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「パブリシティコンテンツ」のアトリビューションについて」 からご覧ください。
出来れば記事コンテンツを読んだ人が、ブランドサイトの訪問を果たしたか、はたまた何らかのコンバージョンに至ったかを測定する試みをしたい」と以前から考えていた。
今回、弊社デジタルインテリジェンスとインテグレートさん、アタラさん、JBプレスさんの4社で取り込んでいる「パワー・コンテンツ連動型アトリビューションマネージメント」は、言ってみれば、パブリシティ活動の成果をオンライン上のアトリビューション分析で見ようというものだ。従来、中身のある編集タイアップページを頑張ってつくってWebに掲載したとしても、なかなか何百万PV閲覧されるなどということはない。数万とか場合によっては数千とかのPVでもじっくり読んでくれれば、価値のあるコンテンツであるが、では、これを閲覧した人にその後どれだけのアクションを誘発しているかとなると、タイアップからの直接クリックは知れたものだし、記事ともなればクリックのリンクどころかブランド名、社名も入れる訳にもいかない。
これの閲覧者をクッキーベースで捕捉できると、どういう効果を生んだかが分かるのではないかというのが最初の発想。そして、記事コンテンツを読んでくれた人に、今度はブランドをアピールする広告を配信できれば効果的ではないのか?という仮説にもとづいたチャレンジである。
今回は、「ネット上でのパブリシティは効いているのか」を詳らかにするとともに、記事で当該商品カテゴリーに関する社会事としての情報で学んだ人に「広告」を打つことでの効果検証でもある。
図は縦がブランドに対する関与レベル、左右にその商品やサービスのカテゴリーに関する関心の顕在化の度合いというものだ。まだ関心を潜在化していない左下から右上に、広告だけに引き上げるのは、かなり無理がある。いったんカテゴリーへの温度を上げてからブランドを訴求した方が効果的なはずという仮説だ。
「トリプルメディアマーケティング」を書いてから、実践論を確立するためにも、広告だけ対応するのは無理と分かっていたので、「情報クリエイティブ」という戦略PRのアプローチが有効だと思っている。
下記の図は、ヴォーン博士のマトリックスである。これは旧アサツーがBBDOとの提携時代にBBDOから教わったPurchase Decision Model として、いくつかのマーケティングメソッドのうちのひとつであった。(余談だが、BBDOには心理学ほかの博士号をもったマーケティング部門の人たちがいっぱいいて、マーケティングコミュニケーションを科学し、メソッドを開発していた。日本とはレベルが違っていた。)
マトリックスは上部が、自己関与が高い領域で、下が自己関与が低い。左は理性的購買つまりThink型で、右は情緒的購買、Feel型というものだ。自己関与(involvement)が高いかどうかということを測る質問項目があって、購買リスク、こだわりに関わる何問かの回答スコアで数値化されている。
私がこれを使ってプレゼンでマーケティング領域の理論武装をしていた20年ほど前には、クルマはもっと左で、ビールはもっと上(高関与/情緒型購買)にプロットされていた。また、ここでは商品カテゴリーを分析しているが、同じ商品カテゴリーのなかでのブランドをプロットすることもできる。同じ商品ブランドに関してどう感じているか被験者ごとにプロットもできるだろう。(つまりこの商品カテゴリーのプロットは平均値で、商品カテゴリーによって散らばり具合も違うだろう。)
このモデルを面白いと感じたのは、プロットして相互のポジションを確認して終わりではなく、象限ごとにどういうコミュニケーションプロセスとすべきかが明解に定義されているところである。そして、このプロセスは、AIDMAなどの旧ファネルモデルでは解釈しづらい「Buy」から始まるものや、広告(アド)だけでは難しい「Learn」の醸成を含むものであった。
そして、このマトリックスは、トリプルメディア時代になった今だからこそ私には非常にmake senseするモデルとなった。
まず、低関与をBuyからスタートするとなると、従来だと、「店頭施策」からになってしまうか、「買って良かったんだ」と納得するコミュニケーションを創るのかとか、広告だけの使命ではないのがよく分かる。ファネルを購買行動で終わるモデルではなく、そこからも始まるこの蝶ネクタイ型にすると、習慣的購買や衝動的購買のモデルのプロセスの理解ができるし、応用が効きそうだ。
そして、特に今回の施策で言うと、左上のLearnから始まるプロセスは、単に広告だけで行うことが難しいと思われる。ここにアーンドメディアの活用のポイントがありそうだ。最初から自社ブランド名を声高に叫ぶだけでなく、第三者の立場で、正直に真実を語り、学んでもらうプロセスが大切だろうと思う。
現代の消費者はつくられた虚像のコミュニケーションに辟易としており、(ソーシャルメディアがこれを促進したと言える。どんな価値より「自分」に対する「真実性」が重要と考えている。消費者が信じる価値が「真実性」であれば、コミュニケーションも「真実性」を追求するものでなければならない。そこで、まずは消費者が真実を語るであろうと考える第三者(メディア)によって、本当のことを学び、理解を深めてもらうこと、そして、それが果たせた消費者に狙い撃ちの広告が配信できることが、次世代型のマーケティングである。
コミュニケーションの「Authenticity」を「Learn→Feel→Buy」のプロセスに生かすには、パブリシティの力と、メディアに書く意味と価値を作り出す「情報クリエイティブ」力が必要である。
「Authenticity」については。また別途エントリーを書こうと思う。