もうAIに指示はいらない…? 自律型AIエージェントで仕事が“超ラク”になるかも
自ら考え、行動する「AIエージェント」があなたの仕事を劇的に変えるかもしれません。世界で注目を集めるAIエージェントに関して、解説していきます。

指示待ちAIから、自ら動くAIへ
AIエージェントとは、ユーザーの指示や目的に従って情報を収集し、自ら何をすべきかを判断しながら目標を達成するために行動するAIシステムのことです。ChatGPTやGeminiなど、日々多くの人が活用している対話型生成AIと比べて異なる点は多々ありますが、最も大きな違いは「自律性」が高いことです。
「AIエージェント」の「エージェント」という言葉は、英語の agent に由来し、もともとは「行為者」「代理人」「主体的に行動するもの」といった意味を持ちます。AIエージェントは、単に指示されたタスクをこなすだけでなく、タスクを自らサブタスクに分解し、他のAIやツールと連携しながら、複数の処理を連続的に実行します。
また、状況をモニタリングしながらデータを収集し、目的達成のために自発的に試行錯誤を繰り返す点も特徴です。その振る舞いは、あたかも人間が自分の意思で判断し、行動しているかのように見え、ユーザーにとっては“自分の代理人がせっせと動いてくれている”ように感じられるでしょう。
AIエージェントはなぜ賢く動けるのか?
AIエージェントは、大きく3つの要素で構成されています。
1つ目:「考えて動く」ための頭脳
ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)に代表される自然言語処理モデルの中核機能と基本的には同じで、入力内容を理解し、推論を行う能力を備えています。ただし、通常のLLMは“何をすべきか”を判断できても、それを実行に移す機能(=行動能力)までは持っていません。一方で、AIエージェントは推論結果をもとに、実際の行動まで自律的に行える点が大きな特徴です。
2つ目:外部との連携機能
AIエージェントは、外部のデータベースやツール、APIなどと接続し、必要な情報を取得したり、具体的なアクション(たとえばメール送信やカレンダー登録など)を自動で実行したりすることが可能です。こうした外部連携により、複雑なタスクでもエージェントが自律的に処理できます。
3つ目:記憶機能
AIエージェントは、過去の会話やタスク履歴、ユーザーの意図や好みなどを継続的に記憶し、文脈を踏まえた対応ができます。これにより、単発の指示だけでなく、長期的な目標に沿ったサポートや、ユーザーごとのパーソナライズが可能になります。一度話したことを覚えてくれるので、毎回ゼロから説明する必要がなく、よりスムーズな対話や作業進行が実現します。
AIエージェントはさまざまな形で登場
AIエージェントは、すでにさまざまな形で世の中に登場しています。
ユーザーに代わってブラウザを操作、タスクを処理
OpenAI Operatorは、ChatGPTに搭載されたAIエージェントで、ユーザーの代わりに実際のウェブブラウザを操作しながらタスクを自動実行できる革新的な仕組みです。
これにより、クリック、スクロール、テキスト入力によって、人間と同じ操作を実行でき、フォーム入力、買い物、旅行予約などの反復的ウェブ作業を自動化できます。2025年5月に開催された Google Marketing Live 2025 では、Google 広告やGoogle アナリティクスに搭載される予定のAIエージェントが紹介されました。
キャンペーン提案・意思決定がしやすいビジュアライズ化も可能に
Google 広告のAIエージェントは、キーワードやクリエイティブのアイデアなど、パーソナライズされたキャンペーンの提案を行い、それらの提案を自動的に実行します。
また、Google アナリティクスのAIエージェントは、複雑なデータを簡素化するビジュアライゼーションを使用して、洞察と傾向を積極的に表面化したり、キャンペーンの問題のトラブルシューティングを支援し、よりスマートな意思決定をサポートしたりします。
すでに多くの企業でAIエージェントの活用が進む
海外では大手広告主、エージェンシーを中心にAIエージェントの活用が進んでいます。英国の大手エージェンシーグループのWPPでは28,000種類ものAIエージェントがすでに現場で動いていることをオープンにしていますし、仏の大手広告代理店、Publicis Groupeでも、マーケティング特化型AIエージェントNewtonの採用を決定しています。
マーケティング領域におけるAIエージェントは、上流の戦略策定や施策プランニングから、実行、効果測定・分析、さらには最適化に至るまで、幅広いプロセスに影響を与えると見込まれています。WPPやPublicisなどの大手広告グループも、今後1〜2年のうちに、これらのプロセスの大部分にAIエージェントが関与するようになると予測しています。
次回は、企業がAIエージェントを最大限に活用するために押さえておくべきポイントを詳しく紹介します。
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