デジタルマーケティングの分野では、これまで「比較・検討」が「購入」を最も引き起こす要因になると考えられてきた。しかし、コロナ禍のニューノーマルによって消費者の行動は激変。直線的に“回答”を求める情報接触ではなく、“回遊”しながら情報接触することで新たな「興味」が芽生え、「購入」を誘発するようになってきている。この新たなユーザー行動を捉えているのが「TikTok」だ。
広告プラットフォーム「TikTok For Business」を担当するTikTok For Business Japanの廣谷亮氏と畠山雄氏が、「TikTok」が新たな「興味」に出会う場となる理由、「興味」を集める動画・広告を制作するポイントについて解説する。
「TikTok」はブランドやサービスを「見つけてもらえる場所」
「TikTok」は、世界におけるアプリダウンロード数20億回を突破(センサータワー調べ。2020年4月時点)し、グローバルダウンロード数も1位を獲得(センサータワー調べ。2020年12月時点)しているプラットフォームだ。
また、2019年9月からの約1年間で、再生数は約2.6倍、エンゲージメント数は3.8倍に達したほか、平均視聴時間は42分から56分に増加するなど、ユーザー数、利用頻度ともに拡大している。
サービス開始から間もない2018年からこれまでの間に、投稿されるコンテンツは年々変化。ユーザー層においても、当初はZ世代(1990年代半ば〜2000年代初めに生まれた若年層)が中心だったが、徐々に他の世代にも広がりを見せている。
時代に合ったユーザーファーストな視聴体験
TikTok For Business Japanの廣谷亮氏(Global Business Marketing Brand Strategy Director)は、「TikTok」ユーザー行動の変化に関して、次のように予測する。
2021年末にかけて、半数以上のユーザーが1分以上の動画は長すぎると感じるようになるのではないだろうか。パワーバランスがユーザーの方に寄ってきている。(廣谷氏)
TikTok For Business Japanの廣谷亮氏(Global Business Marketing Brand Strategy Director)
ユーザー行動の変化に対応するため、「TikTok」は時代や環境に応じた視聴体験が提供できる3つの特徴を兼ね備えているという。
1.サクサク短尺
15~60秒までの短尺動画の投稿が可能。「動画の長さがちょうど良い」と思うユーザー数が増加している。
2.広告の強制視聴なし
(一般的な投稿同様)広告もいつでもスキップできる仕組みとなっているが、「『TikTok』で流れる広告はつい見てしまう」と回答するユーザーが多い傾向にある。
3.おすすめを見る
ユーザー自身がフォローしている知人やインフルエンサーの投稿ばかりを見るのではなく、「TikTok」では、「おすすめ」フィードに流れてくる投稿を見る傾向が強い。
これらの特徴から、「TikTok」には、「新しいコンテンツ(投稿)に出会える」「新しい発見があって興味が広がる」と感じるユーザーが多い。
回答から回遊へ。興味突破時代の再来
独自調査により、「知らない分野にも触れたい」「もっと自分に必要な・合った情報があるのではないかと思う」と回答した人が約6割もいることがわかったという。
出典: TikTokユーザー白書(2020.11)
“回遊”しながらの情報接触がユーザーニーズを満たす
これまでの情報取得方法は、「これが知りたい⇒検索する⇒答えが出てくる」という、検索に特化したQ&A方式が主流だった。そのため、QからAに至るまでが一直線で、周りの情報がそぎ落とされてしまっていた。
しかし、直線的に“回答”を求める情報接触ではなく、さまざまな分野を“回遊”しながら情報接触することで発見や興味につながり、ユーザーニーズを満たす傾向になってきている。こうした「“回遊”する情報接触が今後は主流になってくる」とする。
出典: TikTokユーザー白書(2020.11)
「興味」が「購入」を引き起こす
昨今のデジタルマーケティングは、「比較・検討」からの「購入」に焦点が当てられてきた。しかし、「紹介された商品やサービスを購入したくなるのはどんな動画ですか?」という質問に対する回答から、「興味」が「購入」につながる関係性が明らかとなった。
従来は最下層のボトムファネルである「購買」には、その直上のファネル「検索する」の相関関係が強く、検索数が上がれば購買につながるという考えだった。そのため、いかにボトムファネルの中で刈り取りに行くかが意識されていた。しかし「TikTok」によると、回遊型の情報接触で「興味」を芽生えさせ、瞬発的な購買意欲と消費を引き起こすことが重要だという。
そのため、ユーザーに興味を持たせる広告やコミュニケーションを展開したい時に、「TikTok」の活用余地があると廣谷氏はいう。
出典: TikTokユーザー白書(2020.11)
昔ながらの「テレビCMで一気に興味を持たせる」というような時代が、デジタルだからこそ再来しているのではないだろうか。(廣谷氏)
TikTokの運用型広告
「運用型広告」と聞くと、手間がかかり効果を出すのも大変という印象が持たれやすいが、「TikTok」は、「簡単さ」を追求したことで成長を遂げているという。
運用型広告の簡単ポイント① ~配信開始まで~
配信開始までは、「オンラインアカウント」というサービスを利用すれば1日で設定が完了する。
アカウント登録には、メールアドレス、サイトのURL、決済カード情報など、すでに手元にある情報のみを必要としている。また、広告の設定のステップも、管理画面の手順に沿って選択肢から選んだり、予算を入力するといった作業で完結する。
運用型広告の簡単ポイント② ~動画の制作~
静止画のみ、かつ音楽を保有していなくても動画制作ができることが特徴だ。
動画のテンプレートを約80種類用意しており、この中から好みのテンプレートを選んで静止画を入れ込み、必要な情報をテキストで打ち込むだけでオリジナル動画が生成できる。音楽も4800曲以上を無償で提供しているため、音楽を載せて配信することも可能だ。
また、「スマートマイクロムービー」という機能を用いれば、いくつかの素材を入れて作りたい動画の秒数やスタイルを選ぶだけで動画が生成できるようになっている。
データが増えているため、コンバージョンの高いユーザーの予測精度は向上している。下手にターゲットを絞り込まずに配信し、学習させることでパフォーマンスは上がる。(畠山氏)
TikTok For Business Japanの畠山雄氏(Product Strategy & Operation)
「TikTok」において“良いクリエイティブ”とは?
広告とユーザーのマッチングの精度は向上していても、やはりクリエイティブの工夫も必要となる。
広告動画を制作する上での工夫とは、キレイな動画や映像を制作することではなく、ユーザーに見てもらうために行うことだ。(畠山氏)
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:ユーザーの「興味」を引き出すことが購入モチベーションになる!「TikTok」のオンライン運用型広告配信プラットフォームを解説
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