行われたが、そのうちのひとつ「OMMAグローバル(OMMA Global)」(メディアポスト・コミュニケーションズ主催)で発表されたシボレー(Chevrolet)のコンパクトカー「ソニック(Sonic)」のソーシャル・メディア・キャンペーン事例を紹介する。
シボレーは、米自動車大手ゼネラルモーターズ(General Motors)が製造・販売する自動車のブランドだ。2011年、最新コンパクトカーを「ソニック」の名前で北米市場に投入した。「2000年以降に大人になった、いわゆる“ミレニアル世代”を対象にコンパクトカーを売る」――この課題を解決するために出した答えは、「マーケティングやPR手法を根本から変えること」だった。
ターゲット層を研究
「自動車業界専門家による評価が高いにもかかわらず、シボレーのコンパクトカーの認知度はさんざんなものでした。」
シボレーのコミュニケーション・マネージャー、アナリサ・ブルーム氏は、「ソニック」投入前に実施した市場調査の結果をこう表現する。
シボレーのコミュニケーション・マネージャー、アナリサ・ブルーム氏
2011年当時のシボレーは、購入者の平均年齢が50代後半と高く、しかも主力製品は大型車とスポーツカー。「ソニック」がターゲットとした18~30歳のミレニアル世代にとって、シボレーは購入検討の対象にも入っていなかった。
ほかにもミレニアル世代の特徴として、これから迎える人生の新しいフェーズに期待感を抱いていること、新しい「冒険」を生きがいにしていること、などがわかった。
「ミレニアル世代とコネクトするには、(シボレーとそのメッセージが)時代の最先端であること、オリジナルであること、本物であること、そして共感してもらえることが必要不可欠でした。そのためには、オンライン要素を取り入れ、さらに彼らの興味を引く方法を考える必要がありました。それらは、従来のテレビCMだけでは到底できないことでした。」
Let’s Do Thisキャンペーン
そこでシボレーは、「新しいことをやってみよう、挑戦しよう」という意味の「Let’s Do This」ソーシャル・メディア・キャンペーンを開始した。シボレーが用意した複数の課題に一般消費者が挑戦し、1つ完了するたびにポイントを獲得できる仕組みで、最終的に獲得ポイント数の最も高かった人に「ソニック」をプレゼントするというものだ。参加者には、課題に挑戦中の様子を撮影した動画や写真の投稿を呼びかけた。
テレビCMを6カ月見送り
Let’s Do Thisキャンペーンでは、ほかにもさまざまな企画が用意された。特に話題を呼んだのは、シボレー制作の動画、「ソニック」初挑戦シリーズだ。鉄塔から「ソニック」が「バンジージャンプする」様子や、飛行機から「スカイダイビングする」様子(写真)をとらえた動画はYouTubeで人気を集め、オンライン雑誌で取り上げられたほか、テレビ番組でも紹介された。
飛行機からソニックが「スカイダイビングする」動画は、YouTubeで人気を集め、テレビ番組でも紹介された。
シボレーは、「ソニック」発売から6カ月間は、ソニックのテレビCMを一切行わなかった。ターゲット層を絞り、ソーシャル・メディアを使ったキャンペーンだけで「ソニック」の認知度アップに成功した。バンジージャンプやスカイダイビングの動画は、公開から2年経った今も閲覧されているという。
Home For The Holidaysキャンペーン
年末のホリデーシーズンに合わせて実施した「Home For The Holidays」はコンテスト形式のキャンペーンで、ソーシャル・メディア向けのクイズやゲーム開発のデイリーブレーク(Dailybreak)と共同で実施した。「ソニック」を含むシボレーのコンパクトカー3車種に馴染みがないという消費者層へのアプローチを狙い、「家族、特に祖父母とのつながりを大切にする」というミレニアル世代の傾向に注目したものだ。
まず、冬場の運転に関するオンライン・クイズに参加してもらい、次に、家族向けにオンライン・ホリデーカードを作成し、コンテストにエントリーすることを促した。一般消費者が好きな作品に投票し、最も得票数が多かったカード作成者に新車をプレゼントする。
カード作成ツールはデイリーブレークが提供した。カードには、新車をプレゼントしたい家族の写真と、なぜプレゼントしたいのか、その理由を書くことが条件だった。
その結果、クイズ参加者の30%がホリデーカード・コンテストにエントリーした。2週間のキャンペーン期間中に約6,500件の作品が集り、投票総数は71,000票に達したという。
「応募作品はどれも熱意の感じられるものばかりで、期待以上のものでした。高齢で運転ができなくなった祖父に車をプレゼントして、誰もいない駐車場でもう一度運転させてあげたいなど、カードに書かれたストーリーには心を打たれるものが数多くありました。このキャンペーンは、ミレニアル世代の共感を得たという点で、非常に有効でした。」
2年間で売上高230%増
「ソニック」発売に際しテレビCMを6カ月見送る決定については、経営陣から強い反対があったという。それを振り切ってのマーケティングとPR戦略の一新だったが、これまでのところ結果は上々だ。「ソニック」の売上高は2年間で230%増加、購入者の25%以上は21歳以下の若者であり、さらに購入者の60%が「ソニック」を再び買いたいと答えているという。
「私たちにとって最大のチャレンジは、常に対象を意識し、嘘のない誠実なメッセージを送ること。巧妙な“仕掛け”を考えるのはとても簡単ですが、本当に難しいのは、(消費者に)実際にそれに参加してもらうことです。『ソニック』のこれまでのキャンペーンを通じて、消費者参加型、かつ記憶に残る印象的なコンテンツは、消費者とブランドの長期的な関係構築につながることを学びました。この経験を全社で共有し、マーケティングやPR戦略の見直しに生かしていきたいと考えています。」
寄稿者紹介
鶏内 智子(かいち ともこ)
フリーランスライター。ニューヨークを拠点に、ハイテク、メディア、ヘルスケア業界を中心に取材と記事執筆活動を行う。