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【寄稿】ウェブサイトの「一覧・詳細ページ分析と改善案」の考え方を学ぶGoogleアナリティクス勉強会に潜入してきました。

6 years 4ヶ月 ago

 

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こんにちは。
ネットサーフィンしていると見ているページの改善がしたくてたまらなくなる、提案型ウェブアナリスト兼ウェブ解析士の井水(いみず)です。

 

本日は、SEOやコンテンツマーケティングで有名な、Faber Company(ファベルカンパニー)の、Googleアナリティクスの勉強会に潜入してきました。


はじめは参加レポート程度で記事作成を考えていたのですが、社内でこんなサイト改善のノウハウや事例が学べるなんてずるい!と思いつつあれもこれもと使えそうなものをこっそりメモしつつ・・・(笑

 

詳細や事例の多くは公開できませんが、ダイジェストならOKということでシェアします。講師は、はいそうです「Faber Companyの社外取締役 Chief Analytics Officerでもある、ウェブ解析界の巨匠、小川卓先生」です

 

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本日のテーマはというと、こちら。


ウェブサイトにおける「一覧・詳細ページ分析改善案の考え方」

です。

 

ご存知の通り、コンバージョンUPのためにめちゃくちゃ貢献してくれるページたちの改善です。では、さっそくまいりましょう。

 

 

一覧ページの改善の考え方

小川さんの経験上、一覧ページの改善はどんなサイトでも改善すると良い共有点があるようです。そこで一覧ページならではの分析&改善ポイントとして、まずは以下3つを抑えるとのこと。

 

1. 一覧ページの目的は適切な選択肢を提示し選んでもらうこと
2. ヒートマップを活用して、利用されている箇所を明確にする
3. 絞り込み・お気に入り利用促進を狙う

 

それでは見ていきましょう。

1.選択肢を提示し選んでもらう

例えば不動産賃貸サイトの場合、ユーザーが一覧ページを見る際は何かしら希望の条件で絞り込んで物件を見ます。その際にどんな条件で絞り込んだ場合に、コンバージョンに結びつくのかを知ることが大切です。

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*絞り込み条件ごとの各指標まとめ (PPS = Pageview per session です)。

 

その結果、ユーザーにとってどういう条件で探すことが物件選びの決め手となるのか、そして、どれが成果につながっているのかを確認できます。上記のデータを見るだけでもたくさんの気付きがあるのではないでしょうか。

理由がわかれば、特集ページを作成する、優先的にレコメンドするなどの施策に繋がっていきます。まずユーザーがどういった手法やニーズで情報を探そうとしているのかを把握しましょう。 

2. ヒートマップを活用して、利用されている箇所を明確にする

一覧ページの閲覧箇所をヒートマップで確認すると最上部と最下部が見られていることがわかります。

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最上部はもちろん関連性の高い物件が出ているので、よく閲覧される傾向にあります。そして情報があるところの最下部は、そこでいったんスクロールが止まるため、目に入りやすくなります。逆に真ん中のエリアは見られていないことが多いようです。

離脱を防いで、一覧ページから詳細ページへ遷移すればするほど、コンバージョンにも結びつきやすくなりますが、一般的な遷移率は5割〜7割くらい。この数値は「エリア」「条件」など絞り込みをさせればさせるほどその率は上がっていきます

 

では、どのように絞り込みを促すとよいのでしょうか?
またどのように一覧ページの改善につなげると良いのでしょうか?

 

3. 一覧ページの改善方法
一覧ページを改善する際に押さえておきたいポイントは以下の3つです。

・絞り込みをしてもらうための機能×出すタイミング×出す場所

・一覧→詳細→CV(一覧情報少な目)一覧→CV(一覧情報多め)

・適切なものが無い時の「横ずらし」を提案する

ひとつ前提として押さえておきたいことが、ただ絞りこませるだけでなく「絞り込めば理想の物件に出会える」という直接的ポジティブコピーとセットにすることが重要です。

一覧ページに出している(各商品)情報が少なければ「詳細へ」に誘導するかがポイント。しかし一覧ページでの情報が多めだと詳細に行かずにコンバージョンしてもらうためのボタンが必要にになります。

 

更にユーザーの思いとして、1位ページ目にいい内容がでてこなければ、2ページ目にいっても、今以上に欲しい商品が出てこないと感じています。

その対策として1ページ目が終わると次の一覧ページ誘導するのではなく、別の条件の検索(絞り込み)を提案するということが効果的です。

 

具体例を見ていきます。

事例1)物件サイトで、一覧ページにさらに以下のような情報を加えるたことで遷移率が大幅にUPしました。

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事例2)
ヒートマップで離脱が多くなっている箇所を特定して新たな検索提案しました。

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以上絞り込み機能の利用促進の事例でした。

 

詳細ページの改善案の考え方

詳細ページならではの分析ポイントがあります。
それは以下の3つです。

1. いかに複数の詳細ページを見てもらうかがCVアップの鍵
2. ページ内のどの機能が利用され興味を持たれているのか
3. 商品状況をデータで取得して分析できる状態にする

それでは見てまいりましょう。


1. いかに複数の詳細ページを見てもらうかがCVアップの鍵

買い物をするつもりのユーザーの多くは指名買いではない限り、自分の欲しい物をわかっていないという傾向にあります。解決したい「こと」はあるけど、それに必要な「もの」が分からないという事です。

サイトにある商品を比較してもらうことでユーザーが自分の欲しい物を、より明確にすることが可能になり判断ができるようになります。そこで大切なのが、いかに複数の詳細ページを見てもらうかという視点です。 

ではどのように詳細ページを複数見ても得ばよいのでしょうか?
その対策を紹介します。



まず複数の詳細ページを見てもらうためにはレコメンドが鍵になります。

その上でのポイントは、譲れる条件と譲れない条件を分析から整理し「譲れる条件」をレコメンドするです。

 

例1)不動産物件を選ぶ場合
5万円以内の物件を探している人に8万円の物件をススメても絶対に刺さりません。

例2)旅行の場合
台湾旅行のプランを探している人に、ラスベガスのプランをレコメンとしても選ばれません。

 

これらからわかるように譲れる条件を察知してレコメンドするようにしましょう。
またレコメンドする理由をあえて記載することもユーザーの納得につながり評価を得やすいです。

 

2. ページ内のどの機能が利用され興味を持たれているのか

レコメンドのUIはABテストがオススメ(件数・情報量・並び順)です。
こちらは、やってみて良いものを採用することが確実です。

またヒートマップツールでどの機能のニーズが高いかを把握し、利用を促進することも良いでしょう。


その際の確認ポイントとしては、

・CVあり・CV無しのセグメントで分析
・スクロールの離脱ポイントを対策する
・閲覧時間が長いところへの対策、情報の必要あり/なしの切り分け

などが挙げられます。

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次は技術的には高度になりますが、とても有効な方法を紹介します。

3. 商品状況をデータで取得して分析出来る状態にする

Googleアナリティクスを設置するだけでは取れないデータを、カスタムディメンションをつかって取得するという手法です。

 例えば商品ごとの在庫やセールの有無です。
これらを取得することで、

 

・在庫なしのページをどれくらいみられているか
・値引きしている商品とそうでない商品どのくらい購買に差が出るのか

などがわかります。

 

一般的に売れてる商品はよくチェックされますが、お客様が買いたいと思っている商品なのに在庫不足のものは売れない商品と見られがちです。これは機会損失を招きます。

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これらはデータ取得のために工夫が必要ですが、有効なデータは取得すると改善が加速します。 


どんなページでも使える改善案の考え方

一連の改善ポイントを学んだ上で最後はグループワークを行いまいした。
テーマは以下です。

 

Q. 結婚式場のチャペルのページのレイアウトを考えてみましょう。

さて、各チームに別れて皆さん色々なアイデアが飛び交います。

でた意見の一部を紹介します。

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・チャペル全体像を移した写真
・花嫁のこだわりを叶える設備やスタッフ
・音楽を流す

 

などなどどれもユーザーのニーズに応えられそうな内容が盛りだくさんでした。

 

結果、
小川さんからの回答は・・・

ユーザーのニーズに合わせてコンテンツを入れる→50点

気持ちを考慮したコンテンツと導線を用意している→100点

 

よくユーザーのニーズに応えるコンテンツを作るとはいわれますが、もう1点「読み終わった後の気持ちを想像しコンテンツを用意する」という点を意識してページを作る。

つまりコンテンツづくりはそのページに何が必要かだけでなく、次に何が必要になるかをセットで考えることが重要とのことです。

 

私もワイヤーフレームはよく書くのですが、コンテンツを作って公開後にリンクを付け足していく、ボタンを目立たせる経験が多々あり。また他社の分析で導線を整理するだけで成果が上がったことも多々あり。

作ってから交通整理をするのでななく、目的地へ迷わずたどり着ける道を作ることがコンテンツ制作のあり方だと改めて感じました。

 

その後は質問タイム、沢山の質問がでてこれまたFaber Company社員さんの熱量が感じられました。

 

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最後に

本セミナーの学びとして、記事を読んでくれた方が次に役立ちそうな、小川さんの記事のリンクを付けておきます!

 

www.mediatechnology.jp

 

それはHappy Analytics!!

ナイキがデジタル+ショッピングの新店舗「実店舗でデジタル主導の体験を」

6 years 4ヶ月 ago

スポーツブランドのナイキは11月1日、ナイキメンバー(会員)の意見や会員データを活用して品ぞろえやサービスを変える新店舗「NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLE」を東京・渋谷に出店した。

ネットで注文した商品の店頭受け取りや、アプリを通じた特典の提供など、デジタル技術を活用したサービスを展開。実店舗でデジタル主導の体験を提供する。

「NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLE」は「Like Live」と呼ばれる新しいコンセプトストア。会員データなどをもとに、消費者のニーズに対応した商品やサービスを提供する。ナイキによると米国以外で「Like Live」を出店するのは今回が初めて。

アプリを活用して実店舗の買い物体験を変える「NIKE アプリ・アット・リテール」のコンセプトを採用。店頭の商品バーコードをスマホアプリで読み込むことで、商品情報を閲覧できる。商品の店頭受け取りや、取り置きもアプリで行える。

「NIKE アプリ・アット・リテール」を採用している実店舗は、日本では「NIKE HARAJUKU」(東京・原宿)に続く2店舗目。

「NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLE」ではこの他、アプリ内のメンバーパスを使ってデジタル自動販売機「Nike Unlock Box(NIKE アンロック ボックス)」から無料ギフトを3週間に1回の頻度で受け取れるサービスなども提供している。

渡部 和章
渡部 和章

GoogleのBERTアップデートはコンテンツマーケティングにどのような影響を及ぼすのか?

6 years 4ヶ月 ago
2019年10月末にGoogleはBERTと呼ばれるアップデートを導入したことをアナウンスしました。検索キーワードの10分の1に影響を与えるという発表もあり、多くの注目を集めました。BERTとは「検索キーワードとコンテンツの理解をより良く行えるようになる」という技術となりますが、具体的にはどういった変化があったのでしょうか。BERTがもたらした変化とSEO担当者としての考え方を、ニール・パテル氏が提案している記事を紹介いたします。 続きを読む

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップを公開します

6 years 4ヶ月 ago

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップを公開します。

ツイートは下記にまとめました。

次のブログなどにて取り上げていただきました。

こちらは出演者のブログ

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(6)木達 一仁さん

6 years 4ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、木達 一仁さん(ミツエーリンクス)の『【クロージング・トーク】インクルーシブネスを超えて』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

コメント

クロージング・トーク「インクルーシブネスを超えて」を担当しました木達です。

CSS Niteでの登壇は今回が通算で5回目、昨年9月に開催されたLP58「Coder’s High 2018」以来だったのですが、終始、早口かつ声が上ずり気味で、聞き取りにくいところが多々あったと思います(アンケートでもご指摘をいただきました)。まずはその点をお詫びいたします、申し訳ありませんでした。

講演内容につきましては、他の登壇者の皆さんがお話しされた内容にほんの少しずつ触れながらも、締めのセッションとして私が特に強調したかったのは以下の2点です:

  • 電気や水と並ぶまで情報がライフラインと化した昨今、Webコンテンツにとって必須の品質としてアクセシビリティを捉え、それを高めるための取り組みを、業界としてますます強化しなければならない
  • そうした取り組みに着手することは大事だけれど継続はもっと大事であり、いきなり欲張ったりせず「できること」から少しずつ、プロセスとカルチャーの両面から実践していただきたい

特に2点目については、「小さく産んで大きく育てる」という言葉を用いてお願いをしました。ともすると、いきなりWCAGやらJIS X 8341-3やら、小難しいガイドラインを読み始めがちなのですが、当日の配布資料にあった植木校長の「基本のキ」から小さく始めていただければと思いますし、澤田さんが解説された「ちゃんと画像の代替テキストをつける」、最初はそれだけでも十分かと思います。

ただし、一度始めた取り組みは、途中でやめたり縮小させないでいただきたいと思います。そうしていただくことで、確実にWebはよりアクセシブルなメディア/プラットフォームへ進化し続けるでしょうし、それが回り回って社会全体に、あるいは異なるニーズをもつ私たち一人一人にきっと良い影響をもたらすと、私は信じます。

アンケートにご記入いただいた感想はすべて、拝読させていただきました。「勇気づけられました」「心が軽くなりました」「小さく始めていこうと思います」「モチベーションが上がりました」「もっとやる気が出ました」など、大変ありがたい感想もあって、嬉しく思います。またいずれ、ご縁がありましたらCSS Niteの場でお目にかかりたいと思います。改めて参加された皆様、そして鷹野さん・植木さんはじめ運営側で尽力くださった皆様に、感謝申し上げます。ありがとうございました。

質問と回答

品質の先に何があるんですか!

哲学的な問いをありがとうございます。深いですね……脊髄反射的には「幸福」という言葉が思い浮かんだのですけど、自分もその答えが知りたくて、さまざまな品質向上の旗振り役を担ってきた気がします。あくまで一意見として、ご納得いただければ幸いです。

Tシャツ欲しいです

本当(本気)ですか?ありがとうございます!!実は、私が着ていた「アクセシビリティ チョットワカル」とプリントされたTシャツは、SUZURIというサービスで作ったもので、同じものをどなたでもご購入いただけます。ちなみに何枚お買い求めいただいても、私に儲けなどは発生しませんので、ご安心ください。

アクセシビリティっていう呼び名、アクセシブルじゃなくないですか?日本語で適切な呼び名あると思いますか?

逆に気になったのは、なぜ「アクセシビリティ」という呼び名がアクセシブルではないとお感じになったか、です。発話しにくいでしょうか、それとも意味が類推しにくいとお考えだからでしょうか。私自身は、もう何年もこの言葉と向かい合ってきたせいで麻痺してしまったのか、特にアクセシブルでないと感じたことはありません。そのいっぽうで、障害者対応や高齢者対応という色がついてしまっている印象から、別の言葉に置き換えられないか……などと考えたことはあります。

あらゆる製品やサービスの基本要件、基本品質としてアクセシビリティの認知が進めば、いずれ「アクセシビリティ」という言葉を使わなくてもよくなるかもしれません。

「アクセシビリティおじさん」自称するのは良いですが「1社に1人」のように役割として呼称するのは疎外感があります。年齢や性別で固定されるものではないはずなので

おっしゃる通りだと思いますし、自分が言葉足らずで失礼しました。年齢や性別関係なく、アクセシビリティ向上の旗振り役という意味合いで「アクセシビリティおじさん」という言葉を捉え直していただければ、ありがたく思います。言い直させていただけるなら、私が申し上げたかったのは、「1社に1人」くらいにまで旗振り役の数が増え、自分がその中に埋没してもむしろそれで本望、ということです。

インクルーシブとユニバーサルは同じものと捉えてよろしいのでしょうか?

異なる言葉である以上、辞書的かつ厳密には同じ意味ではないわけですけど、Webデザインという文脈において実務上は同じものと捉えていただいて支障はないと思います。ユニバーサルデザインとは何か、については障害者の権利に関する条約の「第二条 定義」に、以下のようにあります。

「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。

まさにその、「最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる」ようにするためのアプローチとして、より上流の工程から多様なユーザーを想定し、あるいは実際に多様なユーザーと一緒になって(巻き込んで)デザインに取り組む手法が、近年呼ばれているところの「インクルーシブデザイン」と自分は理解しています。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(5)小林 大輔さん、樋田 勇也さん

6 years 4ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、 小林 大輔さん、樋田 勇也さん(サイボウズ)さんの『サイボウズの組織的な取り組みとビジュアルデザイン』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

コメント

ご参加頂いたみなさま、本当にありがとうございました。登壇者の小林です。アクセシビリティをいかにチームで取り組んでいくか、私自身も試行錯誤の日々です。
発表した内容がそのまますべての組織に当てはまるとは限らないかもしれません。それでも、理想を大切にするマインドや、みんなを巻き込むプロセスの考え方は、きっと多くの組織で必要になると思います。
参考になることが一つでもあれば嬉しいです。

同じく登壇者の樋田です。当日は多くの方に、都心だけでなく全国からお集まりいただき大変感謝しております。アンケートを全て拝見させていただきました。アクセシビリティが特別な対応ではなく普段のデザインの延長にあることをお伝えたしたのですが、それがちゃんと伝わっていることが感じられてとても嬉しいです。
懇親会でも話題になりましたが、どうかアクセシビリティ 対応は「できる/できない」という考え方をしないでほしいなと思います。ハードルを感じた時は「実はすでに出来ていること」を探してみるのもオススメです。

質問と回答

小林/樋田それぞれにいくつかご質問をいただいているので下記で回答いたします。

ガイドラインはどんな内容ですか?実際に見てみたいです

(小林)現在、kintone チームにはデザインガイドラインと実装ガイドラインがありますが、
例えば実装ガイドラインの場合だと、以下の項目があります。それぞれに数行の説明があるという構成です。今回の「アクセシビリティ確保の基本のキ 10 項目」に近い内容になっています。

  • マークアップ
  • 画像
  • ボタンとリンク
  • 入力フォーム
  • 見出し
  • ホバーとフォーカス

発表でもお伝えしましたが、ガイドラインそのものではなく、ガイドラインをもとにチームを支援したり、議論していくことがとても重要だと感じています。

ガイドラインで困ったことはありますか?

(小林)ガイドラインを作成すること自体はそこまで難しく感じたことはなかったです。
どちらかというと、ガイドラインから外れた実装等が見つかったとき、どんな風に交渉して修正してもらうかが難しかったです。
後から指摘するのは辛い交渉になりがちですし、修正できないことも多いので、できるだけ早いタイミングで一緒に相談しながら実装する、といった対応がおすすめです。

アクセシビリティ検証会にはデザイナーやディレクターは参加しましたか?どう巻き込んだらよいか、コツがあればききたいです。

(小林)サイボウズの場合、週 1 の検証会にはディレクターは参加していませんが、デザイナーは積極的に参加しています。
ディレクターを巻き込めた事例もいくつかあります:

  • 外部の講師の方を招いて、講演をしつつ、ワークショップとして検証会も同時に行う
  • 外部の障害当事者の方を招いて、ユーザビリティテストを行い、観察してもらう

社外の講師や社外の当事者の方が話すと、説得力が強まりますし
普段、勉強会等に参加しないメンバーにも参加してもらえたりしました。

ユーザのことを考えると、時間がかかったりコストがかさんだり・・・な印象があります。決定権のある人との交渉はどのように行なっていますか?

(小林)まずはコストをかけずにできるところからやってみてはどうでしょう。例えば HTML は、ほとんど工数に変化を与えずに、アクセシブルにすることができる場合があります。

コストがかかる場合は難しいですね。サイボウズでも試行錯誤していますし、うまくいかないことも少なからずありますが、例えば、決定権のある人にユーザビリティテストに参加してもらい、その直後に問題をまとめて、優先度の交渉をして、改善したことがあります。問題を体感してもらった直後に交渉をしていくのがいいと思っています。

業務が多くて、なかなかアクセシビリティの話をチームに共有できません。どうしたらよいですか?

(小林)今回紹介した、社内のグループウェアでの共有は、最初の活動として比較的やりやすいと思います。今回の CSSNite の感想や、アクセシビリティのニュースなどを、少しずつ共有してみてはどうでしょう。

輪講形式の勉強会は、最初の 1 回目~ 2 回目くらいは発案者が発表をする必要がありましたが、そのあとは、担当者を決めて持ち回りで発表していくことにしたので、忙しくても継続することができました。

アプリという言葉はアプリケーションをイメージしてややこしいと思ったのですが、そのような意見は出なかったのでしょうか?

(樋田)デスクトップ版、モバイル版に限らず、議論になるところです。今回は kintone において「アプリ」という言葉がすでにプロダクト内外問わず広く使われており、変えてしまうことの方の混乱が大きいだろうということでそのままになっています。

やわらかいデザイン、やさしい感じのデザインなどを求められたとき、コントラスト比の確保が難しいように思うことがあるのですが、難しくないですか、そんなことありませんか。どう対応されてますか。

(樋田)同じ疑問を持っているデザイナーの方も多いと思います。確かに難しいように感じてしまいますよね。
WCAG や JIS のコントラスト基準は「あらゆる要素」に対してコントラスト比をつけるよう求めているわけではないので、やわらかいテイストのデザインの中でもコントラスト比を確保することは可能だと思います(例えばロゴはコントラスト比を確保する必要がないです)
デザインの中で「すべての人に伝えなければいけない情報」が何かを整理した上で、柔らかい雰囲気を出すための要素と、ちゃんと情報を伝えなければいけない要素を分けてみることをオススメします。分けることが難しい場合は、代替の要素を置いてみるなど工夫をしてみてください(ヘッダーイメージ上のテキストはコントラストを確保できないけど、その下のテキストを読むことで理解できるようにする、など)。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(4)澤田 望さん

6 years 4ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、澤田 望さん(SAWADA STANDARD DESIGN)の『代替テキスト決定ツリーの使い方』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

セッション4「『代替テキスト決定ツリー』の使い方」を担当いたしました澤田です。
岡山の中年講師の話を最後まで聞いていただきまして、本当にありがとうございました!

アンケートでもたくさんの質問を寄せていただきましたが、参加者の皆さんが自分事として真剣に考えていただけた結果かなと、たいへん嬉しく受け取っています。
次回フォローアップにて、すべて回答いたしますので、少々お待ちください。

画像に対する代替テキストは、さまざまなアクセシビリティ向上施策の中でももっとも基本の「キ」でありながら、実に奥が深い(難しいという意味ではなく、様々な解釈や手段のある)トピックです。
そういう意味では、代替テキストに対する考え方にも多様性があることを感じていただけたのではないかと思います。

勉強会「リーダブルな夜」では、セッションやハンズオン終了後に参加者の感想や意見を伺う時間を設けて、なるべく登壇者からの一方通行にならないよう、お互いに知識を深められるように努めています。
今回はそれがSNSであったり、懇親会であったり、別の形でしたが様々なご意見を伺えたことは素直に嬉しかったです。

当方自身は普段、一般企業/公共系サイト等のアクセシビリティ検証作業を担当することが多いのですが、いまだに代替テキストに関する問題は多く、なかなか減らない印象を持っています。
「誰が考えるべきなのか」「本来の担当者に考えてもらうためには、組織や仕組みなど何をどう変えればいいのか」を含めて、皆さんが代替テキストと向き合い、現状より少しでも改善されることを願っております。
その際に「代替テキスト決定ツリー」がお役に立てれば本望です。

勉強会「リーダブルな夜」
URL:https://readable-na.world/

次回は7月8日(月)19:30からの予定です。
詳細が決まりましたらSNSでご案内いたします。
もし岡山にいらっしゃる予定のある方、興味がございましたら是非ご参加ください!

「情報過多なのでは」というご意見について

参加者の皆さん、本当に多くの疑問質問をいただきましてありがとうございました。「情報過多なのでは」と疑問を感じられた方から、次のようなコメントをいただきました。

  • ギモンが残った。
  • 「alt=""」で良いケースが多かったかと...
  • alt書きすぎ問題も発生する可能性があると感じました。
  • 主観を入れるのは疑問。視覚健常者が得る情報よりも上回っている。受け手に判断させるべきでは?
  • 本当に必要なのかな... Twitterを見たらご意見がいろいろあって、もう少し基準があると良いなと思いました。
  • 感覚的な話が多く、結局制作者側の考え方次第のような気が。特に例えで出た内容は現実的ではないと感じた。
  • どこまでaltで補足するか(長すぎて伝わらないかも?)ちょっと悩みます... クライアントにも知ってほしいかも。
  • alt属性は、イメージが主のコンテンツ以外ではあまり詳細を書くとかえって本文の読み下しにじゃまでは... と気になった。
  • 情報量が多い画像のaltの内容には個々の考えや好みがありそうで、マークアップ以上に宗教戦争の火種になりそうだと思いました。
  • 情景的なものはライティングになってくるので、コンテンツ作る人でないと本当に適切なものは書けないかな。勝手に想像してもまずいし。
  • 挿絵のaltは場合によってはノイズになってしまうかと思ったので、これまであまりつけてませんでしたが、つけた場合もいいのかなと考えさせられました。
  • Web小説などで写真や挿絵があった場合、テキストは入れないのも小説の世界を提供するアクセシビリティなのではと思いました。そもそもどのタイミングで写真の代替テキストが耳に入ってくるのか。

私の見解は以下の通りです。

まず、小説であれば純粋に文字から想像して楽しむための文学作品ですので、著者が望まない写真や挿絵はそもそもコンテンツとして入れるべきではないだろうと考えます。しかし、著者が納得の上でコンテンツに入れられている写真や挿絵であれば、それは何らかの効果を狙った(もしくは説明が必要だと判断した)画像だと考えられますので、その画像の内容を代替テキストに書くべきだと考えております。ただし、どこまで著者が関与したコンテンツなのかという情報は、実装担当者まで届かないケースも多いでしょうから、そのような状況で実装担当者が自らの判断で代替テキストを創作することは危険だと思います。そのような場合は代替テキストを空にするという判断もあり得るでしょう。

当方は検証する側の立場が多いですので、「代替テキストの内容が足りないのでは」「代替テキストの内容が不適切なのでは」といった指摘をすることがあります。しかし、コンテンツのオーナーや原稿制作者から「そのままで問題ない」と判断されるケースは少なくありません。セッション後半でお話ししたように「適切さ」についてはコンテンツ/原稿制作者側ではないと意図を汲んだ判断ができません。現状では実装担当者が判断しなければならない案件や体制が多いと思いますので、コンテンツ/原稿制作者側に代替テキストも考えてもらえる運用体制づくりの必要性を感じています。

今回、当方がカモメの写真を例にしたページで「小説の挿絵なら?」というタイトルをつけたことは、皆さんに疑問を抱かせる結果となってしまいましたので、説明する題材のタイトルとして良くなかったと反省しております。また、文学作品的ニュアンスのないコンテンツを例にすれば、皆さんがもっと理解しやすい題材になったかもしれません。

また、次のようなコメントもいただきました。

  • 例題のブルースのaltについて。それ以外のaltも...。写説のさし絵のaltなど。altをつけることによって情報過多になり、逆に分かり難くなることがあると思いますが、その場合どうしていますか?
  • 等価性を担保するのが難しいと感じた。却って悩みが深まってしまった。
  • 文字数は短い方が良いと思ってましたが、長くても良いですか?

「情報過多かどうか」の判断について、当方は「画像の中から視覚的に読み取れる情報かどうか」「付随的な情報(写真に映り込んだ意味のない看板の文字など)ではないか」の二つを軸に判断をしています。「多い/少ない」ではなく「足りているか/足りていないか」での判断です。

例えば、非常に多くの代替テキストを設定した画像に対して、スクリーンリーダーの利用者は「長くて理解しにくい」という感想を抱くかもしれませんが、ビジュアルブラウザーの利用者も同じ画像から同じ(もしくは近い)情報量を得ているはずです。ただ、一次元的な音声に比べて二次元的な視覚情報の方が全体像を把握しやすいため、重要な事項を認知(取捨選択)するための負荷が少なくて済む(ので苦にならない)のではないかと考えています。代替テキスト全体の情報量は多いまま変わらなくとも、個々の文を短く切ることで音声の認知負荷を下げることはできますので、なるべく長文は避けると良いと考えます。

「リーダブルな夜のテーマ」の例については、たしかに「不安げに」の部分はあの画像からは読み取れませんでしたので、おっしゃる通り情報過多でした。申し訳ございません。

さらに、このようなコメントもいただきました。

  • カモメの例など「phとかぶらない情報を」というのは同意なのですが、オス/メスの説明など、むしろ文章からもphからもわからないことをaltだけで言ってしまっていて、情報過多なのでは?と思います。

(※「ph」の部分が読み解けませんでしたので、「ph」のまま表記しています)
あのユリカモメの写真は当方が撮影したものですが、撮影した際には大きさの違う複数の個体を確認していました。その中からオスだと判断した写真を今回使用しましたが、あの写真の中だけでは確かに比較対象がないためオスだと見分けることは難しいですね。その前提がない状態で考えると、たしかに、おっしゃる通り情報過多といえるかもしれません。

その他のご質問/ご意見と回答

実例では本文と画像の例でしたが、実際には本文、画像、その画像のキャプションで構成される原稿が多いです。こういった場合でのaltに迷うことが多いです。具体的な指針はありますか?

「画像+キャプション+本文」も「画像+本文」と考え方は同じで、「意味がある画像なのかどうか」「隣接するテキスト(この場合は本文+キャプション)で説明されていない内容がないかどうか」を判断します。
代替テキストとキャプションと、どちらを充実させるかという判断になった場合は、キャプションの方を充実させましょう。見えるテキスト情報の方が、より多くの利用者に恩恵がありますので。

上流の方々に響きやすいaltを設定する意味としては何になりますか?

当方がお話ししたのは、「代替テキストの内容が適切なのかどうか、を判断できるのは上流の担当者であることが多い」という内容でした。ですので、「上流の担当者に納得してもらいやすい代替テキストを書きましょう」という意味ではありませんでした。当方の言葉が聞き取りづらかったり、スライドが理解しにくかったかもしれません。その点はお詫びいたします。

なかなか大規模サイトだと全部は難しいなとは思った。/「適切さを判断できる人」に挙げられた職域の人にどう対応してもらうか、について課題だと考えています。

(※2名の方からの質問をまとめさせていただきます)

大規模サイトの隅々まで徹底させることは、代替テキストに限らず難しいことですよね。言葉による啓蒙だけでは難しい壁があります。当方の過去の経験では、ガイドラインの整備と並行して原稿のフォーマットを作成し、代替テキスト入力欄を設けるなどし、原稿制作者に入力してもらう仕組み作りを進めていました。とはいえ、一方的に押し付けるのではなく「ここはこんな感じの説明を入れるといいですよ」的なフォローは必要ですし、原稿制作者側とコミュニケーションしながら進めることが重要ですね。

デザイナーが代替テキストを指定する必要はありますでしょうか?

コンテンツに使用されている写真/グラフ/図などは、上流の担当者ではないと判断ができないものが多いですが、ナビゲーションエリアにおけるアイコンや商品画像など、デザイナーでも判断できる画像はあります。
特にサイト全体で使用される共通画像については、実装担当者と調整しておく必要があると思います。

誰が代替テキストを書くことになるのかの話がもう少し詳しくお聞きしたかったです。

今回は「代替テキスト決定ツリーの使い方」がテーマのセッションでしたので、誰が担当するのかというテーマについてはあまり時間が割けませんでした。ただ、決定ツリーを使って様々な判断基準を知っていただいても「実際の業務では自分たちの負荷が増えるだけ」と捉えられないよう、担当の件についても少しだけ触れました。より理想的な制作フローに改善できるよう、少しでもヒントになっていれば幸いです。

辻ちゃん植ちゃんの時間にもでてきたが「アーリエリア?ウェルアリア」と聞こえた単語は何ですか?

聞き取りづらかったようで申し訳ございません。「WAI-ARIA(ウェイ・アリア)」という、アクセシブルなリンチ・インターネット・アプリケーションを制作するための(属性を追加する)仕様になります。

組織図のaltは「組織図」にしていました。さっそく見直します。

実際のコンテンツの構成を見ないと判断は難しいです。組織図を描いた画像とは別に、組織の内容がリストなどテキスト情報として十分に実装されているような場合でしたら、「組織図」で問題ない可能性もございます。ただし厳密には組織図の制作者ではないと「テキスト情報として十分」かどうかの判断はできませんので確認は必要です。もしテキストで説明しきれていない部分がある場合は、補足していただけたらと思います。

idで紐づける方法で読み上げた場合、内容が被ったりしないのでしょうか?

読み上げ時の操作方法と、スクリーンリーダーの仕様によって違いはありますが、Mac版VoiceOverなどは一つ一つのオブジェクトを指定して読む場合、aria-describedby属性に関係付けられた対象を読み上げますが、ページ全体を自動で読む場合はaria-describedby属性に関係付けられた対象を読み上げません。ですので、関係付けられてはいますが、読み上げ時に重複しているという印象は受けにくいのではないかと感じています。

「イラスト:◯◯」の「:」コロンですが、つけたほうがよいでしょうか。読み上げた時うざったいのかなと思って... 半角スペースにしてもよいものでしょうか。

うざったいかどうかの判断はできませんが... 当方は「:」の後に続く文面の中で半角スペースを使う可能性が高いと感じており、区別がつきにくいため、「:」を使うことが多いです。また、スクリーンリーダーによっては「:」などの記号を読み上げないものもありますので完璧ではないです。

アクセシビリティ的にはnullとすべき場合に、SEO的要請からはどのように対応すべきでしょうか?当該画像に特段の意味がなければ問題ないでしょうか?

意味のない装飾画像に代替テキストは設定すべきではありません。力強く空("")にいたしましょう。

スライダーのimgが複数枚ある場合、altには何を入れますか?

(キービジュアルエリアなどのカルーセル表示する)スライダーには、複数のimg要素を使用することが多いのではないかと思いますので、それぞれのimg要素にそれぞれの代替テキストを設定します。最新の制作事情をキャッチアップできていませんので、時流に乗っていない回答でしたら申し訳ございません。もし、1つのimg要素の内容を動的に書き換えて画像を切り替えるような仕組みの場合は、alt属性値も画像に合わせて切り替える必要があります。

レスポンシブデザインでPC用スマホ用で同じ意味を持つ画像をそれぞれ別の画像で表示する場合、altはどのようにいれれば良いでしょう?(片方は空にしていたのですが、iPhoneのVoiceOverでは表示されるスマホ用しか読み上げないらしく)

回答になっているかどうか自信がありませんが、レスポンシブWebデザインで表示する画像を切り替えるのでしたら、img要素+alt属性値を複数用意するのではなく、srcset属性+sizes属性などを利用して画像を切り分ける方法ですと、alt属性値は一つで済みますのでシンプルで良いのではないかと感じています。

今回のスライドのような実際の良い例をたくさん見れるところがあれば教えてください。

業務で関わりのある企業サイトを直接ご紹介することはできませんので、なかなか難しいのですが、米国内の空港に乗り入れる日本の航空会社(米国航空アクセス法の対象)のサイトは充実している印象を持っています。

代替テキストの適・不適を判断してくれるソフトとかないでしょうか?

残念ながら「内容が適切かどうか」を判断してくれるソフトウェアは存じ上げません。自動ではありませんが、 Web Developer などの機能拡張を使って画像と代替テキストを並べて表示することができますので、「内容が適切かどうか」の判断がし易くなると思います。また、 A11yc のような、画像と代替テキストの一覧表を作成してくれるツールは効率的にチェックができて便利です。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(3)辻 勝利さん(コンセント)、植木 真さん(インフォアクシア)

6 years 4ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、辻 勝利さん(コンセント)、植木 真さん(インフォアクシア)の『辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシブル GO GO!!「スクリーンリーダーで『Backlog』を使ってみる」の巻」』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

辻 勝利(コンセント)

先日はお忙しい中、Webアクセシビリティの学校特別授業にご参加いただき、本当にありがとうございました。 これを機に、皆様と様々な分野のアクセシビリティを高めていけることを願っております。

僕たちのセッションでは、スクリーン・リーダーを使ってBacklogを操作している様子をご覧いただきましたが、もしかしたらこれをきっかけに、ご自身でもスクリーン・リーダーを触ってみようと感じてくださった方もいらっしゃるかもしれません。

このフォローアップでは、そんな方のお役に立てるよう、スクリーン・リーダーと便利な関連リンクをご紹介したいと思います。 是非アクセスしてみてください。

NVDA

無償でオープンソースのスクリーン・リーダーで、今回デモで使用いたしました。

VoiceOver

Mac OSやiOSに標準搭載されているスクリーン・リーダーです。

植木 真(インフォアクシア)

辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」をご存知ですか?

実は、2007年9月~2011年5月まで、辻ちゃん・ウエちゃんは、ポッドキャストをやっていたのでした。その迷コンビが復活してのセッション、アンケートを拝見すると、皆さんに楽しんでいただけたようで嬉しく思っています。

「アクセシビリティ」というと、必ず話題に上がるのがスクリーンリーダー。そして、最も難易度が高いのも、スクリーンリーダーのアクセシビリティ確保ではないかと思います。

でも、必要以上に身構えることはありません。今回「Backlog」を事例として紹介した基本の「キ」を実践してみるだけで、辻ちゃんにとってもより快適に利用できるコンテンツに「高める」ことができます。

スクリーンリーダーの読み上げを初めて聞いたという方もいらっしゃいましたが、辻ちゃんが紹介しているリンクなどを参考に、まずは体験してみてください。Windowsユーザーの方には、「NVDA日本語版 操作ガイド」に沿って試してみることをオススメします。

質問と回答

Q1.ページ遷移するものが、aではなくbuttonだったり、ハンバーガーメニューのような開閉イベントを処理するものがbuttonではなくaだったり、この辺のHTML要素の使い方はあまり気にしなくて大丈夫なのでしょうか?

情報を設計するときにアプリ内でこういうパーツはボタンで、こんなパーツはリンクで、みたいにきちんと一貫性を持たせてもらえれば良いのではないかと思います。スクリーンリーダーの「NVDA」の場合、ボタンはB、リンクはKで拾い読みすることができるのですが、例えば、全てボタンだけで作られていたとしたら、もしかしたらユーザーとしては押したいボタンを探すのが少し大変かもしれません。とはいえ、サイト内やアプリ内で操作に一貫性があることがもっともありがたいこと、のような気がします。

Q2. aとbuttonの違い、使い分けがだんだん分からなくなってきました...。どのように分けるべきですか?

ページ遷移するものはリンク(a要素)、何かの機能を実行するものはボタン(button要素)にしたほうがよいと考えます。例えば、ユーザーがブラウザの新しいタブやウィンドウで開けるなら、それはリンク(a要素)だと考えればよいという考え方もあるようです。

Q3. フォームで氏名を入力する場面で、「氏名:姓[ ]名[  ]」のような場合、labelは姓と名だけにつければいいでしょうか?

「姓」と「名」をlabel要素でマークアップするのに加えて、全体をfieldset要素で囲んで、「氏名」をlegend要素でマークアップすることで、全体をグループ化できます。

Q4. 色を反転していた理由は、見づらいからだったのでしょうか?

スライドの色を反転していた理由は、その通りです。白の背景に黒文字よりも、黒などの濃い背景に白文字のほうが、見えやすく目に負担をかけないといわれています。海外のアクセシビリティのカンファレンスでは、スライドの背景を黒にすることが推奨されていることもあります。

また、ロービジョンなどの視覚障害がある人は、PCの画面を白黒反転していることがあります。伊原さんのセッションでも紹介されていた動画を最初からご覧いただくと参考になるかもしれません。

Q5. 辻さんはセッションの内容を覚えて喋っていたのでしょうか? 点字メモ等があるのか?

点字ディスプレイを演台の上に置いて、点字を指でなぞりながら、スライドの内容にあわせてお話をしていました。ディスプレイはBluetoothで演題下に置いたPCと接続されており、話している間にもTwitterでメンションされた内容も表示されておりました。ちなみに、辻ちゃんが使用しているのは、Focus 40 Blue V 点字ディスプレイという点字ディスプレイです。もちろん、ウエちゃんと入念な打合せとリハーサルを繰り返して、本番に臨みました。

Q6. CSS無効化はどれぐらい使うものなのでしょう?

普段はほとんど使うことはないのですが、想定している操作が行えなくて困ったときなど、ふと思い出してCSSを無効化して試すことがあります。ただ、画面上から隠してあるものまで(エラーメッセージとか)読み上げてしまうので使いづらいことも多いのですが…。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(2)松森 果林さん

6 years 4ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、松森 果林さん(聞こえる世界と聞こえない世界をつなぐユニバーサルデザインアドバイザー)の『誰もが隣にいる人と一緒に楽しむために』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

参加者の皆さま、こんにちは。松森果林です。

拙い話を最後まで楽しんでいただき、誠にありがとうございました。普段あまり意識することのない、聞こえない世界や聞こえにくい世界について、少しでも興味を持っていただけたら嬉しく思います。

そして、ひとつでも多くの動画コンテンツに字幕がつくといいなぁと願っています。字幕付きのとっておきの動画ができたら、教えてくださいね!楽しみにしています。

今回の授業をきっかけに、お仕事や日常の生活の中で「こんなとき聞こえない人だったらどうするんだろう?」「見えない人だったら?」「車いす使用者だったら?」そんなふうに想像する習慣をつけていくと、世界がちがって見えてくると思います。

著書

もっと知りたい!という方は拙著を手に取っていただけると嬉しいです。

ダイアログ・イン・サイレンス

また、「伝える」ことを生業としている皆さんにおススメなのが「ダイアログ・イン・サイレンス」というエンターテインメントです。

音を遮断し、言葉を使用せず、90分間言葉の壁を超えて対話を楽しむエンターテインメントです。日本では2017年初開催にあたり、私は企画監修に関わりました。今年で三年目となり、参加者からは「この体験をすると世界中どこでもだれとでもコミュニケーションがとれる気がする」などの感想があり、企業研修としても活用いただいております。チケットがあっという間になくなってしまうので、興味のある方はぜひお早めにどうぞ!

  • 期間:2019年8月9日(金)~18日(日)10日間
  • 会場:LUMINEゼロ NEWoMan新宿 5階
  • 時間:11時~19時20分スタートの回まで(1日18日回予定)
  • 参加費(事前予約制):大人4,500円、大学生3,000円、小・中・高校生2,000円

詳しくは、ダイアログ・イン・サイレンス公式HPをご覧ください。

質問への回答

Q1. 音楽やカラオケはどのように楽しむのですか?

聴覚障害者でも音楽が好きな人、関心を示さない人など様々ですが、楽しみ方は人それぞれです。

音楽は、ヘッドホンや車の中で最大音量にして音楽を楽しむ人から、手話歌や、手話パフォーマー、ダンサーなどもおり、ろう者の太鼓グループなども各地にあります。楽しむ手段も多様で、音を振動に変えるデバイスは、ヘアピン型、ボール型、クッション型、ジャケット型、手に握るタイプなどもあります。

カラオケの楽しみ方は、歌詞が表示され色が変わることから歌うタイミングが分かりやすいですよね。ガッツリ歌う人から、手話で歌う人、手話で表現する人など様々です。聞こえない人同士の場合は、音程やリズムなど関係なく超音痴でも堂々と歌えたりします(笑)

私個人としては、音楽は大好きで昔の歌(昭和の…)なら今でも覚えています。

ライブは、歌っている人の表情、声を出すときの呼吸や動き、そして空気を伝わる響き、お客さんの拍手など臨場感を感じられるので、来日公演なども良く行きます。そしてその時には、必ず前の席を確保するようにします。見えることが大事なんです!

Q2. 手話は世界共通ですか?

よく聞かれる質問です。

手話は言語です。音声言語に英語やフランス語、中国語などがあるのと同様に、手話もちがいます。同じ英語圏でも、アメリカ手話とイギリス手話では大きな違いがあります。

また、国内でも方言があるのと同様に、手話も地域による違いがあります。国際会議や多様な国の聞こえない人が集まる場では「国際手話」が使われます。

手話は、国の文化や歴史を反映した表現も多くあり、例えば「食べる」という表現でもアメリカではパンを食べる表現、日本ではお箸をもって食べる表現など視覚的にイメージしやすい豊かな表現力を持った言語なのです。

Q3. 日本語と手話は違うの?

手話は音声日本語とは異なる独自の文法をもった言語です。

Q4. Web動画に字幕があると視聴率があがる、最後まで見てもらえる根拠は?

  • Discovery Digital Networksの事例:公開日からの2週間で比較すると閲覧数が13.48%増というデータが示されています。
  • Facebookの事例:閲覧時間が12%増というデータと、A&W Canadaでも閲覧時間が25%増えたという事例も紹介されています。
  • TBS NEWSの事例:伊原さんのセッションでも紹介されていた事例です。

Q5. ジェスチャー交じりで話す人のジェスチャーはノイズにならない?

面白い質問ですね!

程度や人にもよりますが、ジェスチャーと手話は別物なので、特に気にならないのではと思います。意味もなく手を動かすことはあまりないと思うので、ジェスチャーがあったほうが会話の助けになることも多くあります。

Q6. 美容で気を付けていることは?

笑うこと、睡眠時間の確保、毎日甘くない甘酒を作って飲むこと。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(1)伊原 力也さん

6 years 4ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、伊原 力也さん(freee)の『あなたの価値を高めるアクセシビリティ』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

ご参加いただきありがとうございました!またアンケートへのご回答もありがとうございます。すべて拝読しました。

私にとって、調べ物をするうえでGoogle翻訳は欠かせません。横断検索サイトを使うことも多々あります。海外の動画だとYouTubeの字幕を活用します。Kindleはスピーチ機能で読んでいます。いつもイベント申し込みフォームの入力はキーボードで進めますし、このフォローアップはmarkdownで書いています。

みなさまが感想欄に書いてくださったとおり、Webは、その存在そのものが圧倒的にアクセシブルになるように作られたメディアです。そのプラットフォーム上で、適切なUIとしてのテキストを準備してマークアップするだけで、分母へのアプローチとなるだけでなく、ときに想像を超えるほどにコンテンツの価値を増幅させることに繋がります。

つまりWebアクセシビリティとは「Webの仕組みに則り、Webの力を活かす」ことであると私は考えています。Webを作っている私たちがその取り組みを少しずつでもはじめることで、利用者が増え、それが伝搬することでWebの価値は高まり、最終的には自分たちの周りや、ユーザーとしての自分に還ってきます。

冒頭で挙げた私の話は、その一例です。誰かがアクセシブルにしてくれたから、私はアクセスできています。そしてみなさんが今読んでいるこのメッセージもまた、そういったWebの一部なのです。このフォローアップページはやがて、アクセシビリティについて調べているであろう多くの人の目に触れるようになるはずです。それが届くのは、このページがアクセシブルなWebに在り、マークアップされているからです。

このつながりを感じて、これからの取組みに活かして頂ければ幸いです。

なお、7月20日(土)にはJapan Accessibility Conference Vol.2が渋谷アベマタワーズで開催されます。今回も300名規模のお祭りとなる予定です。みなさまのご参加をお待ちしております!

質問と回答

アクセシビリティに関する情報収集はどのように行っていますか?

主にTwitterです。Webアクセシビリティ関連の資料まとめ というドキュメントがあり、ここで出てくるような資料を作っている方々をTwitterでフォローしているため、私のTwitterタイムラインには割とアクセシビリティ情報が流れてくるようになっています。

あとは、このドキュメントの冒頭にも載っているA11YJ Slack Teamに参加してみると、イベントや書籍の情報などがキャッチアップできます。

障害当事者が身近にいないこともあり、どういう使い方をしているか、どこが困るところかなどを知ることができるサイト・動画があれば教えてください。

パソコン操作動画集というページがあり、ここにいくつかYouTubeから抜粋された動画が紹介されています。この他にもYouTubeで、たとえば「視覚障害 iphone」のような形で障害のタイプ+デバイスで検索したり、「筋電スイッチ」「視線入力」などの支援技術の名前で検索してみたりすると、いろいろ見ることができます。

支援技術の種類については、東京都障害者IT地域支援センターの展示支援機器(ハード)一覧が参考になります(実際に展示も行っています)。

読む習慣のない、または読むことが苦手なユーザーに対してはどう配慮が必要ですかね & リッチ化するコンテンツとアクセシビリティとの両立の具体例があればご教示頂ければ

いくつかのパターンに分かれると考えられます。まず下記2パターンの場合は、やはりテキストをマークアップして提供することが最善手でしょう。

  • 文章を読むことは可能だが提示されたフォントでは読みにくいような場合は、ブラウザ側でフォントを置き換えることができます。
  • 目で追うのは苦手だが音声なら読めるというケースであれば、スピーチ機能などを使って読み上げることで問題を解消できます。

しかし、このどちらでもなく、テキストや文章という表現形態自体が苦手なユーザーもいます(最近の写真や動画をメインとしたSNSの流行は、その兆候を感じさせます)。ここへの回答は、ある題材を多面的なメディアで伝えるということになるかと思います。

たとえば今回のイベントでは、セミナー動画、スライドPDF、UDトークによる発話書き起こしが提供されます。セッション内で紹介したログミーというサービスも、動画に対して書き起こしを提供しています。このようにいくつかの方向から情報が提供されていれば、自分の状況にあったメディアを選択することができます。

こういった提供形態をなるべくかんたんに用意するには、UDトークYouTube Liveを組み合わせるのがよさそうです。具体的な手順は以下です。

  1. YouTube Liveで動画を撮影します。
  2. UDトークで発話をリアルタイムで字幕化します(具体的な方法)。クオリティを担保するため、複数人でその場で修正を行うのがよいでしょう。
  3. UDトークから取得した発話ログに、発言者や環境音などの情報を追記します。
  4. YouTubeの動画に対し、UDトークの発話ログを「文字起こしと自動同期」という形でアップロードします。

私の同僚の中根さんによる、実際に上記に近い手順を試してみたYouTube動画がありますのでご紹介します。参考になれば幸いです。

売りにつながるという部分がどのサイトでもそうなのだろうかと感じています。ターゲットによっては効果が薄いのではないかと思います。

アクセシビリティとターゲットと効果についてはかなり慎重な議論が必要だと考えています。

まず、どういったコンテンツをどう活用するかは受け手に委ねられています。よく言われる例として「全盲の人がカメラの情報を欲しがるのか」という話があります。これは、以下の観点で「欲しい人にとっては欲しいに決まっている」という話になります。

  • 記録用や、撮ったあとに誰かに確認してもらう前提で、ふつうに使う
  • もともとカメラが好きで、視力が弱まったあとでもガジェットとして興味がある
  • その企業や関連企業に投資していて、新製品の動向が気になる
  • 誰かに頼まれてスペックを調べている
  • 贈り物として探している

松森さんのお話にもあったように、私たちには一緒のものを見て楽しみたいという前提があります。そうであればターゲットにしていない人を排除するという考え方はデメリットになるはずですし、企業イメージという観点からも望ましくない振る舞いです。コンテンツが狙っているターゲットと、さまざまな閲覧状況への対応というのは分離し、なるべく多くの状況でアクセシブルに作るよう取り組むのが原則ではあると考えています。

ただ、実際の効果の話とは別に、やりやすい案件とそうでない案件があるのは事実です。現時点では、発注側がアクセシブルにする必要があると考えるものと、そうでないものがあるということです。ユーザーにとっての緊急度や重要度の高い情報、客観的一次情報に近いもののほうが対応が必要だという判断になりやすく、いっぽうプロモーション系は優先度が落ちる、ということが多いでしょう。

ここは、その状況を上手く活かすほうに持っていったほうが、最終的にアクセシブルになるサイトを増やせると私は考えています。そのあたりの考えはツイートにまとめました。

たとえば今回、CM字幕を提供している会社の一覧を見て、私は少なからず好感を持ちましたし、BacklogやKintoneは良い会社が作っている製品であるというイメージも持ちました。現時点では多くの会社がまだ手をつけられていない状況ですから、やはりできるだけ外に言っていくことが相対的に企業価値を上げることに繋がると感じた次第です。効果は作り出すことができます。そういった視点での価値の増大にも、ぜひ目を向けてみていただければ嬉しく思います。

なお、私はこの「アクセシビリティ vs ターゲット」という構造を、最終的には破壊したいと考えています。CMだから字幕がないとか、プロモーション系は後回しとかは、本来はおかしな話です。アクセシビリティを必要とする人がターゲットとして認知されるようになることでこの状況は変わるという仮説のもと、「アクセシビリティで一発当て太郎」としてfreee社にて日々可能性を模索しています。ご興味があるかたはツイートをご覧ください。

音声ブラウザのバージョンアップは誰にお願いすればよいのでしょうか?

ここでのバージョンアップというのは、以下の3通りの解釈ができそうです。

  • ユーザーがより新しいスクリーンリーダーにバージョンアップすること
  • 既存のスクリーンリーダーの機能がより高機能になるようにベンダーが改修すること
  • ユーザーがより高機能なスクリーンリーダーに乗り換えること

いずれにしても、これはユーザーとコンテンツ提供者とベンダーが互いに発展することが必要だと考えられます。バージョンアップしないのは、現状で満足しているから……というとポジティブですが、以下のような構造により、実際は妥協せざるを得ないケースが多いからだと推定しています。

  1. アクセシブルでない、または使いにくいコンテンツがWebに蔓延している。またそれらのWebサイトの使い方は一貫していない
  2. ゆえにユーザーからするとWebを使うことはモグラ叩きのような探索となってしまい、高度な使い方に取り組むのは合理的でない行動となってしまう
  3. 結果としてタブキー連打+決定キーといった、どのサイトでも通用するであろう使い方だけを頼りに、それで使い物になるサイトだけを利用する傾向が強まる
  4. この使い方においては高度な機能が必要ないため、スクリーンリーダーをバージョンアップするモチベーションや、スクリーンリーダーの機能を高機能にする理由が出現しない

この状況を改善するには、上記を反転させる必要があります。

  1. ユーザーが、使いたいと思うコンテンツの提供者に対してアクセシブルにすることを求める
  2. コンテンツがアクセシブルになるよう提供者が改修する
  3. アクセシブルになったコンテンツを利用するための閲覧技術をユーザーが身につける
  4. その閲覧技術を発揮できるようなスクリーンリーダーを選定する
  5. より高度な使い方に対応できるようスクリーンリーダーベンダーが製品を改善する

論理的にはこうなるものの、実際のところとして、妥協で済んでいる状態から行動を起こそうとするには非常に大きなパワーが必要になります。ただし前例がないわけではありません。私たちはガラケーからスマートフォンに歩を進めました。それは新しい可能性を手に入れたいという気持ちが、現状維持の気持ちに打ち勝ったからです。私はこれをヒントにして、これはぜひ使いたいと思うようなものを皆が作り、かつそれをアクセシブルにしていくことができれば、状況を変えることもできるかもしれない、と考えています。

CSS Nite実行委員会

DtoC+実店舗+サブスクで成長の「FABRIC TOKYO」。森CEOに聞く成功要因と次の一手 | 通販新聞ダイジェスト

6 years 4ヶ月 ago

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)は、初回のみ店舗で採寸し、2回目以降は簡単にオーダースーツやシャツなどをウェブ注文できるD2Cブランド「ファブリックトウキョウ」が好評だ。今年5月には丸井と資本業務提携を結び、実店舗展開も加速している。足もとでは同ブランドでサブスクリプションサービスも開始。「物販にとどまらず、より付加価値の高い小売りのサービス化に挑む」と語る同社の森雄一郎CEOに、D2Cの事業環境や取り組み状況を聞いた。

旧態依然とした業界にメス、カテゴリー絞って品質担保

――米国ではD2Cブランドでユニコーン企業が誕生しているが、事業環境の違いは。

「まずは資金力が違う。日本ではこれまでメディアサイトやC2C、プラットフォーム事業にベンチャーキャピタルや投資家が出資することが多く、大きく資金調達できる物作り企業はなかった。また、日本では起業家や経営者、幹部クラスの人材の流動性が低く、優秀な人材が物作りの会社に入ってこなかった。いまは少し変わってきていて、一定の認知度と規模感のある当社には、大きな企業の転職組も注目してくれている。ただ、起業直後のベンチャーが優秀な人材を確保できるかというと難しい」

――環境の変化は。

「実店舗の出店に際して日本の百貨店では、出店料は売上歩率で徴収するケースが多いが、丸井さんのような有力小売り企業が賃貸テナント型に転換したことは大きな変化だ。また、最近は日本の資金調達も数億円規模では驚かない水準になってきた。ベンチャーマーケットが非常に活況なため、ベンチャー企業に流れ込む投資がこの数年で倍増している」

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)の森雄一郎CEO
森雄一郎CEO

――投資先は。

「インターネットセクターだけでなく、リアルの場が絡むようなベンチャー企業にも資金が流れ始めている。足もとではインターネットで完結するビジネスではなく、OMOと呼ばれるリアルなものをオンラインとマージ(併合)して新しい事業モデルを作ろうという機運が盛り上がりつつある。現状、GDPの6%くらいが小売り産業で、そのうち約10%がECチャネルということは、インターネットをメインにした小売りはGDPの0.6%くらいにしかなっていない

「いま何が起こっているかというと、DGPの大半を占める部分にもインターネットやデジタルドリブンなやり方が入り始めていて、この部分はインターネット業界の人たちだけが取り組むのではなく、既存産業の人たちも一緒になって改革していく必要があり、そこにいち早く動き始めたのが丸井さんだ」

――D2Cブランドが次々と誕生しているが、成功に不可欠な要素は。

「4つあって、ひとつはプロダクトが差別化可能かどうかで、これが大前提になる。消費者に選んでもらえ、メリットがある商品かどうかだ。ふたつ目はLTVがしっかり出せるプロダクトであるかが利益ベースでは大事になる。売って終わりではなく、継続して利用してもらえるとか、1回の利益が大きいなどで、LTVを確保できることが重要だ」

「3つ目は、リプレイスすべきモンスター企業がいるかどうか。ライバル企業が数百億円、数千億円の売り上げ規模を持っている場合、大企業であるが故に卸に頼っていたり、マス広告だけに投資していてデジタルを活用できていなかったり、デジタル領域に長けた人材の採用が進んでいない企業がシェアを持っていれば、リプレイスするチャンスがある」

――最後の要素は。

「4つ目は創業メンバーがなぜその事業を行うか、ストーリーがあるといい。また、ストーリーだけでなく、D2Cはパラメーター(変数値)が大きい事業モデルで難易度が高いため、勢いだけでなく、人材やサプライチェーンのマネジメントなどさまざまな要素が経営に求められる。そうした部分をしっかり管理できる経営層かどうかも大事だ」

――利用者がITリテラシーの高い人だけで終わらせないようにするには。

「最初のプロダクトは作れても、顧客数が5倍、10倍と増えたときに、それに耐えられるオペレーションを構築できているかが問われる」

――ゾゾもPBで失敗した。

「ゾゾさんは質を担保できるようになる前に広げ過ぎたことが敗因として大きいのではないか。ゾゾさんとしても初めての物作りだったわけで、第1弾のデニムパンツとTシャツの時点でしっかりノウハウを貯め、サプライチェーンまわりが安定してから横展開すれば良かった」

――御社も意識的に商品カテゴリーを広げていない。

『ファブリックトウキョウ』はスーツとシャツに特化しているし、新たに始めるブランド『スタンプ』では、当面はデニムパンツに徹して認知度を高める戦略をとるのも、品質面で信頼を獲得し、しっかりとノウハウを貯める必要があるからだ」

サブスクサービスを開始、無人店舗の新ブランドも

――丸井との資本業務提携は店舗展開や人的交流も含めて有益だ。

「当社にとって非常に大きな影響がある。実店舗は現状の16店舗のうち、丸井さんには7店舗でお世話になっている。ただ、丸井さんが一番の協力者ではあるが、それだけではなく、三井不動産グループのコレド日本橋やパルコさんの名古屋パルコなどにも出店している。丸井さんは『自社の施設だけで』と制限を設けるような企業ではなく、業界全体のために中心的な役割を担いたいと考える会社だ」

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)は2019年5月に丸井グループを割当先とする第三者割当増資を完了した
2019年5月に丸井グループを割当先とする第三者割当増資を完了した(画像は編集部が追加)

――人材交流は。

「すでに始まっていて、丸井さんから7人が当社に出向し、実店舗のスタッフとして働いてもらっている。人材交流以外でも、丸井さんは店舗でエポスカードを使用するとポイントを付与するなどの施策を行っているが、当社サイトでもユーザーがそういったメリットを享受できるようにしていきたい。丸井さんにとってはカード決済が使われ、当社にとっても2着目以降のオーダーがサイトで完結することでオペレーション効率が上がるなどのメリットがある」

――実店舗は20年9月末までにほぼ倍増となる合計30店舗体制を計画している。

「そのうち千葉など4店舗は決まっていて、まずは早々に20店舗体制になる。来年から残り10店舗の整備を進める」

――物販だけのD2Cから脱却を図る。

物があふれている時代にあって、物で差別化することはもちろん大事だが、それ以上にサービスとして選ばれる存在にならなければいけない。D2C事業を運営していると顧客情報が貯まっていき、お客様のことがよく分かるようになり、サービス面にも取り組みやすくなる」

――サブスクリプションサービスもそうか。

「『ファブリックトウキョウ』でサブスクサービスを始めたのも、実店舗などを通じて顧客ニーズを把握できたからだ。まずは月額398円で加入できるプランとして、9月26日に『保証・交換・補修』とったサポート領域に焦点を当てたサービスを始めたが、10月以降は『着こなし・スタイリング』と『クリーニング・保管』の領域にも順次広げる予定だ」

ビジネスウェアの日常課題を解決する・月額型の新しいサブスクリプションサービス「FABRIC TOKYO 100(Hundred)」
ビジネスウェアの日常課題を解決する・月額型の新しいサブスクリプションサービス「FABRIC TOKYO 100(Hundred)」の公式ページ(画像は編集部が追加)

――新ブランド「スタンプ」は無人店舗に3Dスキャナーを設置して計測してもらう店舗を目指している。消費者には難しくないか。

「難しいことを考慮し、最初のポップアップストアは完全招待制にした。友人や知人などのキーオピニオンリーダーを巻き込んで、まずは理解のある人に体験してもらい、発信してもらうことで『自分も試してみたい』という潜在ニーズが顕在化される。いきなり誰でも作れるのではなく、最初は限られた人からアプローチしていくことが大事だ」

3Dスキャンによる採寸でジーンズがオーダーできる新サービス「STAMP」の新店舗
3Dスキャンによる採寸でジーンズがオーダーできる新サービス「STAMP」の新店舗(画像は編集部が追加)

――「ファブリックトウキョウ」のスタート時もそうか。

「最初はクラウドファンディングから始めた。それまではネット上に自分の身体のデータを預けてオーダーメードの商品を作るという発想はなかった。今では大手さんも取り組んでいるが、当社が始めた14年にはなかった」

――新ブランドのMD展開については。

「当面はデニムパンツのブランドとして定着を図り、その後に商品を広げていきたい。実店舗は10月25日に新宿マルイ本館の『ファブリックトウキョウ』店舗の隣りに出店する。将来的な構想としては、世界に向けて無人型3Dスキャンの店舗をパッケージ化し、プリントシール機や証明写真ボックスのように数千、数万の店舗を出せるようにしたい

――採寸はリアル店にこだわる。

「ゾゾスーツは無料でインパクトがあったが、届いたのに開けていない人が多いと聞く。結局、リアル店舗に行きたい人は多いのだと思う。アップルストアもオンラインで買えるが、店内は混雑している。アパレルも同じで、リアルで体験する楽しさと安心感はいつまでも残るし、デジタルが加速することで人間味が失われていくことに違和感を持つ人は多い。当社はデジタルでは終わらないOMOを進める

通販新聞

三陽商会、ドスパラ、ビジョンが実装した「Alexa」を通じて配送状況を知らせる「Amazon Pay」のスゴイ取り組み

6 years 4ヶ月 ago

冬の寒さが近づいてきた11月上旬。三陽商会の自社ECサイト「SANYO iStore」で長袖シャツを探し、Amazon.co.jpのアカウントで決済できる「Amazon Pay」で購入。後日、商品が届くのを待っていると、「Amazon Echo Dot」のランプが点滅している。「ん、なんだ?」。「アレクサ、通知は何?」と話しかけるとこう返ってきた。「SANYO iStoreから商品が発送されました」。音声で配送状況を教えてくれるなんて、なんて便利な時代になったんだ――。

配送状況の音声通知を三陽商会、ドスパラ、ビジョンが先行導入

「アレクサ、通知を読んで」
「Alexa(アレクサ)」に「通知を読んで」と声をかけると、
「Amazon Payから通知があります。SANYO iStoreから商品が配送中です。」
三陽商会の運営するECサイト「SANYO iStore」から商品が配送されたことのお知らせが音声で届いた

「Amazon Pay」を使って自社ECサイトで商品を購入すると、商品の配送状況を音声で通知するこの機能は「Alexa Delivery Notifications」と呼ばれ、米国で2019年5月にスタート。日本では「Amazon Alexa配送通知機能」と呼ばれている。

購入した商品の配送状況を音声で通知する取り組みは日本の「Amazon.co.jp」でも2019年夏頃からスタート。Amazonのクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」搭載のスマートスピーカー「Amazon Echoシリーズ」を始めとしたAlexa搭載デバイスを通じ、Amazonの顧客に音声を使った配送状況の通知を行っている

三陽商会は自社ECサイトでの商品購入後に音声で配送状況を通知できる「Alexa配送通知機能」を、「SANYO iStore」へ先行して実装。「Amazon Alexa」搭載のデバイスを持ち、「Amazon Pay」で買い物した「SANYO iStore」ユーザーへの音声による配送状況の通知を11月からスタートしたのだ。

この仕組みを先行して導入したサイトは他にもある。PCなどを販売するドスパラの自社ECサイト、「グローバルWiFi」を展開するビジョン。これらの有名企業が導入した「Alexa配送通知機能」は、消費者に対してどんな価値を提供するのだろうか。

「Alexa配送通知機能」を使用した配送通知の動画イメージ

「Alexa配送通知機能」が消費者に提供する価値

現在、Amazon Echoシリーズから音声で通知する「Amazon Pay」で買い物した商品の配送関連情報は次の通り。

  • 配送中になった際の通知
  • 配送済みになった際の通知

スマートフォンのAlexaアプリから通知機能をオンにしておくと、「Amazon Pay」を通じた配送通知が届いた場合に、スクリーン付きのEchoシリーズであればスクリーン上部に通知バナーが表示され、スクリーン付きでなければライトインジゲーターが点滅。「アレクサ、通知は何?」と話しかけると配送状況をAlexaが音声で教えてくれる。

黄色に点滅するアレクサ
配送通知が届くとライトが黄色に点滅する

消費者のネット上での商品購入チャネルはパソコンから始まり、現在はスマートフォンに移行。今後は音声が台頭するという声もある。もちろん、今後、どれか1つの方法で商品を購入するというわけではない。場所、時間、さまざまな状況に応じて多様な商品購入方法が選べるようになり、その流れは今後、さらに加速すると考えられる。それに合わせて、商品の配送状況も多様な方法で通知を受けたいという消費者は増えると予測される

事実、Amazonがフランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、スペイン、英国、米国の1万297人の消費者を対象に実施した「Amazon Pay Connected Commerce Survey」によると、今後3年以内に音声サービスを利用して配送状況を確認したいといった意向を示した回答者の割合は43%にのぼったという。

「Alexa配送通知機能」を導入した狙い

「Alexa配送通知機能」を先行導入した企業はどのような狙いで音声通知機能を取り入れたのか。三陽商会、ビジョンが編集部の質問に回答してくれた。

三陽商会が「Alexa配送通知機能」を導入した理由

「Alexa搭載デバイス」などの家庭用スマートデバイスの普及によって、天気やニュースなどの生活に必要な情報収集方法の変化が起きていると感じていました。「SANYO iStore」ではメール配信での配送通知を行っていますが、お客さまがメールアプリを立ち上げるタイミング次第で多くのメールに配送通知メールが埋もれてしまうなど、確実にお届けしたい情報が埋もれてしまっているのではないかと懸念していました。

「Alexa」を活用した新たな通知手段である“音声での配送通知”を使うことで、料理中で手が離せない方、育児で目が離せない方へも必要な情報を届けることができます。私たちはECサイトでお買い物する場面だけでなく、お届けに至るまでの利便性向上を目的として実装を決定しました

「SANYO iStore」の買い物カゴ
「SANYO iStore」の買い物カゴ(画像は編集部がキャプチャ)

ビジョンが「Alexa配送通知機能」を導入した理由

「グローバルWiFi」のレンタル顧客のうち90%以上は空港カウンター受取を利用されますが、出張利用や代理申込などの理由から宅配受取を希望される顧客も多数いらっしゃいます。出荷完了時にメールでの配送通知は行っていますが、配送状況についてのお問い合わせがコールセンターに入ることも多く、通知方法に課題を感じていました

そんな折、「Alexa」を活用した音声通知のご紹介をいただき、メールと合わせて音声でも配送状況の通知ができれば、旅行準備で多忙なお客さまの不安解消と満足度向上につながると思い実装を決定しました

「グローバルWiFi」のレンタル利用サイト
「グローバルWiFi」のレンタル利用サイト(画像は編集部がキャプチャ)

2社に共通する導入理由は、商品のお届けに関する体験の向上配送状況についても積極的なコミュニケーションを消費者と交わすことで、消費者の不満や不安を解消。最終的には顧客ロイヤリティ、ブランドロイヤリティの向上につなげようとしているのだ。

2015年に国土交通省が発表した「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会 報告書」において、再配達問題に関する次のような記述がある。

配達が来ることを知らなかった、といった再配達が発生した原因のアンケートの回答結果が多く見られたことは、まさに具体的な配達スケジュールに係る宅配事業者等から消費者への通知について、消費者のニーズに充分応えられていないことを証明している。

メッセンジャーアプリなどのコミュニケーションが普及し、情報の伝達・受取は多様化。メールを開封しないユーザーも増えている。確実に情報を届ける方法として、音声による通知ニーズは今後、高まる可能性を秘めている

「Alexa配送通知機能」を導入するにはどうすればいい? 工数は?

「Alexa配送通知機能」の導入には、自社ECサイトの決済手段として「Amazon Pay」を導入することが必要。「Amazon Pay」が提供するAPI「Amazon Pay Delivery Tracker API」を使用することで、Alexaを通じて「Amazon Pay」での購入者に配送状況を通知する仕組みとなっている

実装の工数・負荷について、三陽商会とビジョンに聞いたところ、「事前にAmazonが用意した仕様書とAPIを利用することで、ECサイト側は容易に実装することができた」(三陽商会)。「仕様書の確認から実装作業、テストまでおおよそ25時間前後だった」(ビジョン)。

三陽商会とビジョンでは、想定よりも工数・負荷があまりかからなかったようだ。Amazon Alexa搭載のデバイスが音声で配送状況を通知するAlexaスキルをゼロから開発するには、自社で開発者を抱え、かつAmazonのテクノロジーに対応できる開発スキルが求められる。

今回の取り組みは、「Amazon Pay」が提供する「Amazon Pay Delivery Tracker API」を使用するので、「Amazon Pay」導入企業であれば開発の工数・負荷をかけずに配送状況を音声で通知させることが可能になる

なお、日本の「Amazon Pay」では、APIに関する情報を公開。EC事業者に加え、数多くのEC企業を抱えるECプラットフォーム側でも実装できる環境が整っている。

「Alexa Delivery Notifications」
米国では5月から「Alexa Delivery Notifications」がスタートしている(画像は編集部が「Amazon.com」からキャプチャ)

「Alexa配送通知機能」実装に必要な「Amazon Pay」とは

Amazonが日本で「Amazon Pay」の提供を開始したのは2015年5月(当時の名称は「Amazon ログイン&ペイメント」)。2020年5月にリリース5周年を迎る中、現在、導入事業者数は1万社を超えている

「Amazon Pay」はログインと決済の機能を備えており、顧客が初めて利用するECサイトにAmazonアカウントでログインすれば、クレジットカードカード番号や住所などを入力することなく決済でき、商品を受け取ることができるのが特長。そのため、入力画面でユーザーが離脱することがなく、顧客が同意すればAmazonアカウントに登録されている情報を活用した新規会員登録の促進も期待できる決済サービスだ。

「Amazon Pay」を導入しているECサイトでは未導入サイトに比べ、新規会員登録率が高いことを示すデータもある

多くのECサイトで導入が進んでいる「Amazon Pay」は、自社ECサイトの音声ショッピングへの対応支援も進めている。2018年、「Alexa」搭載デバイスで音声による注文を可能にする「Amazon Payに対応したAlexaスキル」が利用可能となった。自宅で家事や朝の身支度をしながら、Alexaデバイスを通じて音声で注文するといった買い物体験を提供している。

編集長の体験記

「SANYO iStore」で購入したシャツは無事届きました。普段、個人のメールアドレスをほぼ開かないため、これまで配送通知を見ることはほとんどありませんでした。今回、「Alexa」による配送状況の確認という体験を通じて、ECサイト側と消費者における配送状況に関するコミュニケーションの重要性を感じることができました。

また、「Amazon Pay」は「買い物体験」を向上させる決済サービスへの進化を遂げていることも実感。2019年10月には配送先情報やクレジットカード情報の入力フォームで表示されるポップアップウィンドウやチャット内などで、Amazon.co.jpのアカウントを使って簡単にログイン・支払いができることを提案するWeb接客型の機能の提供を開始しました。そして今回、音声を使った配送状況の通知機能です。決済サービスでありながら、配送通知機能を付加することで顧客の買い物体験のさらなる向上にアプローチしようとしています

「Amazon Pay」は「買いやすさ」といった利便性以外にも、多くの付加価値を消費者に提供し買い物体験を向上させるサービスへと進化を遂げています。(編集長 瀧川正実)

瀧川 正実
瀧川 正実

イオンモールがテナントのECサイトから自動収集したモール内商品を店舗横断で一括検索できるシステムの実証実験

6 years 4ヶ月 ago

イオンモールは11月11日、日立製作所と共同で、複数の店舗が集まるショッピングモール向けに、入居店舗の取扱商品を自動収集し、店舗横断で商品を一括検索できるシステムの実証実験を開始すると発表した。

一括検索システムは、各店舗会社が運営するECサイトから、商品の画像・概要・価格などの各種情報を自動収集してショッピングモールの商品データベース(DB)を構築。モール内に設置された端末からDBに蓄積された商品を検索できるサービスを提供する。

これにより、実店舗がショッピングモール専用の商品DBを構築・管理することなく、顧客はモール内の端末でキーワードを入力するだけで、ショッピングモール内での商品の一括検索を行うことが可能になる。

イオンモールは11月11日、日立製作所と共同で、複数の店舗が集まるショッピングモール向けに、入居店舗の取扱商品を自動収集し、店舗横断で商品を一括検索できるシステムの実証実験を開始すると発表
店舗横断で商品を一括検索できるサービスの名称は「お買い物ナビ(店舗横断型商品検索)」

本システムには、日立が開発した高速類似画像検索技術「EnraEnra(エンラエンラ)」を搭載。検索した商品や、顧客のスマホに保存された画像に似た商品(形や色など)を検索して一覧表示することができ、類似商品の比較検討が行える。

さらに、購入したい商品の販売店舗の場所の表示、お薦め商品やタイムセール情報も確認できる。

これらにより、顧客の買い物の利便性向上、およびショッピングモール内店舗での購買機会向上への貢献をめざすとしている。

イオンモールと日立は2019年11月1日から12月末ごろは、靴・鞄を対象とした本システムの実証実験をイオンモール幕張新都心で実施。2019年11月20日から12月末ごろまで、アパレル商品を対象とした実証実験をイオンレイクタウン(埼玉・越谷市)で行う。

イオンモールでは、顧客の利用状況などに鑑み、今後、本システムの本格導入と他ショッピングモールへの展開をめざしていく予定。

石居 岳
石居 岳

【楽天ヒット番付2019】増税前駆け込み消費や元年消費関連商品がヒット。2020オリンピックが期待株に

6 years 4ヶ月 ago

楽天は11月5日、「楽天 ヒット番付 2019」を発表した。今年は「東西の横綱」「大関」「関脇」「小結」に加え、来年の「期待株」として2つのキーワードを楽天トレンドハンターの清水淳氏が発表。「楽天 ヒット番付 2019」の詳細をまとめた。

楽天ヒット番付 2019 元年消費 増税前駆け込み需要 サウンドジェニック ゆるサス消費 60代のアクティブ消費 20代の投資消費 チル消費 教育改革先回り消費 2020暮らし方改革 裏スポーツ特需
「2億点にのぼる商品の購買データを分析する」楽天市場トレンドハンター清水淳氏

東の横綱「増税前駆け込み消費」

楽天ヒット番付とは楽天グループサービスの購買・予約データを分析して消費動向や社会情勢を振り返り、その年を象徴するキーワードを抽出したもの。

高額商品やリフォーム、自動車教習所など

消費税率の引き上げで毎回注目を集める「駆け込み消費」。2019年は日用品のまとめ買いのほか、4K対応テレビや冷蔵庫などの高額家電製品、リフォームや自動車教習所へ入校の前倒しなどの「駆け込み消費」が盛り上がった。

楽天ヒット番付 2019 東の横綱 増税前駆け込み需要 4K対応テレビ リフォーム 家電 美容家電 キッチン家電 トースター ドライヤー お掃除ロボット 2019 ドライヤー 
3万超のロボット掃除機、2万超のトースターなどの高額家電製品が売れた

高まるキャッシュレスへの関心

「消費税率の引き上げによる家計負担を少しでも軽減したいという生活者心理を反映して、ポイント還元が期待できるキャッシュレス決済を利用する人が急増した」(清水氏)という楽天ブックスでは、基礎から応用までを学べるガイドブックなどキャッシュレス関連本がヒットした。

楽天ヒット番付 2019 キャッシュレス キャッシュレス関連本 クレジットカード スマホ決済 電子マネー ポイント決済
キャッシュレス関連本やクレジットカードのケースがヒット

増税後はフリマアプリに期待

増税前に楽天のフリマアプリ「ラクマ」利用者を対象に実施した意識調査では、「増税を機に消費税がかからないフリマアプリで買い物をする気持ちが高まったか」という質問に対し、約6割(58.3%)が「はい」と回答した。特に洋服、コスメ・美容品などを増税後に賢く節約したいという消費者の意識が高まったことがわかった。

楽天ヒット番付 2019 フリマアプリ ラクマ アンケート結果 増税 消費税かからない 非課税
「増税を機に消費税がかからないフリマアプリで買い物をする気持ちが高まったか」
(調査期間:2019年9月18日~20日、n=8,293名)

西の横綱「元年消費」

伊勢参りや御朱印帳が人気

4月18日、当時の天皇皇后両陛下が伊勢神宮を参拝されたことにより、旅行では伊勢方面が人気を博し、参拝に欠かせない御朱印帳を求める人も増加した。

駆け込み婚

1つの時代の締めくくりと共に結婚の時を迎えたいという「駆け込み婚需要」を反映し、「令和」の文字が印刷される婚姻届に注目が集まった。「祝賀ムードのなかで人生の大切なイベントを迎えたいというニーズを捉えた商品が売れた」(清水氏)

令和引用元への熱視線

『初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭の珮後の香を薫らす』。令和の典拠となった万葉集や関連本は、古典文学では他に類を見ないほどの驚異的な売れ行きを記録したという。

改元に伴い、記念硬貨のコインアルバムや印鑑の需要が高まった。ゴールデンウィークには車中泊に注目が集まり、車中泊グッズが人気を博した。(清水氏)

御朱印長は前年同期比28%増、伊勢・二見エリアへの宿予約は同110%増、婚姻届けは同40%増、万葉集関連本は同948%増の大ヒット

東の期待株「裏スポーツ需要」

リモートワーク推進でPCやルーターが売れる?

2020年はオリンピックにより都内を中心に通勤への多大な影響が出ると見られることから、モバイルPCやWi-Fiルーターなど、リモートワークに欠かせないアイテムの需要拡大が期待できるという。

テレビ観戦で家ナカ消費が増加

自宅でオリンピックを観戦する人たちを中心に、ミールキットやオードブルのデリバリーを活用した「家ナカ消費」が活性化することが予想される。

PC、Wi-Fiは前年同期比51%増、オードブルは同48%増加した

東京から沖縄や北海道に脱出

大会期間中の都内は混雑が予想されるため、沖縄県や北海道など東京外へ旅行を計画する都民が増えると見られる。

西の期待株「2020暮らし方改革」

次世代テクノロジーで一歩進んだテレビ観戦

オリンピックを契機に、VRゴーグルなどIoT商品の普及が期待される。

楽天ヒット番付 2019 西の期待株 2020暮らし方改革 AI家電 VRゴーグル 5G IoT
VRゴーグルは前年同期比34%増と好調
藤田遙
藤田遙

返品は当たり前、確認ページを読む習慣なし。越境ECはここに注意【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

6 years 4ヶ月 ago
ネッ担まとめ

日本のWebサイトに慣れていると海外のサイトってとても使いづらいですよね。でも、現地の人はそれが当たり前。越境ECでは日本のECで当たり前とされていることを忘れないといけないですね。

越境ECでは日本の商習慣を忘れましょう

300社以上支援したプロが「海外Webマーケティング実践ガイド」を大公開!! | Web幹事
https://web-kanji.com/posts/overseas-web-marketing

まとめると、

  • 海外のWebマーケティング/Eコマースは、言語、文化・商習慣、配送の3つが日本と異なる
  • 越境ECで成功するには、現地調査と現地に合わせたECサイトの制作が必要
  • ただの翻訳でコンテンツを制作してしまうと失敗する

海外配送する際は、関税についても配慮が必要となります。
基本的にはお客様に関税を負担していただく必要があるからです。

しかし、初めて購入する人は、関税を理由に受け取りを拒否する場合も。
また関税を不当に請求されたとクレームになることも多々あります。

言語の違い、文化・商習慣の違い、配送の違い。この3つは絶対に押さえておきましょう。ここを知らずに越境ECを始めると200%失敗します。引用文にあるように気軽に返品してきますし、配送中に商品がなくなることも多々あります。「日本が異常だ」くらいの感覚で対応しましょう。翻訳はもっと後の話です。

関連記事

リユース市場はまだまだ拡大中

「中古トラクター」がネットでバカ売れする理由 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/311921

まとめると、

  • マーケットエンタープライズは「高く売れるドットコム」を中心に、鉄道模型、オーディオ、エアガンなどを買い取っている。中でも中古の農機具が大きく成長している
  • 買い取った商品は複数の販路で販売するが、「ヤフオク!」への出品が最大の販路。トラクターは数万円から200万円、コンバインは10万円から180万円程度で売れることが多い
  • トラクターの買い取り依頼が多かったことから事業に着手。わずか2か月で自社の人材だけで仮サービスを開始した

ドローンやロボットなど、スマート家電はさらに進化し、リユース品も増えていくだろう。リユースに回ってくるものはユーザーが一度購入し、イエスを出したもの。だからその次でも買いたい人がいる。また、リユース品に対するハードルは想像以上に下がっている。

「誰か使ったものだから良いものだろう」という判断はありそうですね。特に高額商品やニッチな商品であればなおさらですし、CtoCだと不安な商品も買い取り業者がいれば安心です。リユースのジャンルはまだまだすき間がありそうな感じ。

2020年はオリンピックと嵐ロス

【楽天市場】楽天年間ランキング2019 | 楽天ヒット番付2019
https://event.rakuten.co.jp/rankingyearly/banduke/

2019年ヒット商品ランキング 日経トレンディが選んだベスト30 | 日経クロストレンド
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00242/00002/

2020年ヒット予測ランキング 「嵐ロス」が全国を覆う見込み | 日経クロストレンド
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00243/00001/

まとめると、

  • 楽天ヒット商品番付2019が発表され、東の横綱が「増税前駆け込み需要」、西の横綱が「元年消費」だった
  • 日経トレンディが発表した2019年ヒット商品ベスト30で、1位はワークマン、2位はタピオカ、3位はPayPayだった
  • 同じく日経トレンディが発表した2020年ヒット予測ランキング、1位は「どこでも東京五輪&応援村」、2位は「嵐ロス」、3位は「SUPER NINTENDO WORLD」だった

活動休止に向けて、史上最大の応援と感謝の渦が巻き起こる。ファンクラブ会員は活動休止発表後30万人増。ツアーやアルバムなどによる一連の経済効果を3000億円と見積もる声も
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00243/00001/

ヒット予測ランキングで思ったのは「祭り」です。日本人は祭り好きなので、何かしら祭りになりそうなネタがあれば盛り上がることを知っておきたいですね。しかし、嵐ロスの経済効果が3000億円ですか……。先日の5大SNS解禁のニュースを見てもすごいと思ったんですが、ここまでとは思いませんでした。ちなみにラグビーW杯の経済効果は4,300億円でした。

EC全般

【2019年最新版】Shopify Experts認定企業オススメのアプリ12選(一覧あり) | CommerceMedia
https://commerce-media.info/blogs/ec/shopify-app-2019

Shopifyはアプリがたくさんあるので、こういった記事がとっても助かります。

ポスト投函での商品受取希望は6割、楽天がポスト投函ギフトを特集 | 通販通信
https://www.tsuhannews.jp/75335

受け取りの手間を考えるとポスト投函に人気が出るのはわかりますよね。

アマゾン「置き配」の衝撃 「お客様が神様で無くなった世界」で起こり得る“格差問題” | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1911/06/news038.html

上記に関連して。受け取りやすさが求められる時代。

AI+電力データの活用で不在配送問題を解消へ。佐川急便や東大大学院らが共同研究開発 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6941

送る側の工夫も進化しています。

楽天に怒り爆発、「送料改革」に出店者が反旗 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/311951

楽天市場出店者の味方 楽天の現実を社会に知らせよう | 楽天ユニオン
https://rakuten-union.com/

先週の記事と関連して。こういった組織があればある程度の抑止力になりそうです。

アマゾンで偽レビュー作りまくる不届者の正体 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/308926

こういった記事を見るとモール側も厳しくしたくなるのもわかります。

女性の約半数が「彼氏のプレゼントを喜んだフリ」!2割はフリマに出品 | 通販通信
https://www.tsuhannews.jp/75433

こんなところにリユース市場が……。男性の皆さん、頑張りましょう(泣)

今週の名言

外に向けての発信力がある人なんて、社会に出たらいっぱいいますよ。そうじゃなくて、チーム内での発信力を上げることをやっていかないと、サッカー選手をやっている意味がないと僕は思います。
─サッカー解説者 岩政大樹氏

岩政大樹、渡邉大剛が語る「引退後のリアル」 アジアへの挑戦で学んだ“本質”とは? | REAL SPORTS (リアルスポーツ)
https://real-sports.jp/page/articles/321583515328054107

SNS担当者は社内広報を兼ねている人もいますよね。発信先はどこがあるのか? を考えてみましょう。

森野 誠之
森野 誠之

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