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ネットショップが大事にしている理念や、運営の判断をする際の指標などを的確に伝えるためのコミュニケーション術

新年度が始まりました。新卒採用を行っているネット通販実施会社も多いことでしょう。「サイトや会社の理念」「サイトのコンセプト」……新しく入るスタッフには伝えたいことは山ほどありますよね。新入社員に限らず、中途入社の場合も含め、人の出入りといった新陳代謝が起きた際、経営陣や上司が部下(スタッフ)に対し、組織として伝えたいことを伝達するためのコミュニケーション術を紹介します。

円滑なコミュニケーションは「お客さまへの価値提供」「各人の本来の業務」に注力できるようになる

同じ言葉でもネットショップ(企業)の数だけ、極論を言うと人の数だけ意味があってもおかしくありません。たとえば、ネットショップが大事にしている理念や、運営の判断をする際の指標などは、スタッフや部下に誤解がないように理解してもらうことが必要です

たとえば、ネットショップを運営する際に日々確認するであろう「来店数」についても同様です。「来店数」はユニークユーザー数なのか、セッション数なのか、またはその他の意味なのか――何通りにも受け取れる場合があります。

「発言した側は、決して言ったことが100%理解されないという前提で発言し、聞く側は発言者の言葉の表面だけではなく、真意は何かと傾聴するということ」

組織内でのコミュニケーションの量と質も大切ですが、この言葉は肝に銘じておきましょう

米国の心理学者の調査によれば、人と人が顔を合わせたコミュニケーションにおいて、メッセージ伝達に占める言葉の割合は7%といわれています(声のトーンや口調が38%、ボディーランゲージは55%)「何を言うか」よりも、「誰がどのように言うか」も注意すべきポイントです。

ネットショップでは、お客さまとのコミュニケーションには、余計に気を使うべき

ほとんどの場合、コミュニケーションとしての共通言語は日本語でしょう。言葉自体の意味を相互で理解し合っているかという観点で考えてみます。

たとえば、採用面接で「がんばります!」と鼻息荒く宣言した新入社員の“がんばる”という言葉の意味と、「一緒に頑張ろう!」と応じた面接官。

さて、この2者の言う“がんばる”は、はたして同じ意味でしょうか? きっと違っているはずです。

ベテランと新人の場合では、数々の修羅場を潜り抜け、突破経験の多いベテランの言う“がんばる”と、経験が浅く社会人になったばかりの新入社員の“がんばる”は違ってて当然ですよね。

もしかしたらベテランは、「徹夜をしてでも、達成するまでがんばる」と思ってるかもしれません。新人が思いつかない技を使うかもしれません。

一方の新人は「定時まではがんばる。自分なりにがんばる」と思っているかもしれません。

なぜこのような、同じ言葉でも意味が違ってくるのか。

日本語の言葉の定義の柔軟性もありますが、「物のの見方」、すなわち、物事をどう受け止めて理解しているか、が違うからです

人それぞれ、生まれも育ちも違えば、人生経験も異なるのでそれぞれの固定観念は違って当然です。

ベテランと新人に限らず、言葉の意味の誤解による食い違いは、言った本人が意識しているしていないに関わらず、相当な頻度で発生しているものです。

電子メールやメッセンジャーなど、コミュニケーションは手軽で密になる一方ですが、量だけが増え、質が低下する――つまりコミュニケーションが希薄化しているのではないでしょうか。

言葉の認識による誤解や摩擦の調整に時間を割かれてしまうよりも、本来ショップ側がやるべきことである「お客さまへの価値提供」「各人の本来の業務」に勤しむ環境を整えることは、新陳代謝が起きている組織では重要なことでです。

社内でのコミュニケーションよりも、非対面で“商い”をするネットショップでは、お客さまとのコミュニケーションには、余計に気を使うべきです。

ネットショップの進む方向において大切な概念は、「がんばる」や「来店数」の事例のように、字面だけではなく、根っこの方で同じ意味を理解し合っている組織でありたいものです。新年度を迎えるこのタイミングに点検してみてはいかがでしょうか。

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大場 雅人
アイペット損害保険株式会社

大場雅人(おおば・まさと)

アイペット損害保険株式会社 部長

横浜市生まれ。中央大学卒業後、日立系システム会社を経てジュエリーのネット通販などを手掛ける会社の立ち上げに参画。その後、楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーなどを受賞し、ジュエリージャンル強豪店に育てる。マーケティングの他に、人材の早期戦力化、組織の生産性向上に尽力。現在はアイペット損害保険株式会社にてWebマーケティングを担当。

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