今日はいつもと少し毛色の違う記事を書いてみたいと思います。
社内からリクエストがあったのと、4月から新しくSEOを担当することになった方もいらっしゃると思うので、SEOを業務にするにあたりまずやっておいたほうが良いこと、心がけることなどを気の向くままに書いてみたいと思います。
なお、あくまで個人的な意見ですので別の考え方は当然あってしかるべきだと思います。
SEOの教育というところは苦労しているところが多いと思いますので議論のきっかけになったら嬉しいです。
まずは
SEO担当者になったらまずやる3つのこと
です。
- 自分の担当するサイトやプロダクトのことをよく知る
- 一緒に働く人を知る
- Googleの考え方を知る
をおすすめします。
自分の担当するサイトやプロダクトのことをよく知る
SEO担当者になったら担当するウェブサイト・プロダクトのことをよく知る必要があります。
実際にすみずみまで見て使ってみることで、そのサイトやプロダクトの強みや弱み(特に強み)を知る必要があります。
そうしないと、コンテンツを作ることも難しいですしテクニカル的なSEO施策もやりにくくなります。
ここで大事なのはいきなりSearch Consoleなどで検索エンジン目線に立たないことです。
検索エンジン目線に一度立ってしまうとユーザー目線に戻ることが難しくなります。
必ずまずはじめは1ユーザーとしてそのサイトやプロダクトを使ってみることをおすすめします。
ユーザー目線でサイトを閲覧したときに気になったことはメモしておくと後から役に立つでしょう。
そして、その強みを生かすようなSEOを検討していくことが後々できると思います。
一緒に働く人を知る
今のご時世昔と違うので、多くの会社が新たにチームに加わる人がスムーズに働ける仕組みを導入していると思います。
それでも自分でチームの人のことを知ろうとすることは重要です。
そのサイトのプロダクトマネージャーは誰なのか?フロントサイドのエンジニアは誰でどんな人なのか?サーバーサイドは?デザイナーは?広報PR担当は?マーケティング担当は?営業のキーマンは?などなどそのサイトに関わる人を把握しておくと良いでしょう。
今のSEOはSEO担当者とフロントエンジニアやデザイナーだけで完結するほど単純ではなくなりました。ページエクスペリエンスにおいてはさらにサーバサイドエンジニアの方の力が必要でしょうし、被リンクやサイテーションなどを考えるなら広報PRの方の力が必要です。
SEOを完成させていくには多くの人の力が必要になります。いざというときに誰に頼ればよいかわかるようにチームの構成を知っておくことは今のSEOにおいて非常に重要だと思います。特にチームにはだいたい一人、誰にでも顔がきく人がいるものです。そういうキーマンをおさえるとその後SEOを推進していくうえで非常にプラスになるでしょう。(私は面倒くさがりなので、最初からキーマンをおさえにいって、そこから色々な人を紹介してもらいます)
Googleの考え方を知る
SEOの情報は世の中にあふれています。
その多くが役に立つ情報ですが、一部には怪しい情報もあります。
(中にはそのままそれを実施するとマイナスになるようなものも・・・・)
そこでSEOで頼るべきは、まずはGoogleが発信している”公式な”情報です。
検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド
https://developers.google.com/search/docs/beginner/seo-starter-guide?hl=ja
ウェブマスター向けガイドライン
https://developers.google.com/search/docs/advanced/guidelines/webmaster-guidelines?hl=ja
品質評価ガイドライン(英語・PDF)
https://static.googleusercontent.com/media/guidelines.raterhub.com/ja//searchqualityevaluatorguidelines.pdf
上からだんだん難しい内容になります。
が、個人的にはいきなり品質評価ガイドラインを読んでみることをおすすめします。
品質評価ガイドラインとはGoogleの検索結果の品質を評価するために、評価者が多くのウェブサイト・ウェブページを評価するためのガイドラインです。ユーザーの評価と検索結果がマッチしているかを見るための評価者の評価用ガイドラインとなります。
これを読むと、Googleがどんな考え方を持っているかわかります。
どんなウェブページを良いページと考えているのか、どんなページをよくないページと考えているのか説明や評価例を見てみるとよくわかると思います。
最初にこれを読むとGoogleがどんなサイトやページを上げたいのかよく理解できると思います。
また、Googleがユーザーの評価(考え)をランキングに影響させたいという意思も見て取れます。
そうなれば、おのずとSEOとはGoogleに最適化したりハックしたりするのではなく(一部ではGoogleへの最適化も必要ですが)検索者に最適化するものだと理解できると思います。
そして、品質評価ガイドラインでGoogleの考え方を知ったうえで他のガイドを見ることによって、より理解は深まることと思います。
ちなみに、品質評価ガイドラインは英語です。英語そのものは(私でも読めるので)難易度は高くないと思えますが、それなりに根性は必要だと思います。新人のSEO担当者をマネジメントする立場にいる人は品質評価ガイドラインを読む時間をしっかりととってあげると良いと思います。
仮に10時間かかったとしても何倍にもなって返ってくるはずです。
次に
SEO担当者として心がける3つのこと
です。
- 目的を常に意識する
- わからないことは聞いて覚える
- 得意な分野をつくる
を心がけておくと良いと思います。
目的を常に意識する
そのSEOで何を達成させたいのかを常に考えておく必要があります。
検索流入を増やしたあとのことです。
検索流入を増やしてECサイトの売り上げを伸ばしたいのか?
検索流入を増やして商品の認知を高めたいのか?
検索流入を増やしてPVを増やし広告収益を上げたいのか?
検索流入を増やすことは至上命題でしょうが、その先を常に意識しなければなりません。
SEOをやっていると、「この局面でSEOでなんとかできることがない」という場面に遭遇することがあると思います。
そのときに検索流入にこだわっていると無駄なSEOしさくをただするだけになりがちです。
SEOでその局面を打開するのが難しい場合、本来の目的を意識できていれば「いまSEOでどうにかするのは難しいのでリスティングによって売り上げ向上を図るのはどうか」とか「SEOでいまのアルゴリズムでは大きく伸ばすことは難しいが、まだSNSには打開の余地があるのでSNSによってPV増を狙うのはどうか」などの提案ができるはずです。
わたしはSEOが難しいときにSEOをゴリ押すのではなくSEO以外の代案を提示できるSEO屋が一人前のSEO屋だと思っています。
そして、SEOが難しいときにSEO以外の代案を用意するには常に本来の目的を意識している必要があります。
わからないことは聞いて覚える
SEOをはじめたばかりのころはわからないことだらけだと思います。
コンテンツの作り方もわからなければ大規模サイトならクロール&インデックスの最適化の方法もわからないでしょう。
(わたしもいまだに分からないですけど)
SEOをはじめたときに"考えること"は大切だと思いますが、考えてもわからないことはとにかく聞くこと。
考えて無駄なものは聞くこと。調べる時間がもったいないようなものなら聞くこと。
そして聞いたことを覚えること。だと思います。
そのためには聞いたことの回答に理由をもらうことだと思います。そうすることで覚えるだけでなく理解することができるはずです。
例えば「被リンクは多い方が良い」であれば、「Googleは被リンクを人気投票としてみなすため、得票が多いつまり被リンク獲得が多いと多くのスコアがもらえる」
「titleにキーワードを入れるべき」であれば「titleは検索エンジンがそのページのトピックを理解するのに役立つもののため、キーワードを入れておくと重要視されやすい」という具合です。
時間は有限です。聞く相手がいる場合にはどんどん聞く。ただ二度聞かない。これが一番良いと個人的には思います。
(組織によっては人に聞かずに調べるとかルールがあるかもしれませんが、個人的には調べてすぐわからないものは聞いちゃった方が良いと思います。もちろんそういう相手がいることが前提ですが。いない場合は聞ける相手をコンサルとしてつけるなど検討したほうが良いでしょう。)
得意な分野をつくる
はじめたばかりではまだ難しいですが、少ししてからはSEOの中でも得意な分野を持てると良いと思います。
コンテンツ作成でも良いし、サイト内リンクでも良いし、クロールのコントロールでも良いです。
ひとつ武器を持つことで自分のSEO屋としての強みを持つことができます。
強みを持てれば自信になりますし、自信はまわりからの信頼にもつながると思います。
これはインハウス以上にSEO会社で働く人にとって重要かもしれませんね。
最後に
最後にSEO担当者としてつけておくと良いスキル3つ
です。
をおすすめします。
データ分析スキル
データ分析とSEOは切っても切れない関係性になってきています。
大規模サイトではクローラーの動きを可視化する必要がある場合が多いですし、多くのサイトでユーザー行動を気にする必要があるでしょう。
インハウスでなくSEO会社の方はアルゴリズムの分析をする必要があるかもしれません。
BIツールを使うでも、RやPythonを使うでもなんでも良いですがデータ分析のスキルがあるとないではアウトプットの速さと質に大きな差が出る可能性が高いです。
分析を他の人に依存することでボトルネックになる可能性もありますし、これからSEOをはじめる人はぜひチャレンジして欲しいスキルです。
英語
日本語の信頼できるSEOや検索エンジンの情報は少ないものです。
Web担当者Forumや海外SEO情報ブログ、SEO Japanなど良質な発信をしてくれるサイトやブログはありますが英語で閲覧できる記事数には劣ります。(その分厳選されているというメリットはありますが)
Search Engine Roundtable などでは1日に何本もSEOの情報が発信されますし、Googleの公式情報も英語から最初に発信されます。
英語ができればより多くより早くより多くのSEO情報に触れることができます。
また海外のカンファレンスにも参加しやすくなると思いますし、そこでGoogleと直接コミュニケーションをとることができるかもしれません。
Googleのイベントでは英語なら直接いろいろと質問できる機会も多いので、英語が苦手な私は英語をある程度自由に使えるといいなあとうらやましく眺めています。。。
(PUBCON in LasV egasでのGoogleのGary Illyes氏のセッション)
人間力
最後にそれかよ!というツッコミもあろうかと思いますが2つの点で人間力が高いことはSEOにプラスになります。
まず当然ですが周りの協力が得やすいことです。
SEOの施策を行うにはそれ相応の他の人の工数を頂かなくてはなりません。
先に記したようにPM、エンジニア、デザイナーはじめ場合によっては広報や営業の方にもお世話になることがあります。
幅広い職種の人に協力してもらうには優れた人間力は不可欠です。
そしてもう一つは品質評価ガイドラインを見てもわかるように、Googleが人間の評価とGoogleの評価を一致させることを目指しているということです。人が良いと思うものをGoogleとしては評価したいわけです。
人間力を磨くことでサイトやコンテンツの良し悪しが正常に判断できるようになるはずです。
人間力を磨く方法はいろいろあると思います。
尊敬する人に出会い話をするのも良いでしょうし本を読むのも良いでしょう。
いずれにしても善悪の判断がきちんとできるくらいにはなる必要があるでしょう。
それは無意識にスパムやOver Optimzizeしてしまわないということにもつがなると思います。
最後にこれからSEOをはじめる方へ
SEOの担当者になって喜んでいる方ばかりではないと思います。
SEOはなんとなくうさんくさい、暗い、地味などネガティブなイメージがあるかもしれません。
それでも続けていれば楽しいこともありますし、知的探究心をくすぐられるような場面もあります。
そのときが来るのを心待ちに、ここに記したような準備をしっかりとしていただければと思います。
以上、自分で読み返してなんて偉そうなんだと笑ってしまいました。
私もまだSEOで何一つ成し遂げていません。私も若い人や新しくSEOをはじめる人に負けないようにがんばります。
木村賢 (@kimuyan)