楽天創業メンバー小林正忠、22年目の挑戦 「未来を変える買い物を。」 | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2018年12月4日(火) 07:00
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楽天市場に11月29日、「EARTH MALL with Rakuten」がオープンした。「未来を変える買い物を。」というスローガンのもと、未来の環境、社会、経済に配慮して製造された「サステナブル(持続可能)」な商品を紹介するという。

陣頭指揮を執るのは楽天の創業メンバーであり、現在は常務執行役員 兼 チーフ・ピープル・オフィサー(CPO)を務める小林正忠氏。記者会見で語った思いとは。

なぜ「サステナブル(持続可能)」な商品だけの売り場を作るのか

例えば安く買ったTシャツ。製造現場までさかのぼって見てみたら遠い国の工場にたどり着き、そこで働いていたのは子どもだった……そんなことがあってはいけない。地球からそういうことをなくしていかなければならない。1人ひとりの生き方を変えていかなければ、地球にとっての明るい未来はやってこない。

「EARTH MALL」はあえて新しい“サービス”と申し上げたい。この20数年かけて、この国に存在しなかったインターネットショッピングというビジネスやライフスタイルを作り上げてきた楽天だからこそ、新しいことに挑戦したい。 変えられない過去ではなく、変えられる未来に向けて。「未来を変える買い物を。」というスローガンを立てた。(小林氏)

楽天 常務執行役員 兼 チーフ・ピープル・オフィサー(CPO)小林正忠氏
楽天 常務執行役員 兼 チーフ・ピープル・オフィサー(CPO)小林正忠氏

「EARTH MALL 」の中心となるのはMSC認証、ASC認証、FSC認証、国際フェアトレード認証、RSPO認証、GOTS認証といった国際的な機関からのお墨付きが付いた商品だ。楽天市場内で販売されている認証商品は「EARTH MALL」に自動的に掲載される

MSC認証、ASC認証、FSC認証、国際フェアトレード認証、RSPO認証、GOTS認証
左上から①MSC認証(水産資源や海洋環境を守って獲られた水産物に付けられる) ②ASC認証(責任ある養殖によって生産された水産物に付けられる) ③FSC認証(適切に管理されていると認められた森林から伐り出した木材で生産された製品に付けられる) ④国際フェアトレード認証(製品の原料が生産、輸出入、加工、製造の過程において国際フェアトレードラベル機構が定めた基準が守られている製品に付けられる) ⑤RSPO認証(持続的なパーム油製品に付けられる) ⑥GOTS認証(環境的・社会的に配慮した製造方法の基準をクリアしたオーガニック繊維製品に付けられる)

国際認証済み商の品だけでなく、「地域に貢献する商品」「伝統文化を守っていく商品」「エネルギー消費がより少ない商品」など、さまざまな切り口でアドバイザーと共に商品を選定、掲載する。グランドオープン時点で「EARTH MALL 」に掲載された商品はおよそ7,000点。

売り場にはまだ商品はあまり並んでいません。7,000点と言うとなんとなく多い気がしますが、7,000点では選ぶ楽しみがない。お買い物で大事なのは選ぶ楽しさなので、もっともっと商品を増やしていかなければならない。

97年の楽天市場もそうでした。97年当時、ほとんどの方がインターネット上でものが買えると思っていなかった。事業者の方も自社の商品がインターネットで売れると思っていなかったから、なかなか出店者が増えなかった。

今も「地球に優しくなくても、安けれ良いという消費者が多いんだから、そういう商売をやったほうが儲かるよ」。多くの事業者のみなさんはそういう考え方をされていると思います。でも1つひとつ商品を増やしていきたい。(小林氏)

「EARTH MALL with Rakuten」取扱商品の一部
「EARTH MALL with Rakuten」取扱商品の一部

「EARTH MALL 」は売り場だけでなくメディアとして、サステナブル(持続可能)なライフスタイルや商品の啓蒙を行う。

売り場を作ること、それをお客さまに知っていただき買えるようにすること。さらにはサステナブルなライフスタイルをもっともっと多くの方に知っていただきたい。「伝える」というのも非常に大事なアクションだと思っている。最終的な目標はサステナブルな消費が当たり前になること。そのための1歩になると考えています。(小林氏)

会場からは事業の成長につながらないのでは?との意見もあった。

「EARTH MALL」をやることで楽天の事業成長のスピードは落ちません。むしろ、今まで楽天で買う気がなかった方に「楽天でも買ってみようかな」と思っていただけるきっかけになるかもしれない。

売上については正直まったく見えていないが、10回に1回で良いので「未来を買える商品を買ってみよう」と思っていただきたい。10回に1回でも数千億円の市場ができ上がる。それが10回に2回になるのか、20回に1回になるかは我々のラインナップ次第。

「なかなかブレイクはしないだろう」とお思いになるかもしません。「まだまだサステナブルな消費なんて早いよ」「そんだの誰が買うんだよ」。そう言われても、まったくもって動じずに前を向ける。なぜなら22年前にまったく同じ経験をしているからです。

22年前、インターネットで買い物をする人はいなかった。でも20年かけてこれだけ多くの事業者さんと多くの商品が集まるようになった。この国の消費は変わる。人々の生き方は変わる。そう確信しています。(小林氏)

楽天
CSR活動から生まれた「EARTH MALL」 「SDGs」への貢献を目指して

「EARTH MALL」が生まれた背景には、2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs」(エスディージーズ・Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)がある。

GOALS 世界を変えるための17の目標
GOALS 世界を変えるための17の目標

この中の「目標12・つくる責任つかう責任(持続可能な消費と生産のパターンを確保する)」への貢献を目指すために、サステナビリティ推進部(2018年1月、CSRグループから名称変更)の発案で始まった。

「EARTH MALL」のアドバイザーを務める慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 慶應義塾大学SFC研究所×SDG・ラボ代表の蟹江憲史氏は「国連加盟国のすべてががこの目標に同意している。企業は「SDGs」を負担ではなくビジネスチャンスと捉え、積極的に取り組んで欲しい」と話した。

「エシカル消費」とは

持続可能を意味する「サステナブル」と同様、重要なキーワードとなるのが「エシカル消費」。消費者庁は「エシカル消費」を「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」と定義し、普及や啓発を行っている。

「EARTH MALL」のキュレーターを務める一般社団法人エシカル協会 代表理事の末吉里花氏は、「エシカルな商品をどこで買えるか聞かれることが多いが、エシカルな商品を扱っている店舗はとても少ない。アクセスできるところがないと活動が広がっていかない。受け皿を作ってくれた楽天市場には感謝している」と語った。

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 慶應義塾大学SFC研究所×SDG・ラボ代表 蟹江憲史氏(左)とエシカル協会 代表理事 末吉里花氏(右)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 慶應義塾大学SFC研究所×SDG・ラボ代表 蟹江憲史氏(左)とエシカル協会 代表理事 末吉里花氏(右)

「エシカル消費」は「環境への配慮」「社会への配慮」「地域への配慮」は分類され、詳細は多岐に渡る。リサイクル、アップサイクル(資源をそのまま再利用するだけでなく何らかの付加価値を付けること)、伝統工芸なども含まれる。

エシカル消費の分類(末吉氏講演資料)
エシカル消費の分類

消費者庁の意識調査でも、およそ6割の消費者が「エシカル商品を購入したい」と答えている

(末吉氏講演資料)
「エシカル製品に対する消費者の関心の高さ」
国際承認を取ってみたEC事業者の感想は?

記者発表後のシンポジウムでは「サステナブルな買い物のつくりかた」と題したパネルディスカッションが行われ、事業者代表として「イーザッカマニアストアーズ」の浅野かおり氏が登壇した。「イーザッカマニアストアーズ」では今回、初めてGOTS認証を得たTシャツを製造・販売した。

今回、“認証を取るとはどういうことか”から始めた。何を材料に使うのか、染料はどうするのか、染める工程で出る汚染水はどれくらなのか、輸送や管理のところまで、いろいろ手間がかかった。証明にすごくお金がかかるから、どうしても単価は高くなる。

また制約が多く作りたいように作れない。まず綿花の確保自体が難しい。年間に採れる量が限られており、大半は大手が買うので、私たちが突然「作りたい」と言ってもなかなか手に入らない。(浅野氏)

と、苦労を語ったが、ディスカッションで出た「買うとC02削減に貢献できるTシャツ」というアイデアには「買ってCO2削減に貢献できるだけではなく、ファッションとして満足できるようなものにしていけばすごく面白いムーブメントになると思う」と意欲を見せた。

ズーティー 取締役 イーザッカマニアストアーズ バイヤー 浅野かおり氏
ズーティー 取締役 イーザッカマニアストアーズ バイヤー 浅野かおり氏

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オリジナル記事:楽天創業メンバー小林正忠、22年目の挑戦 「未来を変える買い物を。」
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「消費は投票」という言葉がある。「誰がどこで作った商品だろうと、安ければどうでも良い」という考え方で買い物することは、社会的責任を果たさない企業を支持することにつながりかねない。 楽天市場に「EARTH MALL」ができ、原料にも製造の背景的にも不安を抱くことなく「投票」できる場ができたことは、多くの消費者にとって良いニュースだろう。

今後は魅力的な商品をどこまで増やせるかが鍵になるが、国際認証以外の商品について、掲載基準が曖昧で玉石混淆になっては元も子もない。やはり何らかのはっきりとした基準作りは必要になってくるだろう。一番良いのは国際認証を取得した商品が増えることだが、シビアに利益率と向き合っている事業者にとってはハードルが高い。そうした事業者に対するサポートも必要になってくるのではないだろうか。

また梱包や配送も環境負荷の高い分野だ。ここでも石油系の梱包材は使用しないとか、FSC認証の紙袋で発送するとか、「EARTH MALL」らしい特色が出ることを期待している。

内山 美枝子
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