森永製菓は、2030年(31年3月期)に通販売上高200億円を計画する。デジタルマーケティングにより個々の顧客に応じたサービス提供で、顧客体験価値(CX)の取り組みを強化する。長年培ってきた“おいしさの技術”を生かし、強みを持つ「食品領域」で提供価値の最大化も図る。
通販事業は売上目標200億円
前期の通販売上は2桁増で推移
2030年を最終年とする長期経営計画では、「通販」「米国」など成長をけん引する4事業を重点領域に設定する。前期(23年3月期)の通販売上高は、前年比13%増の102億円。営業利益は同倍増の6億円と収益性が向上する。総売上高に占める4事業の構成比を現状の4割から6割に高めつつ、31年3月期に総売上高3000億円を計画する。
全社売上高のうち、2030年度の通販事業は売上高200億円をめざす(画像は森永製菓のIR資料から編集部がキャプチャ)
主力の美容ドリンクは基盤拡大
通販で主力の「おいしいコラーゲンドリンク」は、味づくり、マスキングなど強みを持つ“おいしさの技術”で差別化を図ってきた。市場にはすでに多くの競合商品があるが、コラーゲンを1万ミリグラムと高配合しつつ、特有の風味、溶けにくさといった課題を解消。60代を中心に支持を得て定期顧客基盤が拡大する。
「おいしいコラーゲンドリンク」(画像は森永製菓の自社ECサイト「森永ダイレクトストア」から編集部がキャプチャ)
第二の柱として育成を図る「おいしい青汁」も過去5年の年平均成長率が64%増(22年度)となるなど順調に推移する。
定期購入では、展開する複数のドリンクの柔軟な組み合わせ、変更に対応する複雑なモデルを運用。飽きの来ない品揃えで継続利用を促してきた。
CX最大化に注力
これまでは購入商品の変更に電話で対応してきたが、昨年11月にはECシステムを刷新。顧客の利便性を高めるとともに、デジタルマーケティングによる顧客コミュニケーションを強化する。CX最大化を目的に新たに「CXM(カスタマーエクスペリエンスマネジメント)推進室」も設置している。
商品面では、グループの知見を活用して食品領域で提供価値の最大化を図る。創業者・森永太一郎氏の名前を冠した菓子ブランド「TAICHIRO MORINAGA」では、今年4月、通販限定で「キャラメルバウム」を発売。計画比約3倍の売り上げを記録した。今年9月には、第2弾として「焦がしキャラメルフィナンシェ」を期間・数量限定で販売している。
「キャラメルバウム」(画像は森永製菓の自社ECサイト「森永ダイレクトストア」から編集部がキャプチャ)
「長期経営計画では、『体の健康』とともに『心の健康』の実現もめざす。健食は体の健康に貢献できるが、おいしいものを食べる、楽しむといった価値は食品で提供できる。今後も健食を軸に成長をめざすが、嗜好品に近く、物価高等の影響も受けやすい。いかに選ばれ続ける価値提供を行うか。既存商品の魅力を高めるだけでなく、自社のおいしさの技術を生かして食品領域にもチャレンジしていきたい」(同社)と話す。
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オリジナル記事:2030年度に通販売上200億円を計画する森永製菓の現在値とこれから | 通販新聞ダイジェスト
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