「リピート率」「顧客単価」をアップさせる「マーケティング施策」とは? | ネットショップ担当者フォーラム

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通販事業の収益力を高めるには顧客生涯価値(Life Time Value、以下LTV)を向上させることが有効だ。そして、LTV向上には顧客のリピート率や購入単価を引き上げるためのCRMが欠かせない。LTVを高めるCRMやマーケティングオートメーションとはどのようなものか。通販企業を中心に400社以上が利用しているCRMツール「カスタマーリングス」を提供しているプラスアルファ・コンサルティングの鈴村賢治副社長がクライアントの事例を踏まえて解説する。 写真◎Lab

LTVを高める3つのポイントとは

通販・EC市場の成熟や競争激化によって新規獲得単価が上昇している。そのため、多くの通販・EC企業は既存顧客のリピート率や購入単価を引き上げ、LTVを高めることが求められている。(鈴村氏)

セミナーの冒頭、鈴村氏はLTV向上の重要性をこのように強調。LTVを高めるには、①ターゲティング戦略を実現するためのCRMマーケティングや販促施策の自動化継続的なPDCAサイクルの構築――が重要だと説明する。

LTVを高めるために抑えておくべきポイント
会員セグメントに主眼を置いたCRMを行う

鈴村氏は、メルマガの一斉送信のような画一的なマーケティングは効果が下がっていると指摘し、「会員のセグメントを行い、顧客1人ひとりに最適化した施策を打つことが求められている」と説明。会員のデモグラフィックデータ(属性情報)や購入履歴、行動履歴、アンケートの回答など、あらゆるデータを活用し、マーケティングの現場の裁量で自由にセグメントを行える体制を構築すべきだと指摘する。

また、データを活用する上で大事なポイントとして「データ分析」があるが、顧客データや購買データなどの分析を行う際の注意点として、「データ抽出やレポートの集計といった単純作業を可能な限り自動化し、人的リソースを施策立案などの思考業務に振り分けることが成功の秘訣(ひけつ)」と説明した。

LTV向上のボトルネックはCRMシステム

通販・EC会社がCRMに取り組む際の課題も少なくないという。たとえば、LTVを高めるためのCRMを実現するには社内のデータを統合的に管理する必要があるものの、実際には顧客データや購買データ、コールセンターの問い合わせ情報、ウェブアンケートの結果といった各種データがバラバラに管理されているケースが多い。

そのため、「データを統合的に扱えず、マーケティングの機会損失を生んでいる通販・EC会社が少なくない」(鈴村氏)。つまり、CRMシステムがLTV向上のボトルネックとなっているのだ。

株式会社プラスアルファ・コンサルティング 副社長 鈴村賢治氏
株式会社プラスアルファ・コンサルティング 副社長 鈴村賢治氏
LTV向上に向けたCRMとMAの成功事例

鈴村氏は、CRMにまつわるこうした課題を解決し、データ収集や顧客分析を自動化してLTV向上につなげるシステムが「カスタマーリングス」と説明した。

「カスタマーリングス」は顧客データや購買データ、アクセスログなどを自動的にリアルタイムで収集。プライベートDMP機能によってさまざまなデータをデータベースに蓄積していく。

ビジネスインテリジェンス(BI)機能がその情報を分析してCRMを支援。LTV分析やRFM分析などを通じて収益を生むための施策のアイデアを見つけ出すことができる。

顧客ごとの情報をワンクリックで呼び出したり、特定のセグメントの人数を自動集計したりすることも可能だ。そして、セグメントごとにメルマガやディスプレイ広告などを使い分けるOne to Oneマーケティングを実現する。

データ分析からCRM、販促施策、効果測定までワンストップで実行する。
LTV向上の成功事例

鈴村氏は「カスタマーリングス」の強みを、「データの蓄積からセグメントの構築、販促の実行までワンストップで行えること」と説明。マーケティングオートメーションを実践して成果を上げている健康食品通販会社などの事例をあげた。

事例1 ステップメールを自動配信し定期購入に引き上げ

健康食品の通販会社A社は初回購入者に対し、商品発送の3日後、5日後、10日後、15日後など経過日数に応じて異なる内容のメールを配信。ステップメールの配信条件を「カスタマーリングス」に設定しておき、条件に合致した顧客に自動的にシナリオメールを送信することで、定期購入キャンペーンなどを活用して定期購入へと引き上げている。

プロモーションの手段はメールだけではなく、LINEのプッシュ通知やYahoo!DMPのディスプレイ広告なども活用。「カスタマーリングス」を外部ツールと連携し、メールが届かない顧客にはプッシュ通知やディスプレイ広告でアプローチするなど、高度なターゲティングによって効果的に顧客の引き上げを図っている。

商品を購入した顧客は、ステップメールの配信リストから自動的に除外する。また、2回目に購入したにもかかわらず、定期購入を利用しなかった顧客に対しては、定期購入への引き上げを継続して促進する別のシナリオを走らせる。こうした施策によって、定期購入への転換率の向上に成功したという。

初回購入者を定期購入に引き上げるシナリオを自動化し、転換率の向上に成功した
事例2 カゴ落ち対策のリターゲティングメールを自動化

アパレル通販のB社は、「カスタマーリングス」を使い、カゴ落ちしたユーザーに自動的にリターゲティングメールを配信している。カゴ落ちした翌日などに、カートに残った商品のクーポンを付与したり、キャンペーンを通知したりすることでカート放棄率の低減に成功したという。

「カスタマーリングス」を使えばECサイトの決済ページにタグを埋め込むだけでカゴ落ちメールを自動的に配信できる。カゴ落ち対策以外にも、アクセスログを活用したさまざまなプロモーションが可能だ。(鈴村氏)

「カスタマーリングス」はカゴ落ち対策機能も備えている
進化を続ける「カスタマーリングス」の今後

「カスタマーリングス」は顧客属性や購買行動、商品の売れ行き、プロモーション効果などの分析機能を備えており、年齢や性別、居住地などで分類。RFM分析やLTV分析、併売(まとめ買い)分析などに基づいて顧客のセグメントを構築できる。

たとえば、購入金額や購入回数などに基づいて顧客を分類し、「年間購入金額2万円以上」かつ「年間購入回数4回以上」かつ「30代女性」など、複数の条件を自由に組み合わせてターゲティングを行うことも可能だ。

鈴村氏は「カスタマーリングス」の今後の開発方針も説明。「カスタマーリングス」は直近1年間で206種類の機能を追加したという。コンサルティングで培った知見やノウハウを機能に落とし込むことも多い。

最近ではオムニチャネル化に対応するため、リアル店舗の店頭端末でECの顧客データを閲覧できる機能、在庫の入荷情報をメールなどで顧客に通知する機能をリリースした。

「カスタマーリングス」は主要なショッピングカートASPやECパッケージシステム、受注管理システムなどとはすでに連携済み。主要なECシステムを利用している事業者はカスタイズすることなく利用できる。今後は外部のDMPやウェブ接客ツールなどとも積極的に連携を進めていくという。最後に鈴村氏は、「カスタマーリングス」を通じて提供する価値について、次のように語った。

マーケターはMAツールを活用して単純作業を自動化し、空いた時間でアイデアを生み出すことに力を注ぐことが大切だ。弊社は、そのことを支援していく。(鈴村氏)

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オリジナル記事:「リピート率」「顧客単価」をアップさせる「マーケティング施策」とは?
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渡部 和章
ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

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