経済産業省は4月9日、AIサービスの利用時に損害が発生した場合の民事責任の考え方を整理した「AI利活用における民事責任の解釈適用に関する手引き」を公表した。手引は、AIを用いたサービスやシステムの事故の想定事例を題材にして検討。AI利用の形態に応じた2つの類型(「補助/支援型AI」、「依拠/代替型AI」)に整理し、当事者の責任の判断に参考になるようにした。
手引きは、AI利活用での不法行為法上の論点を中心に、現行法がどのように解釈適用されるかの方向性を示した。AIの開発・提供・利用に関わる当事者の予測可能性を高め、AI利活用の推進と、損害発生時の円滑な解決に資することを目的にしている。題材にした6つの想定事例は、①配送ルート最適化AI、②弁護士業務支援AI、③取引審査AI、④外観検査AI、⑤自律走行ロボット(AMR)、⑥AIエージェント。
AI利活用で発生した損害の民事責任を考える裁判例の蓄積は十分になく、AI事業者にとってシステムの導入や開発をためらう一因となっている。このため経産省は、法学や技術分野の有識者で構成する「AI利活用における民事責任の在り方に関する研究会」(座長:大塚直・早稲田大学法学学術院教授)で議論して「手引き(案)」をまとめ、約1カ月間の意見公募を踏まえて修正し、公表した。

