言うは易く行うは難し。アンカー・ジャパンさんがやっていることは当たり前だとしても、できるかどうかは別問題です。
当たり前のことを素早く実行することで急成長した事例
日本進出7年で売上200億突破のアンカー・ジャパン、“成功の裏側”と多ブランド戦略の意図:家電メーカー進化論 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2103/31/news014.html
まとめると、
- Amazonで売上を伸ばすためにはプロダクトカテゴリーで確実に1位を取り、次は別のカテゴリーでも1位を取る。これを繰り返す。シェアを取るためにはより良い製品を求めやすい価格で売ることが必要
- アンカーグループでは製品に関わるメンバー全員がVOC(Voice of Customer)に目を通している。これにより、星の付き方で売り上げを予測したり、初期不良の有無などをチェックできたりする
- 100億円規模のビジネスを作ろうとすれば、ブランドを作らないといけない。そのためにはVOC分析やカスタマーサービスでの対応など、顧客の1つひとつの「体験」をケアしていくことが大切
カスタマーサポートの対応次第では、製品を1年使って壊れたけれど良い体験ができた、と思っていただけることもあります。逆に、よく分からないブランドのよく分からない製品を買って、壊れて電話しても通じず途方に暮れたとなれば、もう二度と買わない、と思うことでしょう。製品を購入する母数に対して1人というのは確かに小さいですが、購入者その人にとってはその1つの体験が、その製品、ひいてはそのブランドに対する評価になります。
─アンカー・ジャパン COO 猿渡 歩氏
顧客対応を省力化する企業が多いですが、対応1つでブランドに対するイメージがガラッと変わってしまいます。何度も聞かれるようなことはAIなどで素早く対応し、解決しない場合はカスタマセンターでじっくり対応する。良くない点は製品に反映させる。当たり前のことを素早くやり続けてきた結果が、急成長の要因なんでしょうね。
徹底してユーザーのことを調べてサービスに反映させた事例
年商10億円のオーダースーツD2Cブランド「FABRIC TOKYO」の成長の裏側。リアルにお店をだしたら「客単価2倍」になった理由、接客時間の短い人がリピーターになる理由 | アプリマーケティング研究所
https://markelabo.com/n/nb594794ba057
まとめると、
- FABRIC TOKYO 代表取締役の森氏がスーツを着た100人を調査したところ、体型にコンプレックスを持つ人が82%いたのに対し、オーダースーツを作ったことのある人が9%しかいなかった。これでいけると感じた
- もともとはユーザー自身で採寸する仕組みだったが、採寸に関する問い合わせが複数あったため、対応したところリピーターになってもらえた。浜松町にポップアップストアを出した結果、採寸数が伸び、客単価も2倍になった
- 面白いのは女性からの口コミが多いこと。恋人や夫にすすめることが多く、オーダーのギフトなら服のサイズや好みを外すこともない
FABRIC TOKYOでは「接客時間が短い人」ほどリピーターになる率が高い、という分析データが出ました。
スーツって安くない商材ですし、じっくり接客したほうが満足度が高いはずと考えていたのですが、これは実際には逆でした。
うちのお客様って、洋服は好きだけど「洋服を買う時間」を楽しむお客様ではないので、買うまでのプロセスはスマートなほうがよかった。
(中略)
最近では、FABRIC TOKYOに来る方って、「オーダースーツ屋さん」からの乗り換えも増えているんですよね。
ヒアリングをすると「無理なセールスが嫌」という意見は多くて。しつこく電話されたり、不要なオプションを勧められるのが苦手だと。
ユーザーの行動をや考え型を細かく把握してサービスに活かしている良い事例です。私も手が長く既製品が合わないので、オーダースーツにしたくても何かと面倒…というのがFABRIC TOKYOさんだと解決されますよね。女性からのオーダーギフトも納得です。男性へのギフトって何を贈ったらいいのか悩みますが、これなら喜ばれます。アンカー・ジャパンさんと同じように、ユーザーの声をちゃんと聴いて商品やサービスに反映させていくと良いブランドになっていきますね。
EC市場が伸びたのは既存利用者の購買行動が活性化しただけだった
2020年EC市場分析から見えた利用拡大のヒント:カギは「3つの生活者トレンド」「ミドル昇格層の不安解消」 | Think with Google
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/data-and-measurement/2020-ecmarket-analysis/
まとめると、
- 2020年の国内小売EC市場は前年から20%以上増加の11.9 兆円に成長したが、Googleの調査では2020年2月以前と比較し、以降の2020年EC利用率は3ポイント増にとどまっており、市場規模拡大の要因は新規利用者数の増加ではなく既存利用者の購買行動が活性化したためと言える
- 2020年3月~5月には、平均利用金額6,000円未満のライト層が活性化。比較的状況が落ち着いた2020年10月~12月には、平均利用金額2万円以上のヘビー層を中心に購入頻度と1回あたりの単価が伸長。既存利用者の消費行動はECに偏重したと考えられる
- 平均利用金額6,000円以上〜2万円以内のミドル層がECに感じたデメリットは「個人情報流出」「配送のクオリティ」「フェイク品」「新しい商品との偶然的出会いの消失」など。メリットは「店舗に出向く必要がない」こと
近年のEC化の流れがある一方で、実店舗のショールーム的な機能が再び注目を集めたのは、「新しいものと出会う楽しみ」を体験的に満たせるからでもありました。
しかし実店舗での買い物が大きく制限を受け、ウインドウショッピング的な買い物行動が減った中で、オンラインショッピングにも同様の役割を求めざるを得なくなりました。調査によると、約半数の人がオンラインショッピングを通じて新しい商品と出会うことに成功していたのです。
新しくECを利用する人が増えたわけではなく、既存利用者の購買行動が活発しただけというデータは興味深いですね。ネットショップのサービスが良くなったこともありますが、「なんで今まで実店舗で買っていたんだろう?」という気持ちなのかもしれませんね。
引用文の「新たな商品との出会い」がネットで増えていることも重要です。自社を見つけてくれる可能性が増えたとも考えられますし、反対に自社の顧客が他社に流れてしまう可能性もあります。露骨な囲い込みは良くないので、コンテンツやサービスでブランドを作っていきましょう。
EC全般
「プラットフォーム透明化法」でECモールはアマゾン、楽天、ヤフーを規制対象に | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8588
大手総合ECモール出店者の相談に無料で応じる「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」がスタート | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8589
ECモールではアマゾンジャパン、楽天グループ、ヤフーの3社が「取引透明化法」の対象です。
健康食品の購入場所、中年・年配層では「通販」トップ 利用のきっかけは「ネットで検索」/矢野経済研究所 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9012
圧倒的にテレビ通販だろうと思ったら、ネットからの購入が1位。
7割がネット通販で後払いシステム利用経験あり うち、滞納経験者は1割超に/Office With調査 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9035
Amazon出品で自社セール開催ができる4つの施策【Amazon 出品メソッド アグザルファが徹底解説】 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/3415
自社を知ってもらうきっかけにセールという手もありますよね。Amazonでもいろいろできます。
総額表示、「11,000円」「11,000円(税込)」「11,000円(税別価格10,000円)」どのような表記が好ましい?:男女1000人に調査 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2103/30/news073.html
最終的に税込みでいくらなの? がわかればいいですよね。
【お知らせ】拡張機能「Google 商品連携 App」の提供を開始いたしました | Eコマースプラットフォーム「BASE(ベイス)」 | note
https://note.com/thebase/n/n1b1d302da86d
ついにBASEにもきました! もはやECサイトは初期設定でやるべき施策です。
「EC・通販関連」の求人数が増加しているアパレル・ファッション業界、ハイクラス人材と未経験者の二極化傾向 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8581
「アパレル業界は他の業界よりも年収が低い傾向にあることが課題」。ここを解決しないとECも伸びないですね。
今週の名言
ぼくらがやってることが思想の押し付けになってしまうと途端に面白くないんですよ
生産者・流通者・消費者の立場に強弱はない。メッセージと仕組みで、不確かさを楽しめる関係性へ | 株式会社坂ノ途中代表 小野邦彦さん | Marketeer
https://marketeer.jp/ono/
伝える、ではなく伝わる。この差は大きいです。言わなくても自然と伝わるように言動と行動をそろえていきましょう。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:7年で20倍に成長したアンカー・ジャパンにできて、他の企業には簡単にできないことって何だろう?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ
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