企業ホームページ運営の心得

2014年のWeb業界事件簿(現場版)と2015年予測

1年の締めくくりとして今年の出来事を振り返りつつ、来年予測を立てます
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の390

プレイバック2014

今年の最後の号ということで、1年を振り返りつつ、来期のWeb業界について考えてみます。これから流行るCMSや、Web業界トレンドなどでてこない「現場版」です。

まず、今年の出来事を検証します。

2014年があけて間もなく、東京発で世界のWeb業界を震撼させたニュースがありました。日本にあったビットコイン(仮想通貨の一種)の交換所「マウントゴックス」社の破綻です。推進派と否定派でまったく評価の異なるビットコインですが、今年の7月には楽天市場の三木谷浩史社長が、

今年はインターネット革命が加速する。おそらく楽天も早晩ビットコインでの支払いを受け付けるようになると思う

と予言したと「東洋経済オンライン」は伝えますが、2014年12月17日現在、早晩は訪れていないようです。

危機のつながり

ビットコインの利用目的が、国内における決済なら時期尚早です。短期的には日本において、ユーロ圏で起きたような「キプロス・ショック」が起こる確率はとても低いからです。なにより利用者が少なく、税務処理も未確定要素が大きく、余計な手間が増えるだけです。

ただし、ギークやWeb業界人を得意先とする商売なら、「イメージ戦略」の一環として導入する価値があります。また、「ギリシャ」と取引がある場合も検討に値します。ギリシャに忍び寄る「財政破綻」へのリスクヘッジです。

マウントゴックスの破綻と前後しますが、2月の大雪被害においてはSNSが脚光を浴びました。孤立した被災者からのツイートの拡散が、迅速な救援要請につながったのです。一方で、12月徳島県を襲った寒波は、山間の村を停電させIP電話を不通にしました。可能な限りの情報インフラの多元化は、東日本大震災以降の課題であることを再確認します。

御社は「BCP(Business continuity planning:事業継続計画)」を策定しているでしょうか。BCPは策定しただけでは十分ではなく、定期的な見直しや訓練が不可欠です。

偽物が多かった年

いまだ「結論」には至っていませんが、世紀の大発見だったはずの「STAP細胞」に疑義が指摘され、現代のベートーベンにゴーストライターがいたことや、県議会議員の虚偽の出張が明らかになるなど、これほど多くの「偽」という漢字を見たのは、2年前のフラッシュマーケティングにおける「偽装おせち」に代表される「食品偽装」以来です。

そしてトレンドに敏感なWeb業界でも「偽」がみつかりました。小学4年生を名乗り、

どうして解散するんですか?

から始まる質問状を掲載した政治サイトを、NPO法人代表の大学生が運営していた問題です。「アベノミクス解散」の意義を議論することが目的だったようですが、すぐに「ネット民」に検証されて正体が発覚します。また「コンビニ土下座事件」でも、ネット民の「捜査力」は発揮されました。ある種の「自浄作用」といえますが、微罪に対してまで、すべてのプライベートを晒す行為に批判があることも事実です。

ネット上で拡散した情報を鎮めるのは困難であり、嘘はすぐに暴かれます。いずれにせよ、Web担当者はこれらの動きを、ステルスマーケティング活動への警鐘と受けとるべきでしょう。

ネット選挙に刻まれた

次に先日の「衆院選挙」でもチラリとだけ話題になった「ネット選挙」。以前にも指摘したようにネット選挙の本質とは、選挙期間以外の選挙活動を黙認する「常在戦場」にあり、選挙期間だけネットに取り組んでも、効果がないことは解禁後のすべての選挙が証明しました。来年は統一地方選挙が行われます。ネット選挙は今からの準備が不可欠です。

首都圏に限れば猪瀬直樹前知事の辞任による「都知事選挙」において、Web業界の著名人、家入一真氏が出馬し、応援に堀江貴文氏がはいったことで、俄然「ネット選挙」が注目されました。もっとも結果は以下同文。家入一真氏が選挙に必要な供託金を「クラウドファンティング」で集めたことだけは歴史に刻まれることでしょう。

税の一字

政治案件である「税」は、今年の漢字にも選ばれました。Web業界も無縁ではなく、増税にともなうシステムトラブルで、臨時休業に追い込まれた「いなげや」の例もあります。来年秋を予定していた消費税率の再増税は見送られましたが、引換に2017年は「確定」とされています。こちらも、今年の春の増税の記憶が消える前に、検証し教訓として残しておくべきでしょう。

ここからは未来予測です。

どれだけWebサイトを充実させても、現物の商品が手元に届かなければ、利用するお客などいません。いわばサイトとお客の「ラストワンマイル」をつなぐのが配送業者です。ところが「週刊ポスト」が報じたように、宅配便各社の配送能力は限界に近づいています(2014年12月19日号)。

ネット通販の伸長もあり宅配需要は増えているなか、それを補う設備投資や、人員確保ができていないのです。諸処の事情がありますが、その最大の理由は「送料無料」を支える運賃のダンピングです。

2015年の驚愕

宅配便の料金は、一般客に提示される「定価」の他に「業者価格」が存在します。取引内容によって異なり、大手ほど安くなっていると考えられます。「値引きが限界に来ている」とは現場のセールスドライバーの告白です。少子高齢化に加え、復興需要に東京五輪と、人件費が高騰するなか、いままで通りの運賃では人材確保ができないのです。そこから導き出される2015年の最大のトピックはこれ。

ネット通販、送料無料の見直し

すでに「ZOZOTOWN」は方針転換しました。あるいは「コンビニ」との提携によって「送料無料」を維持する動きもでるでしょうが、いままでのような「送料無料」は見直されることになるだろうという「予測」です。

前々回コラムでは「インフレ」を紹介しましたが、自公政権の大勝を受けて、2015年はリアル経済の構造転換期にはいります。「送料無料」の見直しはその1つ。そこで最多購入層を中心に利益を再計算し、社内体制を見直して……と、ここで2014年は字数が尽きました。

よいお年をお迎えくださいませ。

今回のポイント

1年を振り返ればボロボロでてくる自省

送料無料の継続やいかに

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