ネットショップ担当者フォーラム

スタートトゥデイ子会社のアラタナ、「MARK STYLER」と戦略的パートナーシップで合意

7 years 2ヶ月 ago

スタートトゥデイは9月20日、EC支援事業を手がける子会社のアラタナと、MARK STYLERが戦略的パートナーシップを組むことに合意したと発表した。

「ZOZOTOWN」で培ったマーケティングデータや物流機能を、アラタナを通じてMARK STYLERに提供。MARK STYLERのEC事業を支援することで、売上増やオムニチャネル化を支援する。

MARK STYLERは自社ECサイト「RUNWAY channel」で17ブランドを展開している。アラタナは「RUNWAY channel」のマーケティングを支援するほか、スタートトゥデイの物流拠点「ZOZOBASE」の運営実績を踏まえて物流業務も支援する。

アラタナは、ECサイト構築やWEBマーケティング支援といったBtoB事業を展開している。スタートトゥデイによると、近年はオムニチャネル化への注目が高まっていることから、アラタナの支援先企業からの自社ECサイト強化に対するニーズが増加しているという。

具体的には「頻繁に更新が必要な商品販売ページのUI更新は、自社内で完結させたい」という要望が多いとしている。

スタートトゥデイとアラタナは今後も「ZOZOTOWN」の出店ブランドのニーズに応え、ECチャネル全体の支援を行う。

「ZOZOTOWN」は6800以上のブランドを取り扱っており、年間購入者数は約739万人。2018年3月期の商品取扱高は前期比27.8%増の2705億円だった。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

「美容師の○○さんが推薦します!」は有り? 無し? ヘアケア化粧品の広告表現に関する注意点 | 健康・美容業界の今を知る!

7 years 2ヶ月 ago

頭皮や毛髪に関する商品は「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」と多岐に渡りますが、ここでは最も身近な「化粧品」に分類されるヘアケア商品の広告表現についておさらいしましょう。

ヘアケア化粧品で標ぼうできる範囲とは?

化粧品に分類されるシャンプー、コンディショナー、その他ヘアケア剤において、標ぼう可能な効能効果は下記の通りです。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ
(4)毛髪にはり、こしを与える
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ
(7)毛髪をしなやかにする
(8)クシどおりをよくする
(9)毛髪のつやを保つ
(10)毛髪につやを与える
(11)フケ、カユミがとれる
(12)フケ、カユミを抑える
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
(15)髪型を整え、保持する
(16)毛髪の帯電を防止する

上記以外に素肌のメーキャップ効果と同様、

  • ワックスのような髪を固める作用
  • ヘアマニキュアのように髪表面を着色する(洗浄と共に徐々に色落ちする)
  • そしてUVカットするスプレー(物理的にUVを遮断する効果)

など、物理的な作用も標ぼう可能です。

「頭皮にハリを与える」は不可

注意したいのが「(4)毛髪にはり、こしを与える」という表現です。 スキンケアの場合は「肌にハリを与える」という効果が標ぼう可能ですが、ヘアケア製品においては「【毛髪】にハリを与える」が標ぼう範囲となります。したがって「【頭皮】にハリを与える」ことに関しては想定されておらず、「頭皮にハリを与える」は効能効果を逸脱した表現とみなされます。

「血行促進」には一工夫を

また「抜け毛の予防」「頭皮の血行促進」は、その効果効能に対して承認を受けた医薬部外品等であれば標ぼう可能ですが、一般的な化粧品では標ぼうできません。 許可を得ていない場合で、「血行促進」ということを表現する必要がある場合には、自身による洗髪行為の一環として、

頭皮を(自身で)よくマッサージすることにより、血行を促進してあげましょう。

というように、「商品や含有成分により血行促進が促されるものではない」とはっきりとわかる形にする必要があります。 その基本をしっかりと押さえておけば、頭皮マッサージの方法等を図説で入れ、「血行促進」の言葉を視覚的に印象づけることも可能でしょう。

「ダメージヘアを修復」はOK?

次に、ダメージヘアのケアに関する表現について解説します。ヘアケア製品でよく「ダメージを補修」という表現が見られます。毛髪損傷等の物理的な「補修」表現は事実であれば標ぼう可能ですが、「修復」のような治療的回復表現は不可とされています。

不適切な例

 × 「傷んだ髪を修復」
 × 「ダメージヘアを再生」
 × 「傷んだ髪が回復」
 × 「健康な髪が甦る」
 × 「本質から髪質改善 」

表現可能な例

 ○ 「傷んだ髪に」
 ○ 「傷んだ髪(ダメージヘア)用」
 ○ 「ダメージケア(潤い補給)」
 ○ 「髪を補復して髪の質感を整える」

表現がよく似ているので注意しましょう。

「髪の内部へ浸透」は標ぼう可能

ダメージヘアの補修表現において、「髪の内部に美容成分が浸透」という表現もよく見られます。肌の場合、「浸透は角質層まで」と範囲が決められていますが、毛髪の場合は、日本化粧品工業連合会発行の『化粧品等の適正広告ガイドライン2017年版』で「髪の内部へ浸透」という表現は可能とされています。そのため、事実として髪の内部に浸透するのであれば、表現可と判断できます。

ただし、ここにも注意点があります。髪の表面を「キューティクル」、その内側を「コルテックス」、中心部を「メデュラ」と言いますが、キューティクルについては補修効果をベースに使用可能ですが、コルテックス、メデュラという用語を使用するのは避け、あくまでも「髪の内部」に留めることをおすすめします。詳しくは下記をお読みください。

参考

美容師による推薦

最後は美容師からの推薦表現についてです。 『医薬品等適正広告基準』には下記のように記載されています。

10 医薬関係者等の推せん

 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。

 ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

<共通>

(1)医薬関係者の推せんについて

 本項は、医薬品等の推せん広告等は、一般消費者の医薬品等に係る認識に与える影響が大きいことに鑑み、一定の場合を除き、例え事実であったとしても不適当とする趣旨である。「公認」には、法による承認及び許可等も含まれる。

 また、「特別の場合」とは、市町村がそ族昆虫駆除事業を行うに際して特定の殺虫剤等の使用を住民に推せんする場合である。なお、本項は美容師等が店頭販売において化粧品の使用方法の実演を行う場合等を禁止する趣旨ではない。

(2)推せん等の行為が事実でない場合について

 推せん等の行為が事実でない場合は、法第 66 条第2項に抵触する。

~以下略~

ヘアケア用品という製品の特性上、美容師や理容師を起用し、商品を推薦する広告を作りたい所ですが、 『医薬品等適正広告基準』では医師をはじめ美容師、理容師等による推薦そのものを禁止しています

事実であったとしても、広告において美容師が「おすすめです!」というようなコメントを述べることはできませんので、注意しましょう。

稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

稲留 万希子

自社ECの「竹虎」が有名店になった裏側――「竹虎」が実践してきたこと&レジェンド岸本社長との出会い

7 years 2ヶ月 ago

「ECサイトの開設から3年間で売り上げは300円だった」――。メディア露出450回以上、ユニクロとの商品共同企画、「イーコマース事業協会エビス大賞」(一般社団法人イーコマース事業協会主催)などのアワードを多数受賞。さまざまな実績を残している有力ECサイト「竹虎」(運営は竹虎株式会社山岸竹材店)も、苦難に直面していた時期があった。本社を置くのは自然豊かな高知県須崎市。創業1894年の地方竹材店がいかに有名店舗に上り詰めたのか。山岸義浩社長に成功の要因、そのきっかけを作ってくれたEC業界のレジェンドと言われる岸本栄司氏との出会い、自社ECサイトを伸ばす秘訣などを取材した。

テクニックよりも重要なこと、それは良いサイトを参考にすること

竹虎株式会社山岸竹材店の創業は明治27年。高知県須崎市安和だけに分布する茶褐色の虎のような斑紋が入った竹「虎斑竹」(とらふたけ)を使い、「竹のある生活」を提案する老舗竹材店である。

高知県須崎市安和にしか生育せず、日本で唯一、この地域だけでしか採ることができない 「虎斑竹」。今では竹虎株式会社山岸竹材店に所属する職人の手で、文具、キッチン道具、小物、インテリアなどさまざまな商品を製作している。

ECを始めたのは4代目の山岸社長。希少価値が高いという「虎斑竹」製品を全国に広めるため、EC事業をスタートした。

ユニクロとの商品共同企画を2008年に実施、数々のアワードを受賞するなど、「竹虎」は全国的に知られる有名なEC実施企業だが、「苦難の時期もあった」(山岸社長)という。

1997年のECサイト開設から2000年までの3年間で売り上げたのは、竹の和紙でつくったレターセットの1商品(300円)のみ。当時、常務として1人でEC事業に挑戦していた山岸社長は、閑古鳥が鳴いていたのは「虎斑竹」の“価値”を上手に伝えることができなかったことが原因と振り返る。

竹虎株式会社山岸竹材店 山岸義浩社長
ECサイトを始めた当初は、通常業務が終わった後に1人きりでパソコンに向かい合ったという

ECの黎明(れいめい)期であり、高知県須崎市安和という地方。周囲には相談できる相手は誰もいない。今では当たり前だが、「セミナーのために都会に行くなんてとんでもない話だった」(山岸社長)。試行錯誤を繰り返した3年間。だがその後、転換期を迎えた。

1995年にECをスタートし、EC業界の“レジェント”とも言われるTシャツ通販のイージー・岸本栄司社長との出会いだ。高知県で開かれたECの勉強会に講師として招かれた岸本社長に、山岸社長はこう問いただされたという。

あなたはネットで買い物をしますか?

山岸社長は答えに窮した。それはなぜか? 山岸社長は自社ECサイトを伸ばすためのテクニックばかりに目を奪われ、他のECサイトで商品を買ったことがなかったのだ。

売り上げを伸ばしてファンをつかんでいくためには、検索順位を上げるためのSEO対策などに代表される“テクニック論”よりも大切なことがあることに気付いた。(山岸社長)

こう振り返る山岸社長が最重要視して実践することに決めたのが、他のECサイトで自ら買い物をしてみて良かった面を取り入れるということ。その中で、特に心がけて実践してきたのが、「シンプルなサイト作り」「尊敬する人などに勧められたものは使ってみる」「情報発信」だ。

竹虎株式会社山岸竹材店 山岸義浩社長
「虎斑竹」で作った名刺入れを片手に、「竹虎」の取り組みを熱く説明してくれた

ECサイトはシンプルなUIにして買い物のしやすさを追求

スマホ向けECで電話番号を案内

たとえば「竹虎」のスマホ向けECサイト。PC向けECサイトのヘッダー部分は「虎斑竹」「創業124年」「竹材専業メーカー」といった店舗の特色を前面に打ち出しているが、スマホ向けECサイトは大きく異なる。

「竹虎」のPC向けECサイトトップページ
「竹虎」のPC向けECサイトトップページ

スマホ向けECサイトにアクセスすると、ヘッダー部分に掲載されているのは「電話はこちら」という案内文。この文をタップすると、アコーディオンメニューが開いて電話番号が表示される。こうしたUI設計を施した理由を尋ねると、「迷ったらすぐ電話できるようにした。電話は転換率が高い」と山岸社長は言う。

「竹虎」で扱っている虎斑竹製品は、高品質に見合った価格帯の製品が少なくない。たとえば、虎竹ペンは10万円(税別)、45万円(税別)もする虎竹テーブルなどもある。高価格帯になればなるほど、製品の細かいところまで気になるのがユーザーの買い物心理。スマホでアクセスしてきたユーザーが手軽に問い合わせできるようにしているのだ。

「竹虎」のスマホ向けECサイト
「竹虎」のスマホ向けECサイト

電話による注文が増えたことで想定外の効果も。「お客さまと話をする機会が増えたことで、社員が喜ぶことが増えた。社内が賑やかにもなった」(山岸社長)。

ちなみに、フリーダイヤルにしていないのは、「お金を負担してでも、実際に手に取ってみてわかるような情報がほしいと思う人に電話をかけてきてほしいから」と山岸社長は言う。

「Amazon Pay」で決済の使いやすさを拡充

ユーザーが買い物しやすい仕組みを作るため、決済手段を拡充したのは2016年。Amazonアカウントを利用して、購入時の配送先・クレジットカード情報の入力をすることなくAmazon以外のECサイトでログインや決済を行える決済サービス「Amazon Pay」を導入した。

山岸社長が「Amazon Pay」を導入した経緯は面白い。

「Amazon Pay」を導入する多くの企業は、

  • 個人情報(名前、配送先、クレジットカード情報)は入力不要、最短2クリックで買い物が完了できる
  • 会員登録しなくても、Amazonアカウントを利用して決済が可能。自社ECサイトごとに必要だったIDやパスワードの管理が不要
  • Amazonのセキュリティシステムでカード情報が管理されるため、安心・安全な決済環境が提供できる

といったユーザーメリットを消費者に提供することで、自社ECサイトの「カゴ落ち改善」「新規会員の獲得」「売上アップ」などへの効果を期待している。

だが、山岸社長は違った。尊敬するEC業界のレジェントである岸本社長から「自社ECサイトを運営しているなら、『Amazon Pay』は導入した方がいい」と提案されたから。山岸社長はこう振り返る。「岸本社長がオススメするので、それは導入すべき、なんだろうと」。

レジェンド岸本「自社ECサイトを運営しているならAmazon Pay導入は必須」

ここで、山岸社長に「Amazon Pay」を勧めたイージー・岸本社長について触れてみたい。山岸社長が師匠とあがめる岸本社長が運営するTシャツのECサイト「京都EASY」は1995年にオープン。モールに出店することなく23年間、独自ドメインのみで展開している。

そのため、岸本社長は独自ドメインのECサイトの限界も感じていた。それは、コンバージョンに直結する「安心感の不足」「個人情報やクレジットカード情報の入力の手間」などだ。

僕が「Amazon Pay」を導入したのは2015年9月。特に新規アクセスからカートに商品を入れた後のお買い上げに至るまでのプロセスで、「Amazon Pay」は“水戸黄門の印籠”のような安心感をお客さまに与えることができコンバージョン率のアップに必ずつながると、得た事前情報から確信しました。いち早く導入すべきサービスだと思ったので、「Amazon Pay」の提供が始まるというリリースを見て、早々に実装の準備を進めました。そして、2015年9月に新しい決済手段として消費者に「Amazon Pay」を公開しました。(岸本社長)

「京都EASY」の決済選択・発送先入力画面
「京都EASY」の決済選択・発送先入力画面

岸本社長は「Amazon Pay」の「安心感」をこう強調し、次のような導入メリットもあげた。

  • 4%の決済手数料以外、コストがかからない
    ※ECプラットフォームによっては別途月額利用料が発生
    ※デジタルコンテンツの販売は4.5%の決済手数料
  • Amazonアカウントを利用して、購入時の配送先・クレジットカード情報の入力をすることなくAmazon以外のECサイト等でログインや決済を行うことができる
  • お客様の抱える個人情報の入力への心理的負担が軽減されることで、コンバージョン率アップが期待される
  • 入金サイクルが自由に設定できる
    ※初期設定では14日、最短1日から自由に設定可能
  • クレジットカード決済で利用している決済代行よりも早期入金が可能なので、中小企業にとって資金繰りがしやすい
    ※ECプラットフォームによっては入金サイクルが異なる場合がある

「Amazon Pay」導入後、「京都EASY」の決済の利用率(件数ベース)に大きな変化が起きた。導入以前は「クレジットカード」「銀行振込」「代引き」を決済手段として提供しており、2015年8月度のクレジットカード決済利用比率は43%、代引きが56%だった。それが3年超で大きく変わる。

2018年6月度の決済利用率
  • Amazon Pay :33.8%
  • クレジットカード :25.4%
  • 代引き :39.5%
  • その他:1.3%

「京都EASY」では代引き手数料を自社で負担しているため、ユーザーから見ると実質0円で利用できる。そのため、他社よりも利用率が多いものの、全体に占める代引きの割合は大きく減り、一方で「Amazon Pay」が約3割も占めている。岸本社長はこう説明する。

決済全体に占める各決済手段の割合は、月次平均で、クレジットカードが25%、Amazon Payが34%、代引きが40%といった状況。これは、「Amazon Pay」のお客さまからの信頼度を反映しているような結果ですよね。「Amazon Pay」の導入は、自社ECサイトの利便性が高くなるとかいったレベルでない。安心感、資金繰りなどさまざまな効果がある。自社ECサイトを運営しているなら導入は必須。導入しない理由はなにもないですよ。(岸本社長)

だからこそ、岸本社長は自社ECサイトで独自の世界観を持つ「竹虎」を運営する山岸社長に、「(Amazon Payの導入を)やらなアカンで! 絶対にすぐやるべき! 今すぐやりなはれ!」と声をかけたのだという。

「京都EASY」岸本栄司氏
自社ECサイト運営一筋の岸本社長。独自ドメイン店には「Amazon Pay」が必要不可欠だと話す

実は不安があった「Amazon Pay」の導入、だがその効果に驚き

「竹虎」という自社ECサイトの有名店でも知らなかった「Amazon Pay」の効果や仕組み。実は、「田舎の人間は、都会の人を信用しない。たとえば、詐欺に遭うとか。警戒してしまう。実は……『Amazon Pay』も、Amazonが購入情報などを取得するのではないかと警戒していた」(山岸社長)と、地方でビジネスを展開する身として新サービス導入への不安があったと打ち明ける。

だが、前述した岸本社長の実体験に基づいたアドバイス、信頼を寄せる人からの提案があり「Amazon Pay」を導入。そして、その効果は山岸社長の心象をガラリと変えた。

「Amazon Pay」はとても使いやすい。特にスマホで商品を買いたいときには、(個人情報やクレジットカード情報を入力する手間が不要なので)とても便利。受注担当からも処理が楽になったという声があがっている。やはり、キーマン(山岸社長のケースでは、イージーの岸本社長)に言われなければ、情報に乏しい田舎者の僕にはその良さが伝わらなかった。岸本社長にはホント感謝です。(山岸社長)

買いやすいECサイト作りを追求する「竹虎」のECサイト
買いやすいECサイト作りを追求する「竹虎」のECサイト

12年続くほぼ毎日のブログ更新、メディア露出は450回以上

「竹虎」が大きく変わった取り組みの1つにあげられるのが「情報発信」。生まれた頃から「虎斑竹」を見て育ち、その価値に気付いていなかった山岸社長やスタッフさん。売れていない頃のECサイトのページには「虎竹」と記載するだけで、「竹の詳しい説明」「ここでしか育たない」といった詳細な説明ができていなかった。

岸本社長からは「絶対、売れるよ」という励ましの言葉をもらいながら、商品ページでの詳細説明、ブログでの情報発信などを積極化していく。

山岸社長が運営するブログ「竹虎四代目がゆく!」はほぼ毎日記事を更新。竹のこと、製品のこと、出先での出来事などテーマはさまざまだ。

2006年からほぼ毎日のベースで更新している
2006年からほぼ毎日のベースで更新している

こうした情報発信が功を奏してか、2008年には夏限定でユニクロとコラボ商品の企画が実現。「ユニクロのような大企業からお声をかけていただいて、竹虎のやってきたことが世間に認められた」(山岸社長)ことを実感した。

ネットの登場によって、田舎にも光が当たるようになった。ネットがなければ今頃、倒産していた。「竹虎」の商品を直接買いに行こうと思っても交通の便が悪い。紙媒体で通信販売をやろうとしたら、印刷やデザインにお金がかかる。でも、ネットは商品の公開が簡単。いろんな情報を発信できる。ECは、田舎の情報を自由に素早く発信できる素晴らしいツール。こんな良いことだらけのツールは、使い倒さないと損でしょ?(山岸社長)

情報発信によって雑誌や新聞、テレビ局などの取材がひっきりなしに。これまで450回(2018年7月時点)もマスコミに掲載され、そのパブリシティ効果は計り知れない。その一例を紹介しよう。

「竹虎」のメディア掲載例
「竹虎」のECサイトではマスコミ掲載履歴を掲載(詳しくはこちら)。2018年7月現在、掲載回数は450回以上で、新聞、雑誌、Web、ラジオなど多岐に渡る

2016年には商品の原材料である竹の良さ、可能性を知ってもらうため大がかりなプロジェクトを敢行した。クラウドファンディングを活用し約350万円という資金を集め、「虎斑竹」を使った電気自動車を開発。高知県から横浜までを11日間かけて走行するというプロジェクトだった。

山岸社長は「虎竹の自動車の製作プロジェクトは虎竹の里、竹職人だけでなく、日本のモノ作りに携わる全ての人々への応援につながるプロジェクト」とECサイトに綴り、メーカーとしての思いを伝えた。

走行距離1000キロメートルのこのツアーは一躍話題に。ブログなどで通過するルートを公表しているため、行く先々でメディアが取材に訪れ、「竹虎」のユニークな挑戦を報道した。

虎竹自動車
日本唯一いう虎竹自動車

自分が良いと思った物を作る、良さが伝わらないから

周囲の誰もが「虎斑竹」に価値を感じていない中、山岸社長はネットで商機を見出した。「お金に困っていた頃、土下座してまで売っていたときがあった。それ程、つらいものはない」という時期を山岸社長は振り返り、自身が考えるビジネス感を教えてくれた。

山岸社長の商品開発にかける思い
  • 自分が良いと思った物を作る
  • 自分が使いたい物を作る。
  • 自分がほしいと思った物だけを作る。
  • お客さまに迎合しない。それは、自分が使う物でなければその良さが伝えられないから

製品化した物は、ECサイト、ブログ、Twitter、Facebook、インスタグラムなどさまざまなチャネルを通して伝えていく。

自分たちの価値を伝えるということは、(相手の)知らないことを伝えて、知ってもらうということ。それほど嬉しいことはないよね。(山岸社長)

ちなみに、山岸社長の活動は世界的な評価を受け、2018年8月メキシコにて開催された、3年に1度開かれる世界竹会議(WBC、WORLD BAMBOO CONGRESS)にて登壇し、自社の取り組みを世界で発信した。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

「AR+EC」で商品を立体的に表示→CV向上や返品低減に期待! 「Shopify」のARショッピング機能

7 years 2ヶ月 ago

世界で60万店舗以上が利用しているECプラットフォーム「Shopify」の日本法人Shopify Japanは9月19日、AR(拡張現実)技術を使って商品を立体的に表示する「Shopify AR」の提供を開始したと発表した。

「Shopify」でECサイトを運用しているすべての事業者が「Shopify AR」を利用することが可能。従来よりもリアルな商品イメージを消費者に与えることができるため、ECサイトのコンバージョンアップに役立つという。

「Shopify」でECサイトを運用しているすべての事業者が「Shopify AR」を利用することが可能
「Shopify AR」を活用した商品確認のイメージ

ARは従来、専用のアプリを開発する必要があったが、「Shopify AR」はブラウザ上で閲覧することが可能。Apple社がiOS12で新たに導入した「AR Quick Look」を活用することで、「Safari」のiOS対応機種からARを通して商品を確認できるようにした。

ARは通常の商品写真と比べて、商品の大きさをイメージしやすい。たとえば、大型のソファーを部屋に置いたときの圧迫感や、自転車を自宅ガレージの空きスペースに置けるかどうかなどを事前に確認することが可能だ。また、商品をあらゆる角度から閲覧し、ズームで細部まで見ることもできる。

Shopify Japanは「Shopify AR」を使うことでネットショップのコンバージョン向上や返品の削減などにつながるとしている。

自転車ECサイトではさまざまなアングルで商品を確認可能

海外では自転車ECの「Pure Cycles」では、「Shopify AR」を活用して商品を3Dで確認できるようにしている。

Shopify Japanによると、「Pure Cycles」は「興奮していることは、従来の商品写真だけでは不可能な、すべての箇所やアングルなどを遠くにいるお客様にもまるで実体験のような購買体験を提供できること」と説明。そして、次のようにコメントしている。

自転車のすべてのスペックを知りたいような人は、AR機能でスペックをチェックするために自転車をすぐに出現させることができます。彼らは「これがShimano drivetrainね」であるとか「しっかりしたブレーキのレバーを使っているね。良い感じ」などと家にいても商品を体験できるようになります。

使用イメージが確認でき満足度が向上

ホームファッションや家具のアイテムを「HORNE」も「Shopify AR」を先行的に活用しているECサイト。消費者がショールームに行き商品を見なくても、ECサイトで販売している商品を自宅の好きなところに置いたようにイメージを確認できるようにしている。

「HORNE」によると、実際に商品を買ったときの様子がイメージできるほか、顧客満足度向上につながることも重要なポイントという。

もしお客様が商品を返品したら私たちは失敗したと感じています。お客様の商品のイメージと実際の商品が違ったり、期待に応えられなかったと考えられるからです。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

永谷園が自社EC用のブランドを開発、専用サイトも開設

7 years 2ヶ月 ago

永谷園は自社ECサイトの新ブランド「かけるくらし by nagatanien」を立ち上げ、9月18日に専用サイトをオープンした。

加工済みのチリコンカンソースや味付きのゴマ、スープなどを発売。フードデザイナーの肩書でレシピ開発などを行っている細川芙美さんと商品を共同開発した。

新ブランドのコンセプトは「わくわく・ほっとできる・寄りそう」。おいしさ、健康、美容にこだわった商品を提案するという。

永谷園は自社ECサイトの新ブランド「かけるくらし by nagatanien」を立ち上げた
自社ECサイトの新ブランド「かけるくらし by nagatanien」(画像は編集部がキャプチャ)

細川さんと共同開発した「collection humi hosokawa」シリーズの第1弾は「タコのエキスと旨味 8本足のメキシカン気取りのチリコンカンソース」。細川さんは弁当のレシピを多数開発していることから、「細川氏のお弁当の味を再現できるそうざいの素」としてオリジナルレシピを商品化した。

商品を使ったアレンジレシピを「かけるくらし by nagatanien」の中で紹介している。

永谷園は公式通販サイト「永谷園通販」を運営。お茶漬けや味噌汁、カレー、ふりかけなどの単品や詰め合わせなどを販売している。2017年6月には中国向け越境ECプラットフォーム「豌豆公主(ワンドウ)」に「お茶漬けの素」などを出品した。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ビジネスパーソンは通勤時間に何している? ネット通販する割合は約1割

7 years 2ヶ月 ago

オンライン学習サービスを提供するオンラインスクールが実施した通勤電車での過ごし方に関する調査によると、通勤中の電車内で「ネットショッピング」を利用すると答えたのは全体の約1割だった。9月19日にオンラインスクールが調査結果を公表した

ネット通販利用は立席時で8%、着席時は11%

通勤に電車を利用している1都3県在住の男女1000人を対象に、通勤電車での過ごし方を聞いた(選択式・複数回答)。

立っているときの時間の過ごし方の上位は「ニュースサイトの閲覧」(32.4%)、「特になにもしない」(24.7%)、「音楽やラジオを聴く」(22.3%)、「SNSの利用」(22.1%)、「読書(紙の書籍)」(18.2%)。

立席時に「ネットショッピング」を利用して過ごすと答えた割合は8.4%だった。

オンラインスクールが実施した通勤電車での過ごし方に関する調査の結果
立席時に「ネットショッピング」を利用して過ごすと答えた割合は8.4%

一方、着席しているときの時間の過ごし方は、「仮眠、休憩」(37.9%)がトップ。2位以下は「ニュースサイトの閲覧」(36.7%)、「読書(紙の書籍)」(26.2%)、「SNSの利用」(24.9%)、「音楽やラジオを聴く」(21.6%)、「ゲーム(スマホ・タブレット・ノートPC等)」と続いた。

着席時に「ネットショッピング」を利用すると答えたのは11.3%で、立席時より約2ポイント高い。

オンラインスクールが実施した通勤電車での過ごし方に関する調査の結果
着席時に「ネットショッピング」を利用すると答えた割合は11.3%

通勤電車での過ごし方を年齢層別に見ると、20代は「SNSの利用」がもっとも多い。立席時は約35%、着席時は約30%だった。「SNSの利用」と答えた割合は年齢が上がるにつれて低くなる。

調査概要

  • 回答者:通勤に電車を利用している東京、埼玉、千葉、神奈川在住のビジネスパーソン男女1000人(男性500名/女性500名)(20歳~29歳、30歳~39歳、40歳~49歳、50歳~59歳、60歳以上それぞれ200人に均等割付)
  • 調査期間:2018年8月17日~2018年8月24日
  • 調査方法:インターネットリサーチ

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

コレに当てはまったら「嫌な発注者」/サイト内検索を極める【今週のアクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

7 years 2ヶ月 ago

先週に引き続き、北の達人コーポレーションの木下勝寿社長が1億円を寄付するという話題が1位に。「受注側のディレクターに聞いた、いい見積書のもらい方」の調査結果が2位でした。

  1. 北の達人コーポレーション社長が1億円寄付/ケフィア事業振興会、破たんの裏側【ネッ担アクセスランキング】

    2018年9月7日~13日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?

    2018/9/14
  2. 嫌な発注者の共通点は「値下げ」「丸投げ」「ざっくり」「とにかく早く」。ネッ担の皆さんは大丈夫?【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2018年9月10日〜16日のニュース

    2018/9/19
  3. なぜあのECサイトはお客に支持されるのか? モバオク×ナノ・ユニバース×NTTレゾナントの徹底討論

    モバオク×ナノ・ユニバース×NTTレゾナントの徹底討論

    2018/9/19
  4. 食品EC・通販のシェアはまだ8%。1位はスーパー27%、2位はコンビニで21%

    農林水産省が農産物の流通の現状をまとめた

    2018/9/14
  5. GDOが羽田空港にゴルフ体験のラウンジ、ビジネスパーソンのフライト前をターゲットにサービス展開

    店舗を毎年2~3店舗開設し、体験を通じた物販にも力を入れている

    2018/9/18
  6. Amazonと差別化するための優れたカスタマーエクスペリエンスは購入前から始まる

    Amazonと差別化して存在意義を示すには、カスタマーエクスペリエンスが重要

    2018/9/20
  7. Instagramの「ショッピング機能」、ストーリーズにも対応

    InstagramからECサイトへの導線を強化できるようになった

    2018/9/19
  8. 4.5兆円も売れた中国のECイベントとは? W11(独身の日)に次ぐ「京東618」まとめ

    6月に開催されたセールイベント「京東618」。各モールの動きを振り返ります (vol.34)

    2018/9/18
  9. 経産省と農水省、農水産物の越境ECを推進する取組強化

    海外のECモールに日本食品専用サイトなどを開設する

    2018/9/14

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    uchiya-m

    AIがモバイル端末の動きから心理分析→最適な情報を配信、ヒマラヤがECサイトで実験

    7 years 2ヶ月 ago

    ヒマラヤはこのほど、ECサイトを閲覧するモバイル端末のタッチ操作速度や端末の向き、揺れからAI(人工知能)が顧客の心理を分析し、心理に応じた最適な情報をタイムリーに提供する実証実験を始めた。

    対象サイトはヒマラヤの自社ECサイト「ヒマラヤオンラインストア」のアウトドア特集ページ。期間は10月3日まで。

    顧客1人ひとりの購買行動や心理に応じた情報提供の有効性を検証し、商品ページの閲覧数向上や満足度の高い顧客体験につながるECサイトの改善施策に役立てるのが目的。

    心理分析のAI技術を活用し、商品に対する関心や迷いを推定。関心や迷いの度合いに応じて表示するメッセージを切り替え、顧客の心理をタイムリーに捉えた接客を実現するという。

    閲覧ページの遷移データと心理データの相関関係を分析し、購買に至るまでにどのような心理で商品を比較検討するかを把握することが可能。ECサイトにおける顧客満足度向上への施策検討、将来的にはマーケティング戦略への活用についても効果を検証するとしている。

    ヒマラヤは、ECサイトを閲覧するモバイル端末のタッチ操作速度や端末の向き、揺れからAI(人工知能)が顧客の心理を分析し、心理に応じた最適な情報をタイムリーに提供する実証実験を開始
    顧客の心理を分析するAI技術の適用イメージ

    富士通が開発したAI技術を活用

    今回の取り組みは富士通が開発したAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」の中核技術「感性メディア処理技術」を活用している。

    Webサイト閲覧時のモバイル端末のタッチ操作と端末の動きを基に人の心理を分析するAI技術を使用。ECサイトでの商品に対する顧客の関心や迷いの度合いに合わせてタイムリーに関連情報を提示したり、購入を後押しするようなお買い得情報やクーポンを提供するなど、満足度の高い顧客体験を提供する。

    AIを活用した感性検知技術でECサイトの体験価値向上

    ヒマラヤと富士通は、閲覧ページの遷移データと心理データの相関関係を分析。顧客がどのような心理で商品を比較検討するかを把握し、ECサイトの改善に活用できるかその有効性を検証するという。

    富士通は実証実験を通じて、商品に対する心理分析により、顧客の購買意欲や満足度を高める施策やマーケティングの高度化を可能とするソリューション実現をめざす。

    ヒマラヤは総合スポーツ量販として109店舗を全国展開し、ECサイト「ヒマラヤオンラインストア」などEC事業にも注力。富士通のECサイト構築ソリューション「FUJITSU Business Application SNAPEC-EX(スナップイーシー イーエックス)」を導入し、ECの仕組みをベースにした店頭注文システムも構築している。

    瀧川 正実

    ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

    通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

    瀧川 正実

    働き方改革に前向きな企業は6割、取組内容のトップは8割が「長時間労働の是正」

    7 years 2ヶ月 ago

    帝国データバンクが9月14日に公表した「働き方改革に対する企業の意識調査」によると、国内企業の63.1%が働き方改革に前向きだった。具体的な取り組みは、長時間労働の是正や休日取得の推進と答えた企業が多い。

    全国2万3099社を対象に調査を行い、9918社から回答を得た。

    働き方改革に「取り組んでいる」と回答した 企業は37.5%。「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」は25.6%で、合計63.1%が「働き方改革」に前向きな姿勢を示している。

    一方、「取り組む予定はない」は15.1%、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」は2.6%だった。

    帝国データバンクが公表した「働き方改革に対する企業の意識調査」 働き方改革への取り組み状況

    「働き方改革」に取り組んでいると回答した3723社に対し、具体的な内容を選択式・複数回答で質問した。その結果、1位は「長時間労働の是正」(79.8%)、2位は有給休暇の取得目標を設定するなど「休日取得の推進」(61.8%)だった。3位以下は「人材育成」(56.3%)、「定年の延長・廃止、継続雇用制度の導入」(49.4%)、「業務請負の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(49.2%)。

    目的は「従業員のモチベーション向上」

    働き方改革に「取り組んでいる」または「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」と答えた6259社に、「働き方改革」の目的を質問したところ、「従業員のモチベーション向上」が25.6%で1位だった。

    次いで「人材の定着」(19.8%)、「生産性向上」(15.9%)、「従業員の心身の健康」(15.4%)となっている。

    帝国データバンクが公表した「働き方改革に対する企業の意識調査」 働き方改革への取り組みで最も重視する目的

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    【台風21号災害の教訓に学ぶ 】EC企業の被害状況から見る課題と必要な対策とは

    7 years 2ヶ月 ago

    ネットショップやEC支援会社など238社が加盟する「一般社団法人イーコマース事業協会」は、9月上旬に近畿や関西に上陸した台風21号の被害状況について会員を対象にアンケート調査を実施し、調査結果を9月12日に公表した。

    アンケートに回答した事業所は35社(大阪府22社、京都府4社、滋賀県1社、兵庫県7社、奈良県1社)。主な被害状況は、屋外設備の破損や運送会社の遅延・停止だった。多くの事業者が事前に休業を決定し、社内外に告知するとなど、災害への意識が高かったという。

    被害状況の上位は「運送会社の遅延・停止」(18社)、「建物・設備などの被害」(13社)、「交通マヒによるスタッフ確保」(11社)。具体的な被害として「空調設備の室外機が倒壊」「建物は、TVアンテナ落下」「ガレージ屋根が破損」「シャッターの破損」などがあった。

    「一般社団法人イーコマース事業協会」が調査した台風21号の被害状況
    台風21号の被害状況

    台風当日の運営については、11社は前日から休業を決定、2社は当日に休業を決定した。

    「一般社団法人イーコマース事業協会」が調査した台風21号の被害状況 台風当日の運営について
    台風当日の運営について

    集荷については21社が当日またが翌日まで「問題があった」と回答。売上への影響は23社が「影響ない」と回答したが、10社は「一時的な買い控えが起こった」、2社は「買い控えが続いている」と回答した。

    事前災害への備え、BCP(事業継続計画)の作成を

    イーコマース事業協会の吉村正裕理事長は台風21号について以下のようにコメントし、自然災害発生時の対策案をEC事業者に提示した。

    一般社団法人イーコマース事業協会の吉村正裕理事長
    吉村正裕理事長

    今回は、私の会社も京都事務所の建物の一部が破損した。京都でこのような被害が発生したのは昭和36年の第2室戸台風以来57年ぶりとのこと。

    地震や台風では被災エリアが広範囲になればなるほど、設備などを復旧してくれる業者さんへの需要が急増し、なかなか来てくれず、復旧までに期日を要するというのも実感した。

    地震の際にも感じたが、平時にBCP(事業継続計画)の作成が必要だろう。

    災害発生時の初動(非常時対応マニュアル)

    自然災害や事故などの発生直後は、被害を最小にとどめるため、応急救護、救助活動、消火活動など、主に業務時間中に自然災害が発生した場合の対応と、安否確認、緊急連絡、情報収集、被害状況の確認、自宅待機命令、出勤時や帰宅時の対応などを予め決めておき、関係者で共有する。

    仮復旧計画(業務継続マニュアル)

    初動対応が落ち着いた次の段階は、サイト掲載や物流の状況に応じた対策、受注処理の人員確保困難時の対応策、設備や在庫破損時の代替設備や非常用電源の準備、復旧方法、業務委託先や仕入れ先の一時的な切り替え対応、主担当者以外による業務継続のための引き継ぎなど。本格的に復旧に先立ち、業務を仮に再開させるために必要な資材・設備・手順書などを事前計画としてまとめておく必要がある。

    本復旧計画

    本格復旧計画は、仮復旧により暫定的な対応を行っていた各種の業務、また代替品を用いていた設備などを平常時の状態に戻していくための準備。この段階というのは、初動対応や仮復旧対応のように一分一秒を争う状況ではないので、読むだけで対応できる精度のマニュアルを作成する必要はない。設備を購入した際の納品書、サービス導入時の契約書などをまとめておき、参照できるようにしておく。

    平時の対策活動

    非常時にBCPを活用するための情報共有、ブラッシュアップ、訓練など。例えば緊急連絡先や安否確認用リストの更新、防災備蓄用品の入れ替え、避難訓練の実施や非常時対応マニュアルを用いた事前演習や訓練の定期的実施などを継続実施する必要がある。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    10月は体育の日・ハロウィン・芸術の秋などネタが盛りだくさん ~Twitter・Facebook・Instagramの投稿事例&アイデア【10月編】

    7 years 2ヶ月 ago

    10月は秋本番。今年は酷暑が続きますが、例年通りならすっかり残暑も落ち着き、過ごしやすい日々が訪れます。天候も安定しているので、スポーツ系・アート系のイベントなども目白押し。夏バテからすっかり回復し、元気になった人々が活動的になるシーズンだといえるでしょう。

    10月といえば、昔ながらの風習「衣替え」に始まり、すっかり日本に定着した「ハロウィン」で終わります。私たちがさまざまな変化のなかで生きていることを実感させてくれる月ともいえるかもしれません(詳しくは後述しています)。

    今回のテーマはそんな秋まっさかりの10月。「体育の日」「ハロウィン」「芸術の秋」のシーズンに参考にしたいSNS投稿事例とアイデアを紹介します。

    その前に8月9月の投稿案を作らなくては! という方は、前回までの記事をぜひ参考にしてください。

    10月のSNS投稿に役立つネタ
    • 体育の日
    • ハロウィン
    • 10月の投稿ネタ(一例)
      • 2018年10月ならではのトレンド予測
      • 秋らしい記念日あれこれ
      • 芸術の秋
      • 10月の花火大会

    「○○の秋」といえば?

    10月唯一の祝日といえば「体育の日」(2018年は10月8日)ですね。昔は運動会といえば秋が多かったのですが、昨今は運動会をはじめとするスポーツ系イベントは、春に開催されることも増えました。

    とはいえ、やはり秋といえば「スポーツの秋!」ということで、2017年の「体育の日」に工夫をこらしていた企業の投稿例を紹介します。

    Facebook
    70年以上前の広告が「体育の日」「文房具メーカー」「ファン」をつなぐ

    2017年10月6日にトンボ鉛筆がFacebookに投稿したのは、1940年発行の絵本に掲載された同社の広告でした。野球を楽しむ子どもたちの姿を描いた画像の珍しさやレトロ感、右から左に読むキャッチコピー、歴史的仮名遣い(旧仮名遣い)に対して、なつかしさや新鮮さを感じるファンから、好意的なコメントが寄せられています。

    チェックポイント!

    一見すると「体育の日」「スポーツの秋」とは、からみにくい「文房具メーカー」が、貴重で珍しい昔の広告をうまく利用することによって、みごとにSNS上のトレンドに乗ることに成功しています。

    さらに、同社のコーポレート・ロゴマークのトンボが当時は下向きだった(現在は上向き)ことに気づくファンもいるなど、コアなトンボ鉛筆ファンをも楽しませることができた好例といえるでしょう。

    Instagram
    チェックせずにはいられない! ユニークな次世代モビリティ

    続いて紹介するのは、ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」が昨年の体育の日(2017年10月9日)にInstagramへ投稿した内容です。宿泊ゲスト向けの「ペンサイクル」(1人用の電動移動機器)の無料貸し出しサービスを紹介しています。

    車や自転車とも異なる「ペンサイクル」というユニークな乗り物そのものに「目新しさ」「珍しさ」があり、フォロワーの関心を集める投稿ネタとして十分な魅力があります。

    さらにこの投稿では、実際に同ホテルに泊まり「ペンサイクル」を利用したゲストのInstagram投稿を紹介する形にしたことで、「共感」と「親しみやすさ」をフォロワーに感じさせることにも成功しているのが秀逸です。

    チェックポイント!

    この投稿は、単なるリポストではなく、画像にゲストをタグ付けし、投稿テキスト中でゲストをメンションするとともに、丁寧に謝意を伝えています。タグ付けされたゲストからも好意的な返信がされていました。

    この投稿に限らず、常に日本語と英語の2本立てでテキストを投稿しており、国内・海外どちらのフォロワーにも楽しんでもらいたいという同ホテルの願いが伝わります。

    ハッシュタグは、日本語と英語で少し内容が変えられている点にも、担当者のこまやかな配慮が垣間見える投稿です。

    Twitter
    ハロウィン一色のタイムラインに変化球的投稿を

    続いては、今やすっかり日本に定着したイベント「ハロウィン」(10月31日)の投稿例をご紹介します。毎年、10月後半ごろから31日当日までの期間で、多くの企業がハロウィン関連の投稿をしています。

    次に紹介するのは、他社とはちょっと異なるアプローチが光った投稿事例です。

    ハロウィン前日にセメダイン【公式】がTwitterで投稿したのは、ハロウィンで仮装を計画しているユーザーに対する、瞬間接着剤の使い方の注意喚起でした。

    ユーザーからの返信コメントには、セメダイン自らが、注意喚起の投稿をしたことへの謝意だけでなく、誤った使い方をして実際にやけどしかけたことがあるユーザーたちの実体験が多く寄せられています。

    この投稿の反響は大きく、多くのユーザーがリツイートし、当時はYahoo!ニュースのトップページでも取り上げられました。

    チェックポイント!

    投稿自体は真面目で堅い内容なのですが、Twitterの定番テンプレートの1つ「(……きこえますか…きこえますか…」を使うことで親しみやすさの醸成に成功しています。

    ともすれば瞬間接着剤に対する否定的な反応(例:「瞬間接着剤って危険! 怖い!」など)が集まるリスクもある投稿内容ですが、「フォロワー目線の親しみやすさ」と「日頃から培ってきたフォロワーとの良好な関係」が奏功してか、ネガティブな返信コメントがまったくなかったのも注目すべき点でしょう。

    もう1つの事例は、2017年10月31日のハロウィン当日にキリンビールがTwitterで投稿した内容です。「なぜか今日はカボチャを買ってしまった…」という方におすすめする、おつまみレシピでした。

    ハロウィン感ゼロの画像を使いながらも、投稿の最後にさりげなくハッシュタグ「#ハッピーハロウィン 🎃」を付けて、当日のSNSトレンドに乗っかることも忘れていません。フォロワーからの返信コメントは好意的なものばかりでしたが、ハロウィンにふれていないものがほとんどだったのが印象的です。

    チェックポイント!

    日々のSNSアカウント運用を続けていくうちに、「自社のSNSアカウントのファン・フォロワーにはどんな属性・趣向の人たちが多いか」が見えてくるものです。キリンビールのこの投稿は、「ハロウィンで仮装なんて、恥ずかしくてできない」「“ハッピーハロウィン!”なんて言えない」「そもそもハロウィンにはあまり興味がない」――そんな大人なフォロワー達を意識した内容だったのかもしれません。

    また、ハロウィン当日のSNSといえば、ジャック・オー・ランタンや仮装姿の画像がずらりと並ぶのが常。そのなかにおいて、おいしそうなカボチャの画像は、かえってTwitterユーザーたちの目を引いたことでしょう。

    10月の投稿ネタ(一例)
    「2018年10月ならではのトレンド予測」「秋らしい記念日あれこれ」「芸術の秋」「10月の花火大会」

    ここまで、10月の記念日などに絡めた投稿事例を紹介してきました。ここからは、その他のイベントやニュースネタをいくつか紹介します。

    もはや呪文のように繰り返していますが、「ファンを楽しませる投稿」=「ネタ」×「自社情報」です。

    今回も、みなさんの企業アカウントの「投稿ネタ」として使えそうなものがないか、考えながらお読みください。

    2018年10月ならではのトレンド予測

    豊洲市場開業(2018年10月11日)

    築地市場の豊洲移転問題が世間を騒がせていたのも今は昔。豊洲市場の開業日が2018年10月11日に決定しました。なお、築地市場の解体工事も同日に着手予定とのこと。

    豊洲市場オープンに向けて世間の注目が高まり、SNSでも話題になりそうです。最新情報は常にキャッチアップしておきましょう。

    国内で作られるワインの表示ルールが厳格化(2018年10月30日)

    国産ブドウのみを原料として国内製造された果実酒が「日本ワイン」と定義されるようになります。

    その他の国内製造ワインや輸入ワインなどと明確に区別されるとともに、国内のどこの産地で採れたブドウで造られたものか、どんな品種が使われているか、どの年に収穫されたブドウが使われているか、などの情報を表示します。

    お酒そのものを扱う投稿だけでなく、ワインに合うおつまみ、料理の紹介や、グラスをはじめとするワイングッズの紹介、日本ワイン用のブドウの産地や品種の紹介など、いろいろな切り口の投稿が考えられそうです。

    秋らしい記念日あれこれ

    衣替え(10月1日)

    日本古来の風習「衣替え」。その由来や歴史、昔と今の違い、豆知識などを調べてネタにしてみてはどうでしょう。衣替えに役立つ「洗濯方法」「畳み方」「防虫方法」などを、自社商品の紹介とからめて投稿するといいかもしれません。

    糖質ゼロの日(10月4日)

    2008年に日本酒で初めて糖質ゼロの商品を発売した「月桂冠株式会社」が制定した記念日です。日付は「糖(とう=10)質(し=4・つ)」と読む語呂合わせから。秋といえば「食欲の秋」。ダイエットにも関心が高まるシーズンですので、健康や美容関連の投稿ネタに使えそうです。

    海外旅行の日(10月19日)

    「遠(10)くへ行く(19)」の語呂合わせから制定された記念日です。夏休みを避けて秋に海外旅行を楽しむユーザーに向けて、「海外旅行に持っていくといいもの」「オススメの服装」「この時期こそオススメの海外旅行先」などを紹介してはどうでしょう。

    また、海外旅行に行きたくても行けないユーザーをターゲットに「国内にいながらにして海外気分を楽しめるスポット・食べ物」などを投稿ネタにする手もありますね。

    バーゲンの日(10月19日)

    1895年10月19日、東京の大丸呉服店が開催した冬物衣料の大売り出しが、日本初のバーゲンセールといわれています。夏や冬に比べると規模は小さめながらも、秋にもバーゲンを実施する企業であれば、ぜひ意識しておきたい記念日ですね。

    文字・活字文化の日(10月27日)

    公益社団法人読書推進運動協議会が毎年主催している「読書週間」の初日が「文字・活字文化の日」です。広い意味でいえば、SNSも文字文化の1つ。「読書の秋」にもふさわしいこの記念日に、はまる投稿案をぜひ考えてみてください。

    初恋の日(10月30日)

    1896年10月30日、島崎藤村が雑誌『文学界』に『こひぐさ』の一編として、初恋の詩を発表したことから制定されました。一説には、「秋は恋の季節」ともいわれます。ファン・フォロワーから初恋に関するアンケートをとってみたり、「なつかしさ」「甘酸っぱい思い出」を想起させるような投稿をしてみたりしては、いかがでしょう。

    引き続き芸術の秋、大規模な美術展が目白押し

    9月編)の芸術の秋は「映画」がメインでしたが、10月は「絵画」。特に今年は大規模な美術展が目白押しです。有名画家の展示会が多いうえに初来日する名作もあるなど、SNSでも話題になる可能性は高いと思われます。

    • フェルメール展(東京展)

      2018年10月5日~2019年2月3日(上野の森美術館)。現存する作品全35点のうち8点が来日するのは過去最大規模。

    • ルーベンス展―バロックの誕生

      2018年10月16日~2019年1月20日(国立西洋美術館)。ルーベンス展は日本で何度か開かれていますが、今回はイタリア・バロック美術との関係を解き明かします。

    • ムンク展―共鳴する魂の叫び

      2018年10月27日~2019年1月20日(東京都美術館)。複数あるムンクの「叫び」のうち、テンペラ・油彩画が初来日。

    意外と多い! 10月の花火大会

    「花火大会といえば夏の風物詩」――そんな時代は終わりつつあるのかもしれません。ここ数年問題となっている地球温暖化の影響からか、8月は天候が不安定な日が多く、ゲリラ豪雨や落雷の影響で花火大会が中止となるケースがちらほら発生しています。

    「こうした荒天での中止を避けるため」だけが理由ではありませんが、ここ数年、天候が安定していて空気も澄んでいる10月に開催される花火大会が増えてきているのです。

    花火大会とはいえ、さすがに浴衣で出かけるのは難しい時季です。何を着ていけばいいか悩んでいるユーザーに対して、オススメのファッションやグッズを提案する投稿は喜ばれそうです。

    ◇◇◇

    日々の生活を送るなかでは気づきにくいですが、確実に、私たちはさまざまな「変化」のなかにいます。たとえば10月の記念日として「衣替え」をご紹介しましたが、今ではまったくしない人も増えています。

    また、前述のように「花火大会は夏の風物詩」というかつての常識もじわじわ崩れはじめているのかもしれません。

    もっと身近な例でいえば、10月はテレビの連続ドラマの新クールが始まる月、番組表のラインナップががらりと「変化」する月です。

    こうした実生活や環境における変化の影響を受けて、SNS上でのトレンドもスピーディーに変化していくことでしょう。

    企業・団体のSNS運用担当者のみなさんには、こうした「変化」を楽しめる柔軟性と、「変化」をしっかりキャッチアップしていけるスピード感を、ぜひ身につけていただくことをお勧めします。当連載もその一助になれるように努めていきますので、次回もどうぞお楽しみに。

    オリジナル記事はこちら:10月は体育の日・ハロウィン・芸術の秋などネタが盛りだくさん ~Twitter・Facebook・Instagramの投稿事例&アイデア【10月編】(2018/08/02)

    後藤真理恵

    株式会社コムニコ/一般社団法人SNSエキスパート協会

    株式会社コムニコ
    カスタマーサクセス局 コミュニティマネジメントチーム マネージャー

    一般社団法人SNSエキスパート協会 代表理事

    東京大学 文学部卒・中学高校教諭第一免許状(国語)取得。日本オラクル(株)にて、技術者向け研修の開発~実施、講師育成、技術者向け資格試験の問題開発などを担当。その後はマーケティング、パートナービジネス部門などを歴任。

    2013年にコムニコに入社。自らも数多くの企業のSNSマーケティングを支援するとともに、9名のコンテンツクリエイターからなるチームをマネージャーとして率いる。同チームが作り出すSNS投稿案は、毎月約1,000本。

    2016年11月、一般社団法人SNSエキスパート協会代表理事に就任。「SNSエキスパート検定(初級・上級)」講座/認定試験の実施を通して、SNSマーケティングの正しい知識を持つ人材育成にも努めている。

    著書に『ファンを獲得! Facebook投稿ノウハウ』(翔泳社・共著)。

    後藤真理恵

    Amazonと差別化するための優れたカスタマーエクスペリエンスは購入前から始まる | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    7 years 2ヶ月 ago

    Amazon(アマゾン)全盛の今、小売事業者はカスタマージャーニーのすべてのポイントで、カスタマーエクスペリエンスの役割を考えています。そして自らこのように問うのです。「購入前、購入時、購入後、すべてのポイントで買い物をスムーズにするためには、最新技術をどうやって取り入れればいいのだろう?」

    カスタマーエクスペリエンスという言葉は、eコマースにおいてバズワードになりましたが、eコマースのすべてを表しているようで、実は何も表していません。

    「スムーズな」「シームレスな」「ジャーニー」という言葉を使えば、周りはみな頷くと同時に、目を白黒させるでしょう。どうして目を白黒させるのでしょうか? なぜなら、「カスタマーエクスペリエンス」は、マーケッターや経営陣が、具体的な話ができないときに持ち出す言葉だからです。

    私は、「カスタマーエクスペリエンス」という言葉を葬り去ろうとしているわけではありません。むしろ、高く評価したいのです。

    アマゾン以外のほとんどの小売事業者にとって、差別化の機会はカスタマーエクスペリエンスに集約されます

    小売業界のなかで、もっとも賢い事業者たちは、「カスタマーエクスペリエンス」の見方を変え、デジタルトランスフォーメーションの中心に新しい「カスタマーエクスペリエンス」の考え方を据えています

    データまみれのアマゾン全盛時代を生き抜くために戦っている小売事業者の間で、人工知能やマシーンラーニングがまるで神聖なもののように扱われるようになったのは、この新しい考え方が理由の1つです。

    すべては消費者のために」という言葉は、会議のスピーチやアナリストの話のなかでよく出てきます。しかし、どうやってそれを実現するのでしょう? 顧客を獲得して、顧客が買いたいと思っていない商品をメールでどんどんプロモーションすることでしょうか? もしくは、もっと他のことでしょうか?

    そうです。もっと他のことなのです。

    鍵になるeコマース8つのツール

    新しいことが今まさに起ころうとしています。eコマースやデジタル経済を注視している人たちは、すでにそのことに気づいているのです。メアリー・ミーカー氏が毎年発行し、デジタルの未来がわかるとして信頼されているインターネットトレンドレポートで、今年はeコマースに関する内容がとても目立ちました。

    294枚のスライドのうち、50枚がeコマースの内容に関するものでした。eコマースビジネス立ち上げのための戦略や、成功するためのカスタマーエクスペリエンスの詳細な情報を提供しています。

    メアリー・ミーカー氏が発表したインターネットトレンドレポート

    ミーカー氏はビジネスで必要な要素を8つのツールに分けました。

    • 決済(店舗内)
    • オンラインストア
    • オンライン決済
    • 不正防止
    • 購入時の融資
    • カスタマーサポート
    • 顧客獲得
    • 商品配送

    ミーカー氏のレポートを見ると、顧客が商品を購入するときから、商品を届けるまで、そして商品が家に届いた後もずっと、淀みないカスタマーエクスペリエンスを提供することが重要だとわかります。

    Shop.org(小売業界のカンファレンス)で昨年登壇した、ECプラットフォーム Skava社のデーブ・バローマン氏は、AIとマシーンラーニングは急速に進化しており、顧客の関心を惹き、買いそうな商品を見せる以上のことができるようになっていると話しました。

    おすすめ商品の表示や検索の最適化以上の、より多くのことが可能になり、どのチャネルにおいても、マシーンラーニングが小売にインパクトを与えることでしょう(デーブ・バローマン氏)。

    ミーカー氏がeコマースのカスタマーエクスペリエンスのなかに不正防止を入れたのは、興味深い点です。ミーカー氏は、カスタマーエクスペリエンスは、消費者が欲しい商品を見つけたり、購入したりするだけに留まらないと考えています。

    業績の良い小売事業者は、消費者が欲しい商品をいつでも、どこからでも手に入れたいと考えていることを知っています。消費者はその時々で、便利で、早く、経済的な方を選んで、実店舗とオンラインの両方で買い物をしています。彼らにとって、オンラインで欲しい商品が簡単に見つかるのは当たり前のことなのです。

    AIの役割

    カスタマーエクスペリエンスには、さらなる役割があります。顧客を喜ばせると同時に、利益を生み出すための絶妙なバランスも必要です。

    もちろん、小売事業者は不正取引から自らを守る必要がありますが、それは損失回避のためだけではありません。せっかく獲得した顧客を逃すことなく、すばらしいカスタマーエクスペリエンスを保つためにも、不正から身を守らなくてはいけないのです。翌日配送と競争できる小売事業者がどれくらいいるでしょう? 注文がすぐに反映されなかったり、不正の疑いがあったりしたために、問題のない注文が拒否されたら、顧客はアマゾンに移っていくことでしょう。

    さらに、オンライン上のフォームで何ページも記入しなくても、顧客がすぐにローンを受けられるようにしなくてはいけません。そのために、リアルタイムで顧客の信用を査定するAIが検討されています。

    もちろん、指定通りに商品を配送すると同時に、過剰な返品が起こらないように、簡単な返品プロセスを提供する必要があります。

    これらをビジネスで実現するにはどうしたらいいのでしょう? スターバックスがモバイルアプリを使って、どのようにデジタル上で顧客と彼らのデータを獲得したかを考えてみてください。

    eMarketer社のレポートによると、今年、2,340万人がAI搭載のスターバックスアプリ経由で商品を注文するそうです。2016年の時点でも、スターバックスの約4分の1のオーダーがアプリ経由でした。

    プラットフォームごとのモバイル決済の利用者数(編注:eMarketer社のレポートを編集部がキャプチャし追加)
    https://www.emarketer.com/Chart/US-Proximity-Mobile-Payment-Users-by-Platform-2017-2022-millions/219038

    アマゾンは、物流センターにAIを取り入れ、物流のリーダーになりました。シアトルの巨大企業アマゾンは今、商品の買い付けや価格交渉までAIに任せるようになっています。

    購入後のサービス

    高級スーツケースを販売するTumiは、拡売のためではなく、販売後により良いカスタマーエクスペリエンスを提供するために、AIによるパーソナライゼーションを始めました。たとえば、購入したものの、まだ受けとっていない商品に関して、どのように通知してほしいのか、顧客が選べる機能を追加しました。新機能のおかげで、カスタマーセンターへの電話が30%減少したそうです。

    ウォルマートの子会社であるJet.comは、AIを利用して不正を管理し、注文チェックのスピードを劇的に早め、顧客の待ち時間を少なくすることに成功しました。

    消費者の期待値が高くなっていること、競合からのプレッシャー、そして多くの場合アマゾンの脅威を理由に、小売事業者のデジタルトランスフォーメーションは始まっています。メアリー・ミーカー氏のレポートのなかで、アマゾンのeコマースのマーケットシェアは、2013年の20%から28%にまで拡大しています。

    価格、品ぞろえ、物流でアマゾンと競争しようとしている小売事業者は、負け戦を戦っています。アマゾン以外のほとんどの小売事業者にとって、差別化の機会はカスタマーエクスペリエンスに集約されるのです。

    実際、アマゾンやBtoCビジネスが全盛の今、小売事業者の存在意義はすばらしいカスタマーエクスペリエンスを提供すること以外ないのです。すばらしいカスタマーエクスペリエンスは、消費者があなたの商品を見つけた瞬間から始まります

    そして、それが一生続かないといけないのです。

    Internet RETAILER

    世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

    Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

    Internet RETAILER

    DHCが生放送+ECのライブショッピング「DHC ライブチャンネル」をスタート

    7 years 2ヶ月 ago

    ディーエイチシー(DHC)は9月18日、商品紹介を目的としたインターネットの生放送番組「DHCライブチャンネル」を開始した。

    公式オンラインショップや公式ツイッター、公式YouTubeチャンネルでオリジナルのバラエティ番組を配信。お笑い芸人や女優などが出演し、番組内でDHCの商品を紹介して販売につなげる。

    初回は9月18日の午後9時から配信。お笑いコンビ「ハマカーン」や女優の栄木明日香さんらが出演し、9月6日に発売した美容液「DHCサンシャインビタミン リッチセラム」を紹介した。

    DHCは今後、「DHCライブチャンネル」を月1回程度配信する予定。

    「DHCライブチャンネル」第1回の配
    「DHCライブチャンネル」第1回の配信(画像は編集部が配信画面をキャプチャ)

    ライブコマースに取り組む企業は増加も、認知に課題

    ライブ配信とECを組み合わせた「ライブコマース」を巡っては、フリマアプリ「メルカリ」のライブ配信機能「メルカリチャンネル」、ヤフーの「Yahoo!ショッピング LIVE」、無料ショッピングカート「BASE」の「BASE LIVE」といったプラットフォームが登場したことで、「ライブコマース」に取り組むEC事業者は増えている。

    ただ、ライブコマースで実際に購入する消費者は、まだ一部にとどまるようだ。リサーチ会社のマクロミルが2018年7月に公表したライブコマース利用実態把握調査によると、15歳~40代の「ライブコマース」の認知率は約3割。実際に商品を購入した経験があるのは認知者の14%で、回答者全体の約4%にとどまっている。

    ライブコマースの認知状況(マクロミル調査)
    ライブコマースの認知状況について

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    嫌な発注者の共通点は「値下げ」「丸投げ」「ざっくり」「とにかく早く」。ネッ担の皆さんは大丈夫?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

    7 years 2ヶ月 ago

    やることがどんどん増え続けているネットショップ。外部の協力を得るためには自分の熱量が大切です。“やらされ感”が漂っている人は嫌われます。

    熱量の無い人の仕事はやってもらえないことが明確に

    「受注側のディレクターに聞いた、いい見積書のもらい方」アンケート結果を公開します! | Web担当者のための見積相場ガイド
    https://www.webtanguide.jp/column/survey02/

    まとめると、

    • 新規案件を受ける際に気にすることは「1位:納期」「2位:予算」「3位:継続的な取引になりそうか?/自分の得意ジャンルか?」
    • “モテる”発注者は、「一緒にやりたい」という熱意を持っていて合意形成をうまくとってくれる人
    • 嫌な発注者は特にイメージなく「できれば安く」しか言わない人

    嫌な発注者との思い出(抜粋)

    • 事前に確認したにも関わらず、後から変更点が多い
    • 他社と金額だけを比較し、提案内容に関係なく値下げ交渉をしてくる
    • 複数の見積もりパターンを要求しておきながら、その後音沙汰がない
    • 「ざっくりで良いから」とラフな仕様で急ぎの見積りを提出させ、いろいろ質問してくるが、結局仕事にならない……を繰り返す

    さて皆さんはモテる発注者でしょうか? 嫌な発注者でしょうか? ネットショップは自力ですべてできる時代ではありませんので、外部のパートナーさんとはうまく付き合っていきたいですよね。コツは自分事としてやり切ろうとする意志があるかどうか。「やらされ感のある人はダメ」というデータが出ています。

    関連記事
    • ライバルは導入してるのに稟議が通らない 課題解決のためのヒト・モノ・カネ、どうすれば良いの? | ECzine
      https://eczine.jp/article/detail/6014

    メール便も合わせると2017年度は95億件の配送数

    年間42億個に達した2017年度の宅配便取扱個数、国交省が発表 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/5782

    再配達の削減に向け国交省が規制緩和、オフィス・商業施設などにも宅配ボックスを設置可能に | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/5774

    まとめると、

    • 2017年度の宅配便取扱個数は42億5100万個で前年度比5.8%増(調査条件を変更しない場合は前年度比1.1%増)
    • メール便の取扱冊数は52億7599万冊
    • 国交省は建物用途や設置場所に関わらず、宅配ボックスの設置部分は一定の範囲内で容積率規制の対象外にすることを決めた
    宅配便取扱個数の推移【2017年度の宅配便取扱個数】
    宅配便取扱個数の推移

    年間42億個ということは国民1人当たり、月に3〜4個の荷物を受け取っていることになりますよね。メール便まで含めると月10件ほどなのでかなりの数です。集合住宅向けの宅配ボックスもパンク状態なので、容積率規制の対象外になるのは良い流れ。

    関連記事

    日々感謝することでブランドができていきます

    「カラーミーショップ大賞2018」 大賞は「わざわざ」 | 通販新聞
    http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2018/09/2018-1.html
    大賞を受賞した「わざわざ」の店長は平田はる香さんです。

    カラーミーショップ大賞に選ばれた!全国No.1だ!!|平田 はる香|note
    https://note.mu/wazawazapan/n/n8ff642c1c517
    その平田はる香さんはnoteにその時の喜びを以下の記事で書いています。

    note creator meetup #4(ゲスト:平田はる香さん、ハヤカワ五味さん)開催のお知らせ|note公式
    https://note.mu/info/n/n36c3f67a8aed
    note主催で平田はる香さんとハヤカワ五味さんが「デジタルでブランドのストーリーを語ること」をテーマにしたイベントに登壇されます。

    noteがECプラットフォーム5サービスと提携し、記事内でのEC表示機能を提供開始|note公式
    https://note.mu/info/n/n2c3abf909a0d
    そのnoteはBASEやカラーミーショップなどと提携してEC機能が追加されました。

    「お前ら、俺はこうしたいから、こうしろ!」っていう感じが自分の中に全くないんです。これはものすごい意外な気持ちなんです。だって、自分はこうしろっていうタイプの人間だったと思っていたから。だけどやってみたらそういう主体性は全くなかった。ただ間違ったことに走りそうになった時=利益追求型に会社が傾いていくならば、私は戦いますし、そういうスタッフとも戦うことになるでしょう。

    カラーミーショップ大賞に選ばれた!全国No.1だ!!

    ブランドが成長し、EC売上も伸びていくイメージはここにあります。いろいろなところで、いろいろな人に助けられ、感謝を発信しているうちに自然とブランドができていくということです。ブランドを作ろうとしたり、売ろうとしたりすると「間違った方向に走って」しまいますのでご注意を。

    EC全般

    魚介類缶詰市場:サバがツナを追い越した! -- 栄養価の高さとおいしさで脚光を浴びる | 商業界オンライン
    http://shogyokai.jp/articles/-/1080

    美味い、安い、栄養満点。とこれば広がらない理由がないです。レシピの参考に。

    「なぜ売れるか分からない」 ドンキ化したファミマの人気商品に幹部が困惑 | ITmedia
    http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1809/12/news037.html

    新業態「DON DON DONKI」の秘密 -- シンガポールで見つけた「ドンキホーテHDの成長戦略」 | 商業界オンライン
    http://shogyokai.jp/articles/-/1085

    こちらは焼き芋が伸びています。ドンキ式マーケティングは気にしておかないといけないですね。

    「Amazon Business」が1周年、日本は「請求書払い」の利用率が世界一 | BCN+R
    https://www.bcnretail.com/market/detail/20180912_85174.html

    日本っぽいデータ。面倒でしかないのでカードにしちゃえば?と思いますが、そうもいかないんでしょうね。

    ウェブライダー松尾氏が語る「検索結果1位を目指すなら、徹底的にユーザー思考を追求する」 | Web担当者Forum
    https://webtan.impress.co.jp/e/2018/09/13/30018

    松尾さんの根本はずっと変わりません。検索して過去の記事も読んでみましょう。

    アリババの経営戦略責任者が語る小売業がCtoBモデルに移行すべき理由 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/5783

    CtoBとは「企業と顧客の間で、デジタルフィードバックが常に行われている環境」です。読んで納得。

    今週の名言

    もはや「ただホームページを作っただけ」で見てもらえたり買ってもらえたりする時代ではありません。お客さまには無限の選択肢があるのです。訪れたホームページに関心のある情報がなければ、そこにとどまる意味がありません。

    売れないホームページには「お客様が知りたいこと」が足りない | ドコドア
    https://docodoor.co.jp/staffblog/what-customers-want-on-websites/

    ネットショップ、リアル店舗もそうですし、DMやメルマガも送っただけでは買ってもらえません。見る理由、買う理由を発信しましょう。

    森野 誠之

    運営堂

    運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

    森野 誠之

    なぜあのECサイトはお客に支持されるのか? モバオク×ナノ・ユニバース×NTTレゾナントの徹底討論

    7 years 2ヶ月 ago

    ECのデバイスがスマホ中心になり、消費者が求める顧客体験は多様化している。ECサイトのUI(ユーザーインターフェイス)、デザイン、サイト内検索、接客、配送……さまざまな顧客とのタッチポイントの中で、消費者が“また買いたい”“このサイトで買ってよかった”と感じる最高の顧客体験を提供するにはどうすればいいのか。

    オークションサイト「モバオク」を運営するモバオクの生田目知之部長、EC化率40%超のアパレルメーカーであるナノ・ユニバースの越智将平部長、ECサイト内検索エンジン「goo Search Solution」を提供するNTTレゾナントの北岡恵子氏が徹底討論。モバオクやナノ・ユニバースの成功事例から、顧客体験を向上させるためのヒントを探る。

    左から生田目知之氏、越智将平氏、北岡恵子氏
    生田目知之氏

    モバオク カスタマーサービス部 部長 兼 オークション企画部 部長 生田目知之氏
    2008年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。株式会社モバオクへ出向し、オークションサイト「モバオク」のサービス企画を主に担当。2017年以降はカスタマーサービス部部長も兼任し、サービス全体の品質向上に従事。

     

    越智将平氏

    ナノ・ユニバース Web戦略部 部長 越智将平氏
    2002年、株式会社ナノ・ユニバース入社。店舗での販売業務を経て、2005年よりECの担当となる。2010年よりWEB事業の責任者として、EC事業の拡大、会員制度の構築、デジタルマーケティングを中心に取り組んできた。現在はオムニチャネル戦略を推進中。

     

    北岡恵子氏

    NTTレゾナント スマートナビゲーション事業部 北岡恵子氏
    2007年、 NTTレゾナント株式会社に入社。「goo」サービスのプロデューサーを経て、アプリ開発者支援サービス「Remote TestKit」の国内外マーケティングを担当。現在はEC向けサイト内検索「goo Search Solution」の導入支援をしている。

     

    商品の探しやすさはECサイトのブランド価値を左右する時代

    ECで使われるデバイスは、この10年間でガラケーの利用者が減少し、スマホへと移行した。デバイスの変化に伴い、ECサイトに求められる顧客体験はどのように変化したのか。モバオクの生田目氏とナノ・ユニバースの越智氏が、現場で実感している消費行動の変化を語った。

    モバオク オークション企画部 生田目知之氏(以下、生田目):「モバオク」が始まった2004年当時は回線速度が今よりずっと遅く、端末のスペックも低かった。そのため、顧客体験を高めるためには検索結果を1秒以内に表示するなど、とにかくページの表示速度を速くすることが重要でした。端末はガラケーでしたから、コンテンツはテキスト中心。画像の質もある程度は犠牲にしていましたね。

    現在、「モバオク」の売り上げはスマホサイトが中心です。スマホサイトもページの表示速度が重要であることに変わりはありませんが、それに加えて、「欲しい商品が素早く簡単に見つかる」という顧客体験が非常に重要になってきていますさまざまな企業が消費者の可処分時間を奪い合っているため、消費者はとにかく時間がない。そのため、使いにくいECサイトを避ける傾向が強まっていると感じています。

    生田目知之氏
    株式会社モバオク カスタマーサービス部 部長 兼 オークション企画部 部長 生田目知之氏

    ナノ・ユニバース WEB戦略部 越智将平部長(以下、越智):生田目さんの意見に同感です。スマホのECサイトは表示速度が速く、しかもユーザーが求めている情報を確実に表示することが必須となっています。私が想定しているスマホECサイトのユーザーは、通勤中に電車の中でスマホをいじっている人たち。15分ぐらいの隙間時間にInstagramやFacebookなどをざっとチェックし、残りの数分でECサイトを見ているのかもしれない。そういったユーザーに、いかにナノ・ユニバースのECサイトを訪れてもらうか。そして、一度使ってくれたユーザーをいかに離脱させないか。その答えの1つが、ページの表示速度と商品の探しやすさにあると思います。

    生田目:最近の消費者の中には、ECサイトで商品を探すことすら面倒に感じる人が増えているような気がします。そういった消費者に対して、いかに適切に商品を表示するかが問われていますよね。

    越智 :私は最近、「買い物をしやすいECサイトはブランド価値が高い」と考える消費者が、若年層を中心に増えているように感じているんです。検索したら欲しい商品がきちんと表示されている、返品の期日や返品方法がわかりやすく表示されているとか……消費者にとって便利なECサイトを運営しているブランドのことを「かっこいい」と感じる消費者が増えているような気がします。

    越智将平氏
    株式会社ナノ・ユニバース WEB戦略部 部長 越智将平氏

    スマホECはサイト内検索の使いやすさが顧客体験に直結する

    ECのデバイスがスマホ中心になり、生田目氏と越智氏があげたのが「サイト内検索」の重要性。検索の精度はECサイトのコンバージョン率や売り上げに直結。検索の使い勝手が悪ければ、ブランドイメージの悪化に直結する。スマホEC時代に必要なサイト内検索とは、どのようなものなのだろうか。

    NTTレゾナント スマートナビゲーション事業部 北岡恵子氏(以下、北岡):ECサイトの利便性がブランドの価値を左右する時代になっているということですね。利便性を高めるという観点から、サイト内検索の影響についてどう感じていますか?

    北岡恵子氏
    NTTレゾナント株式会社 スマートナビゲーション事業部 北岡恵子氏

    越智 :ものすごく重要ですよ。とくに、表記揺れに対応できていないと、商品に気づいてもらうことすらできませんから。通勤中の電車内で、つり革につかまって片手でスマホを操作していると、ブランド名や商品名を正確に打てないことは多いです。また、ブランド名を入力する際、英語を使う人もいればカタカナや平仮名を使う人もいます。場合によっては、「NIKE」を「にけ」って入力してしまうこともあるでしょう。

    スペルミスがあろうが、カタカナだろうが、平仮名だろうが、消費者が探している商品を正確に表示しなくてはいけません。もし検索結果に商品が表示されなければ、「このECサイトは商品を扱っていない」と消費者に判断されてしまう。すごく厳しい時代ですよ。

    adidas adidus アディダス あでぃだす
    「adidas」の記入例。越智氏は、スマホEC時代は「表記揺れ対応は必須」と強調する

    生田目サイト内検索の精度は顧客体験に直結します。「モバオク」はキーワード検索で商品を探すお客さまが非常に多いですし、取扱商品数が100万点を超えているため、キーワード検索の精度が高くないと欲しい商品を見つけられません。検索はオークションサイトの売り上げを大きく左右する要素です。

    北岡:近年の消費者の傾向として、ECサイトの検索結果の表示が数秒でもあると待てなくなっている人が増えていると感じています。優れた買い物体験を一度経験すると、そこよりも遅いサイトでは我慢できなくなっている。これからのECサイトは、消費者にとって最高レベルの使い勝手を持ったサイトでなければ選ばれなくなるのかもしれません。

    生田目:北岡さんがおっしゃったことで言えば、検索窓に「ヴ」と入力したら「ヴィトン」がレコメンドされないとお客さまが離脱してしまうぐらいの危機感を持つ必要がありますよね。大げさじゃなく、モバオクはそのぐらいの気持ちでサイト内検索を改善しています。

    左から越智将平氏、北岡恵子氏、生田目知之氏

    サイト内検索を改善して売上2倍以上

    モバオクとナノ・ユニバースは2017年、NTTレゾナントが提供するサイト内検索エンジン「goo Search Solution」を導入した。2社は導入前、表記揺れに対応できないこと、キーワードと商品のマッチング率の低さなど、さまざまな課題を抱えていたという。

    北岡:ナノ・ユニバースは、サイト内検索の表記揺れへの対応や、キーワードのマッチングに課題をお持ちでしたよね。

    越智:アパレルのECサイトでは、膨大な数のブランド名や商品名が検索で使われますし、「ジャケット」「パンツ」「スーツ」といった商品カテゴリーや、「半袖」「長袖」といったスペック、「夏物」「冬物」といった季節の用語、「アウトドア」や「二次会」といったシチュエーションに関する単語など、さまざまなワードが使用されます。そして、表記揺れも多い。きちんと対応しないと、検索結果に1件も表示されない「0件ヒット」が大量発生し、機会損失を生んだり、ブランドイメージの低下を招いたりすることが課題でした。

    生田目:「goo Search Solution」を導入してそれらの課題は解決できましたか? コンバージョン率や売り上げなど、数値として表れた効果があれば、ぜひ教えてください。

    「goo Search Solution」の特徴
gooの膨大な量の検索データ(最新の情報やトレンドな情報も含め、日々膨大な量が蓄積されるgoo検索データを活用
データ解析
ユーザーの行動履歴から検索結果を最適化
ユーザーの行動をフィードバック
貴社のデータ(貴社の検索ログから分析、貴社のためだけのオリジナル検索データを自動生成)
    モバオク、ナノ・ユニバースが導入した「goo Search Solution」の特徴
    なつめそうせ → 夏目漱石 検索ワードのサジェストを表示する
    検索ワードのサジェストを表示することで、ユーザーの入力負担軽減、意図しない検索結果ページへの移動を回避できる

    越智:まず「0件ヒット」は大幅に減りました。スマホUIに合わせた機能としては、検索条件に合わせてよく利用される絞込み候補を表示する「タッチサジェスト機能」を実装したことで、キーワード検索から商品ページへの流入数が増えましたね。キーワード検索経由のコンバージョン率は「goo Search Solution」の導入前と比べて約185%に向上しましたし、キーワード検索経由の売り上げは導入前比で2倍以上に増えています。機能開発だけでここまで売り上げが伸びることはめったにないので、正直驚きましたよ。

    ナノ・ユニバースのECサイトでは、カテゴリー検索の利用頻度が高いため、キーワード検索の機能開発は後回しになっていたんです。でも、キーワードで商品を探すお客さまは、欲しい商品がある程度決まっているわけですから、探している商品にたどり着けばコンバージョン率は高い。当たり前のことですが「goo Search Solution」を導入するまで、その機会損失の大きさに気づきませんでした。

    ナノ・ユニバースに実装されたタッチサジェスト機能
    ナノ・ユニバースは検索改善のタイミングで「タッチサジェスト」を導入。「ユーザーによく利用されている絞込み条件」をログから解析し、検索条件ごとに絞込み条件をサジェストする

    北岡:モバオクは「goo Search Solution」を導入する前、キーワードとのマッチングに課題をお持ちだったと伺いました。

    生田目:オークションサイトで使われる検索ワードは、一般的なECサイトとは異なる点が多く、満足できるサイト内検索エンジンを見つけられていませんでした。たとえば、オークション終了間際の商品はアクセス数が増えるため、終了間際の商品を優先して表示するなど、独特のアルゴリズムが必要となるんです。また、「傷なし」など中古品ならではの検索ワードもあります。

    北岡:「goo Search Solution」を導入したことで、そうした課題は解決できましたか?

    生田目:検索ワードと商品のマッチング率はかなり改善しました。その成果は数字にも表れています。フリーワード検索したお客さまが検索結果に表示された商品をクリックする割合は、従来の検索エンジンと「goo Search Solution」でABテストを約2カ月間行ったところ、ほぼすべての日で「goo Search Solution」のクリック率が上回りました。日によっては「goo Search Solution」が10%以上も高いこともありましたよ。

    北岡:効果を実感していただけていてよかったです。お二人にもう1つ伺いたいのですが、サイト内検索エンジンを入れ替えるにあたって「goo Search Solution」を選んでいただいた決め手は、どのような点だったのでしょうか?

    越智:表記揺れに対応できることに加え、検索結果を自動でチューニングする機能が決め手になりました。最初から完璧な検索エンジンはないので、検索結果は継続的にチューニングしていかなくてはいけません。そのためにはお客さまが入力した検索クエリや行動履歴を分析し、検索の辞書を更新する必要があります。膨大な検索ワードの検索結果を手作業でチューニングを行うのは不可能ですから、検索の辞書を自動でアップデートしてくれる「goo Search Solution」はすごく便利ですよ。

    生田目:モバオクが「goo Search Solution」を選んだ決め手は、機能性の高さに加え、NTTレゾナントの実績や技術を信頼したからです。NTTレゾナントは巨大ポータルサイト「goo」を20年以上運営していますから、システムの運用や技術において安心感があります。また、膨大な検索ログを蓄積しているので、言葉に関しては他の検索エンジンよりも優れていると判断しました。NTTレゾナントの担当者が積極的に提案してくれて、サポートチームの体制も含めて信頼できると感じたことも契約を決めた理由です。

    gooで日々たまっていく辞書
貴社の検索ログから作成する辞書
管理ツールで手動登録した辞書
→貴社専用の辞書
    「goo Search Solution」は、ポータルサイト「goo」で検索されたキーワードデータを活用し、検索ログから自己学習、検索結果を常時最適化するのが特徴

    ナノ・ユニバースとモバオクが取り組む顧客体験の向上策

    北岡:最後に、サイト内検索を今後どのように活用していくか、展望をお聞かせいただけますか?

    越智FAQにもサイト内検索を活用する計画があります。カスタマーサポートに電話やメールで寄せられるお客さまからの問い合わせに対して、できるだけ自動で回答できるシステムを開発中です。カスタマーサポートに寄せられる問い合わせの中には、クーポンの使用期限や新商品の入荷日など、共通した質問が少なくありません。カスタマーサポートに寄せられた問い合わせを随時、FAQの辞書に反映させ、検索結果として表示できるようなシステムを想定しています。サイト内検索は主に商品を探すために使ってきましたが、これからは商品検索以外にも検索エンジンを活用していきたいと思っていますので、NTTレゾナントにご協力いただきたいです。

    生田目今後、キーワードを入力することすら面倒に感じる消費者が増えていくと予想しています。そういった時代に顧客体験を向上するため、指定期間において急激に検索クエリが伸びたワードを検索窓の下にレコメンドする「トレンドワード」をさらに活用していきたいです。そこでNTTレゾナントに要望があるのですが、トレンドワードの表示内容をコンバージョン率などに応じて管理画面で簡単にチューニングできるようにしていただけるとありがたいです。

    旅行サイトでのトレンドワード機能の例おすすめ:紅葉 ライトアップ 夜間拝観
    「トレンドワード」機能は、「トレンドなワードを自動で出す」だけでなく、さまざまな手法でキーワードを表示することが可能

    北岡:貴重なご意見、ありがとうございました。ナノ・ユニバースもモバオクも、サイト内検索を積極的に活用してくださっているので、我々としてもご要望に一生懸命応えて、システムの改善や新機能の提供を続けていきたいと思っています。本日はありがとうございました。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    Instagramの「ショッピング機能」、ストーリーズにも対応

    7 years 2ヶ月 ago

    Facebook(フェイスブック)は9月18日、Instagramに投稿した写真からECサイトにリンクを貼ることができる「ショッピング機能」を、Instagramの「ストーリーズ」にも対応したと発表した。「ショッピング機能」はこれまで通常のフィード(タイムライン)のみで利用可能だった。

    「ショッピング機能」とは、Instagramに投稿した商品写真に商品情報をタグ付けし、ECサイトの商品ページにユーザーを誘導する機能。日本では2018年6月に始まった。

    Instagramの「ストーリーズ」は通常のフィードとは別に、アカウントのホーム画面上部に通知欄がある。フォローしているアカウントが写真や動画を投稿すると、そのアカウントのアイコンが通知欄に並ぶ。投稿は24時間で消える。

    ホーム画面のファーストビューに通知されるため、「ストーリーズ」のコンテンツはユーザーから閲覧されやすいとされる。フェイスブックによると、世界で毎日4億以上のアカウントがストーリーズを利用しているという。

    Instagramに投稿した写真からECサイトにリンクを貼ることができる「ショッピング機能」を、Instagramの「ストーリーズ」にも対応
    「ストーリーズ」も「ショッピング機能」に対応

    利用した企業の反応は?

    ベイクルーズのEC統括 セールス&サービス Div. デジタルコミュニケーション Sec. 馬來 真知子氏

    Instagram ストーリーズは、動画や加工を工夫することで、ブランドの世界観をより深く伝えることができるツールだと感じています。ストーリーズでもショッピング機能が導入されたことで、Instagramが顧客とのコミュニケーションチャネルとしてだけでなく、販売チャネルとしても今後成長することを期待しています。

    GMOペパボのminne事業部 事業部長 阿部雅幸氏

    普段はストーリーズの特性を活かし、イベントの様子をリアルタイムで投稿したり、テーマ毎の作品紹介などに活用しています。ショッピング機能の導入以降、作品に興味を持ってくださった方がスムーズにminneのサイトまでたどり着いていただけるようになり、フォロワーとのエンゲージメント向上にも一役買っていると感じています。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    GDOが羽田空港にゴルフ体験のラウンジ、ビジネスパーソンのフライト前をターゲットにサービス展開

    7 years 2ヶ月 ago

    ゴルフ用品のECやゴルフ場予約サービスなどを手掛けているゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)は10月1日、ゴルフレッスンやシミュレーションゴルフなどを行える体験スペースを羽田空港内に開設する。

    個室でのマンツーマンレッスンや、最新のゴルフクラブの試打サービスなどを提供。空港利用者などを対象に、他では体験出来ないゴルフ空間を提供することで、新しいゴルフの楽しみ方を発信・提案していく。

    店舗名は「GDO Golfers LINKS HANEDA(ジーディーオー ゴルファーズ リンクス ハネダ)」。羽田空港・国内線第1旅客ターミナル5階に出店し、10月1日に営業を開始する。営業時間は午前10時から午後8時まで。

    「GDO Golfers LINKS HANEDA」はカフェラウンジを併設。米国発のゴルフレッスンチェーン「GOLFTEC by GDO」も運営する。

    「GOLFTEC by GDO」は認定コーチがマンツーマンで指導するゴルフ教室。クラブやシューズ、グローブを無料でレンタルできるため、受講者は道具を持参する必要がない。

    ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)は10月1日、ゴルフレッスンやシミュレーションゴルフなどを行える体験スペースを羽田空港内に開設
    「GDO Golfers LINKS HANEDA」のイメージ

    GDOは「GOLFTEC by GDO」を現在11店舗展開している。毎年2~3店舗のペースで開設。2018年12月期中間期時点で、チケット保有者数は前年同期比1.3倍に増えたという。店舗でクラブのフィッティングサービスを強化し、物販にもつなげている。

    GDOは2018年7月、米GolfTEC社を子会社化した。

    GDO新品や中古用品の販売、中古ショップ「ゴルフガレージ by GDO」の運営、ゴルフ場予約サービス、メディア事業、広告事業、「ゴルフテック by GDO」の運営などを展開している。2018年1~6月期(中間期)の売上高は前年同期比23.6%増の119億2600万円、四半期純利益は同14.4%減の1億3700万円。GDOクラブ会員の人数は2018年7月末時点で356万人。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    4.5兆円も売れた中国のECイベントとは? W11(独身の日)に次ぐ「京東618」まとめ | 上海で働く駐在員の中国EC市場リポート

    7 years 2ヶ月 ago

    「独身の日(W11)」に次ぐ大規模なイベントとなっている「京東618(以下、618)」はご存じですか? 「618」は京東商城(JD.com)が設立日である6月18日を記念したセールイベントで、今年はザリガニが3373万匹も売れたことなどでも話題になりました。数年前からJD.comだけでなく、天猫(Tmall)など他のモールを巻き込み、大きな盛り上がりを見せています。

    2018年「618」の取扱高は?

    今年の「618」の取扱高は、下記の通りです。Tmallでは昨年までは6月18日だけの開催でしたが、今年から期間を延長したことで取扱高が大幅にアップしたと推測されます(実数は非公開)。来年あたりはJD.comとかなり良い勝負をするのではないでしょうか。

    • JD.com……1,592億元(昨対33%)
    • Tmall…1,252億元以下(非公開のため予測。6月13日の時点で昨対を超える取扱高)
    • 中国主要ECサイトの合計……2,844億元
    2018年の「618」におけるモールごとの取扱高ランキング
    図1 2018年の「618」におけるモールごとの取扱高ランキング
    出典:星数据のサイトよりキャプチャ

    1位のJD、2位のTmallに次いで3位にランクインしている「拼多多(Pinduoduo)」は、最近急速に伸びているモールで、特徴はソーシャルメディアとの融合。共同購入などを中心にかなり安い商品が多く、今注目のモールです。

    4位は家電量販店で中国1位の「苏宁易购(Suning.com」。2009年にラオックスを買収したことでも話題になりました。

    5位の「唯品会(VIP)」は共同購入のタイムセールを中心に展開しているモールで、出品型越境ECもあります。6位の「ネットイース」は2000年6月にナスダックに上場した中国最大のポータルサイトです。

     

    JD.comの「618」

    JD.comではコンビニ、家電量販店、その他スーパー(ウォルマート)といったリアル店舗と連動し、ネットと連動したキャンペーンを開催しました。

    ウォルマートの実店舗の取扱高は昨年比4倍。また、WeChatのミニプログなどで行われたキャンペーンには3.6億人が参加。集客人数は昨年比で46倍、注文数は66倍。また70の携帯キャリアと組んで新商品を販売しました(29キャリアはJD.comのみで販売)。

    Tmallの「618」

    Tmallと10万のリアル店舗で同金額キャンペーンを展開。6月18日だけで7,000万人が実店舗を訪れました。物流も当日、翌日配達が昨年より増加しました。

    ジャンル別の実績としては、携帯が5秒で1万台完売、PCが22秒で10万台完売と、モバイルデジタルカテゴリーの伸び率が1位でした。また、ジュエリーが昨対300%の伸び率で、フェイスマスクは1日で2億枚売れました

    中国全体の越境比率

    • 天猫国際(Tmall Global)……70%
    • 京東全球購(JD Worldwide)……30%以下(非公開のため予測)

    越境ecの取扱高はありませんでしたが、越境比率はありました。こう見るとやはり越境ECはほぼTmall Globalの一人勝ちと言えます。

    2018年の「618」におけるTmall Globalの家庭用品取扱高トップ10
    図2 2018年の「618」におけるTmall Globalの家庭用品取扱高トップ10
    出典:天猫国際のサイトよりキャプチャ

    1位の「swisse」はオーストラリアのサプリメント企業です。3位にポーラが入っています。残念ながら他のモールの取扱高ランキングは公表されていません。

    ちなみにここ1年くらいで韓国や日本のフェイスマスクの取扱高がとても好調で、この半年くらいは中でも酒粕を使用した商品が大ブレイク中です。

    ユーザー数で比較する「618」

    図3 「618」におけるTaobao、Pinduoduo、JDアプリの利用者数推移(6月1日〜6月11日)
    図3 「618」におけるTaobao、Pinduoduo、JDアプリの利用者数推移(6月1日〜6月11日)  ※ 黄色=Taobao オレンジ=Pinduoduo グレー=JD

    ユーザー数は淘宝(Taobao)が多いにも関わらず、取扱高はJD.comの方が高いのは、JD.comの取扱商材が高単価な家電のため、客単価が高いと考えられます。

    618」におけるWeChatミニプログラム利用者数推移(6月1日〜6月11日)
    図4 「618」におけるWeChatミニプログラム利用者数推移(6月1日〜6月11日) ※ グレー=JD 黄色=Pinduoduo 

    「ミニプログラム」とは以前も触れたWeChat内でのアプリ内アプリのようなもので、現在58万アプリあると言われています。

    JD.comの利用者が最終日に上がっているのは、おそらくJD.comのアプリを持っていない層がWeChatを介してJD.comのミニプログラムに来たことを示しており、「アプリをダウンロードするほどではないが、イベントなので様子を見に来た」というライトな層の可能性が高いと考えられます。

    高岡 正人

    株式会社エフカフェ 取締役

    1975年生まれ。立命館大学政策科学部卒。コンサルティングファームにて企業変革コンサルティングを経て、2005年有限会社フリースタイルカフェ(現エフカフェ)の創業に参画。取締役に就任。

    日本、中国、ASEANでネット通販事業に特化したコンサルティング、運営支援を行い、1カ月の半分を中国・上海で過ごす。

    銀行等での講演多数。また日経ネットマーケティング等で執筆。最近では銀行等の海外支援事業部と連携し、日本からアジアへのネット通販進出を支援している。

    高岡 正人

    中国EC市場を攻略するための最善策――「独身の日」など大規模商戦対策、SNSマーケの勘所を解説【ホワイトペーパー無料提供】

    7 years 2ヶ月 ago

    中国EC市場で成功するには、どのような施策をとればよいのか。その1つのカギとなるのが大規模商戦の攻略だ。無料でダウンロードできるホワイトペーパー『11月11日「独身の日」から始まる中国EC大型商戦、まさに今が勝負の分かれ目!』は、「中国EC市場へと進出したい」「既に進出しているが売り上げが伸びない」「来る中国の年末商戦で大きな成功をあげたい」といった企業に必読の一冊。「中国ECで成功するための秘訣」「中国ECで売上を拡大させた企業の事例」などが簡潔にまとめられており、中国EC市場における成功法則が一目で理解できる。

    詳しい資料をダウンロードできます

    中国市場での「越境EC」の成否を分けるポイントとは

    世界のEC市場において最も成長性が高いとされる中国。eMarketerの調査では2015年実績と比較した2019年の成長率は30%以上の見通しである。さらに、中国向けに商品を販売する越境ECの規模も、2019年には2兆円規模にまで成長し、2016年見込みとの比較では2倍以上伸びる見込みだ(富士経済調査)。

    中国向け越境ECの市場規模と推移
    中国向け越境ECの市場規模と推移(出典は富士経済の「中国向け越境EC市場の実態と今後 2016」)

    魅力的な市場である中国だが、越境ECで成果を上げられず、失敗に終わるケースも少なくない。中国市場に向けたマーケティングで理解しなければならないのは、「中国消費者は認知度の低い商品は買わない」「誰かが実際使った、というクチコミを信頼する」といった傾向が強く、そのクチコミをもとに購入する商品を決定する習慣があること。特にWeb記事やSNSの投稿を信頼する傾向がある。

    そのため、中国EC市場を攻略したい企業は、WebやSNSでの口コミを分析して消費者動向を把握したうえで、適切なWebコミュニケーション活動を展開していくことが重要となる。特に、大型商戦時期においては、その前段階から適切なWebでのPRを実施するとともに、商戦期間中にクチコミの早期拡大を実現する施策を展開することが必須だ。

    いまからできる11月11日の「独身の日」の準備

    ホワイトペーパーでは、中国市場におけるSNSを活用したクチコミ拡散の方策から、大型商戦をターゲットとしたキャンペーン、ブランディングプロモーションの推進プロセス、そして、中国での越境ECに成功した企業の事例を具体的に紹介している。

    数ある中国EC商戦の中で最も大きなイベント、11月11日の「独身の日」が近づいている。アリババのECサイト「天猫(Tmall)」では、11月11日の1日だけで1,682億元(約2.8兆円)の取扱高を記録するなど、日本の大手ECモールの年間取扱高に相当する規模となったことも報じられている。「独身の日」は世界的なショッピングイベントとしても認知されつつあり、中国市場への進出をめざしている企業にとっては、大規模商戦での正否が今後の成長の分かれ目になるといっても過言ではない。

    ぜひ以下から資料をダウンロードし、中国EC市場における成功を遂げるための方策を導きだしてほしい

    PDFのご案内
    PDFの掲載内容
    • 急成長する中国EC市場での成功のカギとは
    • テーマ別大型商戦における成功事例
    • トレンドExpressサービス概要
    PDFのダウンロードはこちら 「Impress Business Library」(インプレス・ビジネスライブラリー)に移動します
    池辺 紗也子

    経産省と農水省、農水産物の越境ECを推進する取組強化

    7 years 3ヶ月 ago

    経済産業省と農林水産省は9月11日、農林水産物や食品の輸出促進を目的とした合同チームの第2回会合を開催し、国内企業の越境ECを後押しするための取り組みを強化する方針を公表した。

    海外のEC事業者と国内生産者のマッチングを促進するほか、海外のECモールに日本食品専用サイトを開設するなど、国内企業の販路開拓を支援する。

    政府は2019年に農林水産物・食品の輸出額1兆円達成を目標に掲げる。その達成のために「農林水産物・食品輸出促進合同チーム」を創設した。

    海外ECモールに「ジャパンモール」

    日本貿易振興機構(JETRO)が海外のECモールに「ジャパンモール」を開設し、日本の食品を現地の消費者に販売する。

    2018年11月から2019年3月まで、シンガポールの大手食品ECサイト「RedMart」に「ジャパンモール」を開設。米や野菜、果物、牛肉、水産物、農産加工品、水産加工品、お茶、麺、類、菓子、調味料など、約40社の200品目以上を販売するという。

    シンガポールの大手食品ECサイト「RedMart」に「ジャパンモール」を開設
    「ジャパンモール」を通じた販売スキーム(JETRO公表資料からキャプチャ)

    また、2018年10月には「イオンストアーズ香港」のECサイトと店舗が連動し、日本食品フェアを開く。菓子類や麺類、水棺加工品、日本酒、クラフトビールなど、20社の50品目を販売する予定。

    特産品ECサイト「Rin++」を開設

    中小企業基盤整備機構がECサイト「Rin++」(仮称)を設け、日本酒や緑茶など、地域の特産品や加工食品を国内外のバイヤーや消費者にPRする。

    9月25日から掲載商品を随時募集。2018年度に食品だけで300社1000商品の登録を想定している。

    「EC Camp 2018」を実施

    2018年12月7日に、越境ECを活用して販路開拓をめざす中小企業者と、EC関連サービスを提供する事業者とをマッチングする「EC Camp 2018」を実施予定。会場は虎ノ門ヒルズフォーラム。

    両省の合同チームはこのほか、海外の現地企業と国内生産者のマッチングの促進や、輸出支援策ガイドブックの作成などを進めている。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章
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