NHN PlayArtグループ傘下のSAVAWAYは2015年1月1日付で、データセンター・インターネット事業を手掛けるデータホテルと経営統合し、新会社「テコラス株式会社」のEC部門となる(詳細記事はこちら)。今年末までに、受注・在庫・商品一元管理システムの「サバスタ」を大幅リニューアル。ショッピングカートと「SHOPSTAR」の2本柱で今後はEC支援事業を展開する。SAVAWAYは今後どう変わるのか。新会社でもEC支援部門を管轄する中井健司社長に聞いた。
経営統合の理由は2つ。強いインフラの活用と、大きなトラフィックへの対応
――SAVAWAYはデータホテルと経営統合し、新会社「テコラス株式会社」のEC事業部門となりますが。
NHNグループでは、EC関連の事業をどのように大きくしていくのかというのがテーマ。経営統合により、NHNグループの保有しているインフラや技術を活用できるようになる。なぜデータホテルとの統合を選んだのかという理由は2つ。中堅規模以上の大きな企業に対しては、インフラ面も含めた提案が重要になるということ。アプリケーションだけでなく、通販・EC企業のインフラを含めてどう改善し、展開していくことも求められる。従来、弊社は自前のインフラを持っていなかったので、そうした提案ができなかった。2つ目はトラフィックが大きくなっても、自前のインフラを持つことで柔軟に対応できるようになる。新しいインフラサービスがリリースされてもスムーズに対応でき、自社も、クライアント企業も事業の底上げにつながる。
――主力の受注・在庫・商品一元管理システムの「サバスタ」が大幅リニューアルします。
11月か12の年内にサービス提供を始める予定で、名称を「サバスタ」から「SHOPSTAR」に変更する。大きな違いはこれまでのクライアントインストール型から、クラウド型への移行だ。クライアントサーバー型の利点、ウェブ化による長所を生かしたサービスを展開していく。これはSAVAWAYが創業してから10年間続けてきたサービスを、今後時代の変化にあわせて成長していくために考えてきた構想だった。
――具体的にはどのように変わるのでしょうか。
大きなところでは、サイト立ち上げなどの企業に向けて、利用料0円で使えるプランを設けた。受注数は月間200件まで無料になる。規模の小さい店舗に向けて、コストかけずにサイトを運用できる環境を用意した。競合ではお試し期間を提供している企業があるが、無料で使えるプランは業界初だ。
――無料化によるコスト増が考えられます。なぜ無料化プランの設置に踏み切ったのですか。
スタートアップなど、小規模なECサイトはいずれ、大きくなる可能性がある。しかし、今の環境では小規模ECサイトが受注・在庫・商品一元管理にコストを投じるのが難しい状況。小規模ECサイトが成長する過程で、規模にあったシステムを導入していくのが通常だが、それではシステムの変更ごとに商品コードの変更など、データの移行や修正が発生することがある。これは大変。ならば小さい規模のときから規模に応じたプランで拡張性の高いシステムを利用でき、成長してもシステム移行の手間がかからないようにすることがEC企業にとってもいいこと。
SAVAWAYの中井社長はテコラスではEC支援部門を管轄する
――ほかにサバスタと変わる点は。
受注処理は自社の基幹システムで行うというユーザーでも、商品管理機能のみといった機能単位で利用することが可能だ。また、共有サーバー上でカスタマイズ対応ができ、カスタマイズ後もバージョンアップが適用される設計にした。クラウドサービスながら安価に安心してカスタマイズ対応できる。店舗独自のルールを適用する小規模なカスタマイズから、基幹系システムとの自動連携、CRM連携などの大規模なカスタマイズにも対応する。
――受注・在庫・商品などの管理機能すべてが利用できるということですが、どのような料金設計になりますか。
現在の「サバスタLight」とほぼ同じだが、登録商品数に応じた月額料金、月間受注件数に応じた月額料金となり、初期費用は0円。機能を個別に、規模に応じて利用したいといったニーズに応えることができる料金設計にしている。
――「サバスタ」の既存ユーザーはどうなりますか。
現在1000店舗程度が利用しているが、データ移行がスムーズにできるように移行ツールを準備している。順次ご案内を進めていく。どうしても移行が難しいというところは、個別対応していく。
――「サバスタ」の大幅なリニューアルとなるが、在庫管理など個別ごとのシステムの扱いはどうなるのでしょうか。
今後はショッピングカート「コレカゴ plus」、「SHOPSTAR」の2本だけを販売していくことになるが、現在と同じように在庫管理など機能ごとにサービスを利用できる。また、「コレカゴ plus」については、たとえばカートの受注情報とWMS(倉庫管理システム)をリアルタイム連携し、スピード配送を実現する仕組みに対応できるように開発を進めている。大手をはじめ、配送スピードの重要性が増している。本店でも大手と同じような環境で勝負できる、付加価値を提供していく。実在庫との在庫引き当ても可能にし、オムニチャネルに対応できるようにするなど、拡張性を持たせて事業者が確実に収益を上げることができる仕組みにしたい。
――「SHOPSTAR」のターゲット層はどういったEC事業者になりますか。
小さい規模の事業者から、大規模まですべてに対応できる。NHNグループに入ったことで、強大なインフラ、そして高度な技術開発ができるようになった。大手酒販EC会社、大手テレビショッピング会社などに当社のECシステムを提供している実績がある。インフラが強固になるので、カスタマイズが必要な大手企業から、無料で利用できる小規模の事業者まで、さまざまなEC企業のニーズに応えることができるようになった。
――他社ベンダーとの連携も求められてきますが。
事業者の収益拡大に多方面から貢献できるように、「SHOPSTAR」「コレカゴ plus」ともに、外部システム連携も含めて、ECに必要な機能は追加できるようにしていく。ECのプラットフォームを目指すイメージと考えてほしい。ベンダー含め連携先を増やしていく。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:EC支援は「SHOPSTAR」とカートの2本柱へ~SAVAWAY中井社長に聞く経営統合の真相 | 単発記事 | ネットショップ担当者フォーラム
Copyright (C) IMPRESS CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.