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消費動向から見えるEC事業者が品ぞろえを広げることの重要性とは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

5 years 5ヶ月 ago
コロナ禍で小売事業者は、成長促進のため品ぞろえの拡大を加速させたという意向があります。消費者アンケートから品ぞろえを広げる重要性を探っていきます

『Digital Commerce360』のシニア消費者インサイトアナリストであるローレン・フリードマン氏は、小売事業者が成長を促進するために品ぞろえを拡大させていると言います。なぜ今、事業者はこうした取り組みを進めているのでしょうか? 品ぞろえを広げる重要性を消費者アンケートから見ていきます。

「Costco」が棺桶を販売!? 加速した小売事業者の「品ぞろえ拡充」

「Costcoが棺桶を販売する」という記事を読んだのが昨日のことのように思えます。業界の専門家たちは、「棺桶がCostcoの顧客層に適しているのかどうかわからない」と言って、笑って見過ごしていました。実際に売れたかどうかわかりませんが、Costcoの努力と、新しい品ぞろえへの反響は覚えています。

CostcoのECサイトで販売している棺桶の紹介ページ
CostcoのECサイトで販売している棺桶の紹介ページ(画像:Costcoのサイトよりキャプチャ)

昔は、品ぞろえはシンプルでした。量販店やデパートのように一部の店舗では品数が多く、ほとんどの専門店では品数が少なかったからです。オンライン小売事業者はビジネス拡大のため、または販売機会を増やすために、少しずつ商品を追加していきました。

最初は、生鮮品やマットレス、次にアクセサリー。そして最終的には、より主流なカテゴリーを追加しました。私は品ぞろえの変遷を整理すべく、ドロップシッピングとベンダーネットワークの先駆者である「CommerceHub」の創設者兼CEOであるフランク・プーア氏に連絡を取ってみました。

コロナ禍で混乱したサプライチェーン

コロナ禍で、サプライチェーンが混乱しました。Amazonでさえ商品を届けるのに10日から2週間かかる時もあったほどです。成長機会に貪欲だったのは、販売する商品が少ないにもかかわらず、一刻も早くホームオフィス用品に進出したいと考えたホームセンターでした。プーア氏によると、ホームセンターのビジネスモデルの優れた点は、それをすぐに実行に移すことが可能だったことです。

元マーチャンダイザーである私は、マーチャンダイジングにおける匠の技が、思ったより早く、科学に取って代わられたことを理解するのに苦しむことがあります。Amazonはマーケットプレイスで3億から4億SKUを販売していますが、すべてアルゴリズムで管理しています。

誰が品ぞろえを拡大しているのかを考えるため、プーア氏は事業者を次のように分類しました。Amazonの次に来るのは、数千万個の商品を販売している一握りの小売業者。その次が数百万個の商品を販売しているグループです。

プーア氏は、小売事業者の仕事を2つの側面から見ています。

まずは消費者を惹きつけ、次に彼らを満足させることです。(プーア氏)

プーア氏は、消費者の獲得には品ぞろえが重要であることを知っています。要約すると、「宝くじを買えば買うほど当選確率が上がるように、SKUが多ければ多いほど成功の確率が上がるのです」。

小売ビジネスの性質上、住宅リフォーム・建築資材の小売りチェーン「The Home Depot」や「Lowe's」のような企業では、ほぼ無制限にSKU数を追加する機会があると彼は考えています。一方、スポーツ用品を扱う「Dick's Sporting Goods」のような企業に関しては、消費者はより限定的なSKU数を期待している可能性が高いです。

「Dick's Sporting Goods」のサイトトップページ
「Dick's Sporting Goods」のサイトトップページ(画像:サイトよりキャプチャ)

品ぞろえの拡充を支えるテクノロジーの進化

小売事業者は、どのようにして効果的に品ぞろえを拡大しているのでしょうか? 実店舗は商品の設置面積が限られていますが、バーチャルな世界には無限の可能性があり、小売事業者はその機会を捉えようとしています。

多くの小売事業者は困難な時代に直面していますが、品ぞろえの拡大には資本を必要としません。テクノロジーが品ぞろえの拡大を可能にする主要な手段になっています。とは言え、商品の導入やデジタル資産の制作にはコストがかかり、データ操作のルールも事業者ごとに異なるという事実にもプーア氏は言及しています。

サプライヤーのシステムに合わせたインテグレーション、小売事業者のサービスレベル契約(SLA)への対応も必要です。このようなコストはあるものの、「CommerceHub」は1日か2日でサプライヤーのシステムを立ち上げることができます。

今回の議論で最も興味深かったのは、テクノロジーによって小売事業者が行うモニタリングが楽になったことです。出荷や配送に関する情報も即時に反映され、小売事業者は基本的にイレギュラーな事象に対応すれば良いことになります。

「初期の段階では、ブランドにドロップシッピングを行うよう説得することが難しく、倉庫管理システムを提供していた」とプーア氏は言います。しかし、ドロップシッピングは確実に成長しており、一部の小売事業者ではビジネスの半分以上がドロップシッピングを経由しているそうです。

小売り事業者は“マージン・ハンター”

商売人として気になるマージンについて尋ねてみたところ、プーア氏はすぐに「小売事業者はマージン・ハンターです」と答えました。彼は、小売事業者のアプローチを人間の体に例えました。

まず頭の部分は、「事業者が購入してストックする在庫回転率の高い大量のSKU」です。体の部分は、「小売事業者が欲しいと思うものの人気がないかもしれない商品群」です。売れ筋にはならなかった、またはオーバーサイズだった靴を想像してみてください。

小売事業者は、人気がない商品をドロップシップすることができ、手数料は1ドルから1.50ドル。リスクがない上に、小売事業者は追加収益とマージンを受け取ることができます。(プーア氏)

小売り事業者は“マージン・ハンター”

最後に彼は、「Amazonモデル」としてよく知られるようになった「CRAP」(Can't Realize a Profit/利益が出ない)に言及しました。Amazonは販売を許可した事業者から10%の手数料を取っています。

「限られた在庫」と「品ぞろえの拡大」小売り事業者が展開する“2つの世界”

私たちは2つのパラレルワールドに生きています。1つ目は、消費者に直接販売するD2Cブランドが、より限られた在庫の中でブランドをコントロールし、最高クラスの体験を提供することを目標にする世界。一流ブランドにとって、このようなコントロールは常に重要な意味を持っていました。

2つ目の世界では、小売事業者がAmazonに倣って、見込み客や顧客の注目を集めるための品ぞろえを拡充しているように見えます。プーア氏も言うように、Amazonは収益の半分以上をサードパーティのマーケットプレイス販売者から得ているため、先導役として品ぞろえを充実させてきました。

他の小売事業者は、カテゴリーを支配していくAmazonを見て、自分たちが競争できないことに気づいたのです(たとえば、Amazonは、「Toys“R”Us」よりも多くのおもちゃをそろえていました)。小売事業者には転機が必要でしたが、倉庫への投資や商品の仕入れは当時の財務状況では不可能でした。

Amazonのおもちゃ販売ページ
Amazonのおもちゃ販売ページ(画像:サイトよりキャプチャ)

このような時代に、「CommerceHub」はテクノロジーベンダーから戦略的パートナーへと成長しました。大規模な顧客の中には、同社のプラットフォーム(仮想在庫/ドロップシッピング)を利用して、粗利益率(GMV)50~70%を実現している企業もあります。

品ぞろえ拡大の選択肢

品ぞろえには目利きが必要で、消費者が探している商品を確実に用意することが大切です。既存の顧客基盤を活用して、ユーザーエクスペリエンスを高めることもできます。最も重要なのは、買い物のための目的地となり、ブランドを賢く拡大していくことです。

カテゴリーの拡張は、明らかにビジネス上の付加価値になります。ワーク・フロム・ホームで購買行動が変わり、消費者のニーズが大きく変化しています。賢明な小売事業者は、このような機会を活用するために品ぞろえに手を加えるでしょう。消費者がそれに気づくかどうかは興味深いところです。

デパートチェーン「Kohl's」は、現在のアスレジャー人気と在宅ワーク人口の増加を利用しようとしています。『Digital Commerce360』と、調査会社の「Bizrate Insights」が2020年に行った、1,000人のネット通販利用者を対象にしたアパレルに関する調査では、14%が「コロナ禍の間にアスレジャーやパジャマなどの快適な衣服を購入したことがある」と回答しており、この傾向を裏付ける結果となっています。

Kohl'sのアスレジャー商品紹介ページ
Kohl'sのアスレジャー商品紹介ページ(画像:サイトよりキャプチャ)

品ぞろえを大胆に拡大しようとしている小売事業者もいます。住宅リフォーム・建築資材の小売りチェーン「Lowe's」は、そのビジネスモデルを活用して、品ぞろえを拡大しています。「Lowe's」は「家」というカテゴリーに新たな解釈を加えることで、顧客層を拡大したいと考えています。

情報が品ぞろえの拡大を後押しする

トラフィックを活用しオンラインでの品ぞろえを拡大しようとしている、家具や家電の「Wayfair」といった小売事業者を見ると、「目的地」という言葉が頭に浮かびます。私は、在庫を所有するよりも、消費者に体験を提供することが重要だと考えています。体験には、プライベートブランドの提供、ドロップシップの活用、そしてスマートに品ぞろえを拡大するためのテクノロジー活用が含まれます。すべてが重要な役割を果たしているのです。

「Wayfair」は消費者を満足させるため、ナビゲーションと商品のキュレーションには、テクノロジーを活用して1400万SKUを展示しています。「Wayfair」の担当者は次のように言います。

消費者が自分の心に響くものを見つけることができるかどうか、にかかっています。私たちが幅広いカテゴリーを持つことができるのは、商品や購入プロセスで消費者が必要とする情報に関するデータを収集しているナビゲーション・エクスペリエンスのおかげです。商品を追加する前にニーズを把握しているので、消費者は簡単に商品を探すことができるのです。(Wayfairの担当者)

家電量販店の「abt electronics」の共同社長であるジョン・アブト氏は、品ぞろえに対する小売事業者のアプローチについて次のように説明します。

「abt electronics」は店頭に商品を並べる前、常にオンラインを利用して商品をテストしてきました。アブト氏は、成功と失敗の両方があったと正直に語っています。失敗は通常、販売チームとマーチャンダイジングチームとのコミュニケーション不足に起因していました。84年の歴史の中で、特定の製品が売れない理由を知るために、消費者の声に耳を傾けたことが品ぞろえ拡大のきっかけになったことがよくあったと言います。

「abt electronics」のサイトトップページ
「abt electronics」のサイトトップページ(画像:サイトよりキャプチャ)

ビジネスモデルについて聞くと、80%が通常のドロップシップとの回答でした。また、実店舗を利用する消費者は、商品在庫があることを期待しているため、店舗での在庫確保にも注力しています。

在庫が少なければリスクも減るので、数日以内に商品が手に入ればOKとしています。(アブト氏)

私たちは常に新しいことに挑戦したいと思っています。成功も失敗も、そこから学び、調整することができます。商品が家庭用のものであれば何でも取り扱いますが、旅行鞄の販売が特に大きな成果を上げています」とアブト氏は話した後、商品によってそれぞれ異なる方法で市場に展開することが多いと付け加えました。

小売りの視点で新たな展開へ。マーケットプレイスの活用法

『Digital Commerce360』が小売事業者118社を対象に行った2020年マーケットプレイス調査によると、現在オンライン販売の35%を占めているのは「マーケットプレイス」で、71%の事業者が「今後1年間に増加する」と予測しました。

調査対象となった小売事業者の66%が「コロナ禍の間、Amazonマーケットプレイスでの成長」を望んでいました。マーケットプレイスで販売する理由としては、「売上の増加」が74%。また、42%の小売事業者は、「消費者に商品発見の機会を提供することができる」ことを理由に挙げました。品ぞろえの増加は避けられず、小売事業者は、ベンダーネットワーク、ドロップシッッピング、テクノロジーを活用して、より良い商品発見の機会を提供することに注力しています。

2020年、118の小売事業者を対象に『Digital Commerce360』が行った調査「マーケットプレイスでの販売を選択した/選択したい理由は次のうちどれですか?」(複数回答可)に対する回答
小売事業者118社を対象に『Digital Commerce360』が行った調査「マーケットプレイスでの販売を選択した/選択したい理由は次のうちどれですか?」(複数回答可)に対する回答(画像:「The Shopper Speaks: Assortment aggression」より編集部が作成)

調査回答者の37%が、「2020年には販売するマーケットプレイスの数を拡大する」と回答していることにも、マーケットプレイスの可能性が表れています。「Wayfair」のプレスリリースでも述べられているように、データが拡大の原動力となっています。調査対象となった小売業者の36%が、「データを分析している」と回答。おそらく、最終的に成長を後押しするのはデータの力なのでしょう。

プーア氏と長い議論をした後、私はテクノロジーがカスタマーエクスペリエンスをキュレーションしていることを認めざるを得ませんでした。彼の言う通り、「インターネットがあなたのためにキュレーションしてくれる」という言葉がぴったりです。データを通じて消費者について多くのことを知っているため、無限のアプローチがあるのです。

小売事業者が、百貨店大手の「Macy's」の顧客を例に出すのを耳にすることがあるかもしれませんが、特定の顧客層のために一般的な商品のキュレーションを行う時代は、過去の話なのかもしれません。また、小売事業者が一般的な観点で顧客のことを表す際、顧客を「彼女」と呼ぶことがよくあります。しかし、私たちが学んだことは、「彼女」は一定の顧客層ではなく、実際には異なる行動パターンを持つ多くのタイプの消費者の集合体だということです。

購入客には2つのタイプが存在する

ショッパーには2種類のタイプがいるようです。大規模に探し回るタイプと、よりキュレーションされた方法を好み、限られた選択肢に集中するタイプです。

『Digital Commerce360』が行った2020年のホリデー前のショッパーに関する調査も面白いでしょう。『Digital Commerce360』とBizrate Insightsのホリデー前調査では1,000人の回答者のうち、20%が「限定商品を含む商品の選択を重要視している」と回答しています。

順位は、「送料無料」「競争力のある価格」「在庫のある商品」や、「すぐに発送できる商品」「配送スピード」など他の11の理由から後れを取って12位です。ネット通販のヘビーユーザーにとっては、表からは見えにくい幅広い品ぞろえは当たり前のことなのかもしれません。

『Digital Commerce360』/Bizrate Insightsが行ったホリデーシーズン前調査「2020年、マーケットプレイス事業にどのような調整を行いますか?」(複数回答可)に対する回答
『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが行ったホリデーシーズン前調査「2020年、マーケットプレイス事業にでどのような調整を行いますか?」(複数回答可)に対する回答(画像:「The Shopper Speaks: Assortment aggression」より編集部が作成)

マーケットプレイスでの購買が果たす重要な役割

さらに一歩踏み込むと、2020年にはマーケットプレイスの成長が著しかったことから、マーケットプレイスへの取り組みが重要であることはわかっていました。2020年5月、『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが1,000人のネット通販利用者を対象に調査したところ、93%が「マーケットプレイスで購入する」と回答しました。

40%が「マーケットプレイスでは特定の商品が見つかる」と答え、25%が「ユニークな商品の品ぞろえ」を利用する理由として挙げています。幅広い品ぞろえを求める消費者は、マーケットプレイスを快適に利用しているということでしょう。消費者の関心の高まりは、マーケットプレイスの無限の成長の可能性を意味しています。

2020年、ネット通販利用者925人を対象に『Digital Commerce360』/Bizrate Insightsが行ったマーケットプレイスに関する調査「ホリデーシーズンの買い物をする際に、ネット通販を選ぶ上で最も重要な要素は何ですか?」(複数回答可)に対する回答
ネット通販利用者925人を対象に『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが行ったマーケットプレイスに関する調査「ホリデーシーズンの買い物をする際に、ネット通販を選ぶ上で最も重要な要素は何ですか?」(複数回答可)に対する回答(画像:「The Shopper Speaks: Assortment aggression」より編集部が作成)

「ECユーザーの61%が1年以内に利用」。Amazonの影響力

『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが6月に実施した1,000人のネット通販利用者を対象としたAmazonの調査を振り返ってみると、消費者の注目を集めるAmazonの能力が強化され、引き続き前例のないほど影響を持っていることがわかります。

  • ネット通販利用者利用者の61%が、過去1年間にAmazonまたはそのマーケットプレイスの出品者から購入したことがある。
  • Amazon利用者はアクティブユーザーが多く、3人に1人は少なくとも毎週購入している。
  • アマゾン利用者の半数以上が支出に変化はないと予想しているが、32%は2021年に支出が増加すると予想している。
  • 43%は、コロナ禍後、Amazonが重要なリソースになると考えている。
  • 59%が、幅広い品ぞろえと低価格を含む、小売りの基本的なことが購買意欲を高めると回答。
  • 31%は、Amazonで購入する理由の上位5つの理由の一つに、Amazonの品ぞろえの広さをあげている。
2020年、ネット通販利用者929人を対象に『Digital Commerce360』/Bizrate Insightsが行ったマーケットプレイスに関する調査「小売店から直接購入するのではなく、マーケットプレイスから購入しようと思う理由は何ですか?」(複数回答可)に対する回答
ネット通販利用者929人を対象に『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが行ったマーケットプレイスに関する調査「小売店から直接購入するのではなく、マーケットプレイスから購入しようと思う理由は何ですか?」(複数回答可)に対する回答(画像:「The Shopper Speaks: Assortment aggression」より編集部が作成)

◇   ◇   ◇

小売事業者は限界に挑戦し、品ぞろえを拡大しようとしています。過去には、このような努力は途方もなく、リスクが高いと見られていましたが、テクノロジーが変えてしまいました。小売事業者は消費者がどのように反応するかをテストし、評価し、新しい消費者のために店舗をキュレーションすることができます。

基本的なことに注意を払うことは変わらず大切で、適切なカスタマーエクスペリエンスを提供することが重要であることに変わりはありません。いつもと違う2020年のホリデーシーズンで品ぞろえの拡大を学べば、その結果が2021年に向けての指標になるでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360
Digital Commerce 360

コロナ影響の中小企業への実質無利子・無担保融資、売上減の要件を緩和し「直近6か月平均」を追加

5 years 5ヶ月 ago

新型コロナウイルス感染症拡大によって売り上げが落ち込んでいる中小企業などを対象とした政府系・民間金融機関による実質無利子・無担保融資に関し、政府は12月下旬から融資要件となる売上高の要件を緩和する。中小企業庁が12月8日に発表した。

現在の要件は、「直近1か月」の売上高の前年同月比で5%から20%の減少となっているが、これを「直近6か月平均」での前年同期比較も加える。GoToキャンペーンの一時停止、売上高の変動といった影響を受けている事業者の支援を手厚くする。

12月下旬からの実施に向けて準備ができ次第、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などのWebサイトで案内するとしている。

政府系金融機関による無利子・無担保融資は、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」など、商工組合中央金庫による「特別利子補給制度」などがある。

各機関ごとに、既存の特別貸付や危機対応融資に係る債務を対象とした借換を可能とし、実質無利子化の対象となっている。

民間金融機関による実質無利子・無担保融資は、信用保証制度を利用した都道府県などによる制度融資に対して補助を行うことで、民間金融機関において実質無利子・無担保・据置最大5年の融資を可能とするもの。

信用保証料を半額またはゼロとし、民間金融機関の信用保証付き既往債務の実質無利子融資への借換えが可能。事業者の金利負担、返済負担軽減につなげることができる。

民間金融機関による実質無利子・無担保融資は、セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証のいずれかの認定を受け、所定の売上減少の要件を満たすことが必要となる。

瀧川 正実
瀧川 正実

アダストリアが「.st」に導入した、商品質問への回答でポイントを付与する「商品Q&A」機能とは

5 years 5ヶ月 ago

アダストリアは12月16日、ECサイト「.st(ドットエスティ)」で、利用者からの質問に従業員や購入客が回答することでアイテム購入前の不安が解消できる新サービス「商品Q&A」を始めた。

アイテム購入前に疑問や不安を持った利用者が「.st」アプリ内で質問を投稿すると、そのアイテムを着用している従業員や購入客が質問に回答できる仕組み。回答の貢献度は可視化し、「参考になった」が10集まると、質問に回答した顧客に「.st」ポイントを付与。利用者がアイテム購入を判断する際に発生する疑問や不安の解消につなげる。

アダストリアは12月16日、ECサイト「.st(ドットエスティ)」で、利用者からの質問に従業員や購入客が回答することでアイテム購入前の不安が解消できる新サービス「商品Q&A」を始めた
「商品Q&A」のイメージ

購入検討中の利用者に対し他の消費者のリアルな声を届けることは、ユーザ目線で透明性・信頼性の高いマーケティングの実現、購買行動のバックアップとなるとしている。

アダストリアはこれまで、従業員がスタイリングを投稿する「STAFF BORD(スタッフボード)」などを通じ、顧客との接点を増やしてきた。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、SNSやダイレクトメールを通じた商品の問い合わせが増加していた。

「商品Q&A」の導入で利用者の要望に対応、買い物サポートのほか、顧客と従業員、顧客同士の新たなコミュニケーションの場を創出。人と人のつながりを感じるプラットフォームを提供していく。

「商品Q&A」は、ZETAが提供する評価軸を用いた多面な評価によるレビューコンテンツエンジン「ZETA VOICE」を活用している。「ZETA VOICE」は、複数の評価軸を用いた多面的な評価によるレビューコンテンツを、容易にサイトに実装できるエンジン。

点数による評価・フリーコメント・スタッフレスポンス、投稿レビューデータの分析、A/Bテストでの活用、レビューの検索結果への反映などの機能がある。

石居 岳
石居 岳

サブスクリプションで成長したサービス9選。「新規性」「成長性」などが高いビジネスモデルは?【サブスク大賞2020】

5 years 5ヶ月 ago
日本サブスクリプションビジネス大賞発表。サブスクのプロや2019年度受賞店舗が選ぶサービスとは?

一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会が行った「日本サブスクリプションビジネス大賞2020」(最も成長を遂げたサブスクリプションサービスを表彰するアワード)でグランプリを獲得したのは、保育園で使用する紙おむつが定額で使い放題になるサービス「手ぶら登園」。保育園に直接、紙おむつを届け、保護者・保育園双方の負担を軽減するというサブスクリプションサービスを展開している。

「日本サブスクリプションビジネス大賞」は、「お得」「お悩み解決」「便利」の3要素を持つサービスを表彰する制度。日本国内のサブスクサービスを振興するとともに、新たなサービス創出のきっかけ作りを目的として設立した。100社のエントリー企業から振興会および有識者、2019年受賞企業審査員が審査を行い各受賞企業を決定した。

■各受賞サービス

グランプリ

保育園で紙おむつ使い放題「手ぶら登園」
https://tebura-touen.com/

日本サブスクリプションビジネス大賞 グランプリ 手ぶら登園 BABYJOB 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「手ぶら登園」サイトから編集部がキャプチャ)

保育園で使用する紙おむつが月額定額で使い放題になるサービス。2019年7月から本格的にサービスを開始し、大手紙おむつメーカーの「ユニ・チャーム」と子育て支援ベンチャーの「ベビージョブ」が共同で運営している。

「手ぶら登園」を導入している保育園に通う園児を抱える保護者が、契約主体となる。「手ぶら登園」を利用すると保育園に紙おむつが直接届き、保育園側が在庫を管理する。「おむつを毎日持って行く」「おむつが足りない」など、保護者・保育園双方の負担を軽減するサブスクリプションサービスとなっている。

日本サブスクリプションビジネス大賞 グランプリ 手ぶら登園 BABYJOB 日本サブスクリプションビジネス振興会
サービスを利用することで、保護者は紙おむつに名前を書く手間が省ける。保育士はおむつの管理が簡単になり、双方の負担が軽減されるという(画像は「手ぶら登園」サイトから編集部がキャプチャ)
日本サブスクリプションビジネス大賞 グランプリ 手ぶら登園 BABYJOB 日本サブスクリプションビジネス振興会
「ベビージョブ」が保育所の在庫管理と保護者の決済管理を行い、「ユニ・チャーム」が発送を行うシステム(画像は「手ぶら登園」サイトから編集部がキャプチャ)

「お母さんたちの笑顔を作る環境を提供し続ける」ことを理念に会社を始めた。保育所と一緒にお母さんたちのタスクを軽減し、笑顔で子育てができる環境を作っていきたい。(BABYJOB)

シルバー賞

パーソナルスムージー・スープの定額制サービス「GREEN SPOON」
https://green-spoon.jp/

日本サブスクリプションビジネス大賞 シルバー賞 GREENSPOON 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「GREEN SPOON」サイトから編集部がキャプチャ)

月額7200円(税抜)から利用できる、パーソナルスムージーとスープの定額制配送サービス。体の悩みや生活習慣を診断するパーソナルテストの結果から、1人ひとりに最適なスムージーやスープを提供する。2020年3月からサービスを開始した。

日本サブスクリプションビジネス大賞 シルバー賞 GREENSPOON 日本サブスクリプションビジネス振興会
パーソナルテストから1人ひとりに必要な栄養素を特定。60種類の野菜やフルーツ、スーパーフードから配合した25種類のレシピから最適な商品を提供する。レシピは管理栄養士が監修している(画像は「GREEN SPOON」サイトから編集部がキャプチャ)
日本サブスクリプションビジネス大賞 シルバー賞 GREENSPOON 日本サブスクリプションビジネス振興会
商品の一例。完全無添加の食材は冷凍保存して届ける。冷凍保存することで廃棄量を減らすことができ、フードロスにつなげているという(画像は「GREEN SPOON」サイトから編集部がキャプチャ)

サービスを通じて、食のセルフケア習慣をお客さまに身につけていただきたい。食によって健康管理をすることで、自分を好きでい続ける生活につながればと思っている。(Greenspoon)

ブロンズ賞

家具・家電のサブスク「subsclife」
https://subsclife.com/

日本サブスクリプションビジネス大賞 ブロンズ賞 subsclife 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「subsclife」サイトから編集部がキャプチャ)

月額500円(税抜)から利用できる家具・家電のサブスクサービス。「ACME Furniture(アクメ ファニチャー)」や「BALMUDA(バルミューダ)」などのブランド家具や家電を3か月~24か月まで1か月ごとに利用できる。

日本サブスクリプションビジネス大賞 ブロンズ賞 subsclife 日本サブスクリプションビジネス振興会
レンタルできる商品の一例。ライフスタイルに合わせて「必要なとき、必要な分だけ選ぶ」という家具・家電の利用方法を提案している(画像は「subsclife」サイトから編集部がキャプチャ)
日本サブスクリプションビジネス大賞 ブロンズ賞 subsclife 日本サブスクリプションビジネス振興会
サービスの利用の流れ。利用後の家具・家電は回収してもらえる。利用期間の延長ができ、気に入ったら購入も可能(画像は「subsclife」サイトから編集部がキャプチャ)

インテリア業界に革命を起こすべく、サービスを開始して2年。アライアンス先の企業、メーカーや株主、社員、社員の家族、皆に御礼を言いたい。賞の名に恥じないよう、来年も革命達成に対して邁進していきたい。(subsclife)

テモナ賞

外泊すると家賃が安くなる「unito」
https://unito.me/

日本サブスクリプションビジネス大賞 テモナ賞 unito 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「unito」サイトから編集部がキャプチャ)

外泊すると家賃が安くなる形態の住宅サービス。居住者が家に帰宅しない日に、部屋を宿泊者に貸すことで家賃を安くできる日本初のサービス「リレント」を運用している。

日本サブスクリプションビジネス大賞 テモナ賞 unito 日本サブスクリプションビジネス振興会
家を貸し出した後はクリーニングが行われる。貸し出し中に備品の破損があった時のための補償制度もある(画像は「unito」サイトから編集部がキャプチャ)
日本サブスクリプションビジネス大賞 テモナ賞 unito 日本サブスクリプションビジネス振興会
1か月の基本料金から、外泊した日数分が安くなる仕組み。敷金・礼金や光熱費、退去費用は0円で、最短1か月から契約可能(画像は「unito」サイトから編集部がキャプチャ)

「unito」は300年間続く賃貸市場をイノベーションすべく、「帰らない日は家賃がかからない」という、個人に最適化された家賃を導入している暮らしブランド。
この賞に恥じないようにより一層プロダクトを磨いていく。(Unito)

優秀賞

定額で全国住み放題「ADDress」
https://address.love/

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 ADDress 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「ADDress」サイトから編集部がキャプチャ)

月額4万円(税別)で、アドレスが運営する全国の住居に住めるサービス。電気代・ガス代・水道代込み、敷金・礼金や補償費用はかからない。調理器具や寝具など生活に必要な設備を完備している。

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 ADDress 日本サブスクリプションビジネス振興会
物件例。家の管理はアドレスと業務委託を行っている「家守(やもり)」と呼ばれる人々が行っている。「家守」はADDress会員とコミュニケーションを取り、地域や会員同士の交流をつなぐ役割も担っているという(画像は「ADDress」サイトから編集部がキャプチャ)

ビジネスをサブスク化する「SubscLamp」
https://subsclamp.com/

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 SubscLamp 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「SubscLamp」サイトから編集部がキャプチャ)

趣味や特技を活かしたフリーランス・個人から、定額サービスを始めたい企業・店舗などが利用できるサブスクリプションサービス作成プラットフォーム。

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 SubscLamp 日本サブスクリプションビジネス振興会
サブスクサービスに必要な管理・分析機能を利用できる。初期費用は無料(画像は「SubscLamp」サイトから編集部がキャプチャ)

コーヒー豆のサブスクサービス「PostCoffee」
https://postcoffee.co/

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 PostCoffee 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「PostCoffee」サイトから編集部がキャプチャ)

世界15カ国から厳選した30種類のスペシャルティコーヒーの中から3種類が届くサービス。月額利用料は1480円(税抜)からで、送料無料で配送する。オフラインストアも運営している。

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 PostCoffee 日本サブスクリプションビジネス振興会
無料コーヒー診断では、15万通りの組み合わせから淹れ方や飲み方、価格などを考慮して3種類を診断する(画像は「PostCoffee」サイトから編集部がキャプチャ)

定額制テイクアウトアプリ「POTLUCK」
https://www.pot-luck.jp/

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 POTLUCK 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「POTLUCK」サイトから編集部がキャプチャ)

提携しているレストランなどの料理を1日2回までテイクアウトできる定額制サービス。月額利用料金は7080円(税抜)からで、トライアルプランあり。

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 POTLUCK 日本サブスクリプションビジネス振興会
受取時間を指定して事前予約を行うと、飲食店での待ち時間を短縮して受け取れる。3つの定額料金プランのほか、買い切りプランもある(画像は「POTLUCK」サイトから編集部がキャプチャ)

マカロンのサブスク「マイ マカ」
https://www.dalloyau.co.jp/subscription/

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 マイマカ 日本サブスクリプションビジネス振興会
(画像は「ダロワイヨ」サイトから編集部がキャプチャ)

洋菓子などの製造・販売を行う「ダロワイヨ」のマカロンを月額1000円(税込)で毎日1つずつ店頭で受け取れるサービス。単品販売しているマカロンから好きな物を選べる。

日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 マイマカ 日本サブスクリプションビジネス振興会
利用したい店舗で「My Maca Member’s card」を購入。カード購入店舗でのみマカロンが受け取れる仕組み。利用期限は利用開始日から1か月(画像は「ダロワイヨ」サイトから編集部がキャプチャ)
藤田遥
藤田遥

2020/10広告業売上、全体では前年同月比13.1%減、マス4媒体は同6.4%減、ネット広告は同5.3%増

5 years 5ヶ月 ago

2020/12/16の経済産業省の特定サービス産業動態統計調査から。http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result/result_1.html

全体では前年同月比で13.1%減。テレビは同4.3%減、新聞は8.1%とマイナスも一桁に減少。インターネット広告は7カ月ぶりにプラスで5.3%増。屋外広告は36.6%減。交通広告は36.2%減。折込・ダイレクトメールは10.2%減。

マス4媒体は13カ月連続ですべてマイナスと、2019年10月の消費増税以降の不調が続いているが、4媒体全体でマイナスは一桁になった。雑誌のマイナスは66カ月連続、折込み・ダイレクトメールは47カ月連続マイナスといった状況。

新型コロナ禍でリアルイベントの縮小や人の移動自粛、繁華街からの混雑緩和などからか、「屋外広告」「交通広告」「SP・PR・催事企画」は概ね4月以降大幅減が続いている。



noreply@blogger.com (hiromi ibukuro g)

博報堂DY、「テレデジライブモニタリング」を提供

5 years 5ヶ月 ago

博報堂DYメディアパートナーズが、テレビ広告とデジタル広告の指標を一元管理する統合ダッシュボード「テレデジライブモニタリング」を提供。独自開発のアルゴリズムにより、テレビ広告とデジタル広告の統合リーチを算出する。

博報堂DYメディアパートナーズ、テレビとデジタルの広告効果を高速かつ一元化してモニタリングできる国内初の統合ダッシュボード「テレデジライブモニタリング」の提供を開始
https://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/service/20201215_28844.html

noreply@blogger.com (Kenji)

【シリーズ】Yahoo! JAPANが考える、Withコロナ時代のデジタルマーケティングとは? ~ 【インタビュー】販促プロモーションに新提案。進化していく「コマース広告」

5 years 5ヶ月 ago
Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)の新ソリューションである「Yahoo! JAPAN コマースアド」。 「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」などYahoo!...

Instagramが短尺動画「リール(Reels)」に商品のタグ付け機能を追加

5 years 5ヶ月 ago

Instagramは12月10日(米国時間)、短尺動画を作成したり発見できる「リール(Reels)」にショッピングタグを使って商品をタグ付けできるようにした。

フィードやストーリーズ、IGTV(長尺の縦型動画)、米国で一部ブランドを対象にテスト中のライブショッピングなど、利用者はInstagram上の動画コンテンツ内でショッピングを楽しむことができるようになる。

Instagramは短尺動画を作成したり発見できる「リール(Reels)」にショッピングタグを使って商品をタグ付けできるようにした
短尺動画での商品タグ付け機能のイメージ

たとえば、IGTVで動画を視聴している利用者は、画面を数回タップするだけで価格や商品説明などの詳細情報を確認、外部のECサイトに移動して商品を購入できる。

リールは短尺動画を作成・発見できる機能で8月にローンチ。音源やARカメラエフェクトクリエイティブツールを使って動画を撮影・編集し、最長30秒の短尺動画を作成できるもの。国内外のさまざまなブランドが活用している。

Instagramによると、フィードに投稿される動画のうち45%が15秒以下で「短尺の動画コンテンツを楽しむ利用者が急速に増えている」という。

瀧川 正実
瀧川 正実

ユーグレナがキューサイを連結子会社化へ。「ミドリムシ」と「青汁」のコラボがめざすことは?

5 years 5ヶ月 ago

ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は12月15日、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得すると発表した。

キューサイの全株式を保有するコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(CCBJH)と合意、株式譲渡契約を締結した。2021年1月29日付で株式譲渡が実行される予定。

アドバンテッジパートナーズのファンド(APファンド)、ユーグレナ、東京センチュリーからの共同出資、銀行借入による現金を対価として、QPがCCBJHの保有するキューサイの全株式を取得する。

QPへの出資比率は、APファンドが67.22%、ユーグレナが12.84%、東京センチュリーが19.94。株式取得から1年以内をめどに、ユーグレナがQPへの出資比率を最大49%まで高め、キューサイを連結子会社化する予定。

ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得する
買収スキームについて(ユーグレナが公表した資料から編集部がキャプチャ)

キューサイの資本金は3億5000万円。2019年12月期業績は、売上高が249億6800万円、営業利益は27億8300万円、経常利益は26億9400万円、当期純利益は13億円。健康食品や化粧品の老舗通信企業で、約37万人の通販顧客を抱える。コカ・コーラ ウェスト(現CCBJH)による買収でCCBJHの傘下に入ったのは2010年。その後、ブランド刷新、2020年には「キューサイ医薬堂」を立ち上げ、医薬品の通販事業を開始している。

通販でのシナジーをめざすユーグレナの2020年9月期連結業績は、売上高が133億1700万円、営業損失18億700万円、経常損失14億5700万円、当期損失14億8600万円の赤字決算だった。このうち、直販による売上高は96億9100万円となっている。独自素材である微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)などを活用した健康食品、化粧品の通信販売を軸に成長を遂げてきた。

ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得する ユーグレナとキューサイの財務比較
ユーグレナとキューサイの財務比較(ユーグレナが公表した資料から編集部がキャプチャ)

CCBJHは2010年のキューサイ買以降、キューサイの持続的成長と企業価値最大化をめざし、ブランド刷新などを行ってきた。ヘルスケア・スキンケア事業の次のステージでの成長をサポートするには、AP、ユーグレナ、東京センチュリーが構成するパートナーへの譲渡が最適だと判断したという。

今後、キューサイはAPと東京センチュリーが有する経営改善・PMI(企業合併後の統合プロセス)のノウハウを活用。商品ラインアップの拡充やブランディングを強化し、ユーグレナの有するデジタルマーケティングのナレッジを活用して事業規模の拡大をめざす。

ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得する
共同出資スキームを採用した意義について(ユーグレナが公表した資料から編集部がキャプチャ)

キューサイの中心顧客はシニア層で、ユーグレナは40代後半から60代女性がメイン顧客。キューサイはユーグレナとの連携で、プレシニア層まで顧客層を拡大する。ユーグレナグループは、若年層からシニア層までを網羅的にカバーし、消費者のサステナブルな健康を実現するヘルスケア企業グループをめざす。

ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得する
ユーグレナが考えるキューサイとの事業連携などについて(ユーグレナが公表した資料から編集部がキャプチャ)
石居 岳
石居 岳

飛行機通勤もOK! リモートワークとコミュニケーション深化の両立を実現するEC会社「Hamee」の働き方改革 | ワークスタイルハンター藤田の【突撃!御社のNewな働き方】

5 years 5ヶ月 ago
Hameeは小田原オフィスに新幹線などの利用を可能とした制度「いざ!小田原」を2020年10月から開始。通勤に新幹線や飛行機、特急列車などを利用でき、1か月の交通費の上限は5万円

スマホケース「iFace」などの企画・卸販売、ECや「ネクストエンジン」の開発・提供を手がけるHameeが、新しい働き方の一環として始めた、小田原オフィス出社時に新幹線や飛行機、特急列車などを利用できる制度「いざ!小田原」。遠方に居住する社員の出社に対するハードルを下げ、「社員同士のリアルなコミュニケーションの機会を増やす」のが目的。新しい働き方における社員同士のコミュニケーションを模索するHameeの取り組みを取材した。

「いざ!小田原」は通勤時間がネックになる社員も出社しやすい制度

退社を取りやめた社員やマイホームを建設予定の社員も

2020年10月から開始した「いざ!小田原」は、通勤時に新幹線や特急電車、高速バス、飛行機などを利用できるようにした正社員対象の新制度。利用条件は、従来の通勤時間よりも1分でも通勤時間を短縮できること。1か月の利用金額上限は5万円。

Hamee いざ!小田原 働き方改革 コミュニケーション活性化
2020年10月から開始した「いざ!小田原」制度(画像はHameeサイトから編集部がキャプチャ)

この制度の特徴は「ライフスタイルに合わせて使える点」。Hameeには小田原周辺地域2市8町に居住する社員に対し、月2万円を支給する居住手当「小田原手当」がある。独身で1人暮らしの時は「小田原手当」を利用しオフィスに近い小田原近辺に住む、出身地に帰る・結婚を機に遠方に移住する時などは「いざ!小田原」制度を利用する――といった使い方ができるという。

実際に、群馬出身の社員が「いざ!小田原」制度ができたことで群馬に家を建てることを決心。結婚を機に広島へ移住するため退社予定だった社員は、リモートワークメインに切り替え、制度を活用して月1回出社できるようになったことで、退社を取りやめたケースもあるという。

全社員の約半数は「小田原手当」を利用しており、元々小田原近辺に住んでいる社員が多い。全社員のうち「いざ!小田原」制度利用者は25名ほど。EC部門に限ると19人のうち2人という。

リアルなコミュニケーションを取りやすくしたい

制度導入の理由について、高倉裕直氏(みらい創造部 広報担当)は「社員同士でリアルなコミュニケーションをしてほしいため」と説明する。Hameeは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月下旬からリモートワークをスタート。出社機会が減少、特にオフィスから遠い地域に居住する社員は通勤時間がネックになるため、出社しにくい状況という。新制度を設けることで、「遠方に住んでいる社員の出社ハードルを下げる」狙いがある。

リモートワークをしていても、リアルに集まってコミュニケーションを取りたいという場面があります。そういうときはやはり小田原に集まって、顔を合わせてコミュニケーションをとってほしい。そうすることで、互いの信頼関係が高まり、業務のやりやすさやスピード感も違いが出てくるし、アイデアを一緒に考えることもできます。結果的に事業成長にプラスに働いてくると考えています。(高倉氏)

出社数を抑えていることもあり、約200人いる全社員の出社数は1日30~40人ほど。EC部門の平均出社回数は週1~2回、作業内容によって出社回数にばらつきはある。商品撮影や対面での商談が必要なメンバーを優先的に出社できるよう調整しているという。

リモートワークで「情報共有意識」が高まる

EC事業部における業務への影響について、内田雅也氏(Webマーケティング部 マネージャー)は「特に大きな問題や社員からの不満などはなかった」と言う。その理由について、「新しいことにチャレンジすることが好きな社員が多かった。テスト的に調整しながら導入してみようと社員が思えたから」と内田氏は話す。

また、EC部門の顧客対応は別部門が行っており、PCがあれば自宅でも業務ができる状況だった。そして、コロナ前からチャットワーク上でやり取りをしていたこと、以前からコミュニケーションを通じた信頼関係が成り立っていたことが大きいという。

気軽に長く続けられる方法でコミュニケーションを維持

しかし、リモートワーク長期化による「コミュニケーション面で懸念はあった」と内田氏。ミーティングの回数が減ってしまい、人と話す機会がなく1人で作業を行うメンバーも出てきていたという。

どうやって部署内やチーム内でコミュニケーションの機会を作り、お互いの信頼関係を維持していくかという点には気を遣っています。(内田氏)

EC部門では、コミュニケーションを円滑に行うための取り組みを模索。オンラインで行っている朝礼では業務報告や情報共有以外に、あらかじめ提示したお題にそってスタッフ1人ひとりが話す時間「部内1分間スピーチ」を設けているという。

「リモートワークを続ける中で、社員同士が『情報共有をきちんとやっていかなければ』という気持ちが強くなったことは大きい」と内田氏。業務内容だけでなく、その日に感じたことを一言添えて投稿する日報、雑談もできるチャットなどを用いて、気軽に長く続けられるコミュニケーション方法を模索しているという。

リモートワークを行う前と比べて、社員1人ひとりが「意識的にコミュニケーションを取ろう。情報をこまめに共有しよう」という意識が強くなったことは良かったと思います。また、そうした変化によって、仕事に対する意識も高まり、業務上の問題点や課題点を明確にし、「もっと取り組んでいかなければ」という前向きな姿勢が強まってきました。(内田氏)

自由度が高くなった「フレックスタイム制」が好評

Hameeは「フレックスタイム制」も導入している。以前は9時30分から18時30分までの定時制だったが、10時から16時までをコアタイムとした。リモートワーク時でも継続しているという。

フレックスタイム制を導入したことで、業務の自由度が向上し「メリハリを付けて働けるようになった」と社員からは好評。また、残業時間の削減にもつながっているという。

Hamee いざ!小田原 働き方改革 コミュニケーション活性化
小田原付近(2市8町)に居住する社員に手当を支給する「小田原手当」のほか、コミュニケーション制度として、会社の補助で部署や役職を超えて食事に行くことができる制度「ファン★ごはん」などを行っている。現在はオンラインでも開催しているという(画像はHameeサイトから編集部がキャプチャ)

オフィスをリニューアルし「出社して良かった」と思える環境作り

高倉氏は「元々コミュニケーションを取ることが好きで、それがモチベーションになっている社員も多い。そうしたコミュニケーションの場を積極的に作っていきたい」と語る。

Hameeは小田原オフィスを2021年にリニューアル予定。社員の働きやすさや多様性をきちんと確保しつつ、「出社して良かった」と思える環境作りを進めると言う。リニューアルの理由について、高倉氏は次のように説明した。

リアルなコミュニケーションをずっと大切にしてきたし、これからも大切にしていきたい。そのためにも、今以上にワクワクするような仕掛けや働きやすい環境をつくることで、より満足度の高い出社体験ができるオフィスへと進化させていきたいと思っています。(高倉氏)

藤田遥
藤田遥

新型コロナウイルス対応で加速する中国のデジタルイノベーション | 電通デジタル 特選コラム

5 years 5ヶ月 ago
中国の生活や企業活動はコロナによってどのような影響を受け、どう変化したのか。4年前から上海に駐在するビービットの酒巻厚志氏と電通デジタルの桑山晃一氏が、アリババ(Alibaba)やテンセント(Tencent)など中国大手プラットフォーマーの動きについて語り合う。
新型コロナウイルス対応で加速する中国のデジタルイノベーション

中国はここ数年、デジタル先進国として世界中から注目されています。今回、早い段階で新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が発生したことで、その対応に世界各国から関心が寄せられました。

中国で暮らす人々の生活や企業活動は、コロナによってどのような影響を受けて、どのような対策を行い、変化したのでしょうか。

本セッションでは、4年前から上海に駐在している株式会社ビービットの酒巻厚志氏に、生活者の目から見た中国の変化を伺い、私たちも含めて、日本で活動する企業の皆さんにとって学べるヒントがないかを探りました。

中国国内のコロナ概況

桑山2019年12月、湖北省武漢市(以下、武漢)でコロナが発生しました。その後の「都市封鎖」や、わずか10日の工期で稼働した「火神山医院」などの対応は、日本でも大々的に報道されました。

しかし、3月ごろから日本でもコロナが広がったり、欧米がパンデミックになったりして、中国の状況はあまり報道されなくなりました。3月以降、中国では実際どういったことが起きていたのか、お話しいただけますか。

酒巻下の図は、中国の死亡者数や感染者数の概観(2020年6月17日時点)です。当初、武漢と、武漢以外の湖北省の都市はかなり危機的な状況でした。一方で、他の都市ではすぐに強い措置をとり、発生件数を抑えることができました。東京と比べても、感染者数、死亡者数、ともに非常に少ない状況です。

中国の状況概要

全体的に、中央政府や地方政府の強いリードがあり、抑え込んできたという印象です。私が住んでいる上海は、「第2の武漢」にしないという強い意思で、1月末から以下のような強い対策をとったことで、発生数の抑え込みに成功しました。

  • 1/27~2/9まで企業活動を停止

  • 3/3~ 海外からの渡航者の2週間隔離

  • 3/28、中国人以外の海外からの入国を禁止(これは中国全体での措置)

上海でのCase数位と打ってきた手

4月以降はコントロールしながら少しずつ解除を進めています。都市間の移動は厳しく制限されていますが、上海市内はだいぶ自由で、4月くらいから人出はだんだん戻ってきたという状況でした。

データとデジタルの活用

中国では特に、データとデジタルが活用されています。もともとあったデータ管理の仕組みに、コロナ対応が追加されたかたちです。実例を2つ紹介します。

1つ目は、個人の状態の管理を行う「随申コード(健康コード)」[注1]で、幅広く活用されています。赤(まだ隔離が必要)、黄(まだ少し危険)、緑(大丈夫)の3色で個人の健康状態を示し、通行証代わりに使われました。外国人もパスポート番号を入れて使います。

データ×デジタルによるコロナ対策①~トラッキングによる通行許可証

随申コードは、行政情報と個人情報を掛け合わせた統合インフラです。身分証明、移動情報、位置情報、感染者との接触情報、病院の診療情報などを判断して、QRコードを作成する仕組みとなっています。コアシステムの開発にはアリババも関わっているようです。

随申コード(健康コード)の仕組み

2つ目は、濃厚接触・感染発生場所の情報公開です。感染に関する情報や、自分が感染者と接触していないかを確認できる情報が、マクロ(国内外・省別の状況)とミクロ(市内の感染発生場所マップ、列車やフライト別の感染者発生状況)で一覧できます。

データ×デジタルによるコロナ対策②~濃厚接触・感染発生場所の情報公開

上海の街は、2月、3月はがらがらでした。4月はじめから徐々に人が出てきている印象です。マスクは路上ではしなくてよくなっていますが、まだしている人も多く見られます。全般的に中国では、ほぼ日常を取り戻しつつあるようです。

がらがらな上海は4月は密に

プラットフォーマーの対応と役割

桑山中国では、こうした日常を取り戻すために、BAT(中国の大手IT系企業3社、バイドゥ〔百度〕、アリババ、テンセント)と呼ばれるプラットフォーマーがかなり重要な役割を担ったと聞いています。具体的にどういうことをやってきたのでしょうか?

アリババ

アリババの大きな3つの動き

酒巻アリババは、もともと公共的なサービスもいろいろと手がけていました。先ほどお見せした随申コード(健康コード)もアリババが政府と協力して開発したインフラです。

有料のリモートワークサービスを最初に無料開放したのもアリババです。もともとシェアナンバーワンだったDingTalkを無料にして、ビジネスユーザーが使えるようにしました。コロナの間にグローバルでも展開して、いま日本でも無料で使えるようになっています。

あとは、マーチャント支援です。アリババグループが運営する中国最大のB2CオンラインショッピングモールであるTmall(天猫)の利用料引き下げ、関連金融機関の金利引き下げ、補助金提供、DX支援など、マーチャントを直接、間接の両方から支援しました。

マーチャント支援

バイドゥ、テンセント、ByteDance

他社も、アリババと同じように、官と民に支援をしています。たとえば、コロナに関するマクロな感染状況がわかるプラットフォームは、テンセントとバイドゥが官からデータ提供を受けて開発しています。

コロナに関する情報~マクロな情報提供

また、テンセントは「噂のデマ診断サイト」を開設しました。コロナ関連のニュースを集めて、専門家や医者が真偽を判定するサイトです。

コロナに関する情報~デマ診断サイト

また、テンセントとByteDance(TikTok運営会社)は、リモートワーク系のサービスをアリババに続いて無料開放しました(テンセント:VooV Meeting、WeChat Work/ByteDance:Feishu, グローバルサービス名はLark)。いずれも2020年3~4月にグローバルで展開して、日本でも無償提供中です。FeishuはもともとByteDanceの社内ツール、VooVは中国国内だけのローカルツールだったのですが、アリババを追いかけ、このタイミングで迅速に展開した印象があります。

テンセント・ByteDanceもリモートワーク系のサービスを無料開放

最後の事例ですが、テンセントが、テンセントクラウド上で、コロナ対策に対応したクラウドサービスのパッケージを、市販で提供しています。ビジネス向け、医療機関向け、政府向けに分かれていますが、これらは、もともとあったパッケージをコロナ用に改良したものです。今後進むであろうオンライン医療の市場をにらんでいると思われます。

テンセントの市販コロナ対策パッケージ

桑山プラットフォーマーの事例を中心にご紹介いただきました。コロナの対応に関しても、各社が従来から持っていた特色、強みが色濃く反映されているように思います。

アフターコロナにおけるアフターデジタル

桑山中国は一足先にアフターコロナという状況を迎えつつあるようです。そうした中で、中国のアフターデジタル(リアルがデジタルに包み込まれた状況)は、今後どういう風に進んでいきそうでしょうか。

酒巻すでにアフターデジタル化されていた社会が、コロナにより加速したというのが中国の現状かなと思っています。将来に向けてもこのまま加速して、関連する産業が重点産業として指定されていくのではないかと予想しています。ここでは注目すべき産業として、オンライン教育とオンライン医療を取り上げます。

オンライン教育のアフターデジタル

オンライン教育市場はもともと伸びていて、今後も伸びていくと思われます。今回のコロナをきっかけに、時限的ではありますが、オフィシャルに全国的に学校でオンライン教育が行われるようになりました。国による動画教育プラットフォームが開設され、国の3大通信キャリアにトラフィック確保が要請されました。けっこう大きなプロジェクトを短期間で立ち上げたなという印象です。

オンライン教育

ここでもアリババが教育機関向けに、ビジネス向けに先駆けて、DingTalkの有料機能を無料開放しました。「宿題と回答データの保存期限がない」「メッセージの既読機能」など、教育現場にとって使いやすい機能があって、広く使われています。

オンライン教育

オンライン医療のアフターデジタル

オンライン医療でも、やはり迅速に対応が進みました。もともと平安保険のアプリ「好医生(グッドドクター)」やアリペイ上でもオンライン問診がありましたが、アリババはAI問診も始めました。浙江省の行政アプリ上でリリースして、新型コロナに関する問診に絞っていますが、問題解決率は高いようです。あとはテンセントの「微医(ウィードクター)」も利用者が急増して、24時間体制で問診を受け入れられるようなサービスを開始しました。

オンライン医療~リモート問診ユーザーの急増・コロナへの迅速対応

コロナの影響で規制も緩和されてきており、一部の処方薬販売が可能に、
また、遠隔での保健医療が一部の省でだんだん認められるようになってきた、というところです。

今後の上海の重点領域

デジタル化の加速については、政府としても投資方針を出しています。上海に関して、今年の4月に、「産業のハイテク化」「サービスのデジタル化」「人の非接触化」を加速させる産業構造を目指して、重点投資していくという宣言(オンライン・ニューエコノミーの発展促進のための上海市行動計画2020~2022年)を出しています[1]。「非接触化」はコロナの影響により、新しく出てきたキーワードかと思います。

今後の上海の重点領域~コロナの影響も見受けられる向こう3年のニューエコノミー

当面は内需拡大の方針

経済にも大きな影響が出ているのは、ニュースでも報道されているとおりです。第一四半期のGDPが-6.8%と、1976年以来のマイナスとなりました。構造転換が必要ですが、当面は貿易が難しくなっているので、内需拡大を打ち出しています。

象徴的だと思ったのが、自動車の購入制限から促進への方針切り替え。あと、サービス消費、新型消費、レジャー向け消費の促進を掲げています。そのほかにも、家具や家電の購入促進など、内需を促進する措置を検討しています。

当面は内需要拡大の方針

日本企業への示唆

桑山コロナによって日本のDXのあり方はどう変わるべきか。国としての成り立ちや人口の多さ、そうした違いを超えて、日本企業が参考にできそうな点を2つ挙げます。1つ目は「アジャイルによる攻守転換」、2つ目は「データをユーザー体験や社会に還元」です。

中国のコロナ対応に見る示唆

アジャイルによる攻守転換

アリババやテンセントなどのITメガプラットフォーマーは、そもそも社内のオペレーションがアジャイルです。

アリババの健康コードのβ版は2月の初旬にリリースされました。武漢封鎖から1~2週間です。それから1週間で杭州市全体、さらに1ヵ月後に中国全土で使えるシステムに拡張されました。一連のスピーディな開発は、ローンチしてテストする中で、ユーザーのフィードバックを受けて改善していく、アジャイル型の開発プロセスを踏むことで実現されています。

さらに、自国の市場でブラッシュアップされたコロナ対策サービスを海外に輸出する動きも、早くから出てきました。6月上旬、広州でコロナ対策製品の見本市(広州国際防疫物資展覧会)が開催されています。

中国のコロナ対応に見る示唆

コロナに対する守りとして開発したさまざまなサービスを、海外市場に対して攻める武器としても使う。そういったアジャイルによる攻守転換は、日本企業もぜひ参考にすべきです。

データをユーザー体験や社会へ還元する

もともと中国では、スマートフォンを通じて収集されたデータが、UXや生活を支える社会基盤として組み込まれ、さまざまなサービスに展開されていました。それがコロナを機に、社会インフラとしての重要度が増して、広範囲に適用されるようになりました。

②データをユーザー体験や社会へ還元

健康コードのほかにも、デジタル消費券(電子クーポン)を、アリペイやウィーチャットプラットフォームでターゲティング配信しています。データをUXや社会に対してどう還元していくのかという視点でサービスを捉えて、進めた結果、人々の生活に欠かせないサービスになって、さらにデータが溜まっていくという好循環が生み出されているように思われます。

このコロナを機に、日本でもさまざまな分野でDXがかなり進んできつつあります。本稿で酒巻さんがご紹介した事例には、日本でも実現できるようなものが多分に含まれています。コロナによる変化をイノベーションに転換して、DXやCXトランスフォーメーションを進めていくヒントにしていただけたらと思います。

最後に:「AGILE EXPERIENCE DESIGN LAB™」について

桑山アジャイルの話も出てきましたので、最後に少しだけ宣伝もさせていただきます。このたび電通デジタルでは、「AGILE EXPERIENCE DESIGN LAB™(アジャイルエクスペリエンスデザインラボ)」という、アジャイルとUXデザインのアプローチでクライアント企業の新サービスの立ち上げを支援するサービスのリリースを予定しています。

AGILE EXPERIENCE DESIGN LAB™

具体的には、顧客理解、体験設定、MVP(Minimum Viable Product:必要最低限の機能を有するプロダクト)開発といった、アジャイル型のデザインプロセスをクライアント企業の皆さまと共創型で実施して、ごく短期間でデジタルプロダクトの市場投入までこぎつけてしまおうというものです。さらに、そのプロセス自体をクライアントの皆さまと共有することで、われわれのアジャイルやUXデザインのスキルトランスファーを実現しようというサービスにもなっています。

こういったサービスを通じて、企業の皆さまの新しい未来を切り開くお手伝いをしたいと思っています。興味を持っていただけるようであれば、ぜひお声がけください。

※本記事は、2020年6月18日、19日に開催された「CXトランスフォーメーションセミナー ~近未来思考で挑む顧客体験起点のDX~」のセッションで発表された内容を再構成したものです
※所属・役職はオリジナル記事公開当時のものです

注釈
1. ^ 中国では、都市ごとに健康コードの名称が異なり、上海市の健康コードを「随申コード」という。
出典
1. ^ "上海市がオンラインエコノミーの推進方案を発表 ".JETRO.(2020年4月17日)2020年7月29日閲覧。

この記事のオリジナル版はこちら
新型コロナウイルス対応で加速する中国のデジタルイノベーション

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