宅配ロボットの実証実験[動画レポート] & 世界のデリバリーロボット事情まとめ | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2018年4月16日(月) 08:00
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物流・フルフィルメントの分野で急速に自動化・省人化が進んでいます。こちらの記事でご紹介したとおり、中国EC最大手JD.com(京東商城)では倉庫内のピッキング、梱包、トラックへの積み込みなどをロボットが行い、配達もデリバリー用の「無人カート」を自社開発し、複数の大学キャンパス内で実施。配達を行っています。

日本でもニトリアッカ・インターナショナルなど、倉庫にロボットを導入する企業が出てきました。配達について実証実験を進めているのがZMP社。ロボットによる配達とはどんなものなのでしょうか? 3月に行われた品川港南エリアでの実証実験の模様をお伝えします。あわせて、世界のデリバリーロボット事情についてもまとめました。

3月19日、電通国際情報サービスのオープンイノベーションラボ(イノラボ)と、東京大学暦本研究室による「Carriro TiCA(キャリロ・チカ)」の実証実験が品川港南エリアで実施されました。「Carriro TiCA(キャリロ・チカ)」は1つのロボットではなく、2つの最新技術が合体したものです。

丸いのが遠隔コミュニケーションロボット「TiCA(チカ)」
四角いのが宅配ロボット「CarriRo Delivery(キャリロ・デリバリー)」
2人合わせて「Carriro TiCA(キャリロ・チカ)」
遠隔コミュニケーションロボット「TiCA(チカ)」とは

「TiCA(Trans-interactive Communication Agent)」は、イノラボと東京大学暦本研究室が共同で研究開発を進めている遠隔コミュニケーションロボットです。先端部は魚眼レンズになっていて、TiCAの周囲の状況を遠隔オペレーターが360度の映像と音声で把握できます。

対面している人の表情から「びっくりしている」「喜んでいる」「怖がっている」といった感情を読み取ることができるそうで、感情がポジティブかネガティブなはかなりの精度で読み取れるそうです。遠隔オペレーターの目線がTiCA上にLED表示されるため、対面している人とTiCAが目を合わせたような感覚で対話できるのが特徴です。

宅配ロボット「CarriRo Delivery(キャリロ・デリバリー)」とは

ZMP社が開発する自律走行宅配ロボット。荷台部に宅配ボックスを搭載しています。自律走行時の最大時速は6km(今回の実験では時速3km前後で走行)必要に応じて遠隔操作も可能。稼働時間8時間、登坂力約8度。「CarriRo Delivery」は日本郵便とも福島県南相馬市で無人配送の実証実験を行っています。

というわけで実証実験スタート!

今回の実験は、550mほど離れた距離から、Carriro TiCAにコーヒーを配達してもらうという設定です。

実証実験のコースの概略図

A地点からD地点までは人が歩いたら7分程度の距離。D地点(電通国際情報サービスのビル)に着いたら、カード認証のセキュリティーゲートを抜け、エレベーターで19階まで上ります

①TiCAにコーヒーを注文する

まず、TiCAにコーヒーを注文します。

②コーヒーを受け取る(A地点)

注文した商品を店員さんに宅配ボックスの中に入れてもらいます。

ちなみに扉の中はこんな感じになっています。

③進路上に歩きスマホの人が!(B地点)

Carriro TiCAはあらかじめプログラムされた進路を走行しますが、街中ではいろんな人や物が行く手を阻みます。最初の障害は電話で話し込む女性。背後から近付くCarriro TiCAには気付きません。

④ベビーカーと遭遇(C地点)

次に遭遇するのは赤ちゃん連れのお母さん。そうすぐには道を空けられない相手には、どう対応するのでしょうか?

⑤セキュリティーゲートを通過してエレベータに乗る(D地点)

最近のビルで多いのがセキュリティーゲート。その場にいた人にお願いして乗せてもらおうという作戦です。

⑥配達完了

19階のお届け先に到着。

スマホをかざすと扉が開きます
お疲れさまでした

途中、走行できなくなってしまった場面もあり、苦節およそ40分の道のりでした。

世界のデリバリーロボットはどうなっている? JD.com(京東商城)の無人カート

次に、海外のデリバリーロボットを紹介します。はじめにこちらの記事でご紹介したJD.com。すでに複数の大学のキャンパス内での配達を行っているデリバリー用の「無人カート」。

こちらの動画を見ると、複数タイプの無人カートが開発されているようです。

Robby

こちらはカリフォルニア州で稼働中のデリバリーロボット「Robby」。机の引き出しのような形状のロビーは、歩道を走行して配達を行っているそうです。受取人ではない人が触るとブザーを鳴らして周囲に警告します。

Marble

出前配達ロボ「Marble」は、複数の出前サービスの出前担当として実証実験中。

Starship

こちらは実証実験中の「Starship」。配達可能範囲は半径5km。荷物を受け取る人はスマートフォンでStarshipの位置をリアルタイムで確認できるそうです。

DRU

ドミノ・ピザはオーストラリアの一部地域でデリバリーロボットによる配達を行っているそうです。担当しているのがこの「DRU(ドリュ―」)。熱いピザと冷たい飲み物を、温度をキープしたまま配達するそうです。

ロボネコヤマト

ここまでご紹介したデリバリーロボットとは趣が異なりますが、将来的には無人運転での配達を目指しているのが「ロボネコヤマト」(現在は有人運転で神奈川県藤沢市の一部地域で実験中)。ヤマト運輸とDeNAの共同プロジェクトです。

10分刻みで好きな場所で荷物を受け取れる「ロボネコデリバリー」と、買い物代行サービス「ロボネコストア」を展開しています。

スタート時の発表では2018年3月31日までの試験サービスとのことでしたが、4月1日以降もサービスを継続しています。

Relay

こちらは屋内の話なので番外編。品川プリンスホテルでは2017年10月から米国製のロボットが働いているのをご存じですか? 自律走行型デリバリーロボット「Relay(リレイ)」がアメニティーグッズなどを客室に運んでくれます。

「Relay」にはエレベーターや内線電話との連携機能があり、自分でエレベーターに乗ってフロアを移動し、客室前に到着すると、内線を鳴らしてゲストに到着をお知らせするそうです。仕事が終わったら充電スポットに帰ります。「ロボットが届けるMessage & Gift」なんて宿泊プランもあります。大切な相手へのプレゼントを事前に預かり、ご希望の時間にロボットが客室に届け手くれるそうですよ。

「Relay」を開発したのはシリコンバレーのSavioke(サビオーク)社。ホテル業界以外にも物流倉庫や工場の製造ラインでの活躍を見込んでいるようです。

日本における宅配ロボットの未来とは?

東京大学大学院 情報学環境教授の暦本純一氏はこう語ります。

ロボットというのは完全に自律走行するのが1つの理想型だが、それに至るには難しい問題がある。公道を走る乗用車は比較的整備された道路を移動するので、自動走行型になっていくと思うが、街中を搬送するロボットは人とのインタラクションが非常に多く「ちょっと通してください」とか「このドア開けてください」とか細かいエッジケースがたくさんある。

それをすべてロボットが自動でやらなければ実用化しないかと言うとそうではない。人とロボットの間に人間が入ることで、ロボットと人間が助け合ったり、協調したりできるインターフェイスを作りたいと思っている。

左から東京大学大学院 情報学環教授の暦本純一氏、国際電通情報サービス イノラボ チーフプロデューサーの森田浩史氏、同じくイノラボ プロデューサの野崎和久氏
◇◇◇

実証実験を見た感想としては、オープンな空間を赤くて丸っこいロボットがゆっくり走る様子はなかなか可愛く、こんな子に「ちょっと通してください」と頼まれたら、大抵の人は喜んでサポートしてあげるのではないでしょうか?

しかし、「配達」ということで考えると、正直不安がぬぐえません。実際、サンフランシスコでは「安全性を理由に走行禁止を検討中」といった報道もあります。

また、防犯面も心配になりました。暦本教授に「ロボットごと盗もうとする人が現れたらどうなるんですか?」と質問したところ、やはり悪意を持った人に危害を加えられたり、ふざけていたずらされたりすることへの危機感は当然あるとのこと。

TiCAの場合は遠隔オペレーターから声をかけられるので、対面している人に呼びかけることで対応したいとのことでした。「ロボットの向こうに人間がいる」と感じさせることで、抑止効果を期待しているそうです。

課題はあるものの、人手不足が深刻化する将来、こうしたデリバリーロボットは物流のラストワンマイルの重要なプレイヤーになっていくことでしょう。実証実験ではたくさんの人に見守られながら走行したCarriro TiCAですが、将来的には1人のオペレーターが複数のCarriro TiCAを遠隔から見守り、それぞれの配達を行う……といった構想です。

公道を走行できるようにはならないかもしれませんが、例えば大規模な集合住宅の敷地内での配達や、巨大なショッピングモールの各店舗への配達など、活躍の場はたくさんありそうです。日本のデリバリーロボットがどう進化していくのか、見守っていきたいと思います。

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オリジナル記事:宅配ロボットの実証実験[動画レポート] & 世界のデリバリーロボット事情まとめ
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内山美枝子
内山 美枝子
ネットショップ担当者フォーラム編集部
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