アマゾンジャパンは有料会員向けに展開するスピード配送サービス「プライムナウ」の配送エリアを大幅に縮小する。
現状、関東では東京(都内23区および調布市や三鷹市など12市)のほか、神奈川・川崎市の6区、千葉・浦安市と市川市、関西では大阪市内の17区と吹田市など4市、兵庫・尼崎市と伊丹市の一部エリアで展開しているが、9月30日までに関西圏での展開を終了。さらに10月31日までに関東圏でも展開エリアを縮小、11月1日以降は都内10区(板橋・中野・北・豊島・文京・荒川・足立・新宿・練馬・杉並)の一部エリアのみの展開とする。
また、プライムナウの配送網を活用して外部事業者の商品を配送しているサービスについても縮小。9月30日までにマツモトキヨシ、10月31日にはココカラファインと三越日本橋店の商品の配送を中止する。マツモトキヨシHDでは「アマゾン側の戦略の再構築ということで協議の上、やめることにした」(同社広報部)、ココカラファイン、三越伊勢丹HDでも「中止は事実」(両社の広報)としている。
3社の商品配送を中止した11月以降、「プライムナウ」で配送する外部事業者の商品は9月12日から都内7区(板橋・中野・北・新宿・練馬・杉並)の一部でスタートしたライフコーポレーションの商品のみとなる。
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「Prime Now(プライムナウ)」の対象エリア(画像は編集部がAmazon.co.jpからキャプチャして追加)
「プライムナウ」は15年11月からスタートした有料会員「プライム会員」向けの即配サービスで、受注から1時間以内に配送する「1時間以内配送」と2時間単位の配送時間を選択して当該時間枠内に配送する「2時間便」を展開する。都内の一部地域からスタート以降、徐々に対象エリアを広げて現時点では東京・千葉・神奈川・大阪・兵庫の一部地域で展開。また、17年4月からは直販商品以外の外部の小売事業者の商品も販売・配送する取り組みをスタート。受注を受けると「プライムナウ」の専用倉庫から配送員が各社の提携店で集荷・梱包した商品を受け取り、顧客に配送する仕組みでスタート時にマツモトキヨシ、ココカラファイン、三越日本橋店が参加。9月12日からはライフが新たに参加していた。
アマゾンジャパンでは「お客様が今すぐに必要なものやAmazon.co.jpで販売している多数の商品をより早くお届けできる配送オプションをプライム会員のお客様に提供することに注力している。一環として、『当日お急ぎ便』のスピードをさらに早めるなど新たな配送オプションの導入も継続的に検討しており、全体の配送サービスのさらなる向上とともに、一部のエリアにおいて、プライムナウの配送エリアを見直すことにした」とし、「プライムナウ」の展開エリアの縮小の具体的な理由については明らかにしていないが、迅速な配送が“売り”の同サービスを展開していくにはかなりのコスト負担が必要とみられる上に、「プライムナウ」自体の稼働率がさほど高くなさそうで効率的な運用には苦戦している模様で、さらに昨今の配送コスト増なども加わり、戦略変更に舵を切ったとみられる。
ただ、即配サービスについては一定のニーズがあることや「プライムナウでもこれまで取り扱っていた生鮮食品はライフによる生鮮食品の販売と『アマゾンフレッシュ』の新たな料金プラン(※会費なしで利用できるプランと500円の会費を徴収するが送料を無料とするプランを新設)を9月12日から開始し、プライム会員に向けて、生鮮食品のショッピング経験のさらなる向上を図っている」(同社)とし、注力している生鮮品EC「アマゾンフレッシュ」との相乗効果の面からも重視しているライフの商品配送のためにも比較的、利用状況のよいと思われるエリアに展開を絞り、完全撤退せずに継続した模様。
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「Amazonフレッシュ」の新料金プラン(画像は編集部が追加)
一方で競合との配送サービス争いで重要となる「ラストワンマイル」を埋める配送手段については9月18日からスタートした提携先に設置したロッカーや提携先の店舗カウンターで注文商品を引き渡す新たな配送サービス「アマゾンハブ」をメインとする形に切り替えたものとみられる。
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「Amazon Hub」のイメージ(画像はネッ担編集部が追加)
「Amazon Hub」のイメージ動画(動画はネッ担編集部が追加)
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オリジナル記事:アマゾンがスピード配送を縮小する理由 | 通販新聞ダイジェスト
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