ヤフー、ポイント戦略大転換の反響は? 日曜日の高還元施策の廃止に「売れない」の声 | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2023年2月20日(月) 07:00
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2022年10月にヤフーは「PayPayモール」と「ヤフーショッピング」を統合。これに伴うポイント戦略の大きな方向転換に「売れない」となげく出店者も多くみられている

ヤフーが運営する仮想モール「Yahoo! ショッピング」が、ポイント戦略を大きく転換している。同モールの出店店舗は日曜日に合わせた販促を展開していたが、2022年10月に「PayPayモール」と統合する形で仮想モールを刷新。

決済時にグループの決済サービスやクレジットカードを使用した際、決済額に対する還元率を引き上げ、5%とするとともに、毎週日曜日の高還元施策を廃止した。

これにより、従来のポイント戦略と比べて「売れなくなった」となげく出店者の声があがっている。

日曜日のポイント高還元施策廃止が大きな痛手に

2022年まで「Yahoo! ショッピング」では、ソフトバンクの携帯電話契約者向けに、10%還元キャンペーン「ソフトバンクスマホユーザーなら毎週日曜日は+10%」を毎週日曜日に実施。他の施策も合わせると、20%以上の高額ポイント還元が見込めることもあり、同モールの出店店舗は日曜日に合わせた販促を展開していた

ところが2022年10月12日、ヤフーでは「PayPayモール」と「Yahoo! ショッピング」を統合する形で仮想モールを刷新。決済時にグループの決済サービスやクレジットカードを使用した際、決済額に対する還元率を引き上げ、5%とするとともに、毎週日曜日の高還元施策を廃止した。

「PayPayモール」と「Yahoo! ショッピング」統合による従来のポイント戦略の転換が一部の出店者の売り上げに影響している「PayPayモール」と「Yahoo! ショッピング」統合による従来のポイント戦略の転換が一部の出店者の売り上げに影響している
ヤフーは自賛も、EC事業者は「売れなくなった」となげく声

同社では、ポイントの還元率見直しでソフトバンクユーザーら特定層を優遇した販促策から、広い層に還元する形とすることで新規の利用者や「PayPay」および「PayPayカード」の利用者の獲得を図る狙いがあるとしている。

モールの統合後は「(売り上げが)日曜日にかたよらず、平準化が想定以上に進んでおり、日常使いのモールへ順調な滑り出しとなっている」(執行役員の畑中基ショッピング統括本部長)と自賛する。

しかし、ある大手ギフトEC企業の担当者は「毎週のイベントがなくなったので、『Yahoo! ショッピング』では売れなくなった」となげく。

ヤフーで買い物するメリットがなくなる? 顧客離れを懸念の声も 

また、大手家電EC企業の担当者は「日曜日に集中して売れていたので、2022年12月の前年対比を見ると、日別の平均売上額は伸びているが、トータルで見ると減少している」と明かす。 

2022年末、ヤフーはさらなるキャンペーンの条件変更を発表。毎月5日や15日、25日に実施するセール「5のつく日キャンペーン」に関して、2月5日から「PayPayポイント」の付与上限を5000ポイントから1000ポイントに減らした

同キャンペーンでは、購入額(税別)の4%が還元されるため、これまでは1日あたり12万5000円(同)の購入までポイントが付与されていたが、2月以降は2万5000円(同)分までしかポイントが付かなくなった。

ホームセンター大手の担当者はため息をついて次のように話す。

影響は非常に大きい。もともとポイントが付く日でないと売れないモールだったのに、ここまでポイントが付かなくなるとユーザーにとってのメリットがなくなるのではないか。ヤフーにおける商売自体を考え直さなければいけない

売上を上げるためにはかなりの投資が必要?

また、この担当者は「検索面での優遇がなくなったこともあり、『PayPayモール』から切り替わった店ほど苦戦しているようだ。3月からは販促企画『倍! 倍! ストア』への参加条件も変わる。売り上げを作るためには、かなり投資しなければいけないだろう」と話す。

「倍! 倍! ストア」は、参加店舗で買い物をすると、購入額の5%または10%が還元される企画。これまではポイントアップ分とPRオプションの負担で参加が可能だったが、3月からは販売価格の3%分を支払うことで提供される、出店者向けの販促支援サービス「プロモーションパッケージ」への加入が必須条件となる。

あるコンサルタントは次のように指摘する。

モール統合後は、商流の大きい店舗ほど苦戦している傾向にあるようだ。5のつく日のポイント上限変更に関しても、これまでより高額商品が売れにくくなるのは間違いないだろう。『ポイント競争でこれ以上シェアを取っていくのは難しい』と判断したのかもしれないが、他に手を打たないのであれば、今後もAmazonと『楽天市場』に次ぐ3番手に甘んじるということになるのではないか。

ECモール各社はポイント施策を絞る傾向に

一方で、ライバルとなる「楽天市場」においても、「楽天スーパーポイントアッププログラム」(SPU)で一部サービスの付与料率が引き下げになるなど、以前よりもポイントが付かなくなっており、仮想モール運営企業がキャンペーンにおいて自社負担で付与するポイントを絞る傾向は続きそうだ。

先のホームセンター大手の担当者は「ヤフーの場合、ポイント還元率を高くする日を『5のつく日』以外にしたり、ポイント還元ではなく値引きをしたりといった工夫も考えている。また、自社通販サイトの強化も検討したい」と話す。

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