「買い物しやすい」「ストレスがない」「サクサク買える」――。近年、多くの消費者がECサイトにこうした買い物体験を求めるようになった。ECサイトのUXが売り上げに直結するようになったと言われる今、中小企業でも手軽にUX向上を実現できる方法はあるのか? データ容量の軽量化を通じたECサイトのUX向上施策、その事例を取材した。
コンテンツデリバリネットワーク事業などのAkamai Technologies(アカマイ・テクノロジーズ)が発表した「オンラインリテールの現状 - パフォーマンス」によると、モバイルでは読み込み時間が0.7秒の場合に直帰率が最も低く14.1%。1.7秒のページの直帰率は約7%増の21%、さらに読み込み時間が2.7秒のページでは直帰率は約29%に悪化するという。
また、Googleはモバイルで読み込みに3秒以上要するページの場合、53%の訪問者が離脱すると公表している。
ジャストシステムの調査「Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2019年12月度)」でも、スマホでのEC利用時、約6割に「応答速度が遅くて買い物をやめた」経験があることがわかっている。
ECサイトでのUXで大きな要素の1つといえる表示スピード。その改善と同時に、コンテンツ画像の画質維持によるECサイトの品質維持も同時に行うことができる中小企業向けツールがある。CRI・ミドルウェアの画像軽量化ソフトウェア「SmartJPEG」のデスクトップアプリ版サービス「SmartJPEG for Desktop」だ。
「SmartJPEG」の圧縮例
「SmartJPEG」は「画質を落とさず、重い画像を軽くする」ためのツール。大企業向けに提供していたものを手軽でスピーディに利用できるようにデスクトップアプリ化したのが「SmartJPEG for Desktop」である。1ライセンスあたりの利用料は月額3万9800円(税別)で、中小企業でも導入しやすい。
導入効果として、
ECサイトの品質維持・UX向上
- コンテンツ画像の画質維持
- スマホでの画像読み込み時間の短縮
サイト運用・画像作成コストの軽減
- 回線利用料・サーバーコスト削減
- 画像作成フロー、作業工数削減
といった効果が期待できる。
「SmartJPEG」利用イメージ
「SmartJPEG for Desktop」を導入した企業はどのように変わったのか。3社の事例を紹介したい。
「anello」のキャロットカンパニー、だれでもできるUX向上の秘訣とは。快適な購買体験を促進した画像軽量化施策
バッグブランド「anello(アネロ)」「Legato Largo(レガートラルゴ)」を扱うECサイト「Carrot Company Official Online Store」を運営するキャロットカンパニーは、商品をおしゃれに見せるだけでなく、機能性を伝えるためにさまざまな角度からの画像を掲載して魅力を押し出している。
2022年7月から始めたデータ容量の軽量化施策が奏功し、UXの向上に成功した。キャロットカンパニー 販売部 EC事業課の加藤裕丈氏に話を聞いた。
キャロットカンパニーのECサイト「Carrot Company Official Online Store」
画像のクオリティを維持したままデータ容量を軽量化
キャロットカンパニーは2022年7月、「ユーザーが快適に買い物できるように少しでもWebサイトのデータ量を軽くしたい」という思いで、CRI・ミドルウェアの「SmartJPEG」のデスクトップアプリ版「SmartJPEG for Desktop」を導入。
画像のデータ容量は導入前と比べて50%減(2分の1)となり、高品質な画像のクオリティを保ったまま軽量化に成功した。軽量化に伴い、サイトの表示スピードは体感で1.5秒ほど向上。UXの改善にもつながった
キャロットカンパニーが展開する商品は、種類、サイズ、カラーバリエーションが豊富だ。多いものだと10色、通常でも6色以上を展開している。
店頭で手に取れない分、わかりやすいように画像を多く掲載している。旬を取り入れて市場のニーズやトレンドに応えるため、年間を6区切りに分けて新商品を販売。商品点数は約5000SKUとなっており、取扱商品の豊富さを自負している。その一方、画像の枚数が多くなるため、導入前はサイトのデータ量が重くなっていたことが課題だった。
フォルダ内の画像を一気に軽量化できるので便利。スピード感を持って作業できるため、重宝している。当社は新商品を売り出す間隔が短いため、作業を効率化できるのはありがたい。商品はトレンドを意識した絶妙な色合いのものが多いので、「SmartJPEG」の画質維持は商品の魅力をより正確に伝えるのに助かっている。どんなに効率的でも画像の品質がよくないと意味がない。(加藤氏)
かんたん操作でSaaSのECカートシステム運用でもできる
「ユーザーがオンラインで快適に買い物できるように、少しでもWebサイトのデータ量を軽くしたい」という思いから、「SmartJPEG」の導入を決めた加藤氏は次のように話す。
操作が簡単なのでPCにインストールしたらすぐに使い始めることができ、毎日使用している。1回の軽量化で、まとめて300枚ほどの画像を処理している。「SmartJPEG」を導入した当初は、CRI・ミドルウェアの担当者が、軽量化作業を担う社内スタッフに操作の丁寧なレクチャーを行ってくれたので大変助かった。(加藤氏)
作業効率向上の観点からも反響を得ている。新ブランドのECサイト立ち上げで大量の画像のトリミングと軽量化を行ったが、従来は4~5時間かかっていた作業が、導入後は30分程度でできるようになった。
SaaSのECカートシステムを利用しているのでインテリジェントな画像圧縮は諦めていたが、デスクトップアプリ版が提供されたので、思っていた以上に簡単に目的が達成できた。(加藤氏)
CRI・ミドルウェアの三上夏代氏は「誰でもスピーディに画質と画像容量を両立した画像を作成できるのが『SmartJPEG』の特徴。デスクトップアプリなのでSaaSのECカートシステム利用の企業にも有効だ」と話す。
レディースファッションシューズ専門店「ダイアナ」ECの画像軽量化&売上向上施策、品質維持のまま80%容量削減しUX向上
ダイアナは、自社ECサイト「ダイアナシューズドットコム」と全国80の実店舗で靴など女性向けファッションアイテムを展開している。EC売上高は年間10億円を超え、2022年2月期の年商は前期比4%増。
ダイアナでは、画像容量の大幅な軽量化が、売上向上、コストダウン、効率化などの相乗効果を生んでいるという。ダイアナのデジタルマーケティング部部長 小河正義氏に取り組みを聞いた。
ダイアナのECサイト「ダイアナシューズドットコム」
ダイアナでは商品の掲載にあたり、年間で約1万3000枚の画像を作成している。ECサイトで商品の魅力を伝えるためには、色やツヤ感のリアルさが伝わるようなクオリティの高い商品画像や、魅力的なバナー画像が欠かせない。一方で、高解像度の画像はデータ量が莫大だ。ダイアナではUXを保つため、やむを得ず画質を下げるケースが少なくなかった。作業は手作業で、負担も大きかったという。
少ない工数&わかりやすい操作でデータ量軽減へ
課題解決のために、2021年5月に導入したのが「SmartJPEG」のデスクトップアプリ版サービス「SmartJPEG for Desktop」。「SmartJPEG」は、画質を落とさずにファイルサイズを軽量化でき、デスクトップアプリで画像を全自動で軽量化する。そのため、少ない工数で、綺麗な画像のまま圧縮できる。
処理スピードが速く、操作も簡単でわかりやすいので驚いた。(小河氏)
デスクトップアプリ版である「SmartJPEG for Desktop」の、1ライセンスあたりの利用料は月額3万9800円(税別)。導入しやすい費用感とサーバー構築不要のスピード感も決め手になった。CRI・ミドルウェアの三上夏代氏は、次のように話す。
「SmartJPEG for Desktop」は、サーバー版よりも利用価格を抑えている。このため、デスクトップアプリ版ができてからは、大中小と規模を問わず多くの事業者さまに幅広く導入いただいている。(三上氏)
容量8割減で、表示スピードやサイト回遊率向上にも寄与
導入によって、画像容量は導入前と比較して80%減少した。軽量化により、サイトの表示スピードが向上。これにより、UXの向上にもつながっていると小河氏はみている。サイトを訪問した顧客の回遊率向上や、コストダウンにつながった一面もある。使用している画像CDNの利用量が少なくなったため、CDN費用も削減できた。
「SmartJPEG」の利用料金よりも、導入によって得られたコストダウンのほうが大きい。「SmartJPEG」に出会ったのは「渡りに船」だった。(小河氏)
効率化だけにとどまらず、残業時間の短縮にもつながったと小河氏は話す。「SmartJPEG」の利用により、画像の軽量化にかかる時間が大幅に短縮されたため、残業せずその日のうちに仕事を終わらせることができるようになったという。
コロナ禍でEC需要が大きく拡大している一方で、企業には社員のワークライフバランス向上も求められている。導入工数をかけずにスピーディにEC施策を進めたい企業におすすめ。「SmartJPEG」を通じて、ECサイトの商品の訴求力アップや売上向上、コスト削減などをめざす企業を応援していきたい。(三上氏)
60分の作業時間を5分に短縮。ジーエークロッシングのささげ支援事業の効率化大幅促進の施策とは
ECサイトの商品画像など、Web上に掲載する画像の撮影支援事業を手がけるジーエークロッシングにとって、丁寧に撮影・編集した画像データを、クオリティを損なわずにクライアント企業に納品することは必要不可欠。毎日200枚近くの画像を編集・軽量化しているが、画像の品質を保ったままデータ量を軽減することが課題だった。
新しいツールを導入することで、画質向上と作業効率10倍以上を同時に実現したジーエークロッシングの取り組みを、樋口詩織氏(営業担当)、牛尾亜矢子氏(撮影ディレクター)に聞いた。
撮影ディレクターの牛尾亜矢子氏(左)と、同じく営業担当の樋口詩織氏(撮影:ジーエークロッシング)
「モアレ」のない高品質な画像で、顧客満足度も向上
ジーエークロッシングは、クライアントに画像を納品する際、「SmartJPEG」のデスクトップアプリ版サービス「SmartJPEG for Desktop」を利用している。これが画像の品質保持と効率化促進の決め手となっている。
導入前は画像が荒れてしまう「モアレ」が頻繁に発生していたが、導入後、「モアレ」がなくなった。丁寧に撮影した商品画像のクオリティを保ったまま納品できるようになり、クライアント企業からも評判は上々だ。(樋口氏)
※モアレ(干渉縞)とは規則正しく整列したドット(網点)同士が干渉し、発生してしまう「縞模様」のこと
以前は画像データを軽減するために他の画像変換ツールを利用していたが、「モアレ」が多く生じていたという。「モアレ」の有無の確認作業や、データの修正にも手間がかかっており、データの軽量化と画像の品質保持を両方とも実現することは難しく、苦慮していた。
「SmartJPEG」の導入は2021年6月。導入以来、クライアント企業からの画像の品質に関する問い合わせはゼロになったという。
元の画像(モアレなし)
画像変換ツール使用時の画像(モアレあり)
デジタル化が進み、紙媒体で使っていた画像からウェブ用にUX対策をしっかりしていく時代になった。画像の品質と軽さのバランスを整えるのは、どこのECサイトでも必須になってくる課題だと感じている。(樋口氏)
ジーエークロッシングは今後、社内における「SmartJPEG」の利用拡大を進めていく。
作業時間短縮の効果も。導入しない理由がなかった
導入前は30分~60分かかっていた作業時間が、導入後はわずか5分程度に短縮できたという。「使用頻度はほぼ毎日。画像の品質維持にとどまらず、作業効率も向上した」と現場リーダーの牛尾氏。
これまで使っていた画像変換ツールから、「SmartJPEG」の導入に踏み切るときは、品質維持、クライアントの満足度向上と併せて「工数削減につながる」という切り口で社内決裁を得た。実際に工数が削減し、納品数の拡大、クライアント企業に対する納品スピードの向上にもつながっている。繁忙期の残業時間短縮にも貢献しているようだ。
操作は簡単でわかりやすい。一度覚えれば誰でも操作できると思う。軽量であることと、綺麗さを保つことの両立は通常難しいが、「SmartJPEG」の利用によって作業クオリティが上がった。(牛尾氏)
CRI・ミドルウェアの三上夏代氏は、次のように話す。
「SmartJPEG」は品質にこだわっているので、軽量化に伴う解像度の低下や色落ちの心配がない。他の画像変換ツールのなかには、ビビッドカラーや細かい柄・ステッチなどあせた色になってしまうケースもある。作業工数の削減および効率アップにも大きく役立つので、多くの企業に「SmartJPEG」の利便性を知ってほしい。(三上氏)
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:“購入機会を失わない”月額3.9万円でできるECサイトの品質維持+UX向上+各種コストの削減を同時実現する「SmartJPEG」とは
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