犬や猫の栄養食品や医薬品などペット向けのヘルスケア用品をECで展開しているペットゴー。自社ECサイトの新規顧客の開拓、買い物体験の向上につながるUI・UXの実現に向けたサイト改善を実施したところ、半年も経たないうちにLTV(顧客生涯価値)の高い新規顧客の獲得といった成果をあげている。ペットゴーが実施したサイト改善やその成果などを、取締役CTOの小出文彦氏に聞いた。
ペットゴー取締役CTO 小出文彦氏
新規顧客の3割超が決済手段に「Amazon Pay」を利用
犬と猫をメインにペット向けの栄養食品や医薬品、ケア用品などを販売しているペットゴー。市場シェア拡大を図るために自社ブランドの開発、AmazonなどさまざまなECモールへの出店、自社ECサイトでのリカーリング収益(将来的に継続する可能性が高い売り上げ)を成長戦略の重要な点としてビジネスを進めている。
売上比率が一番高い自社ECの運営において、改善したいと考えていたことがあった。それが「新規顧客の獲得」と、「より良い購入体験(ユーザーにとって購入しやすいUI・UX)」の2つ。これらを改善・強化するために、ペットゴーが目を付けたのがAmazonのID決済サービス「Amazon Pay」だった。
「Amazon Pay」という決済手段でのアプローチを採用した理由について、小出氏はこう語る。
「Amazon Pay」は初めて使うECサイトでも住所や支払い方法の入力が不要になることから、新規の顧客が使う割合が大きいと感じていました。その意味では顧客への信頼感や利便性の高い決済方法だと思い、導入しようと考えました。加えて、お客さまからも「Amazon Pay」を利用できるようにしてほしいという要望もあったんです。(小出氏)
こうして2022年6月、自社ECサイトに「Amazon Pay」を導入。そして、その成果はすぐに現れる。導入から半年も経たない段階で、自社ECサイトで都度購入する新規顧客のうち、30%以上が「Amazon Pay」を利用するようになったのだ。
小出氏は「想像していたよりもかなり高い数字。素晴らしいと思った」と驚きの声をあげる。
さらに、「Amazon Pay」を利用した顧客は、その後も順調にリピートしており、継続的に売り上げに貢献。LTVの高い顧客獲得につながっている。
一般的にECでは、新規顧客の多くが利用する決済方法で購入したお客さまは、リピート購入する割合が低くなりやすい。しかし「Amazon Pay」を使ったお客さまのリピート利用も順調に増えており、非常に効果の高い決済手段だと思います。
小出氏は「Amazon Pay」がリピート購入客の醸成につながっていることも評価している
「Amazon Pay」の導入後は、顧客からの問い合わせなどもなくスムーズに利用されており、引き続き利用者は増加しているという。この状況について小出氏は「お客さまに満足いただいているからこそ、目立った問い合わせはなく、利用者が増え続けているのだと思います」と分析している。
導入の魅力“購入しやすさ”“新規獲得キャンペーンへの活用”“不正利用対策”
ペットゴーが「Amazon Pay」を導入して感じた魅力について、小出氏が真っ先にあげるのが購入のしやすさだ。
そもそもペットゴーでは、ECにおける顧客の購入体験には強いこだわりがある。
ペットフードは重さが結構あるので、持ち運びが大変。それを玄関まで届けることができるのはECの強みです。ただ、インターネットで購入するときにサイトの使い勝手が悪いと元も子もありません。そのため、ECサイトでの買いやすさにはすごくこだわっています。(小出氏)
自社ECサイトの訪問者にスムーズな買い物体験を提供するため、ペットゴーは「Amazon Pay」の担当者とUIやUXなどについて話し合い、両社で提案を重ね、こだわりを持って構築してきたという。
こうして、2か月の開発期間を経て「Amazon Pay」を導入。小出氏は「お客さまにとってストレスのない購入プロセスを実現することができた。開発はトラブルもなく、スケジュール通りだったので助かった」と振り返る。
「ペットゴー」のカート内で「Amazon Pay」を選択した後のフロー。「会員情報登録」ではデータがフォームに自動反映され、入力の手間が省かれる
「Amazon Pay」は、Amazonアカウントとの連携によって顧客の住所やクレジットカードなどのお支払い情報を入力する手間を省けるため、数クリックで購入が完了する。ペットゴーの自社ECサイト内にこのスムーズな購入フローを構築したことで、新規顧客の3割が「Amazon Pay」を選ぶという結果につながっている。
お客さまが「Amazon Pay」を使って購入する際は住所やクレジットカード情報などの個人情報を入力する必要がなく、ボタンをクリックするだけでよいので、その便利さは大きな魅力。新規顧客の獲得や、サイト内の買い物のしやすさにつながっています。
特にスマートフォンの操作は入力に手間を感じることが多くなりがちですが、「Amazon Pay」だとストレスなく購入できるのが魅力です。(小出氏)
Amazon ギフトカードの贈呈企画も新規獲得のフックに~マーケティングキャンペーンの実施
「Amazon Pay」の導入にあわせて、新たな新規顧客獲得キャンペーン施策もペットゴーが実施した。これは2022年11月の1か月間に、「Amazon Pay」を利用して8000円以上の買い物をした会員を対象に、500円分のAmazonギフトカードをプレゼントするというもの。キャンペーン「ペットゴー18周年創業祭」の一環として実施した。
このAmazonギフトカードプレゼントキャンペーンについて、小出氏は「お客さまから好評でした。集客効果が高かったため、思っていた以上に新規顧客の獲得ができたんです」と実感している。
通常、ECサイトに追加した新たな決済サービスをプッシュしながら、集客施策などにもつなげることは難しい。一般的に、決済サービスにマーケティング効果は期待できないためだ。しかし、「Amazon Pay」は、事業者側でAmazonギフトカードプレゼントキャンペーンといったマーケティング施策を展開できるため、「新たな顧客にもペットゴーを知ってもらえる機会になりました」(小出氏)と話す。
「Amazon Pay」を使った支払いには、Amazonギフトカード残高を利用することができるので、プレゼントしたAmazonギフトカードを使って、再度ペットゴーでのリピート購入も期待できる。
「ペットゴー18周年創業祭」でAmazonギフトカードのプレゼントキャンペーンを展開
上記のほかに、「Amazon Pay」の魅力の1つに不正対策もあるという。
EC事業者の立場からすると、新規顧客が日々増えていくなかで、すべてのお客さまに安心して買い物を楽しんでほしい。そのため、セキュリティ面がカバーされているのは非常にありがたいと感じています。実際、不正対策がしっかりしているため「Amazon Pay」ではチャージバックが発生していません。
小出氏はセキュリティ面の強みも「Amazon Pay」導入のメリットだと語る
Amazonはアカウントやクレジットカードの不正利用を24時間365日監視する不正検知システムを採用するなど、世界水準のセキュリティ環境を保有。その環境下で運用される「Amazon Pay」は、不正取引の軽減、カード情報漏えいの防止に役立つとされる。
こうしたセキュリティ基盤を通じて消費者が安心して購入できることも、新規顧客の利用が高い理由の1つになっているのかもしれない。
手数料は“非常にリーズナブル”
「Amazon Pay」の決済手数料は3.9%(デジタルコンテンツは4.5%)。一般的なクレジットカードの手数料よりは多少高いものの、ペットゴーでは新規獲得効果やコンバージョン率の改善などを考慮すると、小出氏は“むしろ割安”だと捉えている。
決済手数料は適切な金額。Amazonアカウント連携で配送情報の入力などが不要になる高い利便性、不正取引対策のセキュリティが充実していることなどを加味すると、通常の決済方法と比べて、むしろ割安に感じます。
新規顧客を開拓するには、広告投資などが必要ですが、利便性などの顧客体験向上による売上効果、セキュリティ水準の高い「Amazon Pay」に対応していること自体が宣伝になっていることなどを考えれば、「Amazon Pay」の手数料は手頃と言っても差し支えないですね。(小出氏)
自社ECサイトへの集客や新規獲得、不正取引対策、問い合わせ対応などのメンテナンスコストの削減などトータルに費用対効果を見極めた場合、「Amazon Pay」の利用料は「非常にリーズナブル」(小出氏)との印象という。
ペットゴーでは今後、サブスクリプションサービスに「Amazon Pay」を導入することも検討中だ。「Amazon Pay」にはサブスクリプションに対応した「自動払い(Auto Pay)」機能がある。消費者が注文時に選択したクレジットカードを利用して今後の支払いにも同意すると、自由に金額やタイミングを設定して請求することが可能。
また、頻度や金額、請求内容のカスタマイズもできる。購入月のスキップや解約も自由に選べるペットゴーのサブスクリプションサービスと相性が良いと言える。
ペットフードは毎月購入するため季節性がありません。一方、医薬品のノミダニ駆除薬などは暖かくなった時などに使うことが多いです。こうしたタイミングでプレゼントキャンペーンができたらお客さまが喜んでくれるのではないでしょうか。前向きに検討していきたいです。
小出氏は「Amazon Pay」の強みを生かしたキャンペーンの実施を検討している
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オリジナル記事:拡大中のペットヘルスケア市場でペットゴーが取り組んだ自社ECサイトの改善施策とは?「新規顧客の獲得」「購入体験を引き上げるUI・UX」を実現した改善アプローチ
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