アジア新興国市場での成功の鍵③ 現在および将来の利益の源泉を細分化して把握する | アジア新興国市場での利益と成長を実現するために | ネットショップ担当者フォーラム | ネットショップ担当者フォーラム

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多国籍企業のアジア担当経営幹部など250名へのアンケート調査から⑥

経営者のためのチェックポイント

  • 現地市場を把握し、どこに最善のビジネスチャンスが眠っているのかという点を理解するために必要な投資を行っていますか?
  • 自社のデータや分析は、製品カテゴリーや流通チャネルごとに真の収益性を分かりやすく明示できていますか?
  • 競争の激化や原材料コストの上昇は、利益率や事業展開に対してどのような影響を与ると考えていますか?

アジア新興国市場では各国が異なる発展段階にあり、成長ペースも異なるために、市場、流通チャネルや消費者セグメントが多様化しています。そのため、このダイナミックな市場を理解することが必要不可欠です。そしてこれは企業がどのように、またどこで勝負に出るのかを決定し、短期的な成長目標と長期的な利益という双方の目的に適合したポートフォリオを構築するための第一歩となります。

利益を伴う成長を持続するために、企業は市場シェアと売上の拡大を求める片肺飛行から脱却し、現地レベルできめ細かく成長と利益の双方を生み出す真の牽引役とは何かを捉える方向にシフトする必要があります。ここでは、企業は投資機会を探るため、異なる都市の個々の流通チャネルや消費者セグメントにまで狭めて、細分化する必要があります。これは2020年までに人口1,000万人以上の巨大都市が13まで増える中国において極めて有効です。

集中投資が成功への鍵を握っています。ハイ・パフォーマーの約3/4は、新興国市場向けの投資は数少ない市場に集中させた場合にのみ成功する、という見解に同意しています。それに反して、それ以外の企業では同様の見解に同意した企業は60%に留まっています(図8参照)。

グローバル企業による新興市場への投資では少数の市場に集中した場合にのみ成功するという考えに同意しますか?
図8 質問と回答: グローバル企業による新興市場への投資では少数の市場に集中した場合にのみ成功するという考えに同意しますか?(図は同意したと回答した企業の割合、%)

インドや中国のような規模の大きな市場ではとりわけ、はっきりと集中することが求められます。DanoneのPellegrino氏は次のように語っています。「中国については国と考えるよりも大陸と考え、企業ブランドの競争力を維持できるような都市に集中する必要があります。もし中国でゼロから出発し、大陸全体に投資しようと試みるならば、たとえ現地パートナーを得たとしても、投資額が著しく膨れ上がることでしょう。資源は常に限られており、注意深く配分する必要があります

Procter & Gambleにとっての集中アプローチとは、中国における都市の規模に基づいた販売戦略の採用でした。大都市においては、碁盤目状の区画に分け、それぞれに三輪自転車で回る販売員を配置しました。より小さな都市では物流企業と提携して、流通網と倉庫の管理システムを構築しました。さらに農村部では、流通ネットワークを拡大するために政府のプロジェクトと共同作業という形を採り、学生を雇って小売業者に接触し、製品や最も近い倉庫について情報を提供しました。

インドや中国のような規模の大きな市場ではとりわけ、はっきりと集中することが求められます。DanoneのPellegrino氏は次のように語っています。「中国については国と考えるよりも大陸と考え、企業ブランドの競争力を維持できるような都市に集中する必要があります。もし中国でゼロから出発し、大陸全体に投資しようと試みるならば、たとえ現地パートナーを得たとしても、投資額が著しく膨れ上がることでしょう。資源は常に限られており、注意深く配分する必要があります

Procter & Gambleにとっての集中アプローチとは、中国における都市の規模に基づいた販売戦略の採用でした。大都市においては、碁盤目状の区画に分け、それぞれに三輪自転車で回る販売員を配置しました。より小さな都市では物流企業と提携して、流通網と倉庫の管理システムを構築しました。さらに農村部では、流通ネットワークを拡大するために政府のプロジェクトと共同作業という形を採り、学生を雇って小売業者に接触し、製品や最も近い倉庫について情報を提供しました。

それぞれの地域に適合した販売戦略を採ることに加え、企業は市場の進化に応じてその重点配分先を変えていく必要があります。「当社は、中国の地方都市に潜む、より大きな成長のチャンスを手に入れたいと考えており、現在は、第7級都市にまで進出しています。農村部から都市部への人口移動が加速するに伴い、当社の成長の源泉が生み出されてきます。こうした地方都市の発展が進むにつれ、私たちの事業モデルを支える基盤が強化されていくわけです」とadidas Groupの Ho氏は語っています。

企業は時に、市場の発展に先駆け、積極的に投資を行なったり、新しい製品カテゴリーを生みだしたりすることが必要です。これは長期的に大きな利潤を生み出すこととなります。ただし企業が短期・長期双方のパフォーマンス目標を達成できるように、より採算性のよい他の投資とバランスをとる必要があります。「どの市場が競合他社に先駆けて投資を行っている将来の成長ドライバーなのか、どの市場が現在のドル箱なのかといったことを認識することにより、投資の適切な水準が明確になります。これは当社が常に足元でパフォーマンスを上げると同時に、将来に対する種播きを行っていることを意味します」とDiageoのManz氏は語っています。

現在および将来の収益源について細分化した分析を行うには、このダイナミックで変化の速い市場に関する最新の情報が必要です。企業は内部、外部のデータを組み合わせ、そのデータを分析し、そこから考察を見出すための強固なツールを構築しなくてはなりません。適切なデータを収集することができれば、ノイズからシグナルを分離し、意思決定のための分析的な考察に応用することが可能になります。

Colgateがトラディショナル・トレードで需要を把握した手法

インドの小売市場では依然としてトラディショナル・トレードが80%を占めています。そして極めて細分化された販売網の中で、需要規模を推測し、在庫水準や売上高を追跡することは極めて困難です。Colgateは小売店や卸売業者と共同して流通チャネル構築に取り組みました。卸売業者に、個々の小売店を訪問するたびに情報が更新される便利な携帯機器を提供することにより、同社は信頼性の高いデータを蓄積し、これにより現地の商機を探り、掴んでいます。

この携帯機器は、それぞれの販売店がどの製品の在庫を保有しているのか、その水準はどうかといった貴重な情報を供給し、その結果、卸売の営業担当も小売店にどの製品について紹介を行うべきなのかを知ることができます。さらに、ひとたび卸売業者が売上をあげれば、情報は直ちに我々のところに伝わってくるのです」とColgate Palmolive IndiaのGodfrey Nthunzi氏(CFO)は語っています。

サプライチェーンの可視化

Kimjin Gan Executive Director, EY

効果的なデータ分析は、事業のパフォーマンスの決定要因を理解するために大いに役立ち、売上向上やサプライチェーンの効率改善に貢献します。そのために、企業は十分に信頼できるデータソースを持ち、データを効果的に蓄積・活用するなど、万全を尽くさねばなりません。

しかし、トラディショナル・トレードの流通網からの協力を得ることが難しく、ERP(統合型基幹業務)システムが柔軟性に欠けることが、大きな壁として立ちはだかっています。企業はデータを、共通する分類に基づいて整合的に収集できるようにしなければなりません。

しかし、古いERPシステムでは顧客コードや市場セグメントに関して柔軟性が不足しています。変化の激しい市場においては、企業は消費者の行動を分析し、戦略を実情に適合させるために、指標やコードについて修正と検証を重ねる能力が必要です。これは通常、ERPシステム外の分析ツールを用いて行われる作業です。

多くの消費財メーカーは、複雑で変化の激しいアジアの流通チャネル、とりわけ細分化されたトラディショナル・トレードをカバーするために外部の販売事業者に委託しています。しかし、委託を始めるや否や、市場で実際に何が起きているかを完全に見失ってしまうことになりかねません

日々の売上の流れを把握するためには、販売事業者とのシステムの連結が必要です。このことは企業が、販売事業者との間で、最終消費者向けの売上の詳細を共有する意思について、インセンティブ付けをできるかどうかに依存しており、しばしば交渉力の基礎になるとみなされています。

しかし、売上高や在庫のデータだけでは、分析には十分ではありません。企業は、季節変動や地域の特色を調べるため、直近データ以外にも目を向け、ライバル企業の価格設定、陳列方法、販促活動などに関する外部情報と重ね合わせて分析すべきです。

営業の最前線から、市場の生の声を体系的に詳細に収集するとともに、販売データと解析することによって、トレンドを形作る要因が明らかになります。具体的には、価格設定は間違っていないか、陳列の棚割りが不足していないか、アイテム数が多すぎないか、などです。

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