グローバルコンサルティング会社のローランド・ベルガーは、「ニューノーマルで消費はどう変わるか 新型コロナウイルス(COVID-19)がもたらす世界的な消費行動の変化」と題した資料を公表した。
COVID-19発生以降、世界11か国において消費者の行動がどのように変化しているかを分析。これらの変化が消費財および小売企業のビジネスの在り方にどのような影響を与えるのかを考察している。
消費行動の変化6つのポイント
「社会的価値」が消費の鍵
COVID-19は消費者が自らの消費行動を見つめ直す契機となったと指摘。モノの購入では34%の消費者が、「サステイナブルな消費かどうか」を考えるようになったという。
消費者は、機能的価値や情緒的価値だけではなく、サステイナビリティや社会・ローカルへの貢献といった社会的価値を企業に期待している。
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COVID-19前後での消費行動や購入するブランド・製品に対する評価の変化(ローランド・ベルガーが公表した資料からキャプチャ)
スマートフォンで何でも売れる時代へ
COVID-19により消費の主戦場はリアルからデジタルへと完全に移行。デバイス別のシェアにおけるスマートフォンの伸長が著しく、2020年半ばには全体の54%にまで伸びた。ラグジュアリーや家具のような高価格帯の製品カテゴリーが、スマートフォン経由で購買されるようになったとしている。
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デバイス別のオンライン注文のシェアの変化(ローランド・ベルガーが公表した資料からキャプチャ)
ソーシャルメディアが顧客接点の肝に
人との接触機会の減少で、ソーシャルメディアの利用時間が世界的に伸びている。55%の消費者がすでにソーシャルメディアを使って商品を購入した経験があり、COVID-19以降は17%のユーザーが利用を増やしている。
この傾向は特に若いユーザーに顕著。Z世代のほぼ4分の3がパンデミックの中でソーシャルメディアを介して買い物を実施。オンライン購買におけるソーシャルメディアの存在感は高まっている。
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ソーシャルメディアの台頭について(ローランド・ベルガーが公表した資料からキャプチャ)
コストパフォーマンスの重要性の高まり
COVID-19で節約志向が高まったことに加え、サステイナブルな消費を重視する流れから、世界的に価格と品質を両立させるコストパフォーマンスへの期待が高まっている。
調査によると、価格が第一の基準となったのはブラジルのみ。ほとんどの国でコストパフォーマンスが1位となった。日本はコストパフォーマンス、価格、品質の3つをそれぞれ重視する割合が近く、社会の階層化の様相が垣間見えるとしている。
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世界的な倹約志向とサステイナブルな消費の流れはコストパフォーマンスの重要性を高めている(ローランド・ベルガーが公表した資料からキャプチャ)
消費の中心は生活必需品にシフト
買い物客は消費財カテゴリーの中でも、支出を生活必需品に移している。具体的には、アパレル(スポーツを除く)、ジュエリー、腕時計といった嗜好品の消費が減少する一方、食料品・ヘルスケア・衛生関連用品の消費が大きく高まっている。
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食品やパーソナルケアなどの生活必需品に支出を移行している(ローランド・ベルガーが公表した資料からキャプチャ)
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ネット通販の消費はビューティーやアクティブへとシフトしている(ローランド・ベルガーが公表した資料からキャプチャ)
カゴ落ちを防ぐクーポンやお得感の醸成が重要
消費者は慎重に支出を計画している反面、可能であれば買うものや買い方・習慣を変えたくないと考えている。そのため、回答者の5分の1がインセンティブとなるプロモーションを求めているという。
小売業者は消費者の優先順位を理解し、新たなカスタマージャーニーを作成することが重要になると指摘。ECサイトのカゴ落ちを防ぐためのプロモーションや施策は非常に重要となるとしている。
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世界的に値引傾向が高まっている(ローランド・ベルガーが公表した資料からキャプチャ)
ニューノーマルで勝ち残るための成功の鍵
資料では、ニューノーマル時代で勝ち残るための成功の鍵も説明している。
フォーカス
企業の目的・存在意義にフォーカスし、文化、ブランド、バリューチェーンなどの持続可能性を統合。説得力のあるブランドストーリーを伝えることを意識する。
優先順位の明確化
サステイナブルな成長に向けた明確な優先順位を設定。サステイナビリティやコストなどの観点からサプライチェーンを再編成し、販売と生産の柔軟性・連動性を高めるとしている。
徹底的な消費者分析
消費者をより深く理解するために消費者分析への投資を提案。トレンドを早期に発見し、進化し続ける消費者中心の製品・サービスを提供することで、信頼を得ることができるとしている。
D2Cシフト
トラディショナルメディアとマーケティングに費やす予算をモバイルとソーシャルに移行。ブランドの認知度を維持し、消費者との直接的なつながりの強化を提案している。
柔軟なEC基盤の構築
業務の柔軟な拡張を含む、規模に対応して設定したEC基盤の構築が必要。たとえば、BOPIS(Buy Online Pick-up In Store、店頭受け取り)、越境ECを自社のEC基盤にどのように取り込んでいくかなどをあげている。
OMOトランスフォーメーション
リアル店舗をデジタルの世界に変換、包括的に統合し、ソーシャル交流のための安全な空間を設定。ユニークで意味のあるブランド体験とショッピングプラットフォームを創造するとしている。
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オリジナル記事:コロナ禍の長期化で起きた消費行動の変化6つのポイント&ニューノーマルで勝ち残る6つの成功の鍵
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