インハウスシステムからebisumartへ。ヤマハミュージックジャパンのBtoB-ECリニューアル事例 | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2020年2月13日(木) 09:00
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ヤマハの100%子会社で、楽器・音響機器販売や教室事業を手がけるヤマハミュージックジャパン。業務委託先である国内約100社の修理代行店や、販売契約を締結している楽器店などに所属する約1000人の技術者から、アフターサービスに必要なサービスパーツの注文を受けるシステムをインハウスで構築・運用してきたが、「システムの老朽化」を受け、クラウドECプラットフォーム「ebisumart」に乗り換えた。

運用開始から半年でWeb受注率が50%(旧システムでの実績)から70%を超えるなど、早くもリニューアルによる効果が出ている。

アフターサービスで使用するサービスパーツを販売するBtoB-EC ベースシステムの老朽化を受け、リニューアル

ヤマハミュージックジャパンの顧客は、業務委託契約をしている国内約100社の修理代行店、販売契約をしている特約店(楽器店など)に所属する1000人超の技術者。2001年から自前でシステムを構築し、オンラインでアフターサービス(エンドユーザーが購入した製品の修理、ピアノの調律や管楽器のメンテナンスなど)に使用するサービスパーツの在庫照会や価格照会、注文受付などを行ってきた。

20年近くスクラッチ開発によるシステムで対応してきたことになるが、「ベースとなるシステムが老朽化しサポートも受けられない状況。早急な刷新が必要だった」(ヤマハミュージックジャパン カスタマーサポート部 技術サポートセンター センター長 今野文智氏)。そして、リニューアルの検討を開始した。

ヤマハミュージックジャパン カスタマーサポート部  技術サポートセンター センター長 今野文智氏

より多くの技術者が便利に使えるサイトにするにはどうしたらいいのか――。サイトリニューアルにあたり、コスト面などのメリットから再度インハウスで構築することも検討したというが、「インハウスで運用してきたデメリットもあった。今、我々が構築したいサイトは? と考え、最終的にはアウトソースの方が自社の目的を達成できると判断した」(今野氏)。

クラウドECプラットフォーム「ebisumart」を導入し、同サービスの開発・提供を行うインターファクトリーによるサポートの元、リニューアルプロジェクトが始動した。

ヤマハミュージックジャパンが導入した「ebisumart」の特徴
社内から9名がプロジェクトに参加。3か月の並行稼働期間を経て、正式ローンチ

プロジェクトを先導したのは、静岡県・浜松市に拠点を構えるヤマハミュージックジャパンの技術サポートセンターだ。同センターには大きく3つの業務があり、チームも3つに分かれている。

リニューアルプロジェクトを推進するにあたり、各チームから主要メンバーが招集された。参加したのは、IT関係のシステムを担当する「ITチーム」、サービスパーツの受発注を管理する「パーツチーム」、技術者向けの指導を行う「技術者教育チーム」。

それぞれのチームからリーダーとサブリーダーが参加するとともに、ヤマハグループ全体の情報システムを統括している「情報システム部」の担当を交え、計9名でプロジェクトチームが結成された。

リニューアルにあたって難航したのは、各アイテムに販売契約の情報付けをしていくことだという。「大改革だった」と今野氏は当時を振り返る。

リニューアルプロジェクトを先導した技術サポートセンターの主な業務内容

アフターサービスという意味では、商品の製造が中止になってから本格的に始まるものもある。これまでヤマハが販売してきた全モデルのサービスパーツを合わせると、約38万アイテムにもなり、リニューアルを機にそれら1つひとつに、販売契約の情報を紐づけたいと思っていた。そこが業務効率を悪くしていたところだからだ。アイテム数が多く、大変な作業だった。(今野氏)

ヤマハミュージックジャパンのリニューアルプロジェクトをサポートしたインターファクトリーの取締役CMO 三石祐輔氏から、「旧システムからの移行について問題はあったか?」と質問があると、今野氏は「いろいろとカスタマイズしたが、非常にスムーズだった」とインターファクトリーの技術力の高さを賞賛するとともに、大きなトラブルを回避するため段階的に稼働したことが奏功したと明かした。

並行稼働期間を3か月とった。まず部内、次に社内、最後に技術者の皆さまにご案内という形で進めていったので、問題が起きても段階的に運用していくうちに解消できた。(今野氏)

インターファクトリーの取締役CMO 三石祐輔氏
稼働から半年経過。登録者が200人増  豊富な修理事例を生かし、症状から使用される可能性の高いパーツを表示

ヤマハミュージックジャパンのBtoB-ECサイトが2019年5月にリニューアルオープンしてから、約半年が経過した。旧システムの登録技術者数は1000人程度だったが、リニューアル後に約200人増加。現在は1200人近くが登録している。

以前は、新しく登録いただいた200人の技術者からFAXで注文を受けていた。ECで受発注できるようになりお客さまの利便性が向上しただけでなく、当社の業務効率も上がった。(今野氏)

前述した通り、ヤマハミュージックジャパンのBtoB-ECサイトを通して購入される商品の大半は、技術者がエンドユーザーの所有する楽器の修理などに使用する「アフターサービス用サービスパーツ」。

修理はスピードが重視される環境が多い。お客さまが大事に使っている楽器が故障した、調律が狂ってしまったといった要望に対し、スピード感を持って対応することが重要。(今野氏)

そこでリニューアル後のBtoB-ECサイトでは、ヤマハミュージックジャパンが長年の業務を通して蓄積した豊富な「修理事例データ」を役立てることにした。

データというのは、AというモデルのBという製品において、Cという不具合が生じた場合、Dというパーツを修理に使用した、といった情報群だ。

こうしたデータをベースに、製品モデルや起こっている症状(不具合)から使用される可能性の高いパーツを表示させ、そのパーツをまとめてカートに入れるという機能をカスタマイズ実装技術者からの評価も高いという。

ヤマハミュージックジャパンのBtoB-ECサイトリニューアルイメージ
「ユーザーのグルーピングをしたい」。サイト利用者から新たな要望

BtoB-ECサイトの利用者が増えるにつれ、新たな要望も出てきているという。その1つが、「ユーザーのグルーピングをしたい」というものだ。

ヤマハミュージックジャパンの顧客である特約店や修理代行店は、1つの会社に技術者が1人ということは珍しく、複数の技術者を抱えた会社がエンドユーザーからの修理要望に対応する。だが、現時点では、ユーザーID(UID)1つに対して1人の技術者がひも付く設計のため、各IDからしか発注することができない。

5人の技術者を抱える会社でも、会社全体で注文したパーツを1つのUIDから一覧で見られるというニーズには対応できていない。(今野氏)

現在、ヤマハミュージックジャパンのBtoB-ECサイトに登録している技術者の割合は、同社の顧客である特約店などに勤める技術者全体の6割程度。残りの4割がなぜ登録しないかというと、パーツを注文する権限が与えられてないからだ。

また、パーツ注文は、管理部や技術部の管理者が代表して行うことが多い。パーツは会社に届くため、それぞれの技術者が勝手にパーツを注文すると「誰が頼んだ?」と混乱につながりかねない。

そこで利用者からは、「誰がどのパーツをいつ、いくらで頼んだか。それを日次や月次で集計し、管理者が確認できるようにしたい」という要望が上がっている。こうしたデータを管理できれば、1つのUIDで、管理部、技術部など複数部門のニーズに応えられるからだ。

その他、「注文履歴を検索したい」というニーズも紹介された。

「このお客さまがおっしゃっている症状は、以前対応した案件と同じ。あの時と同じパーツを頼みたいけど、どの製品だったか?」と技術者が振り返るシチュエーションは多い。今は購入履歴が出るが、検索できない。何らかの形で検索したいというニーズがある 。(今野氏)

これらのニーズに対し、インターファクトリーの三石氏は、「それは我々の課題だが、今期は、BtoB機能強化を優先度の高い戦略にしていることから、ヤマハミュージックジャパンから挙がっている要望のいくつかは今期中には対応できるだろう」と自信を覗かせた。

ほぼ満席の会場。来場者のBtoB-ECサイト構築への関心がうかがえる
EC経由の受注率が50%→74%に向上 BtoBの受注率80%と、BtoC-ECの利便性向上をめざす

セッションの最後に、BtoB-ECサイトリニューアルによる業務効率の変化について、三石氏から今野氏に質問があった。今野氏の回答は以下のとおり。

以前運用していたインハウスのEC経由の受注率は50%くらい。残りの50%はFAXか別の受注システムからの注文だった。以前のシステムで一番使い勝手が良くなかったのが、販売店の商品種別契約の制御が不完全だったことだ。具体的には、A社には○○と△△商品に関するパーツの購入が可能、というように分類するもの。会社ごとの受注契約の制御の一部を人手で行っていたものを、すべてシステム化できたことで業務効率が向上した。(今野氏)

すでに効果は出ており、運用開始から2か月で受注率は50%から60%に向上運用開始からは半年が経過した現在、他のシステムからの受注も合わせると、Web受注率は74%にのぼるという。今後はこの数字を80%にすることが目標だ。

また今野氏は今後の展望について、「BtoC-ECサイトにも取り組んでいきたい」と語った。

BtoBで実現したい機能はある程度達成したので、今後はBtoC向けで何ができるかを考えたい。ヤマハ製品(部品)を使っている顧客は全国各地にいる。たとえばリモコンのようなオーディオ機器の付属品や、クロスなどのピアノお手入れ用品など。こうしたアイテムを提供できるECサイトを作りたい。(今野氏)

現在はこうしたアイテムを注文するには、ヤマハミュージックジャパンに電話で問い合わせるか、ヤマハ製品を扱っている店に電話注文するかしか選択肢がない。

住んでいる地域によっては、ヤマハ製品の取り扱い店舗が近くにないこともある。また電話注文の場合、現状は代引き送付しかないため、決済手段についてもクレジットカードなど多様な手法を望む声も多い。今後は、あらゆる顧客ニーズに応えられるBtoC-ECサイトの構築をめざしていくという。

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公文 紫都
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