直営店・フランチャイズ店を合わせて全国に800店舗を展開するブックオフコーポレーションは、2018年に基本戦略「ひとつのブックオフ」を打ち立て、オムニチャネルを推進している。これまでの取り組みやコロナ禍での変化、リユースならではの課題解決策、これからのブックオフの姿について、ブックオフコーポレーションの千田竜也氏とオムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎氏が語った。
ブックオフコーポレーション マーケティング部 部長 千田竜也氏
CaTラボ 代表 オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎氏
30年間、国内リユース市場の成長に貢献してきたブックオフ
総合リユース事業を手がけるブックオフコーポレーションは、1990年に「BOOKOFF」の直営1号店を開店し、現在は直営店とフランチャイズ店を合わせて約800店舗を展開している。2007年にECサイト「ブックオフオンライン」を開設し、2018年に公式アプリも開設。買い取りと販売を合わせると、年間の利用者数は延べ約8000万人、取引点数は約6億点にのぼるブランドとなっている。
近年は「あるじゃん!」というキャッチコピーでブランディングを推進。この「あるじゃん!」というキャッチコピーには、店舗の価値が込められているという。
「リアル店舗の良さとは何か」を改めて振り返ったとき、なんとなく店舗をうろうろしたりページをめくったりしているうちに、目的以外のものが欲しくなる、いつか買おうと思って忘れていた商品を買いたくなるような、非合理な体験こそがリアル店舗の良さではないかと思った。
そのリアル店舗の良さを伝えるワードとして考え付いたのが「あるじゃん!」だった。(ブックオフコーポレーション マーケティング部 部長 千田竜也氏)
国内のリユース市場は年々右肩上がりで成長しており、2020年時点で約2.4兆円に達し、2022年には3兆円を超えると予測されている。ただ、ここ数年はメルカリに代表されるようなCtoC(個人間)取引が市場成長率をけん引しているという見方もあり、1兆円を超えるCtoC販売の市場規模がBtoCの店舗販売を上回っている状況だ。
そのなかで、30年以上にわたってリユース市場の成長に貢献してきたブックオフコーポレーションは2018年、新たに「ひとつのブックオフ」という基本戦略を打ち立てた。
新たに掲げた基本戦略「ひとつのブックオフ」とは?
ブックオフコーポレーションは創業以来、「事業(会社)」と「従業員(人)」を同等に重視する理念を持ち続けている。「人が成長することによって会社が成長し、会社が成長すると新たな成長の場が生まれて、また人が成長していく」というように、事業と従業員は成長を加速する上で相互に影響し合う関係にあるからだという。
「事業(会社)」の成長に向けたビジョンには「リユースのリーディングカンパニーとして最も多くの人が利用するチェーンとなる」を掲げ、「従業員(人)」の成長に向けては「従業員が自信と情熱を持って安心して働き、成長できる会社になる」と掲げている(図1)。
図1 ブックオフコーポレーションは「事業(会社)」と「従業員(人)」のそれぞれに理念とビジョンを掲げている
こうしたビジョンは主に社内向けのスローガンと言える。一方、消費者に向けたサービスコンセプトでは「生涯を通じて利用できる最も身近なリユースショップ」をめざすとしている。主力の書籍は、老若男女問わずすべての人が楽しめる商品カテゴリーであるため、生涯を通じてブックオフがそばにある状態をどう作るかがテーマだ。
また、現在は書籍以外にもブランドバッグ、キャンプ用品、玩具・フィギュアなど、取り扱う商品カテゴリーが大幅に増えているため、どのようなライフステージのユーザーもリユースを通じてさまざまな体験ができるような拠点になっていきたいと考えている。ブックオフコーポレーションは、アプリを通じてユーザーに最も良い利用体験を提供するというブランドデザインのもと、「ひとつのブックオフ」を打ち立てた。
この“ひとつ”には、「店舗とネット」というチャネルの面と、「販売と買取」というサービス面の双方の意味合いが込められている。具体的には、
- 店舗の商品がECで購入できる
- どの店舗に入荷したかをEC上で確認できる
- ECで注文した商品が近くの店舗で受け取れる
- チャネルを問わずIDを共通化し、共通IDでアプリから購入できる
- 買取をキャッシュレス化し、アプリがあれば買取代金がポイントで受け取れる
などをあげている。
チャネルやサービスの違いを超えてシームレスな利用体験を提供する取り組みは新しくないように思われるが、ブックオフの場合はまず、多くのフランチャイズ店を巻き込まなければ実現できない。加えて、30年の歴史で構築してきたバックエンドシステムの整備も必要な改革となるため、時間をかけながら着実に進めてきたという。「ひとつのブックオフ」を推進する上で、店舗とアプリ(EC)の顧客体験について簡単に整理すると、それぞれ図2のようなメリット・デメリットがあげられる。
図2 店舗とアプリ(EC)それぞれの顧客体験で生じるメリット・デメリットを相互に補完
店舗は場所や営業時間の問題で来店できないユーザーがいるほか、リユース店舗の特徴である「商品がいつも違う」「必ずあるとは限らない」などが長所でもあり弱点にもなりやすい。しかし、全国800店舗の在庫から探せるようになれば、欲しい商品が見つかる可能性が各段に増すと考えられる。
一方のECは、1冊だけ買いたいときなどに送料無料ラインが気になることや、不在時の再配達も課題となってしまう。それに対して、店舗受け取りなら送料がかからないようにすればECの不便さもある程度解消できる。さらに、アプリ会員になってもらえればポイントが多く付与されるほか、お得な情報も届くようになる。このように、店舗とECの強みと弱みを細かく洗い出し、相互に弱みを補い合いながら利用体験を向上させる施策を細かく具体化していった。
「ひとつのブックオフ」に向けて組織を再編
「ひとつのブックオフ」を推進するために、組織を再編。もともとECの運営を手がけていた子会社のブックオフオンラインを本社と経営統合した。現在は「ひとつのブックオフ」を推進するマーケティング組織として、プロモーション、フロントエンド、コールセンター、インナーコミュニケーションの部署を本社内に設置している(表1)。
表1 ブックオフコーポレーションのマーケティング組織
役割 KPI プロモーション担当 広告コミュニケーションによる新規休眠顧客の獲得 来客数 会員コミュニケーションによる既存顧客の再来店促進 MAU、LTV フロントエンド担当 EC/アプリのUI/UX改善によるEC売上の最大化 アプリ経由売上、CVR コールセンター担当 ユーザーボイスの集約によるサービス改善提案 ─ インナーコミュニケーション担当 情報集約と発信による店舗と本部の橋渡し役 アプリ会員数、アプリ売上構成比
再編時のポイントは、店舗側の課題を集約して本部にフィードバックする役割として新設されたインナーコミュニケーションの部署だ。「ひとつのブックオフ」に向けた施策を経営陣や本部から店舗に向けて一方的に押し付けるのではなく、日々店舗に訪れるユーザーが少しでも不便に感じた点、細かなエラーが起こった出来事など、本部では気付けないような詳細な不具合を把握し、改善するように努めているという。
「ひとつのブックオフ」以前は事業ごとに会社も顧客IDもバラバラ
「ひとつのブックオフ」を掲げる前までは店舗とECを運営する会社自体が別々だったため、PL(損益計算書)もそれぞれに持つような状態だった。そのため、それぞれが打ち立てた目標に対してはそれぞれでコミットするものの、当然ながら両事業のシナジーは創出しにくかったという。加えて、同じ「ブックオフ」ブランドにもかかわらず、店舗とECでは会員IDも別々に管理されており、在庫や価格設定などの商品管理も別々に行っていた。
「ひとつのブックオフ」を打ち立ててからは組織が統合され、会員IDの共通化も完了。在庫も店舗の商品をECに“出品"するという形で、ECでも買える状態が実現している(図3)。
図3 店舗とECは運営会社も会員IDも別々だったが、統合・連携を進めている
商品を買い取った店舗でそのまま売れれば最も利益率が高くなるが、リユース品・中古品は一点もののため、全国800店舗のうちの1店舗で商品を抱え込んでしまうと、いつ売れるかわからないというリスクが生じる。その点、ECでも買えるようになれば全国どこからでも商品が購入できるメリットは大きい。
しかし、一点ものをECで販売するとなると1つひとつに商品コードを設定する手間がかかってしまう上、ECで注文した商品を店舗で受け取れるようにすると、フランチャイズ店も含めた店舗間の商品の移動、買い取った店舗と受け渡した店舗のフィーの問題が生じる。こうした問題を軽減するため、店舗で買い取った商品をすべてECに出品するのではなく、一定の条件を満たした商品のみ出品するという運用ルールを策定。現在も試行錯誤しながら改善を続けている。
コロナ禍の課題と取り組み
コロナ禍の外出自粛で、ECが伸長したという企業は少なくないだろう。ブックオフコーポレーションも、2020年のコロナ禍以降、EC売り上げは大幅に伸長している。しかし、全社売り上げに占めるECの割合は約10%で、残り90%を占める店舗がコロナ禍の影響を大きく受けており、単純に喜べる状況ではないと捉えていた。
ECの売上比率が全体の半分ほどあれば、コロナ禍で店舗が苦戦してもECの伸長によってカバーできると思う。しかし、ECのシェアが10%ほどの場合、ECが倍に伸長しても店舗の売り上げをどこまでカバーできるかは簡単な計算の話だ。冷静に全社を見なければならない。(CaTラボ 代表 オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎氏)
コロナ禍では人流の減少に伴って店舗が落ち込む一方で、EC売り上げが急に跳ね上がると「一気にECを推し進めるぞ」という論調が出やすくなると思う。当社もEC売り上げが1.5倍に急増したが、9割の売り上げを占める店舗が前年比10%減になった状況では、ブックオフ全体として落ち込んでいることに変わりはないと認識していた。(千田氏)
従来までは店舗とECを別々に運営していたが、全国の800店舗こそが資産だと再認識したブックオフコーポレーション。さらに、そこで働く従業員を重視した理念を掲げているからこそ、「店舗を生かすためのEC=ブックオフのオムニチャネル」という考えを繰り返し確認しながら「ひとつのブックオフ」を推進しているという。
30年にわたる店舗の歴史の延長線上にオンライン関連などの新しい技術を取り入れて、顧客体験とサービス価値を向上しようと努めている。
店舗受け取りの3割がついで買い。「ECの売り上げが増えると、店舗の売り上げも増える」構造へ
店舗を展開する企業がECやオムニチャネルに力を入れようとすると、店舗側から「ECが繁栄すると店舗が衰退する」など利益相反するイメージを持たれてしまい、事業間の軋轢が生じるケースは今なお少なくないだろう。ブックオフコーポレーションは、「ECが発展すると、店舗も売り上げが増える」という実感を持ってもらうために、じっくりと時間をかけて取り組んできたという。
「店舗のためのECだ」ということを、私たちのようなデジタルを推進する担当者が本気で思っていなければ上手く進まないもの。本部から店舗に「これをやって」と押し付けるだけだと、来店したお客さまがスタッフに質問しても「本部が勝手にやっていることなのでわかりません」という事態が起こってしまう。
店舗の従業員がしっかり納得した上で一緒に進めてもらわなければサービスの価値は向上しないので、時間がかかっても焦らず説明し続けていくことが重要だ。(千田氏)
店舗とECで相乗効果を生み出した代表例が「店舗受け取りサービス」だ。現在、アプリで注文した商品の約60%が店舗受け取りで購入されており、このうち約30%の利用者が店舗でついで買いをしているという。
図4 店舗とECで相乗効果を生み出した代表例が「店舗受け取りサービス」
仮に1冊の書籍を受け取るだけの利用者ばかりだと店舗間の送料が利益を圧迫してしまうため、当初は不安を持ちながらトライアルを行っていたが、結果として商品を受け取る店舗の売り上げ貢献や客単価の向上につながっている。店舗受け取りをしてもらえれば必然的に来店してもらえるし、来店すれば他の商品を購入するきっかけが発生しやすくなる。
私は以前からさまざまな企業に対して「店舗受け取りはメジャーな手段になる」と述べてきていたが、フランチャイズ展開のブックオフでも、お客さまの行動パターンに大きな差はないことがわかった。(逸見氏)
店舗受け取りの効果はついで買いによる客単価アップだけでなく、新規顧客の取り込みにも寄与したと千田氏は見ている。
店舗受け取りは新規会員にも多く利用されている。これは、自宅受け取りしかなかったときには見えていなかった落とし穴があったことの裏返しではないかと思う。当社はマスプロモーションを中心に新規獲得を図っているものの、「店舗受け取りができます」といったCMなどを流しているわけではない。まずは店舗に来ていただいて、そこから商品やサービスの選択肢の多さや利便性を知ってもらうような、立体的な設計をしている。
わかりやすいフックで店舗に誘導して、その後のフェーズでさまざまなサービスを利用していただくうちに買い取りの幅も広がっていく、こうしたサイクルを回している形だ。(千田氏)
中古品は状態確認も兼ねて店舗受け取りが選ばれる
たとえば、店舗で買い取った書籍をそのまま店舗で販売する場合、状態の良い商品は定価の半額の値を付けて、ダメージのある商品は100円コーナーに陳列するといったオペレーションが可能だ。
しかし、ブックオフコーポレーションのECは1マスターにつき1価格を付ける単品管理の仕組みになっているため、商品の状態ごとの価格設定ができない。その点、「EC×店舗受け取り」であれば、豊富な在庫から簡単に探せる利便性と、状態を確認してから入手したいニーズの双方に応えられているのではないかと分析する。
中古品の場合、チャネルがECだけでは不安の多い商品カテゴリーなのかもしれない。ブックオフでは店舗で確認して受け取れるため安心感と顧客満足度が向上し、結果的に購買頻度の増加につながる仕組みが構築されつつあるようだ。
「何をやるか?」よりも「何のためにやるのか?」を従業員に納得させることが大事
本部側は「オムニチャネルやDXで何をやるか?」と考えがちだが、実際にオペレーションをするのは日々ユーザーと接する店舗の従業員だ。だからこそ、ブックオフコーポレーションは「何をやるか」と合わせて、「何のためにやるのか」を十分に説明する姿勢を大切にしている。
マーケティングを担当していると「顧客ファースト」ばかりに目が行きがちだが、当社のような事業会社は顧客ファースト一辺倒ではなかなか上手くいかないと思っている。やはり、事業の根底には従業員やその他のステークホルダーから見たベネフィットもあれば、大義や思い、ロジックや経営的な数字など、重視すべきものが各所にあるからだ。
店舗の従業員と話す際も、店舗の歴史・文化をしっかり理解した上で、相手の言葉で話さなければいけない。マーケティング部門でも「ブックオフ語が話せないとダメ」とよく話しているが、まさにインナーコミュニケーションがその大きな役割を担っている。
外部とのコミュニケーションがなかなかできなかったコロナ禍は内部に向き合うチャンスだと捉え、内部向けの時間をたくさん作ってインナーコミュニケーションを活発に行ってきた。(千田氏)
内部に向き合う活動に注力する間にも、競合他社が新サービスをリリースする様子などを見て焦りを感じることもあったというが、「ES(従業員満足)の向上が『ひとつのブックオフ』に向けた業務改革の土台となるため、踏みとどまることも重要だった」と千田氏は振り返る。
こうした内部とのコミュニケーションから、コロナ禍で需要が顕在化したサービスが「キャッシュレス買取」だ。コロナ禍以前は買い取りのユーザーが店舗に多く来店し、休日は1時間待ちになることもしばしばあった上、買い取り後に現金を受け渡すために再度店舗に戻ってきてもらうケースも多かったという。しかし、コロナ禍では3密回避のために滞在時間を減らし、現金の受け渡しも非接触な決済に移行することが求められた。
「キャッシュレス買取」を用いれば、ユーザーは店舗の受付に売りたい品物を渡した後、その場で査定を待つ必要はない。スマホで査定結果を通知し、電子マネーやブックオフ買取ポイントで買取金額が受け取れる仕組みだ(図5)。
図5 「キャッシュレス買取」は、査定までの待ち時間解消と非接触の決済を実現
「キャッシュレス買取」はユーザーの不便を解消するだけでなく、店舗の売り上げにも貢献している。これまでは、売り上げが大きくなるピークタイムでも、買い取りの査定に人手が取られて売り場で品出しができないといった事態が起こりやすかった。しかし「キャッシュレス買取」であればオフピーク時間に査定をして、ピークタイムは売り場に出るなど、売り上げのチャンスロスが防げるといった効果が表れている。
また、従来型の買い取りと「キャッシュレス買取」で、精算と受付にかかる時間を計測したところ、「キャッシュレス買取」は買い取り1件あたり34秒も削減できたという。1店舗あたり月に何百件もの買い取りに対応しているため、業務効率化にも大きく寄与している。
このように、店舗とユーザーにとってのメリットを具体的な数字をもって草の根活動のように説明し続けたことで、「キャッシュレス買取」に対応する店舗は順調に拡大しているようだ。
行動が制約される機会はコロナ禍に限らない。準備しておくことが重要
消費者の行動に制約がかかったり、財布の紐が固くなったりする機会は、コロナ禍に限ったことではない。これまでも増税や災害など、さまざまな出来事のたびに起こってきたことであり、こうしたことは今後も起き得ると考えられる。加えて、国内では人口減少時代を迎えている。そのなかで「どういった準備をしておくかが重要だ」と千田氏は話す。
当社の準備としてはまず、アプリでつながるお客さまを増やすこと。コロナ禍でも、お客さまに営業再開のお知らせができた店舗ほど明らかに立ち直りが早かったため、改めて重要性を実感した。
そして、チャネルや決済手段、配送方法など、時代に合った選択肢を複数準備しておくこと。古典的なマーケティングの教科書に載っているような当たり前のことだが、お客さまが「買わない(使わない)理由」を減らしていかなければならない。(千田氏)
一方で、千田氏は「制約は需要が顕在化するチャンス」とも話す。たとえば、フードデリバリーや非接触のQR決済などは数年前からサービス展開されていたが、コロナ禍になって需要が一気に拡大している。つまり、制約によって需要が明るみに出たということだ。こうしたサービスに以前から対応し“準備”していた事業者と、コロナ禍になって慌てて対応し始めた事業者とでは、受けられた利益に差があったものと考えられるだろう。
マーケティング業界では、ビッグデータやオムニチャネル、DX、アフターコロナ/ウィズコロナなどのさまざまな言葉がバズワードのように頻繁に登場するが、それらに振り回されるのではなく、顧客のニーズと従業員にしっかり向き合っていれば、おのずと成果がついてくるという。
「向き合う=コミュニケーションをちゃんと取っている」ということ。ブックオフコーポレーションは何かの仕組みを導入するときも、何のために導入するのか説明と議論を内部でしっかり行っている。内部が強固だからこそ、世の中が揺れ動くような事態が起きても着実に前進し続けられているのだと実感する。(逸見氏)
よりいっそう、エンゲージメントが求められる時代へ
ブックオフコーポレーションが重視するエンゲージメントは、次の3つだ。
- お客さまと企業のエンゲージメント
- 店舗と本部(働く人同士)のエンゲージメント
- お客さま同士のエンゲージメント
「ひとつのブックオフ」として、店舗とネットでユーザーにどのようなサービスが提供できるのかは、1番目が中心の話になる。だが、そのためのプロジェクトを実現するためには社内が一丸となることが重要だ。それゆえに、本質は番目がカギを握るという。社内が1つになってユーザーに喜ばれるサービスが提供できれば、UGCのようにユーザーがブックオフの良さを発信してくれるなど、3番目にもつながっていく。
千田氏は「マーケティング担当として、従業員にも選ばれるブランドをめざしていかなければいけない」と常に心掛けているという。オムニチャネルコンサルタントとして多くの企業を支援してきた逸見氏も、ブックオフコーポレーションの考えや取り組みに共感の意を示した。
オムニチャネルは、単なる販売チャネル論やマーケティング論だけでは実現できない。外に向けてオムニチャネルを展開するためには、まず組織の壁を溶かして内部がしっかりとつながることが最も大事だ。オムニチャネルを推進する企業には、ぜひ意識してほしいと思う。(逸見氏)
この記事は2021年11月17日に「ネットショップ担当者フォーラム2021秋」で行われた講演をまとめたものです。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:店舗とECでID共通化、組織再編、従業員とのコミュニケーション深化。ブックオフのオムニチャネルが成功した秘訣とは
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