NOT“インスタ映え”。そこが魅力の手描き投稿

インスタグラムといえば“インスタ映え”といわれるキラキラした世界を披露し、見る側は “行ってみたいな~” “食べてみたいな~” と、まだ見たことのない世界への期待を膨らませる場所でありました。しかし! そんなインスタグラムで最近、一味違うテイストで投稿をするイラストレーターが女子たちの間で人気を呼んでいます。

フォロワー20万人以上! インスタグラム発のイラストレーターたち

① 究極の手描き系で人気沸騰! パントビスコ

趣味で始めた絵日記投稿から約3年でフォロワー数35万人突破のパントビスコさん。小学生の絵日記やパリピのLINEなど、誰もが「あるある~」と納得できそうな内容を、少し大げさに描いているところが特徴です。

『飲み会中のLINE』 #抜け駆け失敗 #パリ田ピ太郎 #LINEシリーズ

パントビスコさん(@pantovisco)がシェアした投稿 -

▲細かいネタ仕込みに沢山のツッコミコメントが寄せられる『#LINEシリーズ』

▲最近の投稿の中で、いいね数が高かった「ストーリーズにUPされてない部分」。 共感コメントが沢山

『落ち込むこと』 #大きな器 に入ったカキ氷 #やさしシリーズ

パントビスコさん(@pantovisco)がシェアした投稿 -

▲人気投稿はお笑いネタにとどまらず。落ち込んだ女性たちを励ます『#やさしシリーズ』。女性ファンからの「ありがとう」コメントでいっぱいです。

最近登場したダイハツの新車「ミラ トコット」の宣伝VTRではパントビスコさんのイラストが起用されたりと、インスタグラムだけでなく企業コラボ、個展の開催、アプリのリリースなど人気インスタグラマー兼イラストレーターとして活躍中です。

▲「新登場 ミラ トコット 機能編 ダイハツ公式」宣伝VTR 彼の描く人気キャラである「やさ村やさし」がミラ トコットの機能をやさしく、ゆるーく解説してくれます。

②女性の心をつかむ。時空を超えた登場人物 BUSON

2017年3月ごろからインスタグラムでのイラスト投稿を本格的に開始。「歴史上の人物がもしインスタをやっていたら」というコンセプトのもとに始まった#超現代風源氏物語」の投稿がシュールで面白いと人気を集めているBUSONさん

▲「紫式部の1週間コーデ」

▲最近は「○○あるあるシリーズ」も投稿

#長編ストーリー」では、平均約10枚の画像が投稿されており、全体的に複数枚の画像投稿が多いところが特徴的です。 最近では、みさき公園「動物応援隊」活動の一環として設置された「動物応援隊ガチャ」の商品イラストとして起用されたり、書籍を出版したりと、彼も活躍の場を広げています。

なぜ彼らの投稿が人気を集めるのか?

前段で紹介した、いわゆるインスタグラムっぽいものとは一味違った投稿をするイラストグラマーたち。今、なぜ彼らが人気を集めているのでしょうか。 彼らの人気投稿や寄せられたコメントを見てみると、それらを見て共感したり、励まされているユーザーが多くいることが見てとれます。

 

(コメント抜粋)

うちの上司がまさにこれwww
あるある過ぎて…。。腹立つーー!!!
わかりみが強い
凹んでたとこなんで癒されました😭
泣きそう…🙏
うぅ😭ありがとう


パントビスコさん自身のインタビュー記事*2をみても、  

_リアルからヒントを得た“あるある系”をテーマにする  
_「女性」が共感できる内容を意識  
_誰も敵にしない  
_“バズ”ではなく、“共感”がじわじわ広がっていくことを想定した戦略

 

など、当初から“共感”“励まし”を意識されていたことが書かれています。上記のポイントがちゃんとユーザーの気持ちに届いたことが人気の理由なのかもしれません。

タイムラインに求められる「ゆるみ投稿」

彼らの大事なポイントである“共感”“励まし”は、今までのインスタグラムの定番であった“インスタ映え”とはちょっと結びつきにくい内容です。しかし、実際にはインスタ女子たちの中の60%近くがインスタ映え投稿に埋め尽くされるタイムラインにストレスを感じているというデータもあります*1。その反動からか、憧れの対象である「キラキラ投稿」だけではなく、自分と価値観が合って共感できたりほっとする「ゆるみ投稿」を求めて、彼らをフォローしているのではないでしょうか。

女子たちが好むファッション雑誌でも「ファッション」「ビューティー」といったメインのページとは別に、「仕事」「恋愛」といった個人の感情を表象したり、鼓舞するようなコラム記事が必ず存在します。それに鑑みてみると、インスタグラムの中に「連載コラム」的投稿が求められるようになってきたのもある意味必然なのかもしれません。 今、SNS「見る専」が多くなっている*3とも言われているなかで、インスタグラムは雑誌化していく道を歩んでいくのでしょうか…。

また、このような「ゆるみ投稿」の流行りに付随して、子育てあるあるや我が子の面白エピソードをイラストとともに投稿するママグラマーたちも増えています。 若者向けの投稿に限らず、今までTwitterが主だった子育て系投稿も、少しづつインスタグラムへと移行しているようですね。

手描き系を上手く活用したママグラマーたち

▲まめちゃんのくすっと笑えるエピソード「まめらいふ」で人気を集める横峰沙弥香さん。 パスコの「超熟ベビーキャンペーン」ともコラボされています。

すき…♥ ってなりました笑

こつばんさん(@kotsu_ban)がシェアした投稿 -

▲愛娘しーちゃんの毎日を描くこつばんさん

これからどうなっていくのか、インスタグラム。

前述のように、今まで「インスタグラム=キラキラ路線 / Twitter=あるある路線」とばかり考えられていた常識も多様化しています。このようにインスタグラムという場は日々刻々と変化しているので、これからのプロモーション企画の際にはもう少し広い視点で企画検討してみてもよいかもしれませんね!
“ソーシャル茶の間”として日本独自の進化を遂げたtwitterと同じように、インスタグラムもメイド・イン・ジャパン的進化を遂げていくのでしょうか……。今後もインスタウォッチして動向を追っていきたいと思います。