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ベルメゾンの利用客にDM送付で新規ユーザー獲得を支援、千趣会とFIDが連携

8 years 4ヶ月 ago

千趣会とECシステムの開発を手がけるFIDは5月8日、千趣会の法人向けのダイレクトメール(DM)発送サービス「ベルメゾンダイレクトメールプロモーション」を活用し、DMの効果測定や追加発送を自動で行える新サービスを開始した。

DMを使ってカゴ落ちユーザーにリマインドするなど、売上拡大につながるマーケティング施策を実現。活用するEC企業の新規顧客獲得を支援する。

FIDのマーケティングオートメーションツール「MOTENASU(モテナス)」と「ベルメゾンダイレクトメールプロモーション」を提携してサービスを構築した。

FIDと千趣会が連携、法人向けのダイレクトメール(DM)発送サービス「ベルメゾンダイレクトメールプロモーション」を活用し、DMの効果測定や追加発送を自動で行える新サービスをスタート

新サービスのフロー

「ベルメゾンダイレクトメールプロモーション」は、千趣会の通販「ベルメゾン」を利用する約1500万人の顧客基盤を活用したDM送付サービス。クライアントの希望に合わせて、年齢や性別などの条件で送付先をセグメントできる。

「MOTENASU」と連携した新サービスでは、DMに顧客専用のQRコードを印刷する。QRコードにアクセスしたユーザーのウェブサイトの滞在時間、ページ遷移、ECサイトのカゴ落ちといった行動を追跡。マーケティングシナリオを組むことで、DMの追加発送などを自動化する。

千趣会の法人事業部広告チームは、新サービスについて次のようにコメントしている。

DM送付の媒体を提供するだけではなく、DMの効果測定から追加配送まで全自動で行えるようになった

FIDはリピート通販専用カート「侍カート」を提供している。近年はマーケティングオートメーションツールの開発にも力を入れており、オンラインとオフラインを活用した「オンオフ融合マーケティング」を提唱している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

Amazonにない自社ECの強みとは?/2017年版・ネット通販市場 調査データ【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

8 years 4ヶ月 ago

2018年4月20日~2018年5月10日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?

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    ネット通販で生き残って行くには、主導権を持つことが大切です

    2018/5/10
  2. 【2017年】ネット通販市場は16.5兆円、EC化率は5.79%、スマホEC市場は3兆円

    国内のEC市場について、「物販系BtoC-EC事業者が二極化(売上を伸ばしている事業者と停滞している事業者)」していると指摘している

    2018/4/25
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    2018/5/7
  4. ゴールデンウィークは「洗車」「車中泊」「バーベキュー」に商機あり! Yahoo!の検索キーワードに見る商品需要

    ヤフーの検索データから見るGWの消費トレンド(連載第11回)

    2018/4/23
  5. 1位「Amazon」、2位「楽天市場」、3位「Yahoo!」――ブランド力が高いECサイト

    「ブランド・ジャパン2018」における「EC・通信販売」の上位20ブランドは?

    2018/4/20
  6. 『えんとつ町のプペル』はなぜ売れたのか? キングコング西野亮廣が語る“お金”と“広告”

    日本eコマース学会の第1回シンポジウム基調講演で、お笑い芸人キングコング西野氏が絵本ヒットの戦略を語った

    2018/5/7
  7. 注目株のファッションEC「fifth」(フィフス)が急成長、5年で80万人の会員突破

    Instagramでインフルエンサーマーケティングを行い会員増につなげた

    2018/4/23
  8. フォントに興味がない人にも知ってほしい、世にも奥深い「フォントの世界」

    サイトや広告のクリエイティブに欠かせないフォントについてもっと知ろう! Adobe「フォントの日」記念イベントレポート

    2018/4/24
  9. 楽天と西友のタッグが始動、「楽天ダイレクト」で西友のPBを販売

    「爽快ドラッグ本店」「ケンコーコム楽天市場店」などで、西友のPB商品約380品目を販売

    2018/4/24
  10. 大塚家具がAmazonでの販売をスタート、EC事業強化の一環

    シーツやピローケース、ソファ、マットレスなど約130品目をAmazonで販売

    2018/5/9

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    uchiya-m

    EC荷物を料金一律&全国のファミマ店舗で受け取れる「コンビニ受取サービス(コトリ)」をスクロール360が開始

    8 years 4ヶ月 ago

    スクロール360は5月9日、通販・EC事業向けの物流代行サービスとして、消費者がECサイトで購入した商品を全国のファミリーマートで受け取ることができる「コンビニ受取サービス(コトリ)」を開始した。

    EC事業者は「コトリ」を利用することで、コンビニ店頭での受け取りサービスを顧客に提供できる。

    配送費用は全国一律450円。荷物の大きさは100サイズまで。コンビニ店頭で商品代金を支払うことも可能で、代引き手数料は一律200円。

    ファミリーマートの店舗数は3月末時点で1万5875店舗。

    「コトリ」の商品配送フローは以下の通り。

    1. 消費者が商品を注文、通販事業者からスクロール360の物流センターへ商品を出荷 (スクロール360の物流センターへの配送料金は別途必要)
    2. スクロール360の物流センターからファミリーマート各店舗へ商品を配送
    3. 店舗に商品が到着したことを消費者にメールで通知
    4. 消費者が店頭で商品を受け取る

    スクロール360が提供する全国のファミリーマートで受け取ることができる「コンビニ受取サービス(コトリ)」「コンビニ受取サービス(コトリ)」のサービスフロー

    コンビニでの商品保管期間は、商品が店舗に到着してから1週間。 保管期間を過ぎた商品はスクロール360の物流センターを経由して通販事業者へ返送する。

    スクロール360は「コトリ」の提供を通じ、宅配業界における人材不足や再配達問題の解決をめざすとともに、今後も消費者や通販事業者にとって便利なサービスを提供するとしている。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    [越境ECまとめ]最も購入されるサイトはAmazon。日本から米中向け市場は約2兆円

    8 years 4ヶ月 ago

    世界の越境ECで最も多く利用されているECサイトは「Amazon」、主要10か国の越境EC利用者数は約1億8200万人――。

    経済産業省が2018年4月にまとめた「電子商取引に関する市場調査」から、最新の越境EC市場の動向を読み解く。

    越境ECにおける購入先事業者の1位はAmazon

    世界31市場で越境ECを行ったネットユーザー(2万8892人)が、購入先として利用したEC事業者の1位は「Amazon」(25%)だった。

    2位以下は「eBay」(18%)、「Alibaba/AliExpress」(14%)、「Wish.com」(8%)、「Zalado」(2%)、「Apple」(1%)、「Asos」(1%)。「Other(その他)」は31%。

    越境ECを行う場合の購入先事業者(世界31市場対象)経済産業省の調査

    越境ECを行う場合の購入先事業者(世界31市場対象)

    中国の越境EC利用者は7000万人

    2015年における国別の越境EC利用者数は、中国が7000 万人でトップ。2位は米国(3400万人)、3位は英国(1400万人)、4位はドイツとフランス(1200万人)。

    5位以下はカナダ(1100万人)、韓国(1000万人)、日本(900万人)、イタリア(600万人)、オランダ(400万人)となっている。上位10か国の合計は1億8200万人。

    主要国の越境EC利用者数(2015年)経済産業省の調査

    主要国の越境EC利用者数(2015年)(単位:万人)

    世界の越境EC市場規模は2020年に109兆円

    2017年の世界の越境EC市場規模は、前年比32.5%増の5300億米ドルだった。1ドル=110円換算で約58兆円。

    2020年まで20%以上の成長率が見込まれており、2020年の市場規模は9940億米ドル(約109兆円)になる見通し。

    世界の越境EC市場規模(単位:億米ドル)経済産業省の調査

    世界の越境EC市場規模(単位:億米ドル)

    国別市場規模は米国と中国が圧倒的

    国別の消費国としての越境EC市場規模(BtoC、2015年時点)は、米国が400億米ドル、中国は390億米ドルで他国を大きく引き離している。3位以下は英国(120億米ドル)、ドイツ(90億米ドル)、カナダ(70億米ドル)、フランス(40億米ドル)と続いた。

    主要国のBtoC越境EC市場規模(2015年)(単位:億米ドル)経済産業省調査

    主要国のBtoC越境EC市場規模(2015年)(単位:億米ドル)

    日本から米国と中国向けに販売する越境ECの市場規模は、2017年時点で合計2兆106億円。米国が7128億円、中国は1兆2978億円。

    日本・中国・米国の越境EC市場規模(2017年)

    越境EC市場規模(2017年)

    2021年には日本からの購入額が2か国合計で4兆412億円に達すると推計されている。

    越境ECポテンシャル推計値(2017年時算出)経済産業省の調査

    越境ECポテンシャル推計値(2017年時算出)

    「電子商取引に関する市場調査」は各種調査機関が公表した調査データや文献、事業者へのヒヤリング結果などを経済産業省がまとめたもの。国内EC市場規模やEC化率などの数値を毎年公表している。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    コンセプトダイアグラムとは

    8 years 4ヶ月 ago
    コンセプトダイアグラムは、 顧客の心理・態度の変化と、その変化を促す企業の施策を図解し、顧客理解と施策評価につなげるフレームワーク です。 顧客が企業の想定どおりに直線的に行動することを表す図ではありません。顧客についての仮説、チーム内の認識、企業が提供している施策、検証に使うデータを一枚につなぎ、何が分かっていて何が未検証なのかを明らかにします。

    2018年4月公開の小川の記事3本(執筆2本&登場1本)

    8 years 4ヶ月 ago
    こんにちは。秘書です。 2018年4月に小川が執筆した記事や、小川が登場した記事をご紹介いたします。 ~ラインナップ~ 週刊はてなブログ:ブログを最後まで読んでもらい、さらに回遊してもらうための5つのTIPS【小川卓のブログ分析入門 最終回】 KOBITブログ:「Google アナリティクスの「データ保持」期間が設定可能に。デフォルト期間が26か月になっているため確認・変更を行いましょう 」 MarkeZine:「サイト改善のPDCAが回らない4つの理由と解決策」 (※順不同) それではお楽しみください!

    WPPマーティン・ソレルCEOの辞任 コングロマリット経営の成り立ちとこれから<前編>

    8 years 4ヶ月 ago

    この話題もベムで触れない訳にはいかないだろう。読者の皆さんお待たせしました(笑)。なんとも謎だらけのままWPPのSir Martin Sorrell (73歳)がCEOを辞任するという、筆者個人としては残念なアナウンスが4月14日の週末土曜日に業界を駆け巡った。

     このソレル氏の辞任に対する現在までの状況のおさらいと、WPPやOmnicom、等の「コングロマリット」としての意外な成り立ちについて紹介しつつ、今後の広告やマーケティング・コングロマリット行き先に触れてみたい。これらをまとめて語れるのも業界ベムならでは、の特集だ。

    ■ソレル氏のAmazon級の成長軌跡
     ソレル氏は1975年に英国の「Saatchi and Saatchi」社の初のファイナンシャル・ディレクターに就任し、その後独立して「Wire and Plastic Products(WPP)」という買い物かごの企業を1985年に買収することで広告事業の器とした。「買い物かご」だった企業が「企業の買収かご」の企業へと変身を遂げた瞬間である。

     それから32年後の現在WPPは総従業員数20万人、世界112カ国にオフィスを持ち、企業価値2.2兆円(200億ドル:150億ポンド)にまで成長した。Revenueの年平均成長率(CAGR)は何と29%である。これはAmazon級の成果で、初年度の売上を1として毎年前年比29%伸ばせば、ソレル氏の在任期間の32年で2,680倍の売上を作ったことになる(図1)。



    ■謎のままの、ソレル氏辞任の「理由」
     報道の通り、辞任の発端はWPPがソレル氏に対して「personal misconduct(個人の不適切行為)」「misuse of assets(WPP資産に対する不適切利用)」「financial impropriety(財務に関する不適切)」に対する内部監査を行った結果とされている。しかもその調査の結果は一切物質的な事象は何も公表もされないまま、ソレル氏自身に対しても「一切悪い行動はナシ」と判定され、調査は終了している。解任ではなく辞任であり、対応方法としては「引退」として、その後のストックオプションや残りの5年分の報酬なども支払いは継続される。ソレル氏のPR会社を通じたコメントは「自分の辞任がWPPにとって、取り得る最高の道」とした。

     まずはCEOを辞任に追いやる圧力となりうるのは株主と考えるのが妥当だろう。ところがWPPの大株主の上位は、ほとんどが米国系のファンドと一部の欧州系のファンドで構成されている。これらの株主であるファンドは全て「ソレル氏のファン」で構成されており、「ソレルCEOだからこそ保有していた」銘柄であったはず。よって株主からの単なる不信任によるCEO降ろしというシナリオは考えづらい。

     あるいは、日本で起こったセブン&アイの鈴木(前)CEOの辞任や、三越伊勢丹の大西(前)CEOのような経営陣の「内乱」であれば、その反対派が交代のCEOを立てるが、WPPは事実上CEO不在のままだ。現在の取締役議長が暫定CEOに「スライド」し、準備不足な役員2名が共同COOとしてスライド就任している。この状況から鑑みても、CEO継承プランがないままの突然の辞任であり、まるでソレル氏が事故にでも遭遇したような、緊急対応の様相だ。

     昨年、日本の電通(前)CEO石井氏が労働環境に対する責任を取って辞任をした際には、現山本CEOという後任がすでに予定されていたことと比べても、今回のWPPの一件は異次元の状態である。現在WPP「外部の」英国系の人材がスカウトの中心として名前が上げられている。

     ソレル氏への報酬が2015年には約110億円(1.07億ドル)に達し、それに関係した非難と推測した報道もあるが、ソレル氏は、特にWPPの企業としての財務行動に関しては自分の報酬の取り決めを含め単独(個人)では動けない(監査会社や、弁護士会社、PR会社を経由した行動を取る)はずで、秘密裏に何か不祥事を起こしたとは考えにくい。

     それでも「辞任」が、「最高の手段」であるためには、辞任と引き換えに何かがチャラになる、という事だ。憶測にすぎないが、ヒントは暫定CEOが財務発表時に述べた「a matter of privacy(個人のプライバシー)」の表現だ。「ソレル氏にとっての「非常に個人的な事」なので、調査結果の公開を控える」というセリフだ。法的な不正はWPP的にもソレル氏的にもあり得なく、それ以外のイエローカードが存在したという事だろう。この続きに興味のある方は、ニューヨークの榮枝に直接聞いてもらいたい。

     いずれにしてもソレル氏は人的ネットワークも資金も潤沢に(!)保有されているので、32年前とは格段に違うエンジェル投資家としてやファンドとして再び活躍することも出来るだろうし、その方が新しいポートフォリオを作る近道と思えば個人的な道は広がるだろう。余談トリビアだがソレル氏は2005年の離婚では当時の英国史上最高額の財産分与を行い(株式売却分約67.5億円:4500万ポンド)、その後ダボス会議主催者のメディア・ディレクターと再婚し、2016年に女の子を授かっている。前妻との3人の息子はすでに40歳代前後で、全て金融業界で指揮をとる人材として自立している。ソレル氏の誕生日はバレンタインデー(2月14日)であり、本人の誇り(欧米では男性が女性に尽くす日)であるのは筆者が個人的に聞いた事がある。

    ■WPPが失った「ソレル・プレミアム」

     むしろ結果的に追い出した側のWPP社は、いわば「ソレル・プレミアム」を失った。この1年ほどで株価はすでに30%ダウンの傾向にあり、辞任発表後の週明けはさらに9%ほどのダウン。ところがその翌週にWPPの第1四半期の発表が予定通り開催され、ソレル氏抜きの初の財務発表会だったのだが、「予想より良かった」事で9%ダウン分を戻している。この復活発表はソレル氏が自身で発表したかった事だろう。

     今後のWPPは「ソレル・プレミアム」がなくなった割安感が継続するならば、Omnicom等の投資集団から受ける買収のリスクが高まる。あるいは利益を出している広告会社やPR会社、調査会社が単体で切り売りされる可能性もささやかれている。

     日本でも既に電通がWPP系列エージェンシーとの合弁であった「電通ワンダーマン」と「電通ヤング・アンド・ルビカム」の株を買い取って電通自社名に吸収し、完全にWPPとのネジレを精算した報道がされている。英語メディアでは逆の目線で上記の電通とのJVの「アジアの支社」をWPPが買い取った、という報道になっている。

     これも余談だが、ADKがベインと組んだ「脱WPP作戦」は「脱ソレル作戦」と言えるが、まさかWPPからソレル卿が居なくなることは想定していなかった作戦だった。ADKの施策に口出しがうるさいソレル氏が居なくなるのであれば、ADKは急いでベインと駆け落ちしてまで「WPPの持つグローバルリーチ」を手放す事も無かったのではないか、という後出しの考えが働く。

    ■コングロマリットが「所有」し「束ねる」価値は何か、切り売り分解した方が企業価値は高まる?

     さらに市場の分析では、WPPの現在の株価を元にしたWPPの企業価値が150億ポンド(2.2兆円)だが、現在傘下の企業や株を売れば、220億ポンド(3.3兆円)になりえるだろう、という予測がある。これはアクティビストを含む、今やコングロマリットは切り刻んだ方が資本効率はあがる、といういつもの理論が登場している。集団よりも分離した方が価値が上がるのならば、コングロマリットの形態の価値に非常に疑問が出てくる。

     この流れで具体的にWPPの傘下企業、投資株を売ればどうなるかの噂話が耐えない。WPP傘下の大きい企業での放出例が「調査・データ会社のKantar」、その次に「VICE株」「AppNexus株」等への投資解消の話がある。

     Kantarならば、例えばKantar自身がMBOを通じて独立するとか、あるいはデータ競合企業の「Nielsen」が買収するならば、35億ポンド(5,250億円)と見積もられ、WPPの現在の負債量51億ポンド(7,650億円)の 多くを返済できる。

     さらに「WPP Digital」は精鋭のテック企業の多くに投資しているがコンテンツ企業の「VICE」やアドテクの「AppNexus」の名前も上がっている。AppNexusはIPO前だが、推定20億ドル、WPPは15%保有しているので、ざっくり300億円強の価値がある。これらのエクイティー投資を合算すると帳簿上は25億ポンド(3,750億円)だが、今の株高で売れば60億ポンド(9,000億円)に相当すると言われている。すでに株式市場はリーマン・ショック直前をはるかに上回る市場価値を形成している。ソレル氏が作った価値を「売るなら今」という理論は十二分に納得できる。

     後半は、そんな株式市場の景気(株高の時に売り払う)がコングロマリットの成長と無縁では無かった話を紹介する。何と日本の89年バブルが関係している。


    ベム

    WPPマーティン・ソレルCEOの辞任 コングロマリット経営の成り立ちとこれから<前編>

    8 years 4ヶ月 ago

    この話題もベムで触れない訳にはいかないだろう。読者の皆さんお待たせしました(笑)。なんとも謎だらけのままWPPのSir Martin Sorrell (73歳)がCEOを辞任するという、筆者個人としては残念なアナウンスが4月14日の週末土曜日に業界を駆け巡った。

     このソレル氏の辞任に対する現在までの状況のおさらいと、WPPやOmnicom、等の「コングロマリット」としての意外な成り立ちについて紹介しつつ、今後の広告やマーケティング・コングロマリット行き先に触れてみたい。これらをまとめて語れるのも業界ベムならでは、の特集だ。

    ■ソレル氏のAmazon級の成長軌跡
     ソレル氏は1975年に英国の「Saatchi and Saatchi」社の初のファイナンシャル・ディレクターに就任し、その後独立して「Wire and Plastic Products(WPP)」という買い物かごの企業を1985年に買収することで広告事業の器とした。「買い物かご」だった企業が「企業の買収かご」の企業へと変身を遂げた瞬間である。

     それから32年後の現在WPPは総従業員数20万人、世界112カ国にオフィスを持ち、企業価値2.2兆円(200億ドル:150億ポンド)にまで成長した。Revenueの年平均成長率(CAGR)は何と29%である。これはAmazon級の成果で、初年度の売上を1として毎年前年比29%伸ばせば、ソレル氏の在任期間の32年で2,680倍の売上を作ったことになる(図1)。

    sorrel2.jpg

    ■謎のままの、ソレル氏辞任の「理由」
     報道の通り、辞任の発端はWPPがソレル氏に対して「personal misconduct(個人の不適切行為)」「misuse of assets(WPP資産に対する不適切利用)」「financial impropriety(財務に関する不適切)」に対する内部監査を行った結果とされている。しかもその調査の結果は一切物質的な事象は何も公表もされないまま、ソレル氏自身に対しても「一切悪い行動はナシ」と判定され、調査は終了している。解任ではなく辞任であり、対応方法としては「引退」として、その後のストックオプションや残りの5年分の報酬なども支払いは継続される。ソレル氏のPR会社を通じたコメントは「自分の辞任がWPPにとって、取り得る最高の道」とした。

     まずはCEOを辞任に追いやる圧力となりうるのは株主と考えるのが妥当だろう。ところがWPPの大株主の上位は、ほとんどが米国系のファンドと一部の欧州系のファンドで構成されている。これらの株主であるファンドは全て「ソレル氏のファン」で構成されており、「ソレルCEOだからこそ保有していた」銘柄であったはず。よって株主からの単なる不信任によるCEO降ろしというシナリオは考えづらい。

     あるいは、日本で起こったセブン&アイの鈴木(前)CEOの辞任や、三越伊勢丹の大西(前)CEOのような経営陣の「内乱」であれば、その反対派が交代のCEOを立てるが、WPPは事実上CEO不在のままだ。現在の取締役議長が暫定CEOに「スライド」し、準備不足な役員2名が共同COOとしてスライド就任している。この状況から鑑みても、CEO継承プランがないままの突然の辞任であり、まるでソレル氏が事故にでも遭遇したような、緊急対応の様相だ。

     昨年、日本の電通(前)CEO石井氏が労働環境に対する責任を取って辞任をした際には、現山本CEOという後任がすでに予定されていたことと比べても、今回のWPPの一件は異次元の状態である。現在WPP「外部の」英国系の人材がスカウトの中心として名前が上げられている。

     ソレル氏への報酬が2015年には約110億円(1.07億ドル)に達し、それに関係した非難と推測した報道もあるが、ソレル氏は、特にWPPの企業としての財務行動に関しては自分の報酬の取り決めを含め単独(個人)では動けない(監査会社や、弁護士会社、PR会社を経由した行動を取る)はずで、秘密裏に何か不祥事を起こしたとは考えにくい。

     それでも「辞任」が、「最高の手段」であるためには、辞任と引き換えに何かがチャラになる、という事だ。憶測にすぎないが、ヒントは暫定CEOが財務発表時に述べた「a matter of privacy(個人のプライバシー)」の表現だ。「ソレル氏にとっての「非常に個人的な事」なので、調査結果の公開を控える」というセリフだ。法的な不正はWPP的にもソレル氏的にもあり得なく、それ以外のイエローカードが存在したという事だろう。この続きに興味のある方は、ニューヨークの榮枝に直接聞いてもらいたい。

     いずれにしてもソレル氏は人的ネットワークも資金も潤沢に(!)保有されているので、32年前とは格段に違うエンジェル投資家としてやファンドとして再び活躍することも出来るだろうし、その方が新しいポートフォリオを作る近道と思えば個人的な道は広がるだろう。余談トリビアだがソレル氏は2005年の離婚では当時の英国史上最高額の財産分与を行い(株式売却分約67.5億円:4500万ポンド)、その後ダボス会議主催者のメディア・ディレクターと再婚し、2016年に女の子を授かっている。前妻との3人の息子はすでに40歳代前後で、全て金融業界で指揮をとる人材として自立している。ソレル氏の誕生日はバレンタインデー(2月14日)であり、本人の誇り(欧米では男性が女性に尽くす日)であるのは筆者が個人的に聞いた事がある。

    ■WPPが失った「ソレル・プレミアム」

     むしろ結果的に追い出した側のWPP社は、いわば「ソレル・プレミアム」を失った。この1年ほどで株価はすでに30%ダウンの傾向にあり、辞任発表後の週明けはさらに9%ほどのダウン。ところがその翌週にWPPの第1四半期の発表が予定通り開催され、ソレル氏抜きの初の財務発表会だったのだが、「予想より良かった」事で9%ダウン分を戻している。この復活発表はソレル氏が自身で発表したかった事だろう。

     今後のWPPは「ソレル・プレミアム」がなくなった割安感が継続するならば、Omnicom等の投資集団から受ける買収のリスクが高まる。あるいは利益を出している広告会社やPR会社、調査会社が単体で切り売りされる可能性もささやかれている。

     日本でも既に電通がWPP系列エージェンシーとの合弁であった「電通ワンダーマン」と「電通ヤング・アンド・ルビカム」の株を買い取って電通自社名に吸収し、完全にWPPとのネジレを精算した報道がされている。英語メディアでは逆の目線で上記の電通とのJVの「アジアの支社」をWPPが買い取った、という報道になっている。

     これも余談だが、ADKがベインと組んだ「脱WPP作戦」は「脱ソレル作戦」と言えるが、まさかWPPからソレル卿が居なくなることは想定していなかった作戦だった。ADKの施策に口出しがうるさいソレル氏が居なくなるのであれば、ADKは急いでベインと駆け落ちしてまで「WPPの持つグローバルリーチ」を手放す事も無かったのではないか、という後出しの考えが働く。

    ■コングロマリットが「所有」し「束ねる」価値は何か、切り売り分解した方が企業価値は高まる?

     さらに市場の分析では、WPPの現在の株価を元にしたWPPの企業価値が150億ポンド(2.2兆円)だが、現在傘下の企業や株を売れば、220億ポンド(3.3兆円)になりえるだろう、という予測がある。これはアクティビストを含む、今やコングロマリットは切り刻んだ方が資本効率はあがる、といういつもの理論が登場している。集団よりも分離した方が価値が上がるのならば、コングロマリットの形態の価値に非常に疑問が出てくる。

     この流れで具体的にWPPの傘下企業、投資株を売ればどうなるかの噂話が耐えない。WPP傘下の大きい企業での放出例が「調査・データ会社のKantar」、その次に「VICE株」「AppNexus株」等への投資解消の話がある。

     Kantarならば、例えばKantar自身がMBOを通じて独立するとか、あるいはデータ競合企業の「Nielsen」が買収するならば、35億ポンド(5,250億円)と見積もられ、WPPの現在の負債量51億ポンド(7,650億円)の 多くを返済できる。

     さらに「WPP Digital」は精鋭のテック企業の多くに投資しているがコンテンツ企業の「VICE」やアドテクの「AppNexus」の名前も上がっている。AppNexusはIPO前だが、推定20億ドル、WPPは15%保有しているので、ざっくり300億円強の価値がある。これらのエクイティー投資を合算すると帳簿上は25億ポンド(3,750億円)だが、今の株高で売れば60億ポンド(9,000億円)に相当すると言われている。すでに株式市場はリーマン・ショック直前をはるかに上回る市場価値を形成している。ソレル氏が作った価値を「売るなら今」という理論は十二分に納得できる。

     後半は、そんな株式市場の景気(株高の時に売り払う)がコングロマリットの成長と無縁では無かった話を紹介する。何と日本の89年バブルが関係している。

    ユナイテッドアローズのEC売上は235億円で16.4%増(18/3期)、EC化率は3割めざす方針

    8 years 4ヶ月 ago

    アパレルブランドを展開するユナイテッドアローズの2018年3月期におけるEC売上高(単体)は、前期比16.4%増の235億2500万円だった。

    2017年4月に各ブランドサイトと「ユナイテッドアローズ オンラインストア」を統合。オンライン裾上げサービスなどEC関連のサービスを拡充したほか、ECの在庫を増やして販売機会損失を減らしたことなどで売り上げを伸ばした。

    単体売上高は1283億5600万円。EC比率は18.3%で、2017年3月期と比べて1.6ポイント上昇している。

    自社ECサイトと「ZOZOTOWN」でEC売上高の約8割を占めた。自社ECサイトの売上高は前期比34.9%増。自社ECサイトと「ZOZOTOWN」における客単価は同4.9%増、客数は13.5%増だった。

    2019年3月期のEC売上高計画は、前期比1.1%増の237億7900万円に設定している。

    長期目標は連結EC化率25~30%

    ユナイテッドアローズは2017年4月に公表した「UAグループ中期VISION」(2020年3月期を最終年度とする中期計画)において、「実店舗の強みを活かしたEC拡大」を打ち出した。

    2017年4月にブランドサイトとECサイトを統合。EC在庫の積み増しやSNSを活用した新規顧客の獲得、ECも踏まえた販売員の評価制度の見直しなどに取り組んでいる。

    長期的な目標として、連結売上高に占めるEC売上高の比率を25~30%に引き上げる方針。2017年3月期時点のEC化率は16.0%だった。

    実店舗に「RFID(電子タグ)」の導入も進めている。「グリーンレーベル リラクシング」や「コーエン」では棚卸し業務の時間が平均80時間から13時間に短縮できるなど生産性が向上したという。

    また、「RFID」を活用し、顧客が試着したものの購入に至らなかった商品を特定。購入しなかった理由を洗い出し、商品政策に反映させるとしている。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    森永乳業のECサイトでカード情報2.3万件が漏えいか。セキュリティコードも流出の恐れ

    8 years 4ヶ月 ago

    森永乳業は5月9日、健康食品のECサイト「健康食品通販サイト」から顧客のクレジットカード情報約2万3000件が流出した可能性があると発表した。セキュリティコードも漏えいした懸念も明らかにしている。

    5月9日現在、2017年1月10日~2018年4月24日の間にクレジットカードを使って商品を注文した約2万3000人分のカード情報が漏えいした可能性がある。

    流出の懸念があるのはカード番号、名義、有効期限、セキュリティコード。

    カード情報の漏えいの可能性がある「健康食品通販サイト」(画像は編集部がキャプチャ)

    2018年4月24日、カード会社からカード情報が不正に使用されるといった被害が生じているとの報告を受け、同日にクレジットカード決済を停止。

    第三者調査機関「Payment Card Forensics 株式会社」(PCF社)へ調査を依頼、4月25日から調査を始めた。5月末日までにPCF社から最終調査報告書を受領する予定。

    EC業界におけるセキュリティ対策について

    経済産業省主導の「クレジット取引セキュリティ対策協議会」(事務局は日本クレジット協会)は、2017年3月8日に公表した「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画-2017-」において、EC事業者に対して2018年3月までにカード情報の非保持化、もしくは「PCI DSS準拠」を求めていく方針を掲げた。

    カード情報の漏えいの頻度が高い非対面(EC)加盟店については原則として非保持化(保持する場合はPCI DSS準拠)を推進。EC加盟店におけるカード情報の非保持化を推進するため、PCI DSS準拠済みのPSP(決済代行会社)が提供するカード情報の非通過型(「リダイレクト(リンク)型」または「JavaScriptを使用した非通過型」)の決済システムの導入を促進するとしている。

    2018年6月1日に施行される「割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)」では、クレジットカードを取り扱うEC事業者などに対して、「クレジットカード情報の適切な管理」と「不正使用防止対策の実施」が義務付けられた。

    また、独立行政法人情報処理推進機構では不正アクセス対策についての資料をまとめており、「安全なウェブサイトの作り方」などを閲覧することができる。

    瀧川 正実

    ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

    通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

    瀧川 正実

    「Amazon Pay」は導入して当たり前の時代?「侍カート」が実現した標準実装のスゴさとオプション提供との違いとは

    8 years 4ヶ月 ago

    Amazon(アマゾン)が提供するオンライン決済サービス「Amazon Pay」の導入店舗の多くで、コンバージョンレート(CVR)やLTV(顧客生涯価値)が向上している。つまり、消費者にとって使いやすく、求められている決済方法だということ――。

    こうした状況や考えの下、FIDは定期購入ができるASPカート「侍カート」に「Amazon Pay」を標準実装した。カートなどのECプラットフォーム側では「Amazon Pay」は決済手段の1つとして、オプション提供するのが一般的。「侍カート」は標準化によって、ECサイトの開設と同時に「Amazon Pay」が利用できるようになる(Amazon側での審査は必要)。

    ECプラットフォーム側で「Amazon Pay」が標準実装されるのは日本初のケース。FIDは、Amazonのアカウント情報を使って他の自社ECサイトでネットショッピングができるようになる「Amazon Pay」の標準実装を通じて、「多くのECサイトの収益アップに役立てたい」と意気込む。「Amazon Pay」を導入する自社ECサイトの急拡大を予感させる今回の取り組みが実現した背景などについて取材した。 写真◎吉田 浩章

    「Amazon Pay」の標準実装とは何なのか?

    EC事業者が「Amazon Pay」を利用するには、「Amazon Pay」に対応したASPカートなどのECプラットフォーム、ECサイト構築パッケージなどを使う必要がある。かつ、ECプラットフォーム側ではオプションとしての提供が一般的であり、月額利用料などを徴収しているケースが多い。

    また、ECサイト構築パッケージを使うEC事業者であれば、「Amazon Pay」を導入するための開発が必要となり、追加コストや新たな手間などが発生する。

    今回、「侍カート」ではECサイト開設ステップの中に「Amazon Pay」を標準機能として組み込んだ。「Amazon Pay」の審査に申し込み、審査が通ればすぐに利用できる環境を整備している(既存顧客も同様)。

    実際には、「Amazon Pay」の審査を、「侍カート」のシステムアカウントを発行した段階で申し込むように開設ステップの流れの中に組み込んだ。審査を通過すれば、EC事業者は手間とコストをかけることなく「Amazon Pay」を利用できるようになる。日本では初めてのケースであり、グローバルで見ても初の標準実装で、「画期的な取り組み」との声があがっている。

    定期通販ECのすべてがここに 定期購入ができるEC構築ならショッピングカートASPの「侍カート」
    日本で初めて「Amazon Pay」を標準実装した「侍カート」は、「Amazon Pay」のCertified(認定) Partner。スモールスタート企業から、年商10億円を突破している企業まで対応する幅広いラインナップを用意している

    「侍カート」ではこれまで、「Amazon Pay」の利用には月額利用料金として5000円を導入企業から徴収していた。それを今回、標準機能として組み込むことで、「Amazon Pay」の利用料金を無料にし、決済手数料はAmazon側が定めている決済金額の4%(デジタル商材は4.5%、クレジットカード決済手数料込み)で提供する。

    ECプラットフォーム側で発生する「Amazon Pay」に関する開発コスト、運用コストを月額料金で回収および補塡(ほてん)していくモデルを捨て、まずは「侍カート」導入店舗の収益アップの達成につなげるという方針に転換したことを意味する。FIDはこう説明する。

    FIDは「侍カート」に「Amazon Pay」を標準実装することによって、「侍カート」を利用している販売事業者のビジネスの成長を加速させることをめざしている。消費者の満足度アップがEC事業者(クライアント)の満足につながっている。消費者が求めるサービスを導入するのは必然であり、消費者の満足度を向上させる方法を考えると「Amazon Pay」の導入は必須だと考えた。自社の収益も必要なのだが、それ以上にエンドユーザーのことを考えると、「Amazon Pay」を標準実装しない理由はなかった。(FIDの和田聖翔社長)

    株式会社FIDの和田聖翔社長
    株式会社FIDの和田聖翔社長。FIDは定期購入に特化したASPカート「侍カート」、MAツール「MOTENASU」の開発・提供会社で、ECサイト構築から集客支援、運営のアウトソーシングまでを手がける

    「侍カート」が惚れ込んだ「Amazon Pay」とは

    「Amazon Pay」は、Amazonアカウントに登録した情報を使い、Amazon以外の自社ECサイトなどでログインや決済を行えるようになるオンライン決済サービス。2015年のサービス開始から約3年で、利用ECサイト数は数千社に達している。アメリカ、イギリスやドイツなどでも展開しているが、日本の伸び率は他の国と比べて高く、自社ECサイトからの利用ニーズが急増しているという。

    「Amazon Pay」の利用イメージ

    「Amazon Pay」を導入したECサイトでは、その自社ECサイトを使う消費者に対して次のようなメリットを提供できる。

    • 「Amazon.co.jp」のID/パスワードひとつで買い物できる
    • 住所やクレジットカード情報の入力が不要
    • Amazonアカウントへのログインと注文確定の最短2クリックで決済が完了する

    そのため、「Amazon Pay」を導入したECサイトでは、①新規会員が獲得しやすくなる②CVRが向上しやすくなる③不正注文が防げるようになる④LTVが向上しやすくなる――といった効果を期待することができるという。

    新規会員獲得&CVR向上に役立つ

    Amazon Pay事業本部 井野川拓也事業本部長によると、あるクライアント企業では導入後に「購買率・新規顧客数がともに1.5倍になったと事例がある」と言う。初めて利用するECサイトでは、顧客情報の入力が必須。だが、「Amazon Pay」を導入しているECサイトであれば、その手間や時間を省くことができる。

    入力作業が面倒で買い物していなかった消費者が「Amazon Pay」の利用をきっかけに購入するようになったのではないか。情報入力が手間で買うことをやめてしまった消費者に対して、便利な買い物環境を与えることができていると思う。(井野川本部長)

    また、自社ECサイトへのAmazonのロゴ掲載、「Amazon Pay」が利用できる、といった表示の部分が安心感の提供となり、商品購入につながるケースが多いというEC事業者の声もあると井野川本部長は語る。

    「Amazon Pay」で商品を購入いただくと、マーケットプレイス保証の対象にもなる。それが購買の後押しになっている可能性がある。初めてのECサイトで購入するというのは、少なからず消費者の心理的ハードルが上がる。「Amazon Pay」がそこを少しでも払しょくできるといいと思う。(井野川本部長)

    井野川本部長が指摘したAmazonマーケットプレイス保証とは、Amazonマーケットプレイスでの購入時に、販売事業者と購入者の間でのトラブル時において、配送料を含めた購入総額のうち、最高30万円までAmazonが保証する制度のことで、「Amazon Pay」を利用した場合には、同等の保証対象となるというもの(一部対象外となる商品・サービスも有り)。

    Amazonの堅牢なセキュリティー環境

    「Amazon Pay」はAmazonがアカウントやカードの不正利用を24時間365日監視しているため、不正注文を防ぐ効果もある。「Amazon Pay」を導入したことでリスク管理のコストを削減し、不正注文の被害も減ったという事例もあるという。

    「Amazon Pay」はAmazonがグローバルで展開している不正検知システムを利用している。「Amazon Pay」は消費者とEC事業者の双方に安心感を提供できると考えている。(井野川本部長)

    LTVの向上が期待できる

    Amazonは日本で最も利用されているECサイトの1つ。そのため、Amazonアカウントに登録されているクレジットカード情報は、常にリフレッシュされ最新の状況になっているケースが多いと考えられる。

    そのため、「カードの期限切れといったリスクが少ない最新情報にアップデートされた状態になっているため、『Amazon Pay』がLTV向上を期待していただける1つのメリットになっていると思う」と井野川本部長は分析する。

    Amazon Pay事業本部 井野川拓也事業本部長
    Amazon Pay事業本部 井野川拓也事業本部長。「Amazon Pay」は2015年5月にリリースされ、3年間で数千社が導入する規模にまで広がっている

    「侍カート」利用店舗、「Amazon Pay」経由の受注件数&決済金額は大幅増加

    「侍カート」は定期購入に特化したECサイト構築のショッピングカートで、サンプル提供やお試し商品の購入から本購入へつなげていくツーステップマーケティングなど、定期購入に必要案作業を自動化することに集中した開発を行っているのが特徴。

    「Amazon Pay」は、定期購入などに活用できる「Auto Pay機能」(購入者が注文時に選択したクレジットカードを利用し、今後も支払いすることに同意すると、「自由に金額やタイミングを設定し、請求することが可能」「顧客へのサービス提供内容に応じて、頻度や金額などのカスタマイズが可能」というもの)を実装している。定期購入+追加購入にも対応できるため、「侍カート」との相性も良い。

    「侍カート」を利用しているある事業者では、「Amazon Pay」の導入月と直近月を比較したところ、受注件数、決済金額ともに増加。そして、「Amazon Pay」の利用率、決済金額もともに増えている。

    Amazon Pay導入月の受注件数&決済金額→2018年4月の受注件数&決済金額
    ある「侍カート」利用サイトにおける「Amazon Pay」導入月と2018年4月度の比較

    FIDの和田社長はこう言う。

    「Amazon Pay」の導入によってスムーズな買い物が可能となり、従来はカゴ落ちして購入に至っていなかった消費者が商品を購入している可能性がある。

    また、コンバージョンだけでなく、LTVの向上にも寄与している数値も出ている。LTVの向上は、クライアント企業が長く商売を続けていくためには必要不可欠な指標であり、「Amazon Pay」はそれに大きく貢献していると思う。

    自分自身、クレジットカード情報をいろんなサイトで入力するのは手間がかかると感じるし、不安を感じて入力したくないケースもある。「Amazon Pay」の便利さ、安心感がLTVの向上に一役買っているのだと感じている。(和田社長)

    ちなみに、FIDが参加したあるコンペで案件を獲得した際、発注企業から「当社はエンドユーザーの利便性などを考えると、Amazon Payを使わなければならない。だからFIDを選んだ」といった意見を言われたことがあるという。そのことを踏まえ、和田社長はこう語る。

    新規顧客を獲得できなければ、リピート購入にもつながらない。まずは消費者に商品を買ってもらう必要がある。それを達成するには決済手段のバリエーションを増やすことが1つの重要な要素。それは、顧客満足度の向上、そしてゆくゆくはLTVの向上にもつながる。(和田社長)

    株式会社FIDの和田聖翔社長 アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 井野川拓也事業本部長
    5月9日、通販ソリューション展内のFID出展ブースで行われた「Amazon Pay」とFIDのスペシャル対談で、「侍カート」による「Amazon Pay」標準実装が公表された。ネットショップ担当者フォーラム編集長の瀧川もモデレータとして参加

    今後の展望

    「Amazon Pay」を標準実装するECプラットフォームが増えれば、自然と「Amazon Pay」を導入するECサイトが増える。こうした流れが生まれてくると、「自社ECサイトでAmazon Payで決済するのが当たり前の時代になるかもしれない。

    FIDが踏み切った標準実装は、こうした可能性を秘めているという声が出ている。事実、和田社長は今回の標準実装を機に、「侍カート」のさらなる飛躍を見据える。

    開発者目線でのサービスの開発ではなく、消費者の声を聞いた上でこれからも開発を進めていきたい。たとえば、デジタルコンテンツや役務の分野。家賃の支払いなど定期的に支払いが発生するサービスに対して、今回のような仕組みが生かせる時代がやってくるはず。消費者が買い物・支払いがしやすい、よりよい社会作りを担っていきたい。(和田社長)

    井野川本部長も、Amazonの進化に応じて、「Amazon Pay」も変化対応していくと話す。たとえば、クラウドベースの音声認識サービス「Amazon Alexa」に日本語対応した「Amazon Echo」などのボイスコマース分野。

    現在、音声を通じて「Amazon プライム」対応商品を購入できる機能が搭載されている。それが、将来的にはさまざまな自社ECサイトの商品を、声を通じて探し、購入できるようになるかもしれない。井野川本部長はこう説明する。

    今後、ボイスコマースの分野を含めて、「Amazon Pay」はいろんな使い方が出てくるだろう。実際に欧米では「Alexa」で「Amazon Pay」を使った決済サービスがスタートしている。新しい分野にも積極的に取り組んで、お客さまの利便性向上に取り組んでいく。(井野川本部長)

    株式会社FIDの和田聖翔社長 アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 井野川拓也事業本部長
    「Amazon Pay」リリースから3年後の2018年5月。「Amazon Pay」は標準化という新たなステージに入った

    【関連リンク】

    瀧川 正実

    アマゾン化が進むネット通販が抱えるリスク、Amazonにはない自社ECの強みとは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    8 years 4ヶ月 ago

    オンラインで商品を販売する際、ネット上の巨大勢力Amazon(アマゾン)とパートナーシップを結ぶことはもはや避けられないでしょう。しかし、小売事業者は自社にしかない強みを保っておくことが必要です。

    年に1度の小売事業者の大規模カンファレンス「Shoptalk」がラスベガス開催された際、いつも通りMacy's(メイシーズ)やWalmart Inc.(ウォルマート)、Nordstrom(ノードストローム)といった巨大企業の話が出ました。しかし、今回みんなが話したがったのは、(驚くべきことに)アマゾンについてでした。

    小規模オンライン通販事業者から、伝統的な実店舗ブランドまで、みんなが同じ質問をしたのです。

    アマゾンがマーケットシェアを独占するなか、自社ECサイトでの販売に意味があるのか?

    他に類を見ないアマゾンの顧客数を利用して、アマゾンだけで販売した方が得策なのか?

    その答えは「両方とも正解」です。

    アマゾンに関しては、アマゾンを打ち負かすとか、アマゾンとパートナー組む、という単純な話ではすでになくなっています。最も確実なことは、ネット上で急速に成長しているアマゾン号に乗り込むと同時に、オンライン上での自社のアイデンティティを確立していくことです。なぜその中庸なやり方が最も確実な方法なのか、理由を解説します。

    アマゾンは諸刃の剣

    オンライン上の売り上げの43%を占めるアマゾンの影響を無視することは、実際は不可能です※1。今のアマゾンは15年前のウォルマートのようです。

    どこからでもアクセスでき、インターネットで商品を探すときに消費者が最初に訪れる場所となっています。規模の小さな小売事業者のみならず、卸売販売業者もアマゾンに参加したいと思うはずです。

    404
    ※1 米国ネット通販市場におけるアマゾンの売上比率(編注:編集部が過去記事をもとに追記)
    出典:インターネットリテイラー、ChannelAdvisor、Slice Intelligence、米国商務省
    ※市場シェアにはアマゾンが自社で販売した製品および、同社のマーケットプレイスで販売された製品が含まれる

    しかしながら、アマゾンと組むことで払わなければいけない代償があります。多くのアマゾン顧客はアマゾンへのロイヤルティが高く、アマゾンでしか買い物をしません。そのため、自社のブランディングをアマゾン内で行っても、ロイヤルティを高めることは難しいのです。また、アマゾンは小売事業者や商品に対して忠誠心などまったく持っていません

    ウォルマートと同様に、アマゾンは中間事業者です。パートナーシップを組めば、アマゾンのサイト内で販売できますが、販促用のプレミアムを得たり、バーチャルな陳列棚で良い場所が確保できたりする保証はありません。検索結果で4ページ目に表示されるような事態になったら、真剣に商品を探している消費者の目にしか止まらないでしょう。

    つまり、アマゾンにすべてを委ねると、小売事業者は多くのメリットを失います。ブランディングを行い、ストーリーを伝え、消費者と関係性を築いていくといった機会を失うのです。

    トイザらスが最も良い事例でしょう。2000年にトイザらスはアマゾンと10年間の独占契約をしました(編注:トイザらスの公式サイトをアマゾン内に開設し、玩具ジャンルで唯一販売業者となる契約内容だったという)。

    しかし、2004年には他のおもちゃ販売業者がアマゾンに大量参入してきました。トイザらスはアマゾンでの競争力を失っただけではなく、ECのオペレーションをアマゾンに頼っていたたため、オンライン上で自社のアイデンティティを築くことができませんでした。アマゾンで売り上げが落ち込んだとき、消費者がブランドとつながる別の場所がまったくなかったのです。

    このことが、トイザらスを襲った経営難の理由の1つになったとも言えるでしょう。トイザらスはかつて、大変尊敬されていたブランドでしたが、2018年には、古いやり方で失敗した犠牲者の1つになりました。

    自社サイトで販売するメリット

    アマゾンで販売すれば、露出も増え、ブランドを見つけてもらえる可能性が高くなりますが、思い出に残るカスタマーエクスペリエンスを提供することはできません。記憶に残るカスタマーエクスペリエンスこそが、顧客との長期にわたる関係を築いていくのです。

    消費者は、興味のある商品について多くの情報を求め、気に入ったブランドとのユニークなカスタマーエクスペリエンスを期待しています。実店舗であってもオンライン上であっても同様です。ですから、自社ECサイトを持つことが極めて重要なのです。

    アマゾンがブランドを最初に試してもらうための前菜だとしたら、自社サイトは5つの料理が用意されたフルコースのようなものです。ここで重要なのは、自社サイトを最大限に生かすためには、アマゾンで提供しているような面白みのない在庫表示やチェックアウト方法を提供するだけではいけない、ということです。

    消費者にとって、真の目的地となる必要があります。成功している小売事業者のサイトは、多くのことを同時にうまくこなしています。ブランドのアイデンティティを示し、より多くの在庫を表示し、消費者との直接的な会話を可能にし、消費者の購買行動を表す貴重なデータを収集してます。最も大切なことは、サイトへの流入を促すだけではなく、実店舗への訪問も促進していることです。

    この点において成功しているのがAldo社です。モールへ出店しているブランドが苦戦しているなか、カナダの靴メーカーであるAldoはオンライン戦略に成功し、数年前に立ち上げたサイトで売り上げが倍増しました。

    2,000以上ある実店舗でもコンバージョン率が増加しています。最も成功した施策は、消費者がお店の前を通り過ぎる時、オンラインでチェックしていた商品をモバイルのアプリを通じて知らせることだったそうです。

    全米中のモールに出店していないとしても、ブランドに親しみを持ってもらうためには、自社サイトを立ち上げることは不可欠です。規模の小さい小売事業者には特にメリットが大きいでしょう。

    何年にもわたって、アマゾンでひっそりと販売しているカナダ・ケベック州の企業Shore Furniture(編注:家具の製造販売業者)のような卸売販売者業者にとってもメリットがあります。

    オンラインで成功しようと模索していた時、Shore Furniture社の最大の特徴はカスタマーサービスだということがわかりました。第三者のベンダーでは超えることができないサービスを持っていたのです。

    オンラインでお店を持つことによって、より人間味溢れる企業になり、2週間早く出産した女性のために、ゆりかごが間に合うように送付するなど、顧客のために労を厭わない企業の姿勢が強調されるようになりました。以前は大きな百貨店でしか商品を見つけられなかった消費者と、自社サイト通して直接コミュケーションできるようになったのです。

    小売パートナーにもまだ販売していますが、自社サイトだけで売り上げを伸ばすことができるのは、常に変化している小売業界では非常に重要なことです。

    ◇◇◇

    アマゾンに大きな注目が集まるなか、アマゾンだけが唯一の方法だと考えるのは簡単なことです。しかしながら、自社のECサイトを持つことでアイデンティティを確立し、消費者との関わりを持ち、強固でロイヤルティの高いファン層を作ることが不可欠です。

    この先何年もアマゾンはオンラインのマーケットプレイスを独占していくかもしれませんが、アマゾンを打ち負かす努力をするにしても、アマゾンとパートナーを組むにしても、この先、小売事業者が生き残るには主導権を持つことが大切なのです。

    Internet RETAILER

    世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

    Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

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    8 years 4ヶ月 ago
    筆者が運営しているGoogle アナリティクス情報サイトのGAフォーラムではメールマガジン『週刊GAフォーラム』を発行しています。そのメルマガで利用する配信サービスASPを、諸事情により変更いたしました。2018年4月23日発行号から変更しております。

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