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SEO都市伝説(後編) - 競合のスパム報告/サイト年齢

SEOのアドバイスには、納得できないものや論理的欠陥があるものもたくさんある。

この記事は前後編の2回に分けてお届けしている。ランドが同意できないという5つのSEOアドバイスのうち、前回は3つを紹介した。後編となる今回はそれに続いて、残りの2つを見てみよう。

この記事で紹介する5つのSEO都市伝説
  1. 成功するSEOコピーライティングとは、キーワードとコンテンツ構造である(前編で紹介)
  2. 他サイトとリンク交換するべからず(前編で紹介)
  3. 見出し(h1要素)はtitle要素と別なものに書き換えるべし(前編で紹介)
  4. 競合相手のスパム行為を通報するべからず
  5. サイト年齢は順位獲得能力を示すものである

×4. 競合相手のスパム行為を通報するべからず

競合相手が検索エンジンのガイドラインに違反する戦術を用いている場合でも、それを違反行為として報告するべきではない、という主張が数多くなされている。業界の中には、これをモラルまたは倫理の問題にしたがっている人もいる(言い換えるなら、SEO屋になることによって交わされる「泥棒たちの協定」は遵守しなければならない、ということ)。

しかし、あるSEO業者が検索エンジンに競合相手の操作的戦術を通報していないかどうかを確かめる方法はないので、そうした通報行為によって成功を手に入れること対して誰よりも声高に反対している連中が、実はいちばん多く通報しているということも大いにありうる。「通報禁止」協定厳守を主張しながら裏でこっそり仲間を密告するSEO業者がいても、そうした行為をやめさせる手だては皆無だ。

こうした事例を見てくると、1つの方向性がはっきりしてくる。それは、違反を通報しても口外するなということだ。少なくとも大っぴらに言いふらすべきではない。SEOコミュニティで強硬な連中は、この「沈黙協定」を破る人々を見せしめにすること(さらに仲間はずれにしたり恥をかかせたりするること)に全力を注ぐ。しかし、現実的な観点からすると、自分のサイトやページがより公平な環境で競争できるように(ホワイトハットの立場からすれば、不正行為に手を染めている連中と競ってもつまらない)、検索エンジンに違反を通報することは、自分のビジネスにとってやはり価値があるかもしれない。

僕が出会った優秀なSEO業者の大多数は、自分たちのサイトがひっきりなしに違反を通報されていると想定した上で、100%ホワイトハットの戦術か、検索エンジンからまず発見されないと自信のある戦術に限って実践している(僕が思うに、前者の戦術のほうがはるかに筋が通っている)。

業界にいる大勢の友人たちと話をしてみると、違反通報に賛成する意見が多いように思える。

  • 競合相手を排除することによって検索順位を上げられるかもしれない。

  • ごく少ない時間/コストでできる活動であり、貴重な学習体験となることも多い(スパム通報に反対する人たちでさえ、ブラックハットやグレーハットの戦術を実際に使っているサイトを調査してそこから学ぶことについては、強く支持している)。

  • 検索エンジンから見て、信頼度が向上する可能性がある(ただし、自分自身がが100%潔白な場合のみ)。

  • 報告した違反行為がインデックスの広範囲に入り込んでいるかもしれない。その場合、通報によって複数の違反サイトがインデックスから排除されるので、全体的に空きが生じ、その文だけ自サイトの順位が繰り上がる。

  • どういう戦術を通報したときに、すぐにペナルティを受けるか、遅れて影響が出るか、それともまったく反応がないかを観察することによって、各検索エンジンがどの戦術をどのくらい大目に見てくれるかどうかについて理解を深めることができる。

  • 通報によって、全ユーザーにとって検索エンジンの検索結果が向上する可能性があり、結果としてウェブ全体の価値が高まる。

それから、否定的な意見も少しある。

  • 自分自身が何らかの違反行為を行っている(あるいは知らずにその恩恵を受けている)と、意図せず自サイトの検索順位を下げてしまうことがある。

  • 違反通報が知り合いのSEO業者(グレーハットやブラックハットの戦術を用いているのかもしれないにせよ)に悪影響を及ぼす可能性があり、したがって職業倫理に反する。

倫理を根拠にした反対意見には確かに強い説得力があるし、SEOmozも自分たちの倫理観と価値観を大いに誇りにしているので、僕はこのテーマをざっと調べておくべきだろうと考えた。そこで、サンタクララ大学のマークラ応用倫理学センターが行った倫理に関するすばらしい研究を調べてみた。

今回のテーマに関して特に読む価値があると感じたのは、「倫理とは何か?(What is Ethics)」と「公共部門における不正告発(Whistle Blowing in the Public Sector)」という2つの記事だ。これを読んでわかったことを大まかに言うと、こんなところだ。

もし君が検索エンジンのことを、ウェブやユーザーにとっての最大の利益など念頭にない抑圧的な存在(あるいは抑圧的になり得る存在)だと思っているなら、その要請に応えて違反者を罰する手助けをするのは倫理上問題がある。

同様に、もしスパム行為を行ったり検索エンジンのインデックスを操作したりする連中がウェブの有用性を損ねていると君が感じているなら、沈黙を守ることはやはり倫理上問題となる。

理にかなわない法律を破ったという理由で違反者を告発する(あるいは彼らを堕落した抑圧的な体制に引き渡す)行為と同じように、状況に対する倫理的判断というものは、検索エンジンやそのガイドラインに違反する人々に対する見方によって大きく変わってくるものだ。

×5. サイト年齢は順位獲得能力を示すものである

これは、相関データの価値に関して、かなり気がかりな部分だ。サイトの歴史が長いほど高い順位を獲得する傾向があるのは確かなようだが、僕個人としては、検索エンジンが「サイト年齢」指標や、あるいは「リンク年齢」指標まで使って順位を上昇させるなんてことはないと思っている。

古いサイトの方が常に順位が高いのか?

「サイト年齢」や「リンク年齢」に対する肯定的な主張は、検索エンジンの技術者がサイト年齢を質の高さを示すものと考えているという発想に基づいている。リンクやコンテンツの時間的特質を分析することは確かに価値があるかもしれないが、サイトの古さと検索結果やユーザー体験の質との間に例外なく相関関係が成り立つとは考え難い(成り立つ場合が多いとも思えない)。サイト年齢がある程度順位に影響を及ぼすような状況があるかもしれないし、信頼度やスパムを分析する際に役立つ可能性もあるが、だからといって必ずしも、サイトの総合的な品質を判断する上で有利に働く指標になるわけではない。

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