マイケル・ジャクソンの訃報がネットで広まっていった様子を時系列で示してみた(前編)
何よりもまず、マイケル・ジャクソン氏の家族と友人に心からお悔やみを申し上げたい。親しい人を失い、さらに世界中でその死が報じられるさまを見なければならない苦痛は想像するほかない。ジャクソン氏は世界に並々ならぬ影響を与えた。完璧な人間ではなかったが、その死においてさえ彼はわれわれに教訓を与えてくれた(この記事がその証拠だ)。
以下は、ポップ界の大スターだったジャクソン氏の訃報がインターネットに広まっていった様子を時系列に沿って示したものだ。時刻は必ずしも正確ではないし(最大5分の誤差がありうる)、すべての情報源をカバーしているわけでもない。時刻はすべてグリニッジ標準時に基づいている。
インターネットマーケターの視点から見て、このニュースがウェブに広まっていくさまは実に興味深いものだった。情報が伝播する速さに感嘆したし、また、このニュースを真っ先に報じたのがどのサイトかを知ってとても驚いた。ウィキペディアはやはり最速のニュース集約サイトだ。Twitterより速く、グーグルよりはるかに速かった。
マイケル・ジャクソン氏の訃報が
ネットに広まっていった様子を示す時系列表
19時21分 | マイケル・ジャクソン氏の雇い人が911番に電話をかける。 その後の49分間は、「嵐の前の静けさ」と表現するのが最もふさわしい。ジャクソン氏が借りていた高級住宅地ベルエアーの邸宅にロサンゼルス市消防局が到着し、家族にも連絡が行った。 |
20時10分 | (第一報)小規模な芸能情報サイトx17online.comが速報を流す。 x17online.comが写真入りで短い記事を掲載したのは、はるかに大手の芸能情報サイトTMZ.comがこのニュースを報じるより丸々20分も前のことだ。インターネットに情報が広がり始める。大騒動の始まりだ。 |
20時30分 | TMZ.comが「マイケル・ジャクソン心停止」と報じる。 心停止の報はTMZ.comのトップページに掲載され、RSS経由で何十万もの人々に配信される。僕の推測では、TMZ.comは上の画像に大金を支払ったが、この記事で多くのリンクを獲得し、支払った額の10倍の見返りを得たと思われる。 |
21時12分 | ウィキペディアがジャクソン氏の心停止について報じる。 ウィキペディアの参加者が、ウィキペディアのジャクソン氏の項目に心停止の情報を追加する。他のニュースサイトやソーシャルメディアサイトが報じるのはこれよりずっと後だ。 |
21時20分 | TMZ.comが死亡記事を掲載。 ジャクソン氏死去の報がRSSフィードに配信され始め、次いでTwitterに流れる。bit.lyで短縮されたTMZ.com記事へのリンクが初めてクリックされるのはこの11分後だ。 |
21時30分 | CNNbrkが、ジャクソン氏が病院に搬送されたことをTwitterに投稿する。 CNNが公式アカウントCNNbrkを通じ、200万人のフォロワーに向けて、ジャクソン氏が心停止して病院に搬送されたことを投稿する。 |
21時31分 | TMZ.com記事への最初のbit.lyリンクがクリックされる。 TMZ.comの記事に対して張られた最初のbit.lyリンクを誰かがクリックし、記事にアクセスする。 |
21時45分 | ウィキペディアがマイケル・ジャクソン氏のページを保護する。 ウィキペディアのジャクソン氏の項目に対する編集が爆発的に増えたため、編集者が同項目に保護をかけて編集を制限する。 |
21時46分 | ウィキペディアの同項目のノートで、ジャクソン氏の死が初めて取り上げられる(注:2009年6月27日に情報を更新)。 ウィキペディアの編集者たちが、マイケル・ジャクソン氏の項目のノートページでジャクソン氏の死について初めて言及する。 |
21時50分 | bit.lyリンクのクリック数が毎分2500回に達する。 |
22時03分 | TMZ.comのジャクソン氏死亡記事がDiggに投稿される。 Diggに初めて記事が投稿されたのは少し遅めだった。その後、この記事は同サイト始まって以来最も多くの「digg(支持票)」を獲得した記事の1つとなる。 |
22時11分 | TMZ.comの記事がDiggの人気記事になる。 記事がDiggのフロントページに移動し、情報が一気に広まる。 |
22時19分 | 「RIP Michael Jackson(マイケル・ジャクソン氏の冥福を祈る)」が、Twitterで現在話題のトピック第1位になる。 ニュースはさらなる広がりを見せ、Twitterの話題のトピックランキングに登場する。死去の報は何千万というTwitterユーザーの目に触れる状態となる。 |
この記事は前後編の2回に分けてお届けする。時系列でいうと、この後マイケル・ジャクソン氏死去の報道が大手メディアサイトにも掲載され始め、ネット上の混乱も広がっていくのだが、後編では、この時系列表の続きと、今回の騒動から見えてきた検索エンジンの問題点についてお伝えする。→後編を読む
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