全国公正取引協議会連合会は9月、景品表示法の検定試験を始めた。景表法の知識習得を目的する。資格は「消費者庁後援」。景表法は、第26条で表示の適切な管理に向けた体制整備を求めており、「資格者の配置の有無は、一つの指標になる」(表示対策課)とする。同条の運用をめぐっては、現在行われているアフィリエイト広告の規制に関する検討会でも、運用強化を求める意見がある。今後の法執行に影響を与えることになりそうだ。
違反行為の未然防止を図り、表示管理責任者としての配置を想定
「景品表示法務検定試験」は、景表法について一定の知識を持つ者を育成し、違反行為の未然防止を図る目的で始める。公取協連合会は、取得のメリットを、「景表法に一定の知識を備えていることの証明になる」とする。消費者庁の後援も受けており、「信頼性が高く権威のある検定試験」と説明する。試験合格者を、表示管理の適切化に向けた「表示管理責任者」として配置することを想定する。
景品表示法務検定について(全国校正取引協議会連合会サイトから編集部がキャプチャし追加)
景表法は、第26条に「事業者が講ずべき表示管理上の措置」を定める。指針では、景表法の従業員への周知や教育研修の実施、「表示管理責任者」の配置など、管理体制の明確化を求めている。
消費者庁は、第26条に基づく「指導・助言」「勧告・公表」の権限を持つ。運用件数は増加傾向にあり、20年度の「指導・助言」は、2年前から約20件増加し109件。「勧告・公表」はない。
体制整備は、課徴金の免除でも「判断基準の一つになる」(表示対策課、18年当時)とする。今回、資格取得の有無も「合格者がいれば自動的にセーフとはならないが、客観的な指標の一つにはなる」(同課)とする。
26条の運用をめぐっては、「アフィリエイト広告等に関する検討会」においても運用を強化することで、広告の適正化を図ることを求める意見が複数の委員からあがっている。連合会が認定した資格者の配置の有無は、表示管理体制の整備や課徴金算定、措置命令など、法執行に影響を及ぼす第26条の運用において、重要な意味を持つことになりそうだ。
公益法人や一般社団法人、自治体は消費者庁の後援を受けられる
試験は、11月10日まで申し込みを受け付ける。実施は11月24日から12月8日。全国主要都市200会場で行う。受験料は、1人8800円(税込)。合格証の有効期間は3年。更新を希望する場合は研修の受講が必要になる。来年以降の開催時期は未定としている。
景品表示法務検定試験の詳細(全国校正取引協議会連合会サイトから編集部がキャプチャし追加)
消費者庁の「後援」は、所定の手続きに沿って申請する。行政の政策との一致などを審査する。ただ、対象は、公益法人や一般社団・財団法人、自治体など。営利目的の民間企業は後援を得ることはできない。
表示対策課の関連は、日本プラスチック日用品工業組合が毎年行っている「プラスチック日用品優秀製品コンクール」など。資格制度の後援はこれまでないとみられる。
公取協連合会は、校正取引規約の普及・啓発等を行う。各商品分野の公取協が会員として加盟する。企業向けセミナーなど法令遵守に向けた活動を行うが、資格制度の実施は初めて。
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オリジナル記事:消費者庁が後援する景品表示法の検定試験とは?全国公正取引協議会連合会が始めた背景などを解説 | 通販新聞ダイジェスト
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