初代編集長ブログ―安田英久

和真にメガネを作りにいったら、やんわり断られた。ファンになった。

ファンを増やす顧客対応について。買うつもりで行った店で「あなた、今は買わないでいいですよ」と言ってくれたのです。
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Web担のなかの人

今日は、ファンを増やす顧客対応について。営業など成果が指標の人にはもちろん、サイトの仕組みやコミュニケーションを考える人も「こうすればいいんじゃないか」と発想を広げられそうな出来事があったのです。

メガネを作るつもりで店に行った。でもやんわり断られた

先日、メガネを作りに和真(ワシン)さんに行きました。

ずっと裸眼だったのですが、少し視力が衰えてきたので、2年ほど前に別のメガネ店でメガネを作りました。

それから時間が経ってさらに目が悪くなったのか、夕方になると目が疲れてものが見づらくなるように。

で、うちの妻が「和真さんで、ちゃんとメガネを作ってもらえ」と。

妻はずっと和真さんのメガネを愛用しており、サービスもしっかりしていて信頼してるんです。

たしかに、椅子とメガネと靴は、ちゃんとしたところで買うのがいいんだろうなと思い、新宿の和真さんに行ってきました。

ひととおり視力を測定したあと(その測定も、前にメガネを作ったところよりも、いろんなやり方で細かかったです)、対応してくれた店員さんがこんな風に言いました。

新しくメガネを作っても、そんなに劇的には見え方は良くならないと思いますよ。

私はメガネを作るつもりで、和真さんの店に行っていました。

そして、お店はかなり空いていました(夏休みを利用して平日の昼過ぎに行ったので)。

なのに、やんわりとお断りされたのです!

もちろん実際には「断る」という態度なんてまったくなく、適切な情報をこちらに伝えたうえで、判断を私に委ねるという、ちゃんとした接客をしてくれましたよ。

私は感動して、和真さんのファンになってしまいました。

「1~2年したら、また来ます」と言って店を出てきたのですが、次に目が悪くなったと感じたら、間違いなく和真さんに行くと思います。

目の前の売上をたてるための営業と、ファンをつくる営業

家電量販店に行っても、アメ横に行っても、デパ地下に行っても、どこも店員さんは「売らんかな」モードです。何とかして買ってもらおうと押しまくります。

そりゃそうですよね。販売するために店舗をやってるんですから。

でも今回は、「あなた、(今はまだ)買わないほうがいいですよ」と追い返されたのです(繰り返しますが、和真の店員さんの接客は非常にていねいでしたよ)。

買う気で行っているので、ちゃんとした店で作ったメガネならば、プラシーボ的なものも含めていい気分になって帰る可能性は高いでしょう。

なのに、和真の人は、私の目と財布にとって良い選択肢を積極的に提示してくれました。

あの1回の来店での売上を和真さんは失いました。しかしその替わりに、それ以上の信頼を、たった1回の接客で生み出したのです。

「営業」という言葉の意味が、業界の集まりで話題になったことがありました。

「営業」というと、セールス(販売)の最前線というイメージが強いでしょう。デジタル大辞泉にも、次のような定義があります(第2義)。

得意先を回って顔つなぎをし、商品の紹介、売り込みをすること。また、新しい得意先を開拓すること。

でも、営業の本来の意味は、「業を営む」こと、つまり、大辞林にある次の定義ではないかという話題でした。

営利を目的とした事業をいとなむこと。また,そのいとなみ。

営業とは、「販売」というよりも、「ビジネスそのもの」ととらえるべきなのではないか。営業マンは、お客さんと直接やりとりする立場として、ビジネスの最前線で業務を行う人であり、単なるセールスマンではない。そういうことを、業界の重鎮たちと語っていたのを思い出します。

その観点でいうと、和真の方がとった対応は、「その日の販売」という観点のセールスマンとしては、失格でしょう。でも、「事業のいとなみ」という観点の営業マンとしては、正しいのです。

なぜなら、私はこれからの人生でずっと和真さんをひいきにする可能性が非常に高まったからです。

Webやマーケに、これをどう活かす?

少し前に、「うざい手数料をなくして収益を820億円伸ばしたチャールズシュワブの顧客ロイヤルティ経営」という記事を、このこのコラムでお届けしました。

顧客に価値を提供しない、会社都合の手数料(悪い売上)を撤廃することで、メリルリンチを超える資産を扱うまで成長した金融機関チャールズシュワブの話題です。

和真さんの顧客対応にも、同様の素性を感じます。

そして、チャールズシュワブに関する記事でも書きましたが、こうしたことは「会社の偉い人が考えること」ではなく、Webやマーケの現場でも実践しようと思えばできることです。

たとえば、こういうのはどうでしょうか。

  • ECで、「こういう場合にはこの商品はオススメではありません、その替わりに」と別の適した商品をおすすめできる仕組みを提供する。

  • 商品サイトで、「いまお使いのものから買い換えて、どれぐらい良くなるのかを価格と照らし合わせながら判断できる」仕組みを提供する。

  • 飲食店予約サイトで、「いつもご利用の店舗は大人向けの静かな店ですが、ここは若者向けのにぎやかな店です、大丈夫ですか?」と注意書きを出せるようにパーソナライズする。

あなたの担当業務で、「売らんかな」の販売ではなく、「あそこなら信頼できる」とファンを作るためにできること、どんなことがありますか?

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