なるほど!アクセス解析ケーススタディ

コストパフォーマンス良好のアクセス解析ツールでユーザーニーズをつかむ/東急電鉄+Urchin

SALUS(サルース)/東京急行電鉄株式会社
Powered by Urchin/株式会社プロトン

野本 幹彦(フリーライター)

アクセス解析からユーザーのニーズを知り
ウェブと情報誌のメディアミックスを実現

SALUS サイト概要

http://salus.jp/

東急沿線の情報を発信し、ライフスタイルを提案するサイトとして、無料配布される同名の情報誌と連携したコンテンツが満載されている。

沿線地域情報の提供とライフスタイルの提案が柱

東急では、これまでの鉄道や不動産/都市開発に加え、リテール関連事業を第三のコア事業とする戦略をとっている。これらの3つのコア事業に関連し、沿線を中心に日々の生活に密着したさまざまな事業を展開するのが、秋元隆治氏の所属する情報・コミュニケーション事業部だ。ICカード「パスモ」の導入、流行発信ショップ「ランキンランキン」、カルチャースクール「東急セミナーBE」、旅行センター「テコプラザ」など、顧客との接点となる事業を集約した部署となっている。また、交通広告などの媒体事業も同部署の役割となっている。

東京急行電鉄株式会社
情報・コミュニケーション事業部
コミュニケーション営業部
秋元隆治氏

今回紹介する「SALUS」も東急沿線の価値向上を目的とした媒体として、同事業部の中で運営されている。元々SALUSは、東急沿線の生活サイトとして2001年に立ち上げられている。「私がSALUSのウェブ担当となったのは、2004年のことです。それまでは、安価なアクセス解析ツールで最低限の解析は行っていたようですが、効果的な活用はされていませんでした。その後、2005年に社内の組織改正が行われ、それまで別々の運営であったウェブのSALUS.jpと情報誌の『SALUS』が統合されることになりました」

一方、情報誌はウェブの立ち上げから約2か月後にウェブと同じSALUSという名前で創刊した(図1)。この2つの媒体の連携を強化し、ウェブと紙面のクロスメディアでの情報発信を行うために行われた組織改正が、本格的なアクセス解析ツールを導入するきっかけになったと秋元氏は言う。

「“SALUSとは何か?”というところから部署内で検討を始め、沿線情報の提供とライフスタイルの提案という2つを柱に1年かけてウェブと情報誌のリニューアルを行いました。SALUSの情報を見て、お客様が東急沿線内で実際に行動していただくことが両メディアの最大の目的です。そのためにどのようなコンテンツを載せるか、ということを知るには、やはりアクセス解析ツールが必須となります」

図1 フリーペーパーの情報誌『SALUS』。毎月20日発行で、東急線、みなとみらい線各駅に設置された専用ラックや東急線沿線の東急ストア、東急百貨店、Bunkamuraなどで配布されている。「SALUS」とは、ラテン語で「あいさつ」という意味。

必要な機能があることとコストパフォーマンスを重視

アクセス解析ツールは、必要とする機能を持っていること、コストパフォーマンスがよいこと、サーバーインストール型であることという3つの基準で選択されたようだ。「SALUSの制作は、内製でまかなっている部分が非常に大きく、私自身も沿線のお店に取材に伺ったりしています。企画、取材、編集まで自分たちで行って、外部に頼るのは最後のデザインの部分だけですね。アクセス解析に求める部分も自社内でわかっているので、高価で高機能で何でもできてしまうツールというよりも、必要な機能を提供してくれるコストパフォーマンスのよいツールということを最初に考えました。また、デザインの部分は複数のデザイン会社にお願いしていて、ページ数の多さとリニューアルまでの時間を考えるとミスなく解析用のタグを埋め込むのは難しいと判断し、ウェブビーコン型よりも導入が簡単なサーバーインストールでログ解析型の製品を検討しました」

では、具体的に必要な機能とはどのようなものだったのだろうか。「SALUSは、商品購入ボタンや資料請求ボタンのクリックのような明確なゴールが設定されているサイトではありません。お客様に情報を読んでいただいて、実際に行動してもらうことが目的です。そういった意味では、コンバージョンなどの機能は必要ないと言ってもよいでしょう。逆に、膨大なページ数を効率的に処理できること、どのページが支持されているのかが明確にわかること、ユーザーの動線がわかりやすいことなどを機能として重視していました(図2)

図2 「目的のページに至る経路」レポート画面。ユーザーの入り口/出口ページや滞在時間なども簡単に表示できる(注:サンプルサイトの画像です)。

いくつかのアクセス解析ツールを調べたのですが、条件を満たしてくれる候補として挙がったのはUrchinだけでした。インストール型で導入が容易で、必要な機能を満たし、価格も納得できるものでしたね」

Urchinに採用を決めた大きな理由の1つには、導入前の印象も大きかったようだ。「導入当時は、正直言ってアクセス解析ツールの知識は乏しかったです。しかし、導入前に相談したときに“やりたいこと”を伝えると、どの機能でそれを実現してライセンスの範囲内でどこまでできるかを親切に教えていただけたという印象があります。営業担当の方に何度か足を運んでいただいて、外部の制作会社とも話をしていった結果、SALUSのアクセス解析ツールをUrchinにするという決断を下せました」

しかし、操作感に関しては現在使っているメンバーでは問題はないものの、SALUSに関わるスタッフすべてが利用するには難しいのではないかと秋元氏は言う。そのため、今後は担当者全員の即時的な情報共有が必要となっていくと考えているようだ。

「現在は、私と編集長を含めた数名で解析結果を見て、定例の会議などで編集部に報告するという形になっています。でも、本当は各担当者が自分でUrchinを触って自分のコンテンツに関する情報を得て今後のコンテンツやデザインに反映するような体制にしたいのです。9月に大幅なシステム変更を行うので、その際に設定などのカスタマイズをきちんと行ったうえで、SALUSに関わる全員がアクセス解析ツールを見られるようにしたいと考えています」

Urchinには、有償オプションではあるが教育プログラムも用意されている。これらのプログラムに秋元氏自身が参加する予定はあるのかと聞くと、「ぜひ参加してみたいと思いますね」という答えが返ってきた。

「必要な機能を最優先にしてUrchinを選定したわけですが、他にも使ってみたい機能はたくさんあるし、それらの機能をどれだけ使いこなせるかで“内製の強み”というものが出てくると思っています。SALUSの担当は、取材に出かけていることなどが多く、情報を共有する機会が少ないのですが、使い方や機能についてのレクチャーを今後定期的に進めていく必要は感じています。その中で、全員がUrchinを使いこなせるようにスキルアップしていけるといいですね」

ユーザーに求められるコンテンツもわかってきた

SALUSのコンテンツには、情報誌と連動した「MAGAZINE」と各種の沿線情報を掲載した「ENSEN」に加え、ウェブのコンテンツの中心となる「STYLE」の3種類がある。SALUSとしては、「自分の目で見て本当によいと思った情報しかコンテンツとして掲載しない」という独自に取材した情報を提供するSTYLEが大きな強みであり、ウェブとしてライフスタイルをどんどん提案して蓄積していくことを目的としていた。

図3 エリア別の情報を提供する「SALUS ENSEN」。エリアごとにショッピングやグルメ、イベントなどの情報がまとめられている。エリアマスターと呼ばれる沿線住民からの取材記事は身近で親しみのある記事が多い。

「実際にアクセスを解析していくと、最もアクセスの多いコンテンツは日々のイベント情報などを提供するENSENであることがわかりました(図3、4)。ENSENの中にある、沿線住民から募った特派員が取材する記事なども人気が高い。やはり、ユーザーがウェブに対して求めるのは“日常的な沿線情報”である、ということですね。STYLEのコンテンツで展開しているライフスタイルの提案などは情報誌でじっくりとやっていき、ウェブのほうは日常的な情報や双方向性を意識したコンテンツを中心にしていくという方向性が明確になってきたということです。今後は、これらのメディアの違いをより意識して取り組んでいこうと考えています。このような結果は、アクセス解析なしには得られなかった部分です。また、サイトの構造的にMAGAZINE、STYLE、ENSENが独立してしまっているので、滞在時間を長くしてもらうためにも、3つのコンテンツを横断して読んでもらえるような工夫をしなければならない、ということもわかってきました。リンクを増やしていくのか、サイト構造自体を変えなければならないのかは、もう少し検討して決めていきたいと思っています」

しかし、使い始めてまだ数か月しか経っていない現在では、いろいろと悩む点もあると秋元氏は言う。「ユーザーにお店に行ってもらうなど、行動していただくというのが目的ですから、リアルな場所へのコンバージョンというものが測定できないという悩みはあります。それを間接的に実現するためにアンケートやクーポンに頼らなければならないというのが現状です。どのページが支持されているのかを見たり、クーポンへのアクセス数を見たり、行動するための地図へのアクセス数を見るなど、今後検討していかなければならない課題だと思っています。現在のUrchinのライセンスの範囲内でUTM(Urchin Tracking Module:クッキーを利用してより正確な訪問者を調べる機能)を使えるので、新規ユーザーと既存ユーザーを調べるとか、ユニークユーザー数を正確に取っていくということがコストを増やさずにできます。Urchinを使い始めてまだ数か月なので、これからどんどん使いこなしていきたいですね」

図4 「人気のあるページ」レポート画面。閲覧数の多いページがわかる。また、何の検索語からページにたどり着いたのかもわかるので、ユーザーのニーズやSEOの参考にもなる(注:サンプルサイトの画像です)。

今後は何をするにしてもウェブの知識が必要

秋元氏は元々、学生時代には都市計画を専門に勉強しており、ウェブの知識のないところから勉強してウェブ担当者となったという。自身の経験からサイト作りを通じて、何を感じたのだろうか。

「システムや制作の部分をすべて外注会社に任せてしまうということは、よくあることだと思います。しかし、その中でも役に立つのは、やはり知識なんですよね。たとえば私はHTML書く機会はほとんどありませんが、HTMLがわかっていないと、外注会社が困るような指示を出しかねません。紙であれば写真を自由な場所に置くことができますが、ウェブでは実現しにくいレイアウトってあるじゃないですか。外注会社にとって大変な部分を理解していないと“一緒に作っていく”ということはできません。そういった知識を勉強して、理解したうえで指示できたから今回のリニューアルは成功したし、コストも安く抑えることができたのだと思います。今後、何をするにもウェブの知識は必要となってくる時代なので、いい経験をさせてもらっていると考えています」

「地域ポータルとして成功されているウェブはあまりないのが現状ですが、SALUSのウェブは沿線情報や沿線ポータルとしての役割に挑戦していきたいと思います。『SALUSのある東急沿線っていいよね』とお客様に思っていただいて、東急沿線に住んでいることに誇りを感じていただけるようにSALUSというソフトを作ることで、街づくりに貢献していきたいですね」

東京急行電鉄の選んだアクセス解析

ウェブ広告分析やSEO対策も行え、
サイトの規模や目的に応じて選べる

Urchin(株式会社プロトン)
http://www.proton.co.jp/products/urchin/

Urchinの最大の特徴は、サーバーインストール型のアクセス解析ツールでありながら、高速なレポート作成が行える点だ。独自のリバースDNSシステムを開発し、大容量のログファイルであっても短時間でログ解析が行える。日付の切り替えもワンクリックで行え、任意の期間で再集計しても素早く結果を表示できる。また、低コストでもあるため、中小規模から大規模なサイトまでの導入実績を持つアクセス解析ツールである。

現在の開発元はあのGoogleである(2005年3月に開発元のUrchin社をGoogleが買収)。無料の高機能アクセス解析ツールとしてGoogle Analyticsが注目を集めているが、そのサーバーインストール型&サポート付きと言えるのがUrchinだ。今後のさらなる機能強化も期待できる。

閲覧経路はドリルダウン形式のレポートになっており、経路の追跡をクリックするだけで確認できる。人気のあるページはもちろん、サイトの入り口となったページやサイトを出ていったページの順位、訪問者経路の順位、訪問時間の長さなどのさまざまなレポートを出力でき、マーケティングにも役立てることができる。

また、クッキーを利用した独自開発のアクセス解析機能「UTM」(Urchin Tracking Module)を利用すれば、ユニークな訪問者を正確にカウントできる。プロバイダーを利用しているユーザーはIPアドレスが変わる可能性があり、また企業などからのユーザーは同一のIPアドレスを複数のユーザーで利用するため、ユニークユーザーの特定が難しい。UTMを使うとそのユーザーが何回目の訪問でどのようなサイト内行動をとっているか把握できる。

価格は、基本機能を持つ「Urchin V5.7」が26万400円で、1台のマシンにインストールして、100プロファイルまで作成できる。そのほか、EC関連の機能を持つ「ECパッケージ」(45万9900円)と広告機能を持つ「Suiteパッケージ」(123万4800円)もある。
2006年9月からは、有償のトレーニングサービスを開始しており、基本操作からEC/CTM(Campaign Tracking Module)機能の使い方まで2つのコースに分けて幅広く学ぶことができる。ウェブサイトで参加の申し込みを受け付けている。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.2』掲載の記事です。

※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時(2006年9月)のものです。

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